「第49回静岡ホビーショー」リポート タミヤとハセガワが「ロータス 79」で競演。カーモデルの新製品が多数登場 |
静岡ホビーショーが5月13日、ツインメッセ静岡(静岡県静岡市)で始まった。入場無料の一般公開日は5月15日、16日の2日間となるが、一般公開に先立って業者や報道陣向けの公開が行われた。カーモデル以外に、飛行機モデルや、戦車や艦船などのミリタリーモデル、ガンダム関連などのキャラクターモデルの新製品が展示されていたが、本記事ではカーモデル関連の展示内容をお届けする。
今年の大きなトピックは、1978年シーズンのF1チャンピオンマシン「ロータス 79」が1/20のスケールモデルでタミヤとハセガワの両メーカーから発売されること。昨年秋にハセガワが開発表明を行いファンの間で大きな話題となっていたところ、タミヤは今年の春に5月29日発売を電撃的に発表。今年7月の発売を予定していたハセガワは、後発製品になると販売上不利となるため、6月上旬に発売日を前倒し。静岡ホビーショー前日に5月下旬発売へとさらに前倒ししたため、ほぼ同時期に店頭に並ぶことになる。
タミヤ 1/20「ロータス タイプ79 1978」 | ハセガワ 1/20「ロータス 79“ドイツGP ウィナー”」 |
ロータス79は、1977年シーズンに登場した元祖ウイングカー「ロータス 78」を発展させたF1マシンで、ウイングカーの完成形とも言われる。サイドポンツーン下面の形状で強力なダウンフォース(負圧)を発生し、高いコーナリング速度を実現。その後のF1マシンがすべて同様の機構を持つことになるなど、エポックメイキングなマシンだった。しかしながら、F1スケールモデルの主流とも言える1/20では大手メーカーから製品化されておらず、昨年のハセガワの開発表明が模型ファンに大きなインパクトを与えることになった。
タミヤの1/20「ロータス タイプ79 1978」は、1978年シーズンのイギリスGPとドイツGPのコンバーチブルモデル。このシーズンのロータス 79は、チャンピオンを獲得したマリオ・アンドレッティ選手と、イタリアGPの事故により亡くなったロニー・ピーターソン選手によりドライブされたが、両ドライバーで異なるパーツも用意され、計4種類の仕様を作り分けることができる。
長年フォードDFVエンジン搭載車を作り続けてきたタミヤだけに、DFVエンジンのブロックは従来のF1モデルと同様のもの。ただし、カムカバーやトランスミッション、ロータス 79の特徴となっているエアファンネルは新規に設計されている。また、金属製のエアファンネルカバーも同梱され、別途リアウイングなどのエッチングパーツも発売される。ロータス タイプ79 1978が5月29日ごろ発売で4200円。エッチングパーツは同時に発売され1680円。
一方ハセガワの1/20「ロータス 79“ドイツGP ウィナー”」は製品名どおりのドイツGP仕様。タミヤ製品と同様、アンドレッティ選手とピーターソン選手の仕様を作り分けることができる。ハセガワのロータス 79は、同社にとって初のフォードDFVエンジン搭載車となるため、すべてが新設計されており、部品分割もできる限り実車同様のものにしたと言う。初回特典として、1970年代風ヘルメットや、3種類のホースジョイントが付く。別売のエッチングパーツも用意され、ウイングカーの特徴ともなっているスライディングスカート、シートベルト金具、ファンネルカバーのほか、布製のシートベルトも同梱される。価格はロータス 79“ドイツGP ウィナー”が3780円、エッチングパーツが2840円。
ちなみに両製品ともサイドポンツーンに日本のカメラメーカーであるオリンパスのロゴのみが描かれたものとなっているが、これは子供も購入する模型においてタバコ広告のGP仕様を避けるため。両製品とも砲弾型のバックミラーのほかに流線型のバックミラーパーツが入っており、別のGP仕様を作ることにも配慮されている(カラーリングのためのデカールなどは含まれない)。
くしくも同時期の発売となったことについて、タミヤ、ハセガワの両社に聞いたところ、タミヤは「10年以上前に設計は終わっていた。経済環境や近年のF1模型ブームにより、この時期になった」と言い、ハセガワは「タミヤさんの発売時期を意識して前倒しした。発売日を(5月下旬まで)前倒しするのは、大変だった」と語ってくれた。
精力的にF1のスケールモデルをリリースするフジミ模型の新製品とあわせて、3社のF1新製品を以下に紹介する。
●タミヤ 1/20 ロータス タイプ79 1978
●ハセガワ 1/20 ロータス 79“ドイツGP ウィナー”
●フジミ 1/20 FW14BイギリスGP&1/20 FW16ブラジルGP
1/20「FW14BイギリスGP」。6月発売、5250円。1992年シーズンのチャンピオンマシン。ナイジェル・マンセル選手が地元で優勝したイギリスGP仕様 | |
新設計のパーツ一覧 | |
1/20「FW16ブラジルGP」。7月発売、5250円。既発売の1994年シーズンのFW16サンマリノGPから、一部部品を変更 |
■スケールモデル(F1以外)
F1マシン以外にも、スケールモデルの新製品が数多く展示されていた。その中でも特筆すべきは、アオシマ文化教材社の1/24「ランボルギーニ カウンタック LP400」。近年痛車模型でヒットを飛ばしていたアオシマは、このカウンタックを1/24スーパーカーシリーズの第1弾としてリリースする。担当者に聞いたところ「漫画の影響でカウンタックの人気が上がっている。この時代のスーパーカーの模型は1970年代のスーパーカーブームのときに作られたものがほとんどで、最新の技術で模型化したかった」とのこと。パーツ数をいたずらに多くすることなく、組み立てやすさに配慮してある。特徴的なガルウイングドアや、リトラクタブルライトは開閉選択式で、カウンタックならではのスタイルを再現できるようになっている。
■RCカーなど
走らせて楽しめるRCカーは、タミヤが新製品を数多く展示。小型RCカーとして1つのジャンルを築いた京商のミニッツレーサーもさまざまなニューボディーが展示されていた。
ここで紹介したほかにも、多くのカーモデルの新製品が静岡ホビーショーでは展示されている。カーモデル以外の展示も数多く、ゆっくり各種の製品を見て回れば1日かけても足りないだろう。一般公開日には全国のモデラーによる展示会が開かれ、静岡ツインメッセからほど近いタミヤ本社(静岡県静岡市駿河区恩田原)では見学会やミニ四駆大会のほか、即売コーナーが設けられる。本社見学会では、タミヤの所有するF1マシンなどが展示されるので、時間に余裕があったら立ち寄ってみることをお勧めする。
タミヤ、ハセガワともロータス 79がメイン展示と言ってもよい状態になっており、模型に関しては世界でもトップレベルの技術力を持つ両社の個性を、ぜひ自分の目で見て確かめてほしい。
【お詫びと訂正】記事初出時、「ロータス 79」の実車仕様について一部誤解を招く表現と、誤りがありました。John Player Specialロゴは、コクピットカウルまわりに描かれ、John Player Specialロゴが描かれた際のミラー形状は、砲弾型、流線型ともに存在します。お詫びして訂正させていただきます。
(編集部:谷川 潔)
2010年 5月 14日