日産、商用EV「e-NV200」をイオン浦和美園店で実験運用開始
イオンネットスーパー配送車として

イオン浦和美園店に導入された「e-NV200」

2012年5月15日開始



 日産自動車は5月15日、スーパーマーケット「イオン」を運営するイオンリテールと共同で商用EV(電気自動車)「e-NV200(テストカー)」の実験導入を開始した。

 今回、e-NV200が実験導入されるのは、埼玉県さいたま市緑区のイオン浦和美園店。同店における「イオンネットスーパー」の配送車両として5月15日から6月21日までの約1カ月間テスト運用される。ネットスーパー利用者への宅配業務車両として運営することで、拠点から近隣地域への配送業務における実用性、効率性、必要装備などをテストしていくと言う。

イオン浦和美園店除幕式の様子

 同日開催された出発イベントでは、日産自動車 執行役員 村上秀人氏が始めに挨拶。村上氏は「これまで日産では電気自動車として初の量販型電気自動車として『リーフ』を発売してきた。電気自動車はCO2を排出せず環境に優しい。今回は商用車の領域にも電気自動車を導入して、より一層社会に貢献していきたい」などと語った。

日産自動車 執行役員 村上秀人氏イオンリテール 取締役兼執行役員副社長 岡内裕一郎氏ゴールドキーの贈呈式も行われた

 続いてイオンリテール 取締役兼執行役員副社長 岡内裕一郎氏が挨拶した。岡内氏は「イオンでは2008年に『イオン温暖化防止宣言』を発表し、これまでの5年間でCO2排出量を185万t削減してきた。ネットスーパーも同年から開始しているが、現在は全国で約200店舗でサービスを実施している。当然ながら各店舗では配送車を使うが、これが500台~600台ぐらい全国で稼働している。これを電気自動車にすることでどれだけCO2を削減できるかが重要なテーマと考えている」と、同社としてのEVへの期待を語った。

日産自動車 LCV事業本部の舘野英之氏

 最後に日産自動車 LCV事業本部の舘野英之氏が「e-NV200」の特徴について3点を挙げた。1つ目は環境に優しく、エネルギー効率が高い点。e-NV200は約8時間充電で満タン(24kWh)となるが、これはガソリン2.7L分に相当すると言う。e-NV200の場合、今回のような商用利用での航続距離は満充電で約100kmを想定している。

 2つ目はEVの特性として、その走り出しの滑らかさ、パワフルな加速などを挙げた。荷物が多くても力強い加速が可能で、加速・停止を繰り返す商用利用には最適と言う。

 3つ目はその静粛性。当然ながらガソリン自動車などに比べて圧倒的に静かであり、ドライバーにとってだけでなく、朝晩の住宅地での配送時などにも騒音を出しにくくメリットがあると言う。また振動が少ない点も指摘し、積み荷にも優しい配送車両であるとした。

 同社では実験で得られた実証データなどを元に、EVの本格的な商用利用を目指していく。

e-NV200車両には埼玉県の象徴として県民の鳥「シラコバト」と県の花である「サクラソウ」がデザインされているフロントビュー
フロントバンパーまわりフロント部に充電用コネクターを装備コネクターの蓋を外したところ
ボンネットを開けたところ。カバーがあるので中を見ることはできなかったヘッドライトサイドミラー
サイドドアからのアクセス
リアビューリアハッチを開けたところ車体下部。もちろんマフラーはなくすっきりとした印象
運転席まわりはリーフのものを数多く流用している。製品化の際にはデザインが一新される予定メーターパネル。バッテリー残量や航続距離などを確認できる

(清宮信志)
2012年 5月 15日