特別企画

【特別企画】奥川浩彦の「WTCC(世界ツーリングカー選手権)フォトコンテスト」撮影ガイド(第2回 鈴鹿サーキット東コース編)

1~2コーナーから逆バンクまでの撮影ポイントを解説

 2014年も「WTCC(世界ツーリングカー選手権)JVCKENWOOD 日本ラウンド」が鈴鹿サーキットで開催される。このWTCC開催にあわせ、4年連続でCar Watch、デジカメWatchが主催のWTCCフォトコンテスト(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20140926_668477.html)が開催されることになった。第2回となる今回の記事では、鈴鹿サーキットの東コースの撮影ポイントを紹介していこう。

WTCCは3日間で実質6セッション

 まず最初に、同時開催されるWTCCとスーパー耐久のスケジュールを確認しておこう。

WTCC&スーパー耐久スケジュール

10月24日(金)カテゴリーセッション
8:30~9:30スーパー耐久フリー走行
10:30~11:30
13:30~14:00WTCC
14:45~15:45スーパー耐久
10月25日(土)カテゴリーセッション
8:15~8:45スーパー耐久フリー走行 グループ2 (ST-4・ST-5クラス)
9:20~9:50WTCCフリープラクティス1
10:10~11:00ピットウォーク
11:20~11:50フリープラクティス2
12:30~スーパー耐久グループ2 レース(140分間) (ST-4・ST-5クラス)
15:30~15:50WTCC予選Q1
15:55~16:05予選Q2
16:10~16:30予選Q3
10月26日(日)カテゴリーセッション
8:30~9:00スーパー耐久フリー走行 グループ1 (ST-X・ST-1・ST-2・ST-3クラス)
9:20~10:10ピットウォーク
10:50~グループ1 レース(140分間) (ST-X・ST-1・ST-2・ST-3クラス)
14:30~15:00WTCCレース1(フルコース11周)
15:40~16:10レース2(フルコース11周)

 WTCCでは金曜日に30分のフリー走行が1回、土曜日は30分のフリープラクティスが2回に加えて合計で約1時間となる予選Q1、Q2、Q3が行われる。日曜日は決勝レースのみで、11周で約30分のレースが2回行われる。セッションは8回行われるが、予選のQ1とQ2、Q2とQ3のあいだには5分しかインターバルがないので、Q1~Q3で1つのセッションと考えた方がよい。そこで、実質的なセッション数は6回となる。

 土・日で撮影を行う場合は、土曜日が3回のセッション、日曜日が2回のセッションで合計5回だ。今年はフルコースとなり、ヘアピン、スプーンなどがWTCCとして新たな撮影ポイントに加わったので計画的に撮影をしていただきたい。

WTCCタイムテーブル(鈴鹿サーキット)
http://www.suzukacircuit.jp/wtcc_s/timetable/

観戦エリア

 次に観戦エリアを確認しておこう。2013年までは東コースで開催されたが、今年はフルコース。ヘアピンやスプーンも観戦エリアとなった。前売観戦券は金、土、日と入場可能な通し券で、大人5200円、中・高校生1700円だ。グランドスタンドや2コーナー、シケインのスタンドに入れるエリア席券(V2・V1・A・B1/B2・Q1/Q2席共通)は大人1000円(高校生以下無料)。激感エリアやパドック、ピットウォークに入れるパドックパスは中学生以上1万300円などとなっている。詳細は鈴鹿サーキットのホームページで確認していただきたい。

WTCCチケット情報(鈴鹿サーキット)
http://www.suzukacircuit.jp/wtcc_s/ticket/

 まずは鈴鹿サーキットの観戦エリアMAPを見てみよう。鈴鹿サーキットのサイトにある観戦エリアMAPの1から9のGoogleストリートビュー番号をクリックすると、それぞれの場所のストリートビューを見ることができる。9つのポイント以外にも自由に移動できるので、観戦や撮影の参考にしていただきたい。

WTCC観戦エリア(鈴鹿サーキット)
http://www.suzukacircuit.jp/wtcc_s/ticket/#area-map

鈴鹿サーキットの観戦エリアMAP

東コースの撮影ポイント

 では、本題となる東コースの撮影ポイントについて紹介しよう。ヘアピン、スプーン、シケインなどがある西コースの紹介は次回を予定している。東コースはメインストレートから1~2コーナー、S字、逆バンク、ダンロップまでとなる。このなかでは2コーナーから逆バンクにかけたポイントで多くのカメラマンが撮影をしている。コースに沿って撮影ポイントを紹介していこう。

 なお、各スタンドからコースを見たようすは横長のパノラマ写真を参考にしていただきたい。パノラマ写真の撮影場所はGoogle Mapsの空撮画像に緑の点で示してある。各スタンドから走行するマシンを撮影した画像は、2013年のWTCCと同時開催されたスーパー耐久のマシンを撮影したもの。トリミングなしでリサイズだけしているので、使用したレンズの焦点距離でマシンがどれくらいの大きさで写せるかを確認できる。撮影した場所の風景も一緒に掲載したので参考にしていただきたい。撮影場所とコースとの位置関係はGoogle Mapsの空撮画像に赤い矢印で示した。

B2席スタンド 中2階(1~2コーナー)

 B2席の1コーナー側の中2階(正式な名称ではなく筆者が勝手にそう呼んでいる)は、鈴鹿サーキットでレースを観戦する最高の場所だ。そのなかでも特に1コーナー側は、最終コーナーからストレート、1~2コーナー、S字と見渡せる最高のポジションとなっている。1コーナーの攻防やアクシデント、1コーナーから2コーナーに向かうマシンの流し撮り、2コーナーの攻防を後方から撮影できる。

B2席スタンド、中2階の1コーナー側のパノラマ写真
B2席スタンド、中2階の2コーナー側のパノラマ写真
B2席スタンド、中2階右端最上段から見た2コーナー方向
B2席スタンド、中2階右端最上段から見た1コーナー、ストレート方向
70mm(35mmフィルム換算で112mm)で撮影
300mm×1.4=420mm(35mmフィルム換算で672mm)で撮影
200mm(35mmフィルム換算で320mm相当)で流し撮り
B2席スタンド、中2階中央最上段から見た2コーナー方向
B2席スタンド、中2階中央最上段から見た1コーナー方向
300mm×1.4=420mm(35mmフィルム換算で672mm)で撮影
B2席スタンド、中2階左端最上段から見た2コーナー方向
B2席スタンド、中2階左端差上段から見た1コーナー方向
300mm×1.4=420mm(35mmフィルム換算で672mm)で撮影
緑の点はパノラマ写真の撮影位置。矢印はマシンを撮影した位置関係 ※Google Maps

B2席スタンド 2階(1~2コーナー)

 B2席スタンドの2階席は2コーナーを真正面に見下ろすことができる。左右に長いスタンドなので位置により見え方は異なるが、高さのあるスタンドなのでS字方面は逆バンクにマシンが消えるところまで見通すことが可能だ。WTCCでは多重クラッシュの可能性が高い2コーナーを間近に見ることができ、毎年多くのファンが集まる観戦ポイントとなっている。

B2席スタンド、2階の1コーナー側のパノラマ写真
B2席スタンド、2階の中央付近のパノラマ写真
B2席スタンド、2階のS字側のパノラマ写真
B2席スタンド、2階右端最上段から見た2コーナー方向
B2席スタンド、2階右端最上段から見た1コーナー方向
300mm×1.4=420mm(35mmフィルム換算で672mm)で撮影
B2席スタンド、2階中央やや右寄りから見た2コーナー方面。左右にある2本の電柱を避けて1~2コーナーを1フレームに入れることが可能
300mm×1.4=420mm(35mmフィルム換算で672mm)で撮影

 B2席スタンドの下、B1席の後方の通路付近は2重金網の隙間から1コーナー、2コーナーが撮影できる。2階席よりも低い位置から撮影できるメリットはあるが、あくまで通路なので混雑しているときの撮影は避けたい。

B2席スタンドの下、B1席の後方にある通路のようす
金網の隙間から1コーナー方向
金網の隙間から2コーナー方向。撮影位置を移動しないと2つのコーナーは撮影できない
300mm×1.4=420mm(35mmフィルム換算で672mm)で撮影
緑の点はパノラマ写真の撮影位置。矢印はマシンを撮影した位置関係 ※Google Maps

激感エリア(2コーナー)

 激感エリアは2コーナーのイン側、S字のイン側、最終コーナーのイン側に設置される。そのなかで撮影に最適なのは2コーナーのイン側だ。ここは金網がなくてコースとの距離も近く、人気が高い。混雑する撮影ポイントなので、最前列を確保するには早めに行く必要がありそうだ。踏み台や脚立があるとエリア内の何処でも撮影ができるので便利。踏み台などで少し撮影位置を高くするとフレームにガードレールが入らないメリットもある。

激感エリア(2コーナー)のようす。平日に行われたSUPER GT公式テストなので空いているが、WTCCの決勝は毎年混雑している
2012年のWTCCで脚立に乗って撮影。126mm(35mmフィルム換算で202mm)で撮影

激感エリア(2コーナー)をストリートビューで確認
https://www.google.co.jp/maps/@34.839474,136.542164,3a,75y,131.97h,96.67t/data=!3m5!1e1!3m3!1sCIQ89FYBDwRXMzuZ__XOGg!2e0!3e5?hl=ja

C席スタンド(2コーナー~S字)

 C席スタンドは2コーナーからS字に向かう短いストレートに沿った左右に長いスタンドとなっている。2コーナー側は2重金網となっているが、コースマーシャルのポストのところだけ金網に隙間があり、望遠レンズを持った人が集まる定番の撮影ポイントだ。ここからは2コーナーのクリッピングポイントを正面に見ることができる。

 S字方面に移動すると2重金網がなくなるので、そこからS字側までは広い範囲で流し撮りができる。200mm程度の望遠レンズでも十分に撮影可能だ。S字側まで移動すると、S字に切り込むマシンをコーナーイン側の位置から撮ることができる。毎年ヨコハマタイヤの看板が設置されるので横浜ゴム賞を狙う絶好のポイントになる。

C席スタンドの2コーナー側のパノラマ写真
C席スタンドの中央付近のパノラマ写真
C席スタンドのS字側のパノラマ写真
ポスト付近に金網の切れ目がある
300mm×1.4=420mm(35mmフィルム換算で672mm)で撮影
S字方面に移動し、金網がなくなった部分からでも2コーナーが撮影可能
300mm×1.4=420mm(35mmフィルム換算で672mm)で撮影
2コーナーからS字に向かう短いストレートが目の前に広がる
200mm(35mmフィルム換算で320mm)で撮影
S字の進入付近はYOKOHAMAの看板が設置される
200mm(35mmフィルム換算で320mm)で撮影
緑の点はパノラマ写真の撮影位置。矢印はマシンを撮影した位置関係 ※Google Maps

C席横カメラマンエリア(S字)

 C席のS字側の隣にある土手は正式な名称がない場所だが、F1開催時にはカメラマンエリアとなっている場所だ。S字の1つ目が目の前に位置する小さなエリアだが、エリア内で上下左右に移動してさまざまなバリエーションの写真が撮影できるポイントだ。またこのエリアはコースに近く、200mmのレンズでも撮影できる。

C席横カメラマンエリアのパノラマ写真
S字進入方向
200mm(35mmフィルム換算で320mm)で撮影
S字1つ目方向
200mm(35mmフィルム換算で320mm)で撮影
S字2つ目方向
300mm×1.4=420mm(35mmフィルム換算で672mm)で撮影
緑の点はパノラマ写真の撮影位置。矢印はマシンを撮影した位置関係 ※Google Maps

S字1つ目をストリートビューで確認
https://www.google.co.jp/maps/@34.840315,136.539743,3a,75y,30.3h,81.86t/data=!3m5!1e1!3m3!1spCODN8RC5Xesj-ruTuxyVw!2e0!3e5?hl=ja

D席スタンド(S字)

 D席スタンドはS字から逆バンクまで、コースに沿って湾曲した左右に長いスタンドだ。スタンドの構造はC席側の小さなエリアと、S字2つ目から逆バンクまでの湾曲した細長いエリアに分かれている。C席側の小さなエリアはS字1つ目が目の前となる。S字1つ目の右ターンのクリッピングポイントを正面から撮ることができ、立ち上がりを流し撮りすることも可能だ。

D席スタンド C席側の小さなエリアのパノラマ写真
S字1つ目方向
300mm(35mmフィルム換算で480mm)で撮影

 D席スタンドにある細長いエリアのS字側は、S字2つ目の左ターンを見下ろす位置から撮影可能だ。流し撮りの定番ポイントで、100mmから200mmのレンズで撮影できる。この撮影ポイントはスタンドの上下左右の広範囲で撮影可能ということも特徴となっている。

D席スタンドのS字2つ目のパノラマ写真
最上段からS字2つ目方向
200mm(35mmフィルム換算で320mm)で撮影
緑の点はパノラマ写真の撮影位置。矢印はマシンを撮影した位置関係 ※Google Maps

S字2つ目をストリートビューで確認
https://www.google.co.jp/maps/@34.841828,136.538381,3a,75y,56.91h,69.24t/data=!3m5!1e1!3m3!1s8qLClDb2Yhv1Didu5xrr9w!2e0!3e5?hl=ja

D席/E席スタンド(逆バンク)

 D席スタンドのダンロップ側は逆バンクが目の前にある。ここはF1開催時には最上段がカメラマンエリアとなり、望遠レンズを持った人が大挙して集まる定番の撮影ポイントだ。S字から逆バンクに進入してくるマシンを正面から撮ったり、駆け下るマシンを流し撮りしたり、逆バンクのクリッピングポイントを正面から撮ることもできる。

D席、逆バンクのパノラマ写真
スタンド最上段、カメラマンエリアのS字側
200mm(35mmフィルム換算で320mm)で撮影
スタンド最上段、カメラマンエリアの中央付近
200mm(35mmフィルム換算で320mm)で撮影
スタンド最上段、カメラマンエリアのダンロップ側
300mm×1.4=420mm(35mmフィルム換算で672mm)で撮影

 D席スタンドの逆バンクエリアは、最下段にも望遠レンズを持った人が集まっている。2重金網にカメラホールがあり、そこを通して撮影できるからだ。撮影可能なスペースが限られているが、低い位置から撮影ができるポイントとなっている。晴天時は手前にある緑色の金網が反射して色が被ることがあるので注意しよう。

手前の金網は近付くことでボカして撮る
金網の先にあるカメラホールを通して撮影
カメラホールは3個所。中央のカメラホールはTV中継用のカメラが設置されることがある
最もS字側のカメラホール
真ん中のカメラホールから300mm(35mmフィルム換算で480mm)で撮影。絞りをf2.8に設定
絞り込むと金網が写り込むので注意が必要。比較用にf20に絞り込み撮影。シャッター速度を落としたいときはNDフィルターを使用し、絞りを極力開放側にして撮ろう

逆バンクをストリートビューで確認
https://www.google.co.jp/maps/@34.842465,136.536664,3a,75y,61.85h,78.1t/data=!3m5!1e1!3m3!1sd047u0YlHM3Ue94iRqexyQ!2e0!3e5?hl=ja

 E席スタンドも逆バンク側は撮影できる。距離はあるが逆バンクのクリッピングポイントを正面から撮影でき、ダンロップに向かうマシンを流し撮りできる。

E席、逆バンク側のパノラマ写真
E席、逆バンク側の最上段から逆バンク方向
300mm×1.4=420mm(35mmフィルム換算で672mm)で撮影
200mm(35mmフィルム換算で320mm)で撮影
E席のややダンロップ側最上段から逆バンク方向
200mm(35mmフィルム換算で320mm)で撮影
緑の点はパノラマ写真の撮影位置。矢印はマシンを撮影した位置関係 ※Google Maps

 鈴鹿サーキットの東コースは、2コーナーから逆バンクまで撮影ポイントが豊富だ。今回は主な撮影ポイントから撮った参考画像と使用したレンズの焦点距離を紹介した。WTCCに限らず、撮影ポイントを探すときの参考にしていただきたい。次回は西コースのヘアピン、スプーン、シケインの撮影ポイントを紹介する。

奥川浩彦

パソコン周辺機器メーカーのメルコ(現:バッファロー)で広報を経て2001年イーレッツの設立に参加しUSB扇風機などを発売。2006年、iPR(http://i-pr.jp/)を設立し広報業とライター業で独立。モータースポーツの撮影は1982年から。キヤノンモータースポーツ写真展3年連続入選。F1日本グランプリ(鈴鹿・富士)は1987年から皆勤賞。