日産、新型コンパクトクロスオーバー「ジューク」
SUVとコンパクトスポーツカーの利点を1つに凝縮

コンパクトクロスオーバー「ジューク」

2010年6月9日発売
169万500円(15RS)、179万250円(15RX)



 日産自動車は6月9日、新型コンパクトクロスオーバー「ジューク」を発売した。価格は15RSが169万500円、15RXが179万250円。


ジューク15RSジューク15RX
価格169万500円179万250円
乗車定員

5名

サイズ(全長×全幅×全高)[mm]

4135×1765×1565

ホイールベース[mm]

2530

トレッド(前/後)[mm]

1540/1540

重量[kg]

1170

エンジン

直列4気筒DOHC 1.5リッター

最高出力[kW(PS)/rpm]

84(114)/6000

最大トルク[Nm(kgm)/rpm]

150(15.3)/4000

燃料消費率(10・15モード燃費)[km/L]

19.0

燃料消費率(JC08モード燃費)[km/L]

17.2

トランスミッション

CVT

駆動方式

2WD(FF)

タイヤサイズ

205/60 R16


 ジュークはコンパクトスポーツカーとSUVのクロスオーバーモデル。SUVとしての「守られ感」「自信」「視界のよさ」「最低地上高」、コンパクトスポーツカーとしての「引き締まったスタイル」「コンパクト/機敏」「パーソナル」「エキサイティング」「人車一体」「熱中する」というそれぞれの特徴を結合した。単に同社のSUV「ムラーノ」「デュアリス」を縮小したモデルではなく、よりスポーティ感を演出したことで「新ジャンルを創出した」と言う。

 ジュークのボディーサイズは4135×1765×1565mm(全長×全幅×全高)で、デュアリスと比較すると180mm短く、50mm低いが、全幅はわずか15mmの縮小に留まる。全長はデュアリスの前後オーバーハングを切り詰めた(特にリア)格好で、ホイールベースは100mm短いにすぎない。短いオーバーハングにワイドボディー、そして高いアイポイントを特徴とし、従来のコンパクトカーとは一線を画すパッケージとした。

 デザインコンセプトは「BORN ORIGINAL」(生まれながらのオリジナル)と銘打たれる。エクステリアは、ボディー下部の張り出したフェンダーがタフさを強調し、その上にエアレース機のように後方へスロープした、クーペライクなキャビンを組み合わせる。フロントデザインはターンランプ/ポジショニングランプとヘッドランプを別体とし、大型の丸形ヘッドランプはラリーカーを模したものだと言う。

 リアデザインでは、スポーツカーのように傾斜するバックドアを採用したほか、リアコンビランプにフェアレディZなどに採用されるブーメラン型のデザインが与えられるとともに、ディフューザー形状のアンダーガードを装着するなど、スポーティな演出がなされる。

 グレードの差は、インテリジェントコントロールディスプレイやオートエアコンの有無、ステアリングやシートの材質の違いなどによるもので、エンジンやトランスミッション、タイヤサイズ、駆動方式などに違いはない。

エクステリアはコンパクトスポーツカーの持つ俊敏な走りと、SUVの持つタフな走破性を表現するデザイン
ブーメラン型リアコンビランプはフェアレディZと同じデザインを施す標準装備のホイールキャップ。タイヤサイズは205/60 R16で、ホイールサイズは16×6.5J15RXのみのオプション装備となる17インチアルミホイール。タイヤサイズは215/55 R17で、ホイールサイズは17×7J
ターンランプ、ポジションランプと別体とした丸型ヘッドランプはラリーカーをイメージしたもの

 ボディーカラーは新色のラディアント レッド、メテオライト ブラウンに加え、ダークメタルグレー、ホワイトパール、ダイヤモンドシルバー、サファイアブラック、パシフィックブルーの計7色を設定する。

ラディアント レッドメデオライト ブラウンダークメタルグレー
ホワイトパールダイヤモンドシルバーサファイアブラック
パシフィックブルー

 インテリアのデザインテーマは「メカニカルな構造体としなやかさの結合」。メーターリング、センターコンソール、センタークラスター、ドアスイッチパネルにメカニカルなデザインを施す一方で、インストゥルメントパネル、ドアクロス、インサイドドアトリム、フロントシートに有機的なデザインを与える。

 センターコンソールはバイクのタンクをイメージしたデザインが施され、レッドまたはガンメタカラーを選択できる。耐久性と質感の向上を図るべく、クリア塗装も施される。インテリアカラーはレッドまたはブラックを用意し、乗降性や居住性を確保しつつホールド性を高めたフロントシートの材質は、15RSがトリコット、15RXがスエード調トリコット。

トランスミッションはCVTメカニカルなメーターリングやフローティングバイザーはバイクをイメージしてデザインされた本革巻き3本スポークステアリングは15RXに標準装備。15RSはウレタン材を用いる
バイクのタンクを想起させるセンターコンソールセンターコンソールの先端にはiPodや携帯電話などを置くことができるスペースが設けられるプッシュエンジンスターターボタン
ホールド性を重視したと言うフロントシート。写真は15RXで、シートセンターにハニカムパターンを用いるほかシートサポート部はメッシュのアクセントが施される。シート素材は15RSがトリコット、15RXがスエード調トリコット7インチワイドVGA(800×480ピクセル)ディスプレイを採用するHDD方式のカーウイングスナビゲーションシステムはオプション設定。カーウイングス会員の中で判定する「ECOドライブランキング」対応
ラゲッジルームの容量は251Lだが、リアシートを倒すことで830Lのラゲッジスペースに拡大できるラゲッジルームのフロア下には洗車道具などを収納できるアンダーボックスが設けられる。サイズは793×181×451mm(幅×奥行き×高さ)
15RX。内装色はレッド
15RX。内装色はブラック
15RS。内装色はブラック

 15RXは、今回新たに開発されたインテリジェントコントロールディスプレイを装備する。これはドライブモードとエアコンの操作を可能にしたもので、特定波長のみを透過するフィルターと2つのLEDランプを採用し、1つの操作パネルで異なる表示を可能にした。

 ドライブモードは「ノーマル」「スポーツ」「エコ」の3パターンで、スポーツモード時はノーマルモードよりもエンジンスロットルを大きく開くとともにエンジン回転数を高めに保つシフトスケジュールが組まれるほか、ブレーキ操作に連動してシフトダウンしたり、カーブ中にCVTの変速比を固定する。エコでは逆の制御が行われ、エアコンの消費エネルギーも抑えることで燃費向上につなげる。

モニター左側のスイッチでドライブモードの選択ができるほか、右側の「SETUP」スイッチでディスプレイ/スイッチ輝度の調節、「DRIVE INFO」スイッチで平均速度、累積運転時間、累積走行距離の表示、「ECO INFO」スイッチで平均燃費(1日平均、週平均など)の表示が可能左がエアコン画面、右がドライブモードコントロール画面
ドライブモードコントロールのノーマルモード画面ドライブモードコントロールのスポーツモード画面ドライブモードコントロールのエコモード画面

15RS、15RXともに直列4気筒DOHC 1.5リッターエンジンを搭載。量産エンジンで世界初となるデュアルインジェクターなどを採用し、低燃費と中低速トルクの強化が図られた

 エンジンは、最高出力84kW(114PS)/6000rpm、最大トルク150Nm(15.3kgm)/4000rpmを発生する直列4気筒DOHC 1.5リッターの「HR15DE」。燃料噴射を1シリンダーあたり2本のインジェクターで行うデュアルインジェクターを、量産車で初めて採用した。インジェクターをスリム化することで2本の配置を可能にし、より広角に燃料を噴射するほか、燃料噴射孔を小径化することで噴射する燃料粒径を小さくし、燃焼安定性を向上させた。さらに吸気側、排気側に可変バルブタイミング機構(CVTC)を採用し、燃費効率を高めている。

 トランスミッションは従来のベルト式CVTに副変速機(2段変速)を新たに設け、変速比を拡大するとともに従来より重量を約13%低減、サイズを10%小型化することに成功。これにより、従来のCVTより20%以上変速比幅を拡大し、レスポンスを良好にしたほか、高速走行時の静粛性が高まったと言う。

 駆動方式は2WD(FF)のみ。

 これらにより、平成22年度燃費基準+15%を達成し、エコカー減税(環境対応車普及促進税制)により自動車取得税と自動車重量税は50%減税される。

(編集部:小林 隆)
2010年 6月 9日