フォルクスワーゲン、八方尾根で雪上試乗会
トゥアレグとティグアンの雪上走破性を誰でも実感できるイベント

2010年2月20日、21日開催
白馬八方尾根スキー場



 フォルクスワーゲン グループ ジャパン(VWGJ)は2月20日、21日の2日間、白馬八方尾根スキー場名木山ゲレンデ(長野県北安曇郡白馬村八方)で、「フォルクスワーゲン スノードライビング エクスペリエンス イン 白馬八方尾根 ティグアン&トゥアレグ雪上試乗会」を開催した。

 文字どおり、同社のSUV「トゥアレグ」「ティグアン」の雪上での走破性を、実際にハンドルを握って体験できるイベントで、運転免許を持っている人なら、開催当日に現地で申込めば、誰でも試乗できる。

白馬八方尾根スキー場の名木山ゲレンデに、試乗会の申し込み受付が設けられた
20日の11時頃にはもう20日の試乗枠がいっぱいになる人気。21日の枠も、20日の夜にはいっぱいになってしまったプレスに配られたエコカイロ。お湯で温めるとカイロ機能が復活する受付に展示されたスキーメーカー「ヘッド」の車両。VWGJは数年前からヘッドとの共同プロモーションを行っており、ヘッドの契約選手に移動車両を提供したりしている
名木山ゲレンデのすぐ外に試乗車の発着場が設けられた試乗車はすべてミシュランのスタッドレスタイヤを装着

 試乗会場は、名木山ゲレンデのほぼすぐ隣にある、「白馬デューンバギーアリーナ」。ここは、通常はオフロードのカート「デューンバギー」での走行を楽しむために営業している小規模なクローズドのオフロードサーキットだ。

 名木山ゲレンデで試乗を申し込んだ参加者は、ゲレンデに隣接する発着場でインストラクターの運転する試乗車に乗り、デューンバギーアリーナに向かう。デューンバギーアリーナに着いたら、まずインストラクターが運転してコース走行の見本を見せ、その後、参加者が時間いっぱいまで走行、再びインストラクターの運転で発着場に戻る。発着場を出て戻るまで20分間が与えられており、参加者はそのうち10~15分程度、デューンバギーアリーナでの雪上ドライビングを楽しめる。

試乗コースのデューンバギーアリーナには発着場から2分ほどで着く試乗車のティグアンとトゥアレグ。ティグアンはオフロード志向の「トラック&フィールド」。最終的に2台ずつ用意された
シケインが設けられた外周路では、ESPを切ってドリフトに持ち込むこともできる

 デューンバギーアリーナは、一面厚く雪に覆われている平坦な場所。ここに作られた試乗コースは、オーバル状の外周路と、その内側に「スノーマウンテン」と名づけられた急坂や、モーグル(大きな凹凸のある雪面)コースを組み合せたもの。外周路は単なる雪道ではなく、雪が柔らかいところや踏み固められてアイスバーン状の部分、さらに洗濯板状に波打った場所や、シケインなどが作られており、1周200mほどの距離で様々な雪道を体験できるようになっている。

 試乗車のティグアンとトゥアレグは、ともに4WDシステムとESP(Electronic Stability Program:横滑り防止装置)、ATを装備。基本的にはアクセル、ブレーキ、ステアリングの操作だけでコースを走破できる。装着されたミシュランのスタッドレスタイヤ「X-ICE」の威力と相まって、まさにイージードライブで、オフロード経験のほとんどない記者でも「こんなに簡単でいいの?」と思うほど、あっけなくコースを回れてしまう。

 雪面の状態は時間とともに変化し、とくに朝方などはスノーマウンテンの凍った急坂で止まってしまうと、タイヤがスリップして登れなくなる場面もあったが、そんなときでも少し後退して勢いをつければ、難なく突破できた。

 一方で、極端に路面の摩擦係数が低い状態なので、普段はなかなかその恩恵に預かることのないABSやトラクションコントロールの動作を体験できる。とくにハルデックス・カップリングによるスタンバイ4WDシステムを持つティグアンは、前輪が空転してから後輪にトラクションがかかってクルマが動くのを実感でき、興味深かった。

 慣れてくると、ESPをOFFにして外周路でカウンターをあてながらドリフトもできるようになる。この場合は、ESPがなくてもシャシー自体が安定方向に作られていて、なかなかドリフトに持ち込めなかったりするのだが、これがかえってティグアンのスタビリティと安全性の高さを証明していたのだった。

モーグル。横からのショットでは、ティグアンが本格的なSUVなみのアプローチアングルやディパーチャーアングルを備えており、これがモーグルのようなコースの走破性の高さにつながっていることが分かる
スノーマウンテン。頂上はテーブルトップになっているスノーマウンテンを登るとき、車内からは空しか見えない
外周路の洗濯板コース
通常はこのデューンバギーで走る試乗すると抽選でヘッドやフォルクスワーゲンのグッズがあたる

 

試乗コースをインストラクターのドライブで走行するティグアンの車内。外周、スノーマウンテン、モーグルの順で走行している。これはかなり激しい走りをしたときのもので、多くの参加者はもっとゆっくりと走っていた

 これまで同社では、報道関係者など少数の限られた人向けにこうした試乗会を開催したことはあったが、誰でも参加できるのはこれが初めて。ティグアンとトゥアレグがどの程度、ゲレンデのスキー客の注目を集められるかは未知であり、やってみても閑古鳥が鳴くのではないかとおそれてもいたと言う。

 しかし、20日朝に受け付けを開始してみると、1時間ほどで20日の試乗の予約はいっぱいに。翌21日の試乗も20日のうちにほとんど埋まってしまった。試乗会はティグアン2台とトゥアレグ1台で行われる予定だったが、予想外の人気ぶりに急遽スペアカーのトゥアレグを投入、計4台に試乗枠を増やすことになったが、これもすぐいっぱいに。結局、2日間で154組が申し込み、キャンセルもまったくなかったと言う。

 普段はなかなか体験できない本格的な雪上コースで、フォルクスワーゲンのSUVを自ら運転できる機会はそれだけでも魅力的だが、この人気の理由には、白馬八方尾根のように電車でアクセスしにくいスキー場が多く、4WD車への意識が高いスキー客が多いこともあると言う。どちらかといえば一般への認知度が低いフォルクスワーゲンのSUVだが、そのあなどれない実力と魅力を実感できた2日間だった。

20日夜に開かれた白馬八方尾根スキー場の集客イベント「火祭り」のオープニングには、ティグアンとトゥアレグが司会を乗せて登場。ゲレンデ上での迫力ある走りに歓声が湧いた
松明滑走、火の輪くぐりジャンプなどさまざまな出し物に、フォルクスワーゲン名物のビートル・バルーンも華を添えた。が、風が強く飛ぶことは叶わず

(編集部:田中真一郎)
2010年 2月 22日