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【WTCC日本ラウンド】ホンダ シビックWTCCを駆るノルベルト・ミケルズ選手が予選1位

ホンダの地元鈴鹿サーキットで、ホンダ第3の男がポールポジション

ポールポジションを獲得したノルベルト・ミケルズ選手の駆るシビックWTCC
2013年9月21日~22日開催

 FIA WTCC(世界ツーリングカー選手権)日本ラウンドが、9月21日~22日の2日間にわたり三重県鈴鹿市にある鈴鹿サーキットで開催されている。

 初日となる21日には、フリー走行と予選が行われ、ポールポジションを獲得したのはホンダのサテライトチームであるZengo Motorsportに所属しているノルベルト・ミケルズ選手、2位にバンブーエンジニアリングのアレックス・マクドウォール選手、3位はRMLのトム・チルトン選手(マルシアF1のマックス・チルトン選手の実兄)とシボレー勢が続き、ドライバーチャンピオン獲得を狙うRMLのイヴァン・ミューラー選手は4位、ワークスホンダのティアゴ・モンテイロ選手は6位、ガブリエーレ・タルクィーニ選手は8位となった。

予選1位はノルベルト・ミケルズ選手。ホンダ シビックWTCCは地元といえる鈴鹿サーキットでポールポジションを獲得した
予選2位はアレックス・マクドウォール選手。予選2位から5位までシボレー クルーズ1.6XTが並ぶ
予選3位のトム・チルトン選手。イヴァン・ミューラー選手のチームメイト

 ホンダワークスHonda Team Jasからスポット参戦している日本の伊沢拓也選手は、12位までが2回目に進める1回目の予選で15位に終わり、明日2回行われる2回のレースを15位からスタートすることになった。また、同じくスポット参戦している吉本大樹選手は17位、加納政樹選手が21位、谷口行規選手は24位となり、同順位から明日の2レースをスタートすることになる。

ポイントリーダーのイヴァン・ミューラー選手は4位からスタートする
ホンダワークスのガブリエーレ・タルクィーニ選手。予選8位
伊沢拓也選手は15位からスタートする
吉本大樹選手は予選17位
順位号車ドライバー名マシン名タイム(秒)タイム差(秒)
15ノルベルト・ミケリスホンダ シビックWTCC52.886
29アレックス・マクドウォールシボレー クルーズ1.6XT53.0110.125
323トム・チルトンシボレー クルーズ1.6XT53.1010.090
412イヴァン・ミューラーシボレー クルーズ1.6XT53.1190.018
514ジェームス・ナッシュシボレー クルーズ1.6XT53.1250.006
618ディアゴ・モンテイロホンダ シビックWTCC53.3650.240
774ペペ・オリオラシボレー クルーズ1.6XT53.3650.000
83ガブリエーレ・タルクィーニホンダ シビックWTCC53.3790.014
915トム・コロネルBMW 320 TC53.4320.053
1025メディ・ベナーニBMW 320 TC53.4660.034
1599伊沢拓也ホンダ シビックWTCC53.827Q1のタイム
1767吉本大樹シボレー クルーズ1.6XT53.986Q1のタイム
2168加納政樹BMW 320 TC54.263Q1のタイム
2433谷口行規BMW 320 TC54.471Q1のタイム

ホンダの地元でホンダ第3の男が今シーズン初のポール・ポジションを獲得

 WTCCのルールでは、予選は2回行われ、1回目の予選で12位までに入ると2回目の予選に進めることになる。その2回目の予選で決まった1~12位までの結果と、予選1回目の13位以降の結果で決勝の第1レースのグリッドが決定される。また、決勝の第2レースのグリッドは、第1レースのグリッドの1~10位が逆順になるリバースグリッド制が採用されている。

 15時30分から行われた予選の1回目では、レギュラーでWTCCを走っているドライバー達が上位を占める結果となった。朝に行われた1回目のフリー走行で2番手タイムを記録した伊沢選手だが、4回行ったタイムアタックはやや不発に終わり、最終的には15位という結果で自身のWTCCデビュー戦をスタートすることになった。注目のホンダ勢は、ミケルズ選手が2位、タルクィーニ選手が3位、モンテイロ選手が7位という結果で2回目の予選に見事進出した。予選1回目のトップは、ポイントリーダーのイヴァン・ミューラー選手。

 10分間で行われる予選の2回目は熾烈なタイムアタック合戦となったが、最もタイムが出る最終盤にミューラー選手、タルクィーニ選手というランキング1位、2位がそろってコースアウト、これにより二人は4位、8位という結果で予選を終えることになった。また、もう一台のワークスホンダを駆るモンテイロ選手も最後のラップでもタイム更新ならず6位に終わり、ホンダワークスチームは6位と8位という予選結果で、明日の第1レースをこの順位でスタートすることになる。

 こうした波乱の中で、トップタイムをマークしたのが、ミケルズ選手。ミケルズ選手は52秒886と、全車の中で唯一53秒を切る好タイムをマークし、堂々のポールポジションを獲得した。ミケルズ選手にとってはキャリア2回目のポールポジションだが、ホンダ車に乗るようになってからは初めてのポールポジションをホンダの地元である鈴鹿サーキットで記録した。今シーズンのミケルズ選手は地元ハンガリーの第1レースで2位となっているのが最高位で、ホンダでの初めての優勝を地元のホンダにプレゼントできるのかが明日の焦点となる。なお、2位はアレックス・マクドウォール選手(シボレー)、3位はトム・チルトン選手(シボレー)。

 なお、明日の第2レースは第1レースのグリッドのうち1位から10位をリバースグリッドにすることになるので、予選10位のメディ・ベナーニ選手(BMW)、予選9位のトム・コロネル選手(BMW)がフロントローからスタートすることになる。ホンダワークスのタルキーニ選手はそれに次ぐ3位からスタートすることになるので、レース展開によっては充分第2レースの優勝を期待できるだろう。

 明日の決勝レースは14時30分から第1レースが、15時30分から第2レースがスタートされる。テレビ中継は録画のみで、CS放送のGAORAで9月22日(日)10時30分より放送予定だ。リアルタイムで楽しみたい場合には、WTCCのWebサイト(http://www.fiawtcc.com/)で英語音声による放送を楽しむことができるほか、WTCCが公式に用意しているライブタイミング(http://www.mstworld.com/timing/livetiming.htm?series=wtcc)などを利用して楽しむことができるが、もし時間などに余裕があるようであれば、ぜひとも鈴鹿サーキットへ足を運んで楽しんでみてほしい。チケットは鈴鹿サーキットで販売しており、詳しくは同サーキットのWebサイト(http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2013/wtcc/)などを参照していただきたい。

ポールを獲れたことは、ホンダ、ファン、WTCC関係者みんなにとっていいことだとミケルズ選手

 予選終了後には、予選トップ3に入ったドライバーによる記者会見が行われた。この中で、ポールポジションを獲得した、ミケルズ選手は、ホンダのためにも明日のレースで優勝を飾りたいと抱負を述べた。

予選終了後に行われたトップ3による記者会見。中央が1位のミケルズ選手、右が2位のマクドーウェル選手、左が3位のチルトン選手

──ミケルズ選手、ホンダの地元で自身2度目のポールポジションだがお気持ちは?
ミケルズ選手:言葉に出来ないほど幸せな気持ちだ。今回はアタック中にもこれまでの周回の中で最高の出来だと感じたので、ポール獲得を確信していた。ポールをとれたことは自分自身のためにも嬉しいが、何よりホンダの地元である鈴鹿でとれたことが、ホンダのためだけでなく、ファンのためにも、WTCCの関係者のためにもいいことだと思っている。明日もこの調子でいきたいと思っている。

ノルベルト・ミケリス選手

──鈴鹿は難しいサーキットですが、最初は苦労しているように見えましたが?
ミケルズ選手:鈴鹿では無理な頑張りをすることが逆にタイムロスにつながってしまう。このため、できるだけスムーズで完璧なドライビングをするように心がけた。ここのコースでは小さなミスが非常に大きなタイムロスになってしまって、あっという間に6~7位は順位が下がってしまうから。

──このコースは抜きにくいサーキットだと知られていますが、明日勝つ自信はありますか?
ミケルズ選手:僕の手元にはいいクルマがあって、1ラップよりもロングランの方が調子がいいんだ。だから明日のレースには自信をもって望めると思っている。今年はなんどか表彰台は獲ったけど、まだ勝てていないので、明日こそは勝ちたいと思っている。

──2位のマクドーウェル選手にお聞きしますが、予選の感想は?
マクドウォール選手:いい結果になるだろうと、フリー走行の時点から予想していた。特にフリー走行2回目でいいクルマが作れたんだ。この調子でいけば、レースもいい結果が期待できると楽観視している。明日は、ノルビー(筆者注:ミケルズ選手の愛称)と思いっきり戦いたいな!

アレックス・マクドウォール選手

──ミケルズ選手とタイム差はありますが、どうですか?
マクドウォール選手:チャンスはあると考えている。ロングランのタイムはわるくなくて、ノルベルトと同じレベルにいると思う。とはいえ、ここは抜きにくいサーキットではあるので、今晩YouTubeで彼の走りをよく研究しながら明日どこで抜くか考えないといけないね!(笑)。

──3位のチルトン選手にお聞きしますが、2連連続でチームメイトのイヴァン・ミューラー選手を予選で上回りましたが、ご感想は?
チルトン選手:まずノルビーとホンダにおめでとうを言いたいね。チームメイトを上回ったのはもちろん嬉しいよ。金曜日のテスト走行とフリー走行ではあまりよくなくなっただけど、チームメイトのイヴァンと協力して調整したらそれが上手く行ったんだ。彼は今頃悔しがっているかな?(笑)。この結果で、ポイントランキングは4位に上がったので、明日も確実にポイントを獲得して、それを維持してさらに前に進みたい。

トム・チルトン選手

──RMLという強力なチームで、イヴァンと協力して車を作っていくという経験はいかがですか?
チルトン選手:去年とはまったく違い経験で、私自身も成長できている。シーズンの始めに比べてもチームや車にも大分慣れたので、可能なら今日これから新しいシーズンを始めたいぐらいだよ(笑)

(笠原一輝/Photo:奥川浩彦)