メルセデス・ベンツ、「こども絵画コンクール」表彰式を開催 産学協同プロジェクトの作品発表も |
絵画コンクールの入賞作品 |
メルセデス・ベンツ日本(MBJ)は11月12日、東京 六本木にあるショールーム「メルセデス・ベンツ コネクション」で「メルセデス・ベンツこども絵画コンクール」の表彰式を開催した。
5歳~15歳までの子供を対象に、「夢のクルマを描こう」というテーマで行われたこのコンクールでは、8月1日から9月30日までの2カ月間で全国から875点の作品が集まった。審査は「5歳から9歳の部」と「10歳から15歳の部」の2部門に分けて実施され、各部で金賞、銀賞、銅賞が選ばれたほか、全作品におけるグランプリ、特別賞となるAMG賞も選出されている。
「5歳から9歳の部」の金賞作品 | 「10歳から15歳の部」の金賞作品とAMG賞受賞作品 | 「10歳から15歳の部」の入賞作品 |
表彰式で挨拶に立ったMBJのニコラス・スピークス社長は「ことわざに“本当のことを知りたければ子供に聞くといい”という言葉がある。これは子供は純粋な目で見て、直接的な言葉で話すということです。好きか嫌いかもすぐ判断するし、ビジョンも明確。私たちは今回のコンクールで多くのことを学ばせてもらった。それは今後の製品、そして会社がどうあるべきか、どんなことを我々が期待されているかということ」と述べるとともに、審査では優れた作品がたくさんあり、それを選定する時間は難しくも楽しいものだったと感想を話した。
ニコラス・スピークス社長は表彰後、「多くの人やカメラマンが集まっているのに、きちんと挨拶もできて行儀よくしていて感動させられた。来ていただいた保護者のみなさんも、すばらしい絵を描いたことに加えて、礼儀正しく育っていることに誇りを持っていることと思います」と口にしていた |
審査を担当したメルセデス・ベンツ アドバンスド デザインセンター ジャパン(DEC)のホルガー・フッツェンラウブ センター長は「今回のこども絵画コンクール、そして産学協同プロジェクトを創設した目的は、東京のようなメガシティを有するこの国で、メルセデス・ベンツのモビリティソリューションとして、お客様が何を期待しているのかを知ることだった」とその開催理由を述べるとともに、「応募された数多くの作品からはいくつかのメッセージが読み取れる。子供たちの多くは、メルセデス・ベンツがハイテクな運転支援システムや安全装備を提供していることを知っており、それを“奇跡のゴーストテック”と呼んでいます。そしてほとんどの子供が、多くの人といっしょに乗れて、パーティをしたり、ペットと遊んだりできる広い空間を持つクルマを望んでいます。また、速さより快適さを求めています。非常に重要な点は、子供たちは3月11日の大変な出来事のあとでも、日本の将来は明るいと強く信じていることです」と解説。審査基準については「力強い表現力、シンプルなコンセプト、イメージを記号言語で表現できるという3点を重視しました」と話している。
DECのホルガー・フッツェンラウブ センター長 | 表彰式中の会場の様子 |
「5歳から9歳の部」で金賞に選ばれたのは、村上美紀さん(6歳)の「空に飛ぶ魔法の車」で、この作品は同時にグランプリも受賞している。銀賞は松山沙璃さん(10歳)の「宇宙へGO!」、銅賞は市川悟也さん(7歳)の「エコツリーホーム(ハウス)カー」がそれぞれ選ばれている。
グランプリを受賞した村上美紀さん(写真中央) | 作品には海外に住んでいる祖父母のところに、会いたいときにすぐ行ける魔法のクルマがあったらいいなという思いが込められていると言う |
「10歳から15歳の部」で金賞に選ばれたのは、後藤 イマルカ 怜さん(11歳)の「組み換え可能な車」。銀賞は掛田葵さん(11歳)の「夢のソーラーカー」、銅賞は田代夢彩さん(10歳)の「マイ・ファースト・メルセデス」がそれぞれ選ばれている。このほか、坂本諒さん(11歳)の「ハイドロジェン・AMG」がAMG賞を受賞している。
金賞を受賞した後藤 イマルカ 怜さん(写真中央) | デザイン画になった自分の作品について「いい感じになってるんじゃないかと思います」と感想を口にした後藤さん | 銀賞を受賞した掛田葵さん。「私は自然や動物が好きなので、自然や動物が人やクルマといっしょに暮らせるような絵にしたいと思って描きました」とコメント |
銅賞を受賞した田代夢彩さん(写真中央) | 賞品のスケールモデルを受け取り「選ばれてうれしいです」と語った |
AMG賞を受賞した坂本諒さん(写真中央) | 「世界中に販売ディーラーを拡張し、多くの人に心から敬愛されるメルセデス・ベンツに作品が表彰されて光栄です」とコメントし、参加した大人たちを驚かせた坂本さん |
表彰式では各賞の受賞者に表彰状が手渡されたほか、賞品として銀賞、銅賞、AMG賞の受賞者にはメルセデス・ベンツモデルの1/18サイズミニカーが贈られ、金賞の受賞者にはDECの所属デザイナーが受賞作品を元に作成した、プロ仕様のデザイン画がプレゼントされた。さらにグランプリの受賞作品はデザイン画を使った3Dモデルが実際に制作され、入賞作品とともに展示されることになった。
応募作品をデザイン画に再現し、さらに3Dモデルを作成 | 屋根の上に設置されたプロペラも稼働する仕様となっている |
■産学協同プロジェクトが導き出した「2036年のモビリティ」とは
コンクールの表彰式に続いて、産学協同プロジェクト「2036 Mega City Mercedes」の活動内容を報告するプレゼンテーションが実施された。このプロジェクトは、今年1月にMBJが自動車誕生125周年を記念するイベントの1つとして、DECと東京コミュニケーションアート専門学校・自動車デザイン科(TCA)と共同でスタートさせたもの。
「未来の都市部におけるモビリティ」というテーマのもと、現在から25年後、自動車誕生150周年という節目の年である2036年に、メルセデス・ベンツではどのような製品をリリースしているかをデザインの分野から予想。TCAの学生がスケッチやレンダリングといった作業を経て、最終的に5台のスケールモデルを完成させている。
プレゼンテーションでは、まず意識の共有が必要となる「2036年のメガシティはどんな場所か」について、学生たちの議論によって導き出されたメガシティ自体の様子やそこに住む人々の特色、プロダクトのトレンド、MBJが果たすべき役割やコアバリューなどについての定義と、そこから生み出された7種類の「コモンビュー」について解説。さらに、それぞれのスケールモデルの作成に携わった学生によって、各車両に与えられたコンセプトや想定する利用形態、デザイン上の特徴などが解説された。
■各スケールモデルのプレゼンテーション内容
●駕籠 Integrative CUV
スケールモデル「駕籠 Integrative CUV」 | このクルマは“家とクルマの合体”という新しい価値観を提案する1台で、ユーザーは部屋から部屋に移動する感覚で乗り込むことになる。デザインモチーフは江戸時代のラグジュアリーな移動である駕籠を使い、地面に降りることなく移動する感覚を新しいライフスタイルとして提案したもの |
駕籠のフロントビュー | 駕籠のリヤビュー |
●楽 Variety driving vehicle
●禅 Ultimate Luxury Limousine
スケールモデル「禅 Ultimate Luxury Limousine」 | 「未来のメルセデス・ベンツのセダンはどうあるべきか?」という視点から、ユーザーは多様化する価値観のなかで自分の空間を大切にすると考察。全幅の可変機構を持つことで、家の形に合わせて変形し、移動だけでなく家のなかでも自分の時間を創出すると言う |
禅のフロントビュー | 禅のリヤビュー |
●-ryu- Flow Compact Vehicle
スケールモデル「-ryu- Flow Compact Vehicle」 | 唯一タイヤを持たず、リニアモーターの浮力で走るというモデル。蝶の羽、種、骨といった自然物をデザインモチーフに使い、生きている生物体のイメージを与えているという。メガシティの各所にメルセデス・ベンツが設置する新しい概念のサービスステーションを移動するためのパーソナルモビリティという位置づけ |
ryuのフロントビュー | ryuのリヤビュー |
●燕 Sensible Sports Kompact
スケールモデル「燕 Sensible Sports Kompact」 | ハイスピードで移動できる高速道路から雑多なシティエリアまで自在に移動できるモビリティとしての提案。シルバーのフレーム部分は生き物のように柔軟性を持つ素材で走行環境に合わせて可変、ブラックのキャビン部分はドライバーに合わせてアメーバのように動きフィットするというコンセプト |
燕のフロントビュー | 燕のリヤビュー |
会場の一角に展示されていたSLS AMGにはTCAの学生たちも興味津々 | メルセデス・ベンツ コネクションに展示中のSLS AMG | SLS AMGと並んで学生たちが手がけたスケールモデルを展示 |
絵画コンクールの受賞作品や産学協同プロジェクトで制作されたスケールモデルは、11月23日まで展示される予定 | メルセデス・ベンツ コネクションの1階が展示会場となっている |
(佐久間 秀)
2011年 11月 14日