横浜元町に「2人乗り超小型電動車両」がやってきた 「新しいモビリティ」を山手・元町で実証実験 |
横浜市は15日、山手・元町エリアで実証実験中の2人乗り超小型電動車両を報道関係者に公開した。
この実験は、低炭素社会を目指す次世代交通推進プロジェクト「ヨコハマモビリティ プロジェクトゼロ」(YMPZ)の一環として行われているもの。日産が開発した2人乗り超小型電動車両「ニュー・モビリティ・コンセプト」6台を元町商店街に配備し、カーシェアリング事業を通じて超小型電動車両の使い勝手や運用などを検証する。
10月15日~28日は元町商店街の関係者などによる第1期試乗実験が行われており、11月17日~30日には公募された地域住民や観光客による第2期試乗実験が行われる。第2期実験の参加者は10月17日~11月29日に、2人乗り超小型電動車両に関する実証実験のWebサイトで募集される。
■電気「自動車」ではない新しい乗り物
ニュー・モビリティ・コンセプトは2340×1190×1450mm(全長×全幅×全高)の小型車両で、2人が前後に乗る。モーターは後輪直前に置かれ、後輪を駆動する。リチウムイオンバッテリーにより約100kmの航続距離を確保している。
車幅は非常に狭く、短い全長とあいまって道路を占有する面積が小さく、元町エリアの狭い道でも取り回しやすい。4輪車であり、円形のステアリングホイールとアクセル・ブレーキペダルで操作し、シートには3点式シートベルトが備わる。しかし後席のパッセンジャーは前席を股の間に挟むような形で乗ることになり、大きな荷物を積むスペースもないため、乗車した感覚は2輪車に近い。
元町商店街とその裏の細い道を行くニュー・モビリティ・コンセプト。車幅が狭いため、路駐のある狭い道でも扱いやすい | ||
一方で2輪車で義務付けられているヘルメットは不要であり、屋根があることである程度の耐候性が確保され、さらに屋根への音の反射のおかげで前後席の会話がしやすいと言う。実験ではドア付き車両が2台とドア無し車両が4台用意されるが、これも2輪車のような乗車感覚にドアが必要かどうかを検証するためとなっている。
実験では軽自動車のナンバープレートをつけているが、現行法制にはこの車両が当てはまる分類がない、新しい形態のモビリティといえる。「電気自動車」ではなく「電動車両」と呼ぶところにも「自動車とは違う」というメッセージが込められている。
山手・元町地区が実験のエリアに選ばれたのは、住宅・商業・観光の各エリアが隣接し、狭く入り組んだ道や坂が多いから。被災地では住居の高台への移転が構想されているが、低地の海岸にある職場との交通手段として、ニュー・モビリティ・コンセプトのような車両が注目されており、こうした環境下での運用を検証する狙いもある。
また山手・元町地区広い道もあるため、ニュー・モビリティ・コンセプトのように幅の狭い車両が広い車線の中でどのように行動し、周囲に扱われるかを見ることもできる。
ドア付き車両。跳ね上げ式のドアを採用することで、狭い駐車スペースでも乗り降りしやすくした。サイドウインドーはない | ドア無し車両。後席パッセンジャーはバイクのタンデムライダーのように、前席シートを股で挟むように乗る。スカートの女性には後席は無理なので、女性が運転して男性が後ろに乗る、という光景が一般的になるかも? | |
■EV対応タワーパーキングで保管
実験では6台の車両は元町商店街近くのコインパーキングに留置され、参加者に貸し出される。夜間は、日本で始めて電気自動車の充電に対応したタワーパーキング「元町第一駐車場」で保管される。
元町第一駐車場を出た3台のニュー・モビリティ・コンセプトには元町商店街の「元町SS会」の北村宏理事長、日産自動車ゼロ・エミッション事業本部の牧野英治部長、Oy小浜市温暖化対策統括本部の信時正人本部長が乗車。元町商店街を1週し、道行く人々の注目を集めていた。
元町第一駐車場に停められたニュー・モビリティ・コンセプトに元町SS会の北村会長が乗り込む |
元町第一駐車場はEV充電に対応したタワーパーキング |
(編集部:田中真一郎)
2011年 10月 15日