アウディ、フラッグシップセダン新型「A8」
MMIタッチをはじめ、多数のハイテク装備を搭載

2010年12月15日発売
945万~1290万円



 アウディ ジャパンは新型「A8」を、12月15日に発売した。3リッター+スーパーチャージャーと4.2リッター、および4.2リッターのロングホイールベースが用意される。

モデルエンジンステアリング価格
A8L 4.2 FSI クワトロ4.2リッター
V型8気筒DOHC
左/右1290万円
A8 4.2 FSI クワトロ左/右1160万円
A8 3.0 TFSI クワトロ3リッター
V型6気筒DOHC
スーパーチャージャー
945万円

 1988年の「アウディV8」を直接の祖とするフラッグシップモデル。1994年に「A8」を初めて名乗ったモデル(D2)から数えると、3代目となる。アルミボディーと4WDシステム「クワトロ」、さらに数々のハイテク装備を武器に、Sクラスと7シリーズの牙城に挑む。

 

 A8L 4.2 FSIA8 4.2 FSIA8 3.0 TFSI
サイズ(全長×全幅×全高)5275×1950×1465mm5145×1950×1465mm
ホイールベース3120mm2990mm
トレッド(前/後)1644mm/1635mm
重量2060kg1940kg1930kg
エンジン形式V型8気筒DOHC直噴V型6気筒DOHC直噴
スーパーチャージャー
排気量4.2リッター3リッター
最高出力273kW(372PS)/6800rpm213kW(290PS)/4850-6500rpm
最大トルク445Nm(45.4kgm)/3500rpm420Nm(42.8kgm)/2500-4850rpm
燃料ハイオク
燃費(10・15モード)8.1km/L8.3km/L9.2km/L
トランスミッション8速AT(トルクコンバーター)
サスペンション(前)5リンク/エアサスペンション
サスペンション(後)トラベゾイダル/エアサスペンション
ブレーキ(前)ベンチレーテッドディスク(356mm)
ブレーキ(後)ベンチレーテッドディスク(330mm)
タイヤ(前/後)255/45 R19265/40 R20255/45 R19
ホイール(前/後)9J×199J×209J×19

 

アルミボディーを引き続き採用、フルLEDヘッドライトを搭載
 ボディーでは、その素材に引き続きアルミを採用し、「ASF」(アウディ スペースフレーム)を名乗る。ホワイトボディーの重量は標準ホイールベースで231kg、ロングホイールベースモデルで241kgで、スチールよりも約40%軽くなると言う。

 エクステリアはオーソドックスなセダンで、6ライトのグラスエリアや、ボディーとグラスエリアの比率を2:1にしたサイドビューなどを先代から引き継ぐ。一方で「トルネードライン」と呼ぶ、前後ホイールアーチをつなぐプレスラインを入れ、ボディー側面に陰影とダイナミズムを与えている。

 これも引き続き採用されたフロントのシングルフレームグリルの左右のヘッドライトユニットは、ロービームとハイビーム、ポジション、ウインカー、フォグの各ランプを1つにまとめたもの。4.2リッターモデルはこのヘッドライトユニット内のすべてがLEDで構成されている。

 このオールLEDライトには、カメラ映像により周囲の状況や対向車を検知して、配光を変えるアダプティブヘッドライトや、近距離の路面だけを照射して幻惑を抑えるオールウェザーライトを装備する。

 3.0 TFSIはバイキセノンヘッドライトが標準で、オールLEDライトはオプションとなる。

 またテールランプにもLEDを採用している。

 

全車クワトロシステム搭載
 パワートレーンは従来どおり、エンジンをフロントオーバーハングに縦置きし、その後ろにフロントデフ、トランスミッション、センターデフ、リアへのプロペラシャフトが並ぶ。フロントデフをトルクコンバーターの前に置き、前車軸の位置を前進させることで、重量配分を改善している。

 センターデフの前後トルク配分は40:60。配分は状況に応じて変化し、フロントに最大60%、リアに最大80%のトルクが配分される。

 4.2リッター、3リッターの両モデルとも、トランスミッションはZFのトルコン式8速AT「ティプトロニック」。従来の6速ATよりも多段化されたうえにコンパクトで、ATFを短時間で温めるヒーターや、アイドリング中にDレンジでもクラッチを解放するデカップリング制御などにより、燃費が約6%改善された。

 トランスミッションのセレクターレバーは、メカニカルケーブルを使用しないシフトバイワイヤー方式。クルーザーのスロットルレバーを意識したデザインとなっており、レバーにドライビングモードインジケーターが設けられる。

 このほか、ブレーキエネルギー回生システムを備える。

手書き文字入力が可能な「MMIタッチ」
 インフォテインメントシステムは、従来のロータリープッシュボタンベースの操作系に小型のタッチパネルを追加した「MMIタッチ」が初採用された。ロータリープッシュボタンの横に置かれたタッチパッドは、通常はラジオ選局ボタンとして使われているが、カーナビの目的地設定時などには、指で文字を書いて入力するパッドとなる。この文字入力時には、取り消しなどのジェスチャーも使える。

 MMIタッチは容量60GBのHDDと、2つのプロセッサー、3Dグラフィックプロセッサー、フルセグ地デジチューナー、DVDチェンジャー、iPodなどを接続する「AMI」を備える。また、音声でMMIタッチを操作できるスピーチコントロールも備える。

 オーディオは標準でボーズの14スピーカー5chサラウンドシステムを搭載するが、オプションでバング&オルフセンのアドバンスドサウンドシステムを選べる。アドバンスドサウンドシステムは合計1400Wの2機のデジタルアンプと、19のスピーカーを備える。

 ロングホイールベースモデルには、リア・エンターテインメントシステムを搭載。2つの10.2型後席用ディスプレイと、後席専用DVDプレーヤーなどのほか、後席センターアームレストにはMMIコントローラーを備える。また電動リクライニングとフットレスト、マッサージ機能などを備えた後席エグゼクティブシートが装備される。

自動事故回避システム「プレセンス」を搭載
 A8には、新開発の「プレセンス」と呼ばれるセーフティシステムが搭載される。これはカメラやセンサーで衝突の危険を察知し、自動的にその回避や被害軽減対策を講じるもの。

 全車が搭載するベーシックバージョンのプレセンスは、ESP(横滑り防止装置)の情報に基づき、横滑り時や急ブレーキ時にフロントシートベルトを巻き上げ、サイドウインドーやサンルーフを閉め、ハザードランプを点滅させる。

 オプションのプレセンスプラスは、レーダーが前車への衝突の危険を検知すると、ドライバーに警告するとともにブレーキを予圧、アダプティブエアサスペンションのダンピングを強めて危険回避能力を高める。また後続車の衝突の危険も検知し、ベーシックバージョンと同様の被害軽減策のほか、シートのヘッドレストを最上位に動かし、シートバックを直立にするなどの対策もする。

 また、夜間に遠赤外線カメラで前方の人間や動物を撮影し、メーターパネル内に表示することで事故を防ぐナイトビジョンアシストも、新型A8で初採用された。

 さらに停止まで車間距離を維持するアダプティブクルーズコントロール、後続車の存在をドアミラーのLEDを点滅させることでドライバーに知らせるサイドアシスト、車線逸脱を警告するレーンアシスト、リアビューカメラなどを備える。

(編集部:田中真一郎)
2010年 12月 15日