グッドイヤー、JAXAの展示協力のもと宇宙教室を都内小学校で開催 全国5個所の小学校で開催予定 |
日本グッドイヤーは5月29日、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の展示協力のもと「子供達に夢を! グッドイヤー宇宙教室」を、浜川小学校(東京都品川区)で開催した。同社にとって、宇宙をテーマにした小学生向け教室の開催は初めて。6月5日には宮城県仙台市の将監小学校での開催を予定しており、以後、名古屋、大阪、福岡と全国5個所の小学校で課外授業として開催する。
今回の宇宙教室は、浜川小学校の4年生~6年生の児童約180人を対象に開催。体育館に、次世代月面探査車やH-IIBロケット、ISS(国際宇宙ステーション)の模型が展示されたほか、船外活動用の宇宙服が展示された。
次世代月面探査車の模型。船外活動用の宇宙服なしですごせる | NASAとグッドイヤーが開発中のスプリングタイヤ。グッドイヤーはアポロ計画の月面探査車のタイヤも担当した |
ソユーズ宇宙船を宇宙まで運ぶ、ソユーズロケット | スペースシャトル。先頃すべての飛行計画を終了した |
グッドイヤーは、NASAと共同で次世代月面探査車用のタイヤを共同開発しており、宇宙教室の開催の1つのきっかけとなっている。体育館内には、月面探査車に加え、同社が開発中のスプリングタイヤ(レプリカ)が展示され、スプリングタイヤに特徴に関する映像も上映された。
1本目の映像。NASAが開発中の新型月面探査車や、グッドイヤーが開発中のスプリングタイヤを解説。1本のタイヤは、800本のスプリングから作られていると言う |
日本宇宙フォーラム 広報・調査事業部 主任研究員 渡辺勝巳氏 |
元JAXA宇宙教育推進室長であり、現在は日本宇宙フォーラム 広報・調査事業部 主任研究員の渡辺勝巳氏は「国際宇宙ステーションと宇宙飛行士について」という講演を実施。無重力(無重量)状態での現象を示した映像を解説したほか、日本の宇宙開発に関する取り組みを紹介した。
渡辺氏は子供達に向け、アメリカ人として初めて地球を1周し、77歳で再度宇宙飛行士となったジョン・グレン氏を紹介。宇宙飛行士の生活を解説することで、宇宙空間における生活の大変さを語った。また、日本の宇宙飛行士も紹介。2013年には国際宇宙ステーションの船長として赴任する若田飛行士についても語り、子供達に宇宙へ興味をもってもらうような工夫を行っていた。
航空機を急降下させることで、自由落下による擬似無重量状態を作り出す。質量の大きな鉄アレイも、重さがなくなったように動く | 国際宇宙ステーションと、日本の実験棟「きぼう」の紹介 | 日本の宇宙飛行士の活躍 |
若田飛行士は、次回は船長として赴任 | 飛行機とロケットの安全性比較。ロケットはまだ未熟な技術で200回に3回は大事故が発生している。宇宙飛行士は、命を懸けてミッションに取り組んでいると言う |
宇宙飛行士になるまでの流れ | 宇宙飛行士になっても、宇宙に出るまでには数多くのステップが存在する |
その上で渡辺氏が強調していたのが、「夢を持つこと」「夢に向かって努力すること」「何か1つでもよいから1番になれるものを持つこと」の3点。渡辺氏自身、子供の頃に宇宙に興味を持ったのがきっかけでこの道に入ったと言い、目標を持つことの大切さを語っていた。
渡辺氏の講演後は、各学年ごとに、宇宙服や月面探査車、各種ロケットの講義を受講。宇宙教室終了後には、宇宙飛行士になりたい人が、2~3人から倍増したほか、多くの子供達が宇宙について学んでみたいと挙手で示した。
この宇宙教室を主催した日本グッドイヤーの福永耕大氏は、月面探査車とスプリングタイヤに関する解説を担当。解説後、子供達からの質問が具体的なものが多く、びっくりしたと言う。
宇宙服の展示エリアで個別講義を行う渡辺氏 | 次世代月面探査車展示エリアで個別講義を行う日本グッドイヤーの福永氏 |
今年は太陽金環食が起きたばかりで、6月4日には日本全国で部分月食を見ることができる。さらに、6月6日には金星の日面通過が発生。とくに金星の日面通過は次に見られるのが105年後となる。浜川小学校も金星の日面通過時には、授業を中断して観察会を行えるよう調整中とのこと。日本で数々の天体ショーが発生する時期に行われるグッドイヤーのこの取り組みは、子供達に対し宇宙への強い興味を育てていくのではないだろうか。
(編集部:谷川 潔)
2012年 5月 29日