国交省、高速道路無料化で交通量が約2倍に増加 並行する一般道は約2割減少 |
国土交通省は11月12日、高速道路無料化社会実験開始後3カ月の道路交通量の変化を発表した。
高速道路無料化社会実験は6月28日0時に開始され、ETC車載器の有無や車種を問わず、全国の高速道路の約2割、50区間を無料とするもの。今年度の実施期間は2011年3月末までとなる。
開始3カ月後の状況については、無料化実験区間において平日、休日とも交通量は約2倍に増加。無料区間だけでなく、無料・有料をまたいでの利用も約1.5倍に増加している。無料化区間では、短距離での利用が増加し、平均利用距離も2割減少することとなった。
また、高速道路と並行する一般道では、利用者が高速道路を選択したことにより、交通量が約2割減少。ほかの交通機関の旅客輸送量に関しては、マクロ(巨視的)に見た場合大きな変動はないものの、高速バスについては前年を下回ることになったほか、減少傾向が増大しており、中長期的なトレンドを注視する必要があるとしている。
渋滞の状況については、平日は約1割、休日は約2割の区間で渋滞が発生し、その要因は無料化区間から一般道への合流部。高速道路本線上では、サグ(下り勾配から上り勾配に変化する部分)、トンネルなどのボトルネック部で起きている。
一般道については混雑時間が約6割減少し、大幅に速度が向上する結果が出ており、地域の魅力的なまちづくりに期待できるとしている。
なお、渋滞発生区間のトップは、平日、休日とも京都丹波道路の沓掛IC(インターチェンジ)出口。平日では66日間中57日、休日は29日間中すべてで渋滞が発生している。
高速道路の実験区間の交通量変化 | 無料区間・有料区間をまたいで利用した際の交通量 | 並行する一般道の交通量変化 |
ほかの交通機関の分析 | 渋滞の発生状況 | ほぼ毎日渋滞が発生している京都丹波道路の沓掛ICの状況 |
この無料化社会実験は、高速道路の無料化を行うことで、日本経済全体の上積みをしていくことを目指している。物流面については、物流拠点から大型車が高速道路利用する割合が約2.3倍に増加し、物流の定時性、高速性の向上に寄与したとしており、観光面においては、無料化社会実験にあわせ地域の取り組みをしている個所では入り込み客数が増え、そうでないところは平日に減少傾向にあるとの結果になっている。
(編集部:谷川 潔)
2010年 11月 12日