国土交通省、新高速料金に関する質疑応答
「公平に使える料金制度にした」と馬淵副大臣

質疑応答に応じた馬淵澄夫国土交通副大臣

2010年4月9日発表



 4月9日に、高速道路の新たな料金割引についての記者会見が国土交通省で開かれた。前原大臣の会見については既出したとおりだが、会見後に報道陣と馬淵副大臣による質疑応答が行われたので、その内容を紹介する。

――割引制度ではなく上限制を導入した意味は何か。

 1つは分かりやすい料金制度にしようということ。1000円刻みというのも分かりやすいものだと思う。ただし、上限1000円の料金制度では大渋滞を招き、さらには割引を充当する費用も莫大になる。従って普通車2000円をこの新料金制度の中心に据え、さまざまなシミュレーションを行った。地方への配慮、あるいは環境への配慮を考え、軽自動車に対する優遇制度も導入した。口で言うと単純だが、いずれにしても複雑な計算を行いながら到達した金額が、普通車2000円だということを理解していただきたい。

――マイレージ割引が廃止されるが、利用者に6カ月前に通知しなければならないのでは? またいつから廃止される?

 現時点で日程は決定していない。本日は決定したことだけをお伝えしたい。

――エコカー割引はどうすれば受けられるか?

 適合車種は追って公開したい。適合を受けるには事前登録が必要で、ETC車載器のデータに記録されている情報を元にチェックを行っていく。6月実施といっても登録してから割引を受けるまで、若干の時間を要すると考えている。ちなみにETC車載器を搭載していなくても、登録証を確認できれば割引を受けることが可能だ。

――具体的にどの割引制度がなくなり、何が残るのか?

 今後も継続する予定なのは障害者割引、本四の島民関係割引、環境ロードプライシング、環状道路等割引などで、原則撤廃する割引は休日のみを対象とした割引、適用率が低い割引、新料金で補完される割引、無料化実験と重複する割引など。そのほか2010年に限定して激変緩和として措置する割引もある。これらはすべて決定したわけではなく、6月まで高速道路各社と詰めて行きたい。

――物流コストは具体的にどの程度を見込んでいるのか? また大口・多頻度割引は激変緩和措置で残っているが、今後撤廃されるとかえって物流コストは引き上がるのではないか?

 社会実験の成果を踏まえながら進めていきたいが、原則高速道路無料化が進めば当然物流コストは大きく引き下がる。ここはぜひ理解して頂きたいが、現在実施されているさまざまな割引プランは2011年3月末で終了する。我々は現行の財源の中で恒久的な措置を図ることで料金制度を抜本的に見直した。首都高速・阪神高速では既存のベースとほぼ変わらない価格に設定しているし、激変緩和措置として来年3月末までは大口・多頻度割引も遵守している。物流コストにどの程度寄与するかは、適用後の企業の運行・運用を見極めていきたい。

――本四架橋で上限3000円(普通車)としているが、NEXCO管轄の料金よりも軽自動車・普通自動車ともに1000円上乗せした理由は何か。

 自公政権による料金制度になったことで多くの方が本四架橋を利用して頂いているのは理解している。公共交通機関への配慮については、地元島民の方々から大きな声を頂いたこともあり、我々はそれを踏まえてフェリーとほぼ同等の料金とさせて頂いた。

――利用者にとって今回の料金上限制は負担が増えるものになるのか。

 どの車種に乗り、どの経路を使うのかによって異なるため、利用者にとって負担の増える方もいれば減る方もいる。我々は今回、これまでの多岐に渡る料金割引制度の整備をし、誰もが公平に使える割引制度に変更した。曜日、あるいは時間帯に片寄らない新たな料金制度は、享受してもらえるものだと思っている。

――2011年4月以降の制度はどうなるのか。

 6月から始まる制度への意見や情報をしっかりと把握し、今後に役立てていきたい。

(編集部:小林 隆)
2010年 4月 9日