奥川浩彦の「WTCC(世界ツーリングカー選手権)フォトコンテスト」攻略ガイド【第3回】
鈴鹿サーキットの撮影ポイントをパノラマ写真で紹介


 10月22日、23日に鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で開催される「2011 FIA 世界ツーリングカー選手権シリーズ 日本ラウンド(WTCC KENWOOD Race of Japan)」。このWTCCの特徴として、東コースのみでレースが行われることにある。そこで、WTCCフォトコン攻略ガイドの最終回は、鈴鹿サーキット東コースの撮影ポイントなどを紹介していく。

WTCCは鈴鹿サーキット東コースで開催
 鈴鹿サーキットの東コースは、メインストレート、1、2コーナー、S字、逆バンク、ダンロップまで行ったところでショートカットして最終コーナーからストレートへ戻るコース。コースが短くなると周回数が増えるので、必然的にシャッターチャンスは増えることになる。

 現在発表されているスケジュールを見ると、土曜、日曜で7回のセッションが予定されている。

曜日セッション時間
10月22日(土曜)Practice 19時30分~10時
Practice 211時45分~12時15分
Qualifying Q115時30分~15時50分
Qualifying Q215時55分~16時5分
10月23日(日曜)Warm up8時50分~9時5分
Race 114時35分~15時
Race 215時50分~16時15分

 各セッションの時間は30分以下と短いのでセッション中の移動は難しい。セッション間はQ1~Q2の間が15分(実質10分)と短いが、それ以外はセッション間に東コースならどこでも移動できるので、撮影ポイントを変更しながら撮ることができそうだ。

 では東コースの撮影ポイントをコースに沿って見て行こう。WTCCではメインストレートのV1/V2席は日曜日だけ指定席となっている。ストレートエンドのA席、2コーナーのB1/B2席、2コーナー~S字のC席、S字~逆バンクのD席、ダンロップのE席、最終コーナーのQ1/Q2席、R席、S席は自由席だ。

 WTCCでは、スタンドよりも走行マシンを間近で見られる激感エリアが設置され、ストレートエンドのイン側、2コーナーのイン側、S字のイン側、最終コーナーのイン側に入ることができる。激感エリアはパドックに入れるパドックパス(大人:1万円、子供:1500円)を持っていれば行くことが可能だ。

WTCCが開催される鈴鹿サーキット 東コース


V1/V2席
 V1/V2席は新装された鈴鹿サーキットを代表するスタンドだ。スタートシーン、ゴールシーン、ピットが目の前で見られる。椅子もベンチシートではなく快適だ。加えてピットビルの上に設置された大型モニターは仮設(移動式)のモニターよりはるかに高解像度でよく見える。

 決勝日のみ指定料金が必要となるが、下段のV1席が1000円(3歳以上)、上段のV2席が2000円(同)と比較的安価な価格設定となっている。V2席の上段は屋根があるので雨が降っても快適に観戦することができる。観戦するにはよい席だが、撮影ポイントとしては目の前に金網がありお勧めできない。マシンの動きも右から左へ真っ直ぐ抜けるだけなので単調だ。音は迫力がありそうなので、レースの流れを把握しながら五感で楽しむ場所だと思われる。

ピット側から見たV1/V2席
Vスタンドからの景色
スタンド下段は完全に金網越しとなる中段、上段でもレコードラインは金網が避けられない


A1席最上段。ここも金網が避けられない

A席
 ここはピットアウトする位置が目の前で、ストレート後半から1コーナーが見えるのでオーバーテイクを目の前で見ることができる。バトルを観戦するにはよい席だが、最上段でも金網が入るので撮影ポイントとしては期待できない。



A席からの景色


B1/B2席
 メインストレートに面するV/V2席、A席は撮影には不向きだったが、残りの1~2コーナーにあるB席から最終コーナーのS席まではすべて撮影ポイントとなる。

 B1/B2席は下段がB1、上段がB2となっている。ここはストレートエンドから1~2コーナーのバトル、その後S字に向かっていくマシンを見ることができる。特にB2の1コーナー側の中2階は、個人的には鈴鹿の最高の観戦席だと思っている。

 B1席は金網が張り巡らされていてほとんどの席が撮影には不向きだ。一部ポスト部分に切れ目がありそこから1コーナーを撮ることができる。WTCCはスタート直後のバトルが凄いので、2台併走、もしかすると3台が横並びで1コーナーを抜けてくる写真を撮れるかもしれない。

B1席は金網越しとなる
コースマーシャルがいる部分だけ金網が切れているその切れ間から200mm(320mm相当)で撮るとこんな感じ
同じ場所から300mm(480mm相当)で撮るとこんな感じB1席の金網の切れ目からの解説図。赤矢印は正面からの撮影


B2席の2階からスタート直後の1コーナーを撮影。標準ズームの85mm(136mm相当)でこんな感じに撮れる

 B2席の1コーナーよりの中2階はそこそこ低い位置からの撮影が可能だ。ストレートエンドから1コーナー進入のサイド・バイ・サイドのバトルも撮ることができる。ここもWTCCのスタートでは要チェックポイントだ。B2席の2コーナー側の2階席は高さのあるスタンドなので金網の影響は少ない。半面、上から見下ろす感じとなるので、絵的には好みが分かれるところだ。



1コーナーよりの中2階からの景色
B2席1コーナー側の中2階。最も1コーナーよりの席ではストレートの奥まで見える中2階から1コーナーを200mm(320mm相当)で撮るとこんな感じ
流し撮りも可能。200mm(320mm相当)のレンズを使用B2席中2階からの解説図。赤矢印は正面からの撮影、青矢印は流し撮り
B2席の2コーナー側2階席の景色。高さがあるので金網は避けられる


C2席
 C席は2コーナーからS字の入り口が目の前となる。左右に広いスタンドなので撮影ポイントは豊富だ。コースに沿って説明しよう。

 最初は2コーナーのクリッピングポイントが正面に見える位置だ。ここもコースマーシャルのポストのところに金網の切れ間がある。国内レースでは望遠レンズを持った人が集まる撮影ポイントだ。300mm(480mm相当)のレンズでは少々足りない感じだが、トリミングをすれば使えないことはない。コンバーターを付ければそこそこアップで撮ることができる。

 WTCCのスタート時は2コーナーも横並びのバトルが期待できるので、ここも要チェックポイントだ。スタンド中断の通路付近の高さならポストの建物の上から撮影可能。一番下まで降りると金網越しの撮影となる。ここの金網は緑色で、晴れた日の午後のセッションでは順光となるため、金網自体が反射して写り込みやすくなる。金網の一部が黒くなっているのは、写らないように誰かが塗ったのだろう。シャッター速度を落として、コーナーの進入、立ち上がりを流し撮りする場合は金網より高い位置で撮ったほうがよい。

C席右側(B席側)の景色。このあたりは高い金網がある
金網の切れ間から2コーナーが正面に見える300mm(480mm相当)のレンズではこれくらいになる
1.4倍のコンバーターを付け420mm(768mm相当)にするとこれくらいだ。シャッター速度1/200秒で、立ち上がりを少し流してみた赤矢印は正面からの撮影

 S字方面に移動すると、2重の金網から解放される。ここからも2コーナーを撮ることができるが少々遠いので、アップで撮りたい場合はかなり長めの望遠レンズが欲しい。

 脚立を用意して最下段に降りると少しコーナーに近い場所から撮影できる。このあたりからC席S字側までは広い範囲で流し撮りができる。レンズは下段の方は200mm(320mm相当)くらいが丁度いいだろう。S字側まで移動するとS字に切り込むマシンをコーナーイン側の位置から撮ることができる。

C席中央の景色。2重金網から左側に撮影ポイントが広がっている
2重金網が終了した少し先の位置から2コーナー方面その位置から420mm(672mm相当)で撮影。マシンを少し低い角度で撮ることができる。画面いっぱいに撮りたい場合はかなり長いレンズが必要
C席左側(D席側)の景色。S字の入り口が目の前となる
200mm(320mm相当)のレンズだとこれくらいに写るトリミングするとこんな感じ金網ギリギリまで降りるとこんな感じ
C席のS字側へ移動すると、S字の1つ目が撮影可能C席の解説図。赤矢印は正面、青矢印は流し撮り。C席のS字側半分はすべて流し撮り可能


S字芝生ゾーン
 C席のD席側の土手は普段から多くのカメラマンが集まる撮影ポイントだ。F1日本グランプリではカメラマン専用撮影エリアとなっている。S字の1つ目が目の前で、流し撮りと斜め前からの撮影、後ろからの撮影もできる。

 C席よりの位置からは、S字に進入するマシンをコーナーイン側の位置から撮影できる。そのままステアリングを右に切り返しS字1つ目を斜め後ろから、さらにS字2つ目に向かうマシンを真後ろから狙うことも可能だ。レンズはどの位置を主に狙うかで異なるが、200mm~300mm(320mm~480mm相当)のレンズでもそこそこ撮れる。

S字芝生ゾーンのC席側の風景。右側の柵は現在撤去されている
200mm(320mm相当)のレンズで、S字に進入するマシンをイン側から撮影切り返すところを200mm(320mm相当)のレンズで撮影。この位置が一番近くなるので、立ち位置によっては300mm(480mm相当)のレンズだとフレームアウトするかもトリミングするとこんな感じとなる(クリックすると1920×1080ピクセルの画像が開きます)
S字1つ目のインに寄ったマシンを斜め後ろから撮影。これも200mm(320mm相当)のレンズだ300mm(480mm相当)のレンズで、S字2つ目に向かうマシンを後ろから撮影C席側の撮影ポイントの解説図

 撮影場所をD席側に移すと、S字に進入したマシンを斜め正面から撮ることができる。S字1つ目のクリッピングポイントへ向かうマシンを流し撮りすることも可能だ。このゾーンは上下左右に撮影ポジションの移動ができるので、探せば面白い絵が撮れる可能性が高い。

D席側から、S字に進入したマシンを斜め前から撮影。300mm(480mm相当)のレンズでは少し遠いトリミングするとこんな絵になる
同じくD席側の位置で流し撮り。レンズは200mm(320mm相当)D席側の撮影ポイントの解説図


D席
 D席はS字から逆バンクまでコースに沿って曲がりくねったスタンドなので、座席位置によりコースの見え方がまったく異なるスタンドだ。スタンドの構造もC席側の小さなエリアと、S字2つ目から逆バンクまでの細長いエリアに分割されている。今回はD席を3つの区域に分けて紹介したい。

 1つ目はC席側のブロック、S字1つ目が目の前に見える。ストレートエンドからS字まで見渡せ、レース観戦に適している。撮影できるのはS字1つ目のクリッピングポイントからS字2つ目に向かう部分だ。S字1つ目のクリッピングポイントを正面から撮ることができるが、撮影位置はやや高めで見下ろす角度となる。S字1つ目から2つ目に向かう部分で流し撮りもできる。

D席のC席側のブロックの景色。ストレートエンドからS字まで見渡せ、レース観戦には適している
S字1つ目の正面から200mm(320mm相当)のレンズで撮影。300mm(480mm)以上だとそこそこアップとなるS字1つ目から2つ目に向かうマシンを流し撮りで撮影。レンズは200mm(320mm相当)を使用
S字2つ目に近い、下段の席からはこんな風に見えるD席のC席側ブロックの解説図

 2つ目の区域はS字2つ目から逆バンクまでの細長く曲がったエリアのS字側だ。この位置まではストレートエンドからS字までが一望できる。流し撮りの定番ポイントでマシンを上から見下ろす感じで撮影できる。この撮影ポイントはスタンドの上下左右の広範囲で撮影が可能だ。このエリアはS字側に観客が集まるので混雑すると立って撮影するのは難しくなる。

パノラマ写真ではコースが真っ直ぐに見えるが、足下のスタンドもコースも180度を超えて回り込んでいる。この付近ではストレートエンドからS字、ダンロップまでレースを堪能することができる
少し逆バンク側に移動すると1~2コーナー側が見えなくなる。やや観戦に不向きとなる分、観客の数も減り撮影しやすくなる
コースを見下ろす感じで撮影できる。スタンドの角度が急なので金網の影響が少なく上下左右に撮影範囲が広い200mm(320mm相当)のレンズで撮るとこれくらいトリミングした画像(クリックすると1920×1080ピクセルの画像が開きます)

 3つ目の区域は逆バンクだ。ここは逆バンクしか見えないので、レース観戦のポイントとしては少々寂しい。逆バンクの定番の撮影ポイントはダンロップコーナー側の上段の席となる。F1グランプリではカメラマン専用撮影エリアとなっていて望遠レンズが大挙して集まる場所だ。金網が低くなる位置から逆バンク立ち上がりまで、広範囲に金網の上からマシンを撮ることが可能だ。逆バンクのクリッピングポイントを正面から撮ることもできるし、流し撮りもできる。

D席、逆バンクの景色
最上段から流し撮り。2010年のF1グランプリで撮影。手前の黒いのは場内のスピーカー。200mmでは長すぎたのでズームを159mm(254mm相当)にして撮影トリミングするとこんな感じ(クリックすると1920×1080ピクセルの画像が開きます)

 逆バンクの穴場的な撮影ポイントは最下段だ。観客席の最下段から見ると、金網越しにカメラホールを通してマシンを撮ることができる。1つのカメラホールに対し、2~3人しか撮るスペースがないので、混雑すると撮影は難しい。この場所はマシンを正面から低い角度で撮影が可能だ。

カメラホールを金網越しに見るとこんな感じ300mm×1.4倍コンバータ(672mm相当)でカメラホールを通して撮影
トリミングした画像(クリックすると1920×1080ピクセルの画像が開きます)D席の解説図

 このようにD席、特に逆バンク側の細長いエリアは正面、流し撮りと撮影ポイントは多い。S字2つ目と逆バンクでは、見下ろす角度が違うので、同じ流し撮りでも雰囲気の違う絵となる。



E席
 E席は逆バンクの立ち上がりからダンロップコーナーが目の前となる。このスタンドも回り込む形状なので場所により景色が異なる。E席の逆バンク側の上段からは逆バンクが正面に見える。逆バンクからダンロップへの下って上る部分では流し撮りが可能だ。

 金網はダンロップ側に行くにしたがって高くなるが、コースを遮るギリギリの高さとなっている。ダンロップのクリッピングポイント付近からデグナー側は金網がコースを遮るようになる。よって撮影するなら逆バンクが見える範囲の上段が無難だろう。

逆バンク側の景色。逆バンクが正面に見え、ダンロップへ向かう部分で流し撮りが可能
ダンロップのクリッピングポイントからデグナー側は金網がレコードラインを遮る。目の前にショートカットを通って最終コーナーへマシンは走り去る
逆バンクから立ち上がるマシンを流し撮りできる。200mm(320mm相当)のレンズで撮影ダンロップへの上り部分
マシンがダンロップのイン側によると金網がギリギリとなるE席の解説図


Q1/Q2席
 本来はシケイン観戦用のスタンドだが、WTCCは東コースで争われるのでショートカットから最終コーナー部分が観戦、撮影の対象となる。東コースを使用するレースは滅多に行われないので実際にショートカットを撮影した画像はない。

 先日、台風12号で中止になったフォーミュラ・ニッポン第5戦の際に、Q1/Q2席、R席、S席からショートカット部分の撮影が可能かを確認してきた。当然、ショートカット部分を走るマシンを撮ることはできないので、スタンドからの景色だけ撮影してきた。パドックから最終コーナー付近のこのスタンドを往復する30分ほどで傘の骨が3本折れるほどの強風と豪雨の中で撮影したので、参考程度に見ていただきたい。

 Q1席はQ2席の巨大なスタンドの下にある席で、フルコースを使用したレースでは、金網があるためほとんど撮影するポイントはない。だがショートカット部分は左側の上段に立てば最終コーナーへ駆け下りてくるマシンを正面から撮ることができそうだ。おそらく300mm(480mm相当)ならマシンをアップで捕らえることが可能と思われる。

スタンド中央からの景色。この位置では中央部に見えるショートカットコースは金網越しとなってしまう
Q1席左側の上段に立つとショートカットが正面となるこの場所から300mm(480mm相当)でクリッピングポイント付近を撮ってみた

 Q2席は左右に3ブロックに分かれているが、ショートカット部分の観戦、撮影に向いているのは最終コーナー側となる。ここからは正面の撮影に加え、駆け下りるマシンの流し撮りもできそうだ。正面から撮るなら300mm(480mm相当)くらい。流し撮りなら200mm(320mm相当)くらいのレンズで撮れそうだ。

Q2席最終コーナー側のブロックの景色
最終コーナー側のスタンドの下段左端あたりからショートカットを撮影Q2席から200mm(320mm相当)で撮影。白線2本分くらいが写るのでマシンがピッタリ写せそうだQ1/Q2席の解説図


R席、S席
 R席、S席は最終コーナーが目の前に見える。上段に立てばショートカット部分を撮影することはできる。Q1/Q2席と比べると距離が遠くなり、スタンド自体の高さが低いのでやや条件はわるくなる。実際にスタンドに立ってみて、撮影ポイントを決めればよいだろう。

 Q1席、R席、S席の間は移動が簡単なのでセッション中でも撮影場所を変更することは可能だ。R席はショートカット部分の撮影とは別にスタートシーンやストレートを駆け下りるマシンを真後ろから撮ることはできる。

R席の景色。中段では金網を避けることができない
S席の景色。ここも中段では金網を避けることができない
R席の右側(シケイン側)の上段に立つとショートカット部分の撮影ができるS席の右側(シケイン側)の上段に立つとショートカット部分の撮影ができるがやや遠いR席、S席の解説図。S席はかなり遠くなることが分かる


激感エリア
 WTCCでは激感エリアが4個所設置される。ストレートエンドのイン側、2コーナーのイン側、S字のイン側、最終コーナーのイン側となっているが、撮影で最もお勧めするのは2コーナーのイン側のエリアだ。ストレートエンドのイン側は高めの脚立がないと撮影は難しい。S字のイン側は観戦にはよいが、金網に囲われていて撮影には不向きだ。最終コーナーのイン側は筆者自身が撮ったことがないのでよく分からないが、おそらく脚立がないとショートカットから最終コーナーを駆け下るマシンは撮影できないと思われる。

 2コーナーイン側の激感エリアは筆者も何回も撮影した経験がある。レンズは100mmから200mmくらいで撮影することができ、流し撮りに最適な撮影ポイントだ。観客が多いと柵の最前列は満員になってしまうので、脚立に乗れば頭越しに撮ることができる。

2コーナーイン側の激感エリアの様子。多くのカメラマンが集まる定番ポイントだ200mm(320mm相当)にて撮影100mm(160mm相当)にて撮影

 以上で東コースの撮影ポイントの紹介は終了だ。メインストレートは撮影には不向きだが、1~2コーナーからS字、逆バンク、ダンロップ、ショートカットとストレート以外は多くの撮影ポイントが点在してる。7つのセッションをどう攻めるか(撮るか)、持っているレンズと相談しながら撮影ポイントを選んでいただきたい。



フォトコンテスト攻略法
 今回のWTCCでは、Car Watch、デジカメWatch共催でフォトコンテストが開催される。なかなか豪華な賞品が揃っているので、是非多くの方に応募していただきたい。筆者も遠い昔にキヤノンのモータースポーツフォトコンテストやほかのフォトコンテストに入選したことがある。ぜひ、これまでの記事を参考にチャレンジしてもらえばと思う。残念ながら今回筆者は編集部から「応募できません」と言われているので、「自分だったらこう撮るかも」という例を挙げておく。

 フォトコンでは、どれかの賞を狙って撮影し応募するか、撮れた写真によって応募する賞を決めるか、選択の分かれ目だが、実際にはレース展開によって左右されるので、狙ったとおりの写真が必ず撮れるとは限らない。ある程度は狙って、その結果を見て応募する賞を決めるのが無難な方法かもしれない。

 さて、今回の賞を確認してみよう。

WTCCフォトコン大賞 1名

ドラゴンゲート賞 1名

バトルロイヤル賞 1名

横浜ゴム賞 1名

レキサー賞 1名

デジタルカメラマガジン賞 1名

キッズ賞 3名

コンデジ賞 2名

 WTCCフォトコン大賞、ドラゴンゲート賞、バトルロイヤル賞の審査基準は「1枚の写真にWTCCの魅力、かっこよさを詰め込んだもの」「複数台のクルマが絡むバトルシーン、クラッシュシーンなどサーキットの格闘技という異名にふさわしい写真」「1枚の写真に多くのマシンが密集するWTCCならではの写真。望遠レンズを持っていなくてもチャレンジ可能」となっている。

 今回のWTCCはキャッチコピーが「格闘技レース」となっているので、この3賞を狙うなら複数のマシンが写っている写真を撮ったほうが可能性は高くなるだろう。複数のマシンを写すなら1~2コーナーがベストだ。特に2回行われる決勝のスタート1周目は狙い目だろう。8月に鈴鹿サーキットで行われたSUPER GT第5戦では、2台のマシンが2コーナーからS字までサイド・バイ・サイドで走行するシーンもあったので、もしかするとWTCCは1~2コーナー以外でも頻繁にこのような写真が撮れるかもしれない。

SUPER GTの2コーナーからS字までのバトルシーン

 横浜ゴム賞の審査基準は「「ADVAN」もしくは「YOKOHAMA」ロゴが写っていて、レースの迫力や緊張感がある写真」となっている。YOKOHAMAのロゴはマシン正面、ヘッドライトの下辺りに貼ってあることが多いので正面から高速シャッターでロゴがブレないように撮影したい。

 レキサー賞の審査基準は流し撮りとなっている。流し撮りができるポイントは2コーナー立ち上がりからダンロップまで数多くある。2コーナーイン側の激感エリアもお勧めだ。普通の流し撮りをしただけではインパクトが薄いので、超スローシャッターで撮ってみるとか一工夫すると賞がもらえるかもしれない。

 デジタルカメラマガジン賞の審査基準は「デジタルカメラマガジン編集部がトータルでクオリティを評価し、選考」となっていて、基準が分かりにくい。レースの媒体ではなくデジタルカメラの媒体なので、雰囲気のある写真など、個性的な作品のほうがよいかもしれない。

 キッズ賞、コンデジ賞はマシン以外が狙い目かもしれない。イベント、ピットウォークなどレース以外でインパクトのある写真が撮れたら入選できそうだ。注意点は観客の顔を写さないことだ。レーサー、メカニックなど関係者は問題ないが、観客の顔が認識できると個人情報保護などの観点からボツになる可能性が高い。もちろん、被写体となった人の同意書等が添付されていれば問題ないと思うが、サーキットで撮影しつつ、同意書を得るのはなかなか大変な作業となるだろう。

 チラッと編集部の方に聞いたところ、トリミングなどフォトレタッチを行っても問題ないとのことだ。ただし「画像形式はJPEGでExifデータを残してあること」と記載されているので、レタッチを行う場合は注意が必要だ。リサイズして小さくしてもよいが、 大賞の場合「来年のWTCC鈴鹿戦のポスターなど事前のプロモーションの素材として写真を使用」となっているので、あまり解像度が低いと大賞には選ばれない可能性もある。

 土曜、日曜でセッションは7回ある。決勝のスタートは1~2コーナーでバトルを撮るとして、ほかのセッションで流し撮りをしたり、正面のアップを狙ったりするなどバランスを考えて撮ると入賞が狙える作品が撮れるかもしれない。健闘を祈る。

(奥川浩彦)
2011年 9月 22日