特別企画

【特別企画】奥川浩彦のWTCC&F1 鈴鹿サーキット撮影ガイド(最終回 西コース編)

鈴鹿サーキット西コースの撮影ポイントを徹底解説

 今年のWTCC(世界ツーリングカー選手権)は鈴鹿サーキットで9月21日~22日に開催された。今年もCar Watch、デジカメWatchが主催のWTCCフォトコンテストが開催され、すでに数百枚の作品が応募されている。応募の期限は10月6日と間近に迫っているので、撮影した人は是非ご参加いただきたい。

WTCC(世界ツーリングカー選手権)フォトコンテスト応募投稿用ページ
http://que.impress.co.jp/theme/index/detail?theme_id=275&parent_cat=

 この記事のタイトルはWTCC&F1となっているが、すでにWTCCは終了したので仮題「WTCC(は終わったけど)&F1」鈴鹿サーキット撮影ガイドの最終回をお届けしたい。

 この連載の第1回は撮影機材について、第2回は撮影方法について、第3回は鈴鹿サーキット東コースの撮影ポイントについて紹介した。最終回となる今回は間近に迫ったF1日本グランプリに向け、鈴鹿サーキット西コースの撮影ポイントを紹介したい。

 でも、その前に東コースに関して追加情報を紹介しよう。WTCCと併催されたスーパー耐久のセッションで、筆者は観客席を歩きまわって撮影を行った。おもな目的は来年のこの連載用の写真を撮るためだが、今年のF1日本グランプリから新設されたB2席のカメラマンエリアにも行って撮影ポイントの確認をしたので、その写真を紹介しておこう。

B2席 中2階カメラマンエリア

 B2席のカメラマンエリアは1コーナー側の中2階(正式な名称ではなく筆者が勝手にそう呼んでいる)と2コーナー側の2階席、それぞれの最上段の通路部分だ。過去に何度も書いているが、筆者はこのB2席1コーナー寄りの中2階は、鈴鹿サーキットでレースを観戦する最高の場所だと思っている。ストレートから1~2コーナー、S字までが見渡せるので、スタート、その直後の1コーナー、2コーナーでクロスラインを仕掛ける攻防などを堪能できる。とくに中2階の1コーナー側の席はピットロードも見えるので、ピットアウトしてコースに復帰するマシンと最終コーナーからストレートを駆け降りていくマシンの攻防を見ることもできる。

 百聞は一見にしかず、実際の写真を見ていただこう。中2階最上段の右端、中央、左端からコースを見た写真と望遠レンズで撮影した写真を用意した。レンズの焦点距離によってマシンがどれくらいに写るか参考にしていただきたい。

B2席中2階右端から見た2コーナー方向。S字を抜けるまで見渡せる
B2席中2階右端から見た1コーナー、ストレート方向。ピットロード、最終コーナー立ち上がりまで視界に入る
300mm×1.4=420mm(35mmフィルム換算で672mm)で撮影
300mm×1.4=420mm(35mmフィルム換算で672mm)で撮影
200mm(320mm相当)で流し撮り
B2席中2階中央付近から見た2コーナー方向
B2席中2階中央付近から見た1コーナー方向
300mm×1.4=420mm(35mmフィルム換算で672mm)で撮影
B2席中2階左端から見た2コーナー方向
B2席中2階左端から見た1コーナー方向
300mm×1.4=420mm(35mmフィルム換算で672mm)で撮影

B2席 2階カメラマンエリア

 B2席の2コーナー側にある2階席も、最上段の通路部分がカメラマンエリアとなる。スタンドが高くなるぶん、コースまでの距離は遠くなる。アップでマシンを撮りたい場合は中2階の方が有利だと思われるが、ここからは東コースを一望できるので広角レンズで1~2コーナーをフレームに収めることが可能だ。スタート直後などマシンが数珠つなぎで走る絵を撮るには最適のポジションだろう。位置が2コーナー寄りになることや、高い位置から見られるので、S字方面は中2階より見通せる。風が吹くと強風になることが多く、暑い日なら涼しいが、寒い季節は冷え込むので防寒対策が必要かもしれない。

B2席2階右端から見た2コーナー方面。何本か看板の支柱となる鉄骨の柱はあるが、少しポジションをずらせば問題にはならないだろう
B2席2階右端から見た1コーナー方面。ストレート後半からピットロード出口、1コーナーの攻防を見ることができる
300mm×1.4=420mm(35mmフィルム換算で672mm)で撮影
B2席2階中央やや右寄りから見た2コーナー方面。中2階よりS字方向はよく見える
ここからは、左右にある2本の電柱を避けて1~2コーナーを1フレームに入れることが可能
B2席2階中央やや右寄りから見た1コーナー方面
300mm×1.4=420mm(35mmフィルム換算で672mm)で撮影

 では、本題の鈴鹿サーキット西コースの撮影ポイントの紹介に移ろう。西コースはデグナーからヘアピン、スプーンをまわって西ストレート、130Rからシケインまでとなる。代表的な撮影ポイントはヘアピンとスプーン。カメラマンエリアもヘアピンとスプーンに設置されている。

 スプーンの指定席は、ここ数年M席だけとなったので撮影&観戦エリアは広い。G席常設席上段の仮設スタンドがなくなったので、ここも撮影や観戦ができそうだ。撮影にはお勧めしないが西ストレートのスタンドもなくなっている。では、西コースの代表的な撮影ポイントから紹介していこう。

 基本的なおさらいになるが、F1日本グランプリでは金曜日はグランドスタンドを除いて自由席となる。人気が高い2コーナーのB2席、シケインのQ2席、ヘアピンのI席なども自由に入っていける。ただし、カメラマンエリアは指定席扱いではない。専用撮影エリアなので、期間中はカメラマンエリアのビブスを着用していない人は入ることができない。

 望遠レンズに関しては20cmルールがある。カメラマンエリア以外では20cm以上の望遠レンズの使用は不可となっている。ただし、金曜日に関してはスタンド内でも望遠レンズの使用が許されている雰囲気だ。スプーンなど事実上の自由席エリアに関しては、土曜日、日曜日も使用できている。

 とは言え、隣で観戦している人の視界をさえぎるように大砲(望遠レンズ)を振りまわす行為はマナー違反だ。年に1度のお祭りにレース好きが集まっているのだから、お互いに共存できるよう配慮したい。幸いなことに、C席などはカメラマンはスタンド下段に集まり、観戦派の人は上段に集まる傾向なのでなんとなく共存できている。それを上段まで上がっていって、着席している人の前に立って撮影する人が出てきたりすると「カメラマン立ち入り禁止」といった結果になりかねないので、ほかの観客に配慮しながら撮っていただきたい。

I席(ヘアピン)

 カメラマンエリアのチケットは「B2・ヘアピン入場可」「ヘアピン入場可」「B2・ヘアピン入場不可」の3つに分かれている。「B2・ヘアピン入場可」はすべてのカメラマンエリアに入場可、「ヘアピン入場可」はB2以外のカメラマンエリアに入場可、「B2・ヘアピン入場不可」はB2、ヘアピンのカメラマンエリアには入場できない。

 ただし、ヘアピンのカメラマンエリアに関しては、金曜日は「B2・ヘアピン入場不可」の人も入場可となった。これは大きな改善で、筆者はアマチュアカメラマンに優しい鈴鹿サーキットらしさを見せてくれたと思っている。

 ヘアピンのカメラマンエリアは、常設席下のエリアと進入側の土手、正面の土手に設置される。常設席の左右にカメラマンエリアが設置されることもあるが、ここに関しては行ってみなければ分からない。

ヘアピン常設席下のカメラマンエリア。金曜日午前のFP1から多くのカメラマンが集まる人気エリアだ
ヘアピン進入側の土手は空いている
ヘアピン正面の土手も空いている
昨年は常設席の柵の左側、仮設スタンドとの間にもカメラマンエリアが設置されていた

 ヘアピンのカメラマンエリアで圧倒的に人気が高いのは、常設席下のエリアだ。筆者はセッションが進むにつれて混んでいくと考え、毎年金曜日のFP1にこのエリアで撮影している。左右に幅があるので位置によって多少の差はあるが、立ち上がってくるマシンをアップで撮るには最適のポジションだ。筆者は右側(200R、スプーン側)が好きで、常設席下ではおもに右側で撮っている。

常設席下のカメラマンエリアで300mmのレンズ(480mm相当)で撮影
それぞれレタッチしてフォトギャラリーに掲載した写真

 常設席の柵の内側にある左右の土手もカメラマンエリアとなっている。筆者の撮影パターンは常設席下の右側で立ち上がってくるマシンを撮り、スタンド最上段の通路を大横断してクリッピングポイントが正面に見える左側の土手に移動して撮っている。ここはクリッピングポイントを正面から撮影、さらに立ち上がって行くマシンを後方からも撮っている。ヘアピンのこのあたりの金網はツヤ消しの黒で塗装され、金網越しに撮っても影響が少なくなるように配慮されている。

常設席の左側の土手から見たヘアピンのクリッピングポイント
常設席左側の土手から300mmのレンズ(480mm相当)で撮影
それぞれレタッチしてフォトギャラリーに掲載した写真
左側の土手から立ち上がり側を見る
立ち上がるマシンを200mmのレンズ(320mm相当)で撮影。午前中は逆光となる
レタッチしてフォトギャラリーに掲載した写真

 常設席のカメラマンエリアは以上だ。カメラマンエリアのチケットを持っていない人はスタンド席からの撮影となる。土日は大砲の使用はNGだが、金曜日はそのあたりはゆるめなので撮影できるだろう。土曜日の午前でもヘアピン常設席は満席に近くなる。ここでの撮影は左側にレンズを向けて撮ることが多いので、早めに行って左側が通路になる席を確保したり、カメラを持っている人の右側に座る、あるいは友人に左側に座ってもらうなどスタンド内の撮影では周囲の観客に配慮して撮りたい。

スタンド席の最前列に着座して撮影する筆者
金曜日は平日だが午前中からヘアピン常設席がほぼ満席になる

 ヘアピン正面の土手は筆者の腕と想像力が不足しているせいか、よい絵が撮れる気がしないため撮影したことがないので省略。ヘアピン進入側の土手は進入してくるマシンを流し撮り、クリッピング付近を真後ろから撮ることもできる。金網が少々気になるが、上段、あるいはその後ろの壁に登ると条件は改善される。

ヘアピンに進入するマシンを200mmのレンズ(320mm相当)で撮影。金網はレタッチで削除する
同じく200mmのレンズで斜め後方から撮影
これも200mmのレンズで真後ろから撮影
それぞれレタッチしてフォトギャラリーに掲載した写真

 先に書いたように、ヘアピンのカメラマンエリアに関しては金曜日だけは「B2・ヘアピン入場不可」の人も入場可となっていた。それでも筆者は常設席下のエリアだけが混雑すると予想している。今年の混雑具合を見て、常設席下以外のカメラマンエリアが空いているようなら、そのエリアは「B2・ヘアピン入場不可」のカメラマンにも金、土、日と開放してほしいと思っている。

スプーン

 西コースでヘアピンと並んでカメラマン人気が高いのがスプーンコーナーだ。2009年に鈴鹿でF1日本グランプリが再開した当初は、L席、M席、N席が設置され、スプーン全体が幕で覆われて撮影できなくなっていたが、その後は徐々にスタンドが縮小。現在はM席のみとなった。

昨年のM席。M席も以前より小さくなった

 公式場内図ではカメラマンエリアはスプーン1つ目のコーナー付近に○印が付いているが、実際のエリアは少し先。スプーン1つ目の進入を正面から撮れる位置からスプーン2つ目方向に100mほどの移動したエリアだ。

 このカメラマンエリアとM席を除外した部分は事実上の自由席。スプーン好きの筆者としては、昔ののどかなスプーンが帰ってきた感じで好印象だ。スプーンがそれほど混雑しない理由は、グランドスタンド、GPスクエアを基点に考えると鈴鹿サーキットで最果ての地となるためだと思われるが、筆者は観戦、撮影ともにお勧めのポイントだと考えている。

 スプーンの撮影ポイントを進入側から順番に紹介していこう。まずはスプーン進入のブレーキングを行うあたり。少し斜度は強いが、土手の下段まで降りるとブレーキングするマシンを真横から流し撮りできる。脚立があれば土手の一番下まで降りて金網の上から、脚立がなければ斜面途中の金網に遮られない位置で撮ると低めのアングルから撮れる。

土手の途中まで降りると金網の上から流し撮りできる
122mm(195mm相当)にズームして撮影
レタッチしてフォトギャラリーに掲載した写真

 天候が曇り、ホイールカバーがない、アタックラップといった条件が運よく重なると、ブレーキローターが綺麗に赤熱している写真が撮れる。F1マシンは練習走行や予選のアタックラップは極端にコーナーの進入速度が速い。不意にそれまでと違う速度でマシンが進入してくると速度に加えてブレーキングポイント深くなるので、少しワイドにフレーミングしないと追従できず、マシンの頭が切れた写真になってしまうことが多い。このスプーンやS字の進入はその傾向が顕著に出るポイントなので注意したい。

 次はスプーン1つ目のコーナー部分。ステアリングを切り込むあたりからクリッピングポイントあたりまでを流し撮りできるスプーンの定番ポイントだ。土手の中段の通路、上段の通路、土手の斜面と、高さ方向にも横方向にも幅がある撮影ポイントだ。

ブレーキングを終えてコーナーに切り込むあたりを300mmのレンズ(480mm相当)で流し撮り
クリッピングポイントを通過するマシンを斜め後ろから300mmのレンズ(480mm相当)で流し撮り
それぞれレタッチしてフォトギャラリーに掲載した写真

 その次はカメラマンエリア。このエリアの左側はスプーン1つ目に向けてブレーキングするマシンを正面から撮ることができる。横に広いエリアなので、右に移動するとコーナーを抜け立ち上がるマシンを流し撮りすることも可能だ。スプーンの進入は攻めどころでコースアウトするマシンも多い。セナ、シューマッハなど歴史に残るドライバーもコースアウトしているので、貴重な1枚が撮れるかもしれない。

 昨年、筆者はスプーン進入側で撮影し、セッション終了後に駆け足でカメラマンエリアに入場。ホームストレートでのスタート練習を終え、コースを1周してピットに戻るマシンを正面から1ラップ勝負で撮影した。立ち上がりの流し撮りなどは行っていないので、正面からの写真を掲載しておく。

スプーン1つ目から2つ目に向かう部分がカメラマンエリア
進入側から見たカメラマンエリア
300mmのレンズ(480mm相当)で撮影
レタッチしてフォトギャラリーに掲載した写真

 カメラマンエリアとM席の間も、進入側と同様に事実上の自由席エリア。スプーン1つ目と2つ目の中間に位置するので、1つ目を立ち上がってくるマシンも2つ目に進入するマシンも撮ることができる。筆者は最近訪れていないが、2006年以前は関東、中部、関西から集まるF1仲間の金曜FP1の集合場所になっていた。「まずはビール」ならぬ「まずはスプーン」が合い言葉だった。

スプーン1つ目と2つ目の中間付近の様子。土手の中段から上なら金網を避けて撮ることができる

 M席を越えて、旧N席があった場所はスプーン2つ目の立ち上がりを撮ることができる。少し高台から見下ろすような感じになる。筆者も何度か足を運んだことはあるが、セッション中にここで撮った経験はない。スプーン自体が遠い場所にあり、さらにその1番奥にに位置するのでよほど気合いを入れないとたどり着けない撮影ポイントだと感じている。

 スプーンは撮影ポイントが多く、表現方法の選択肢も多い。そのわりに空いているので1度撮りに行く価値はあるだろう。過去に撮った写真をいくつか紹介しておこう。

2011年F1日本グランプリで撮影
2010年F1日本グランプリで撮影
2009年SUPER GT Pokka1000kmで撮影

J席

 ヘアピン、スプーンが西コースの主な撮影ポイントだと思うが、それ以外にもいくつか撮れる場所がある。初心者にお勧めとは思わないが紹介していこう。ヘアピンからスプーンに向かう200Rに位置するのがJ席だ。ヘアピンの立ち上がりからスプーン手前まで、そこそこ長い区間を見ることができる。ヘアピンからの加速で並びかけ、スプーンのブレーキングで追い抜くときにサイド・バイ・サイドの攻防が行われる場所だ。最後のブレーキングは見えないが、緊張感のあるバトルが期待できる。

J席最上段からの風景
傾斜の厳しい階段の上にJ席はある

 J席は小さめの仮設スタンドなので立っての撮影はできない。ヘアピンから立ち上がってくるマシンを正面から写しとるか、引きつけるように流し撮りするのが通常だろう。ここにスタンドが設置されるのはF1開催時だけだ。その点では、何年も鈴鹿サーキットに足を運んで撮りつくしているベテランカメラマンには新鮮なポイントなのかもしれない。欠点はスタンドに上がる階段がきついこと。スプーンとは違う意味で“陸の孤島”的な場所にある。

300mm×1.4=420mmのレンズ(672mm相当)で立ち上がってくるマシンを撮影
300mmのレンズ(480mm相当)で斜め前から流し撮り
140mmにズーム(224mm相当)で横から流し撮り
それぞれレタッチしてフォトギャラリーに掲載した写真

130R

 2009年以来、立体交差、130RにはG席の常設スタンドとその上段に仮設スタンドが設置されていたが、今年は下段にある常設スタンドのみとなった。実際のところは現地に行ってみないと分からないが、可能性としては130Rを立ち上がるマシンを土手の上から撮れるはずだ。

 ただし、絵的には単調になりがちなので、この場所に長時間居座って撮るほどではないと思われる。例えばヘアピン進入のカメラマンエリアで撮影してから、短い時間をここで撮るなどおまけ的な撮影ポイントと考えていいだろう。

 昨年、ここにあった仮設スタンドで撮った画像を掲載しておこう。土手より少し高い位置ではあるが、参考にしていただきたい。

130Rを立ち上がるマシンを163mm(261mm相当)にズームして撮影
レタッチしてフォトギャラリーに掲載した写真

デグナー

 最後はデグナーカーブの外側にあるエクストラ・ビューエリアだ。サーキット内の道路を挟んで外側にある、鈴鹿サーキットのなかでもかなり特異な観戦エリアだ。ほかの撮影ポイントとのアクセスもよくないので、初心者には絶対お勧めしない場所で、筆者もセッション中に撮影したことはない。今回は知り合いから提供してもらった写真でこのエリアからの様子を紹介したい。

 2009年のF1日本グランプリは3日間、完全指定席となっていた。その年に筆者が選んだD席はS字側に観客が集中。逆バンクは数えられるほど少ないカメラマンしかおらず、どこでも撮り放題といった様相となっていた。たまたまスタンド下段にあるカメラホール越しの撮影ポイントで出会った小林弘之さんはCar Watchの読者で、現在も交流が続いている。

 その小林さんに富士スピードウェイで紹介されたのが友人の松本伸夫さん。松本さんもCar Watchの読者で、F1開催前に筆者が紹介したデグナー外のエクストラ・ビューエリアからの風景を見て、実際に撮りに行ったとのこと。その話しを思い出し、このエリアから撮った写真を提供していただいた。お話しを聞くと、その後何度も撮りに行っているそうで、早めに行かないと上段は隙間がなくなるほどカメラマンが集まるとのこと。意外だ。

エクストラ・ビューエリアの最上段に上がると、デグナー1つ目から2つ目の手前までは金網を避けて撮ることが可能
300mmのレンズ(480mm相当)でデグナー1つ目を撮るとこれぐらいに写る
600mm×1.4=840mmのレンズ(カメラがEOS-1D MarkIIIのため1092mm相当)で撮影(松本伸夫氏提供)
同じく600mm×1.4=840mmのレンズ(1092mm相当)で撮影(松本伸夫氏提供)

 立地条件、超望遠レンズが必要ということも考えると、やはりエクストラ・ビューエリアは撮り尽くしたベテラン向けの撮影ポイントだと思われる。ちなみに松本伸夫さんの個人サイトはこちら(https://picasaweb.google.com/103189924415151261882:ブラウザとの相性によってページが開かない場合があります)。アグレッシブなスローシャッターの写真が多数掲載されている。加えて、極めてレアな撮影ポイントから撮った写真や独創的な絵作りの写真も多く、撮り尽くしたベテランらしさが感じられる。

西コースへの道

 撮影ポイントの紹介は以上だが、西コースへのアクセスについて少し触れておこう。おそらく初めて鈴鹿サーキットに行く人はメインゲートから入場し、売店、遊園地を抜けてGPエントランスからグランドスタンド裏のGPスクエアに入ると思われる。ここから西コースを目指すとかなり遠い。スプーンなどは最果ての地と感じてしまう。まずは入場ゲートマップを見ていただきたい。

 例えばヘアピンに行く場合、メインゲート、GPスクエア、最終コーナー、シケイン、130R、ヘアピンと進むルートより、メインゲートから入場せず、一般道を通ってシケインゲートから入場し、130Rのスタンド裏を抜ければ半分ほどの時間でヘアピンまでたどり着ける。

 筆者はワンボックスカーに自転車を積んで参戦する方式を取っているので、スプーンに行く場合はメインゲート付近から一般道を逆バンクゲート方向に進み、右折して場内の道路を西ストレートゲートまで移動。そこから徒歩で入場してJ席の下を抜け、200R付近からコースに沿ってスプーンに移動している。

 スプーンからS字に行く場合も、西ストレートゲートから逆バンクゲートまで自転車で移動。そこから逆バンクの裏を抜けてS字に向かう。場内をスプーン、ヘアピン、130R、シケイン、最終コーナー、地下道、逆バンク、S字と進むよりは半分以下の時間で移動できる。

 すべての人が自転車を持ち込むのは難しいと思うが、場内の通路だけでなく、一般道や場内の道路などを組合せ、シケインゲート、逆バンクゲート、デグナー東ゲート、西ストレートゲートを上手に利用すれば、西コースが少し近く感じられるだろう。

 昨年の筆者の撮影記は「撮ってみましたF1日本グランプリ 2012」【前編】、「撮ってみましたF1日本グランプリ 2012」【後編】として掲載されている。実際の撮影の様子はここにも書いてあるので参考にしていただきたい。

奥川浩彦

パソコン周辺機器メーカーのメルコ(現:バッファロー)で広報を経て2001年イーレッツの設立に参加しUSB扇風機などを発売。2006年、iPR(http://i-pr.jp/)を設立し広報業とライター業で独立。モータースポーツの撮影は1982年から。キヤノンモータースポーツ写真展3年連続入選。F1日本グランプリ(鈴鹿・富士)は1987年から皆勤賞。