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14回目の環境展示会「エコプロダクツ2012」開幕

幅広いジャンルの環境技術をチェックできる日本最大級のエコイベント

「The Greener, The Smarter ― えらぼう未来を」が今年度の開催テーマ
会期:12月13日~15日

会場:東京ビッグサイト 東1~6ホール

入場料:無料(登録制)

 東京都江東区の東京ビッグサイト・東展示棟で、日本最大級の環境展示会「エコプロダクツ2012」が12月13日~15日の会期で開催されている。

 環境意識の高まりを受けて1999年にスタートし、今回で14回目となるこの展示会は、年々開催内容を拡大し、開始当初の3倍以上の規模に成長。今年は711の企業・団体によって1735ブースが出展予定となっている。また、大学などの研究・教育機関は開始直後から多数参加しているが、学生の環境教育でも幅広く利用されるようになっており、今年度は小・中・高校などからもブースが出展されている。

 開催初日に開かれた記者説明会で、実行委員長を務める東京大学の山本良一名誉教授は「今年6月のリオ+20と、先日終わったばかりのCOP18ですが、一口に言って人類が直面している危機について抜本的解決を先送りにしたという印象です。しかし、環境破壊の進行、とくに地球温暖化は人類の都合を待ってくれません。それが今年、日本の爆弾低気圧や筑波での竜巻、北部九州の豪雨などで明らかになり、次は大寒波が来るといわれています。この地球温暖化に立ち向かうため、我々は環境技術革新と環境改良型製品を普及させる“グリーン経済”の実現が必要であると考えています」と語り、「そこでエコプロダクツ展示会では、エコな製品やサービスをみなさんに紹介し、情報を共有することでグリーンな購入、倫理的な購入、この2つを合わせた“エチカル購入”によって問題を解決していこうと考えています」と展示会の趣旨について説明した。

 また、主催社の代表として登壇した産業環境管理協会の横山 宏理事は、発生から1年9カ月が経過した東日本大震災の復興関連展示として、仙台市産業振興事業団が出展することを発表。さらに例年2万人近い子供たちが来場し、近年では子供の頃にエコプロダクツを見学した人が成長して出展企業の担当者として参加するようになったというエピソードを紹介した。

エコプロダクツ2012
エコプロダクツ2012実行委員長の山本良一教授
産業環境管理協会の横山理事

 日本最大級と呼ばれるだけあり、広い東京ビッグサイトの東展示棟に大小様々なブースが展開されて目移りするほどの内容となっているが、CarWatchでは自動車メーカーなどの出展内容を中心に紹介する。

トヨタ自動車

トヨタ自動車ブース

 トヨタ自動車のブースでは、一般発売から1年が経過した「プリウスPHV」のカットモデル、同社の「iQ」をベースにしたEVで、この12月から自治体向けに限定販売する予定の「eQ」の2台を車両展示。このほか、プリウスに採用されているニッケル水素バッテリーのカットモデルなどの技術展示を行っている。

コンパクトなボディに高出力な新型リチウムイオンバッテリーを搭載し、世界最高となる104Vh/kmの電費を実現したという「eQ」
フロントグリルにCHAdeMO方式のコネクターを用意
リヤビューはベースモデルのiQと大きな変化はない
プリウスPHVのカットモデル
プリウス用ニッケル水素バッテリーのカットモデル
出力密度を5倍にまで高めたという「全固体電池」の技術展示

日産自動車

日産自動車ブース

 「環境と電気自動車に関する取り組み」をテーマに展開される日産ブース。EVの「リーフ」に充電した電力を日常生活に利用する「LEAF to HOME」の展示とプレゼンテーションを実施するほか、超小型モビリティ「NISSAN New Mobility CONCEPT」の車両展示。さらに子供たちがEVについて理解しやすいよう、ジオラマのなかにあるソーラーパネルや風力発電機などで作った電気でミニカーのリーフを走らせる展示なども用意されていた。

リーフを家庭用の給電装置として利用する「LEAF to HOME」のプレゼンテーション
発売後に当初予定の性能が出せないトラブルに見舞われて一時は販売を休止していたLEAF to HOMEだが、現在は問題を解消して販売を再開している
NISSAN New Mobility CONCEPT
その場で発電した電気をリーフのミニカーに充電。EVの仕組みを手のひらサイズでわかりやすく解説するジオラマとなっている
日産自動車のCO2削減に向けた取り組みを解説するパネル展示

ホンダ

ホンダブース

 ホンダブースの展示の中心は「ホンダスマートホームシステム(HSHS)」。中央のステージ上ではコミカルな寸劇のなかで、HSHSを柱とした同社の環境対応製品を紹介する。電動車両の「EV-neo」と「EV-monpal」を車両展示しているが、注目の「フィットEV」は残念ながら原寸大パネルによる展示となっていた。

残念ながら実車はブース内に展示されなかったフィットEVだが、立ち止まって解説パネルを眺めていく来場者がコンスタントにいた
EV-monpal
EV-neo
コント風のコミカルな演技のなかでホンダの「家庭用小型コージェネレーションユニット」を紹介中

マツダ

マツダブース

 発売直後の新型「アテンザ」と、数々の技術賞を受賞している自慢の「SKYACTIV-D」がマツダブースの展示品。子供向けのエコツアー「エコキッズ探検隊」のコースともなっているため学生たちの姿が多いが、子供たち以上にアテンザに興味津々という引率の先生の姿も見られた。

アテンザセダン・XD Lパッケージ
2.2LのSKYACTIV-Dエンジンを搭載
SKYACTIV-Dエンジンのカットモデル
日本自動車殿堂のカーテクノロジーオブザイヤー
SKYACTIV-Dエンジンで使われる「エッグシェイプピストン」と「i-ELOOP」用のキャパシタ

三菱自動車工業

三菱ブース

 三菱ブースの車両展示はまもなく発売になる「アウトランダーPHEV」のカットモデル1台。しかし、エンジンを発電機のように利用しながらEV的に走行するという新機軸のクルマだけに、ブース内の解説員と熱心に話す来場者も多かった。また、ガソリン車・EV・PHEVの違いをゲーム感覚で学習できる大型パネル。実際に車両で使われているエコ製品を貼り付けた展示などは子供たちの注目を集めていた。

「アウトランダーPHEV」のカットモデル
ガソリン車・EV・PHEVに使われるエンジンやバッテリー、モーターなどを自分の手で車両に貼り、それぞれの特性について学べる一風変わった展示方法
見慣れたシートクッションやフロアマットなどが意外な原材料によってできていることを紹介

トヨタ車体

トヨタ車体ブース

 今年7月に生まれ変わった新型コムスの2モデルを展示するトヨタ車体ブース。超小型モビリティとして新設計となった現行型コムスは、これまで他社生産だったアルミフレームや駆動用モーターを自社生産に変更。フレームはスチールに変更されているがアルミより設計の自由度が高いことで重量増が抑えられ、高出力モーターや車幅の増加などにもかかわらず車両価格を引き下げることに成功している。

キー付きトランクBOXを備える個人向けの「コムス P・COM」
大型のデリバリーBOXを装着したビジネス向けの「コムス B・COMデリバリー」。このほかにB・COMデッキとB・COMベーシックが用意されている
デリバリーBOXは中折れ式のボードで2段底となっている

デンソー

デンソーブース

 プリウスPHVで利用されている主要パーツを供給しているデンソー。車両に使われているパーツの紹介に加え、昨年来注目を集めているバックアップ用のポータブル蓄電池などを展示。

プリウスPHV
ラゲッジスペースに置かれているのは、5台まで連結して使用可能なリチウムイオンポータブル蓄電池
ハイブリッドカーの心臓部ともいえるパーツを展示

モービルジャパン

 電動トライクの開発&販売を行っているモービルジャパンのブースで展示されていたのは、ヘルメットやシートベルト不要な2人のり電動トライクの「ラビット ETQ-3」。インホイールモーターで後輪を駆動し、最高速度は50km/h。車両価格は29万4000円となっている。

軽2輪車登録となるラビット ETQ-3。オプションでルーフやラジオ、ソーラーパネルなどを用意している
1kWのインホイールモーターを左右で2個装備し、1充電で50kmの走行が可能

エコカー乗車体験

 すでに市販されているEVから先進的なFCVまで無料で同乗試乗できるエコカー乗車体験は毎年人気のプログラム。駐車場などのクローズエリアではなく、東京ビッグサイト周辺の一般道が試乗コースとなっているため、より日常に近い走行感覚が体験できる。

エコカー乗車体験の試乗風景
残念ながら自分では運転はできないが、助手席や後部座席で最新エコカーの走りを体感できる
トヨタFCHV-adv
フィットEV
普通充電用リッドを運転席側の、急速充電用リッドを助手席側に備えるフィットEV
CX-5 XD Lパッケージ
i-MiEV
MINICAB-MiEV
タイムスケジュールに合わせて登録するだけで、FCV、EV、クリーンディーゼルなどの最新エコカーに試乗できる体感コーナー

(佐久間 秀)