ニュース
自工会・豊田会長「努力した人が報われる社会を」と新政権に要望
12月自動車工業会定例会見
(2012/12/20 13:59)
自工会(日本自動車工業会)は12月20日、定例会見を開催した。豊田章男自工会会長は、12月の年末、また日本における新政権発足直前とあって、1年を振り返るとともに新政権への要望が語られた。
豊田会長は、エコカー補助金の効果もあって年間販売台数が500万台レベルに回復したことを喜びつつも、現状に対する厳しい見方を示した。
「国民は現在も震災からの復旧・復興に立ち向かっている。企業においては歴史的な超円高をはじめとする六重苦は解消されず、日本の自動車産業を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続いており、このままでは民間企業による必死の努力の限界を超え、日本のもの作りを守り続けていくことが難しくなってしまうのではないかという強い危機感を持っている。新政権においては、国民や企業の努力・痛みを理解いただき努力した人が報われる社会を築いていただきたい」と語った。
自工会として新政権に何よりも要望するのは、前自工会会長の志賀氏から引き継いだ自動取得税・自動車重量税の撤廃。新政権が発足することで税制関連の議論が始まるため、そこへ強く働きかけていきたいと抱負を述べた。
とくに危惧しているのが、このまま消費税が導入されてしまうと自動車需要が落ち込むという心配。自動取得税・自動車重量税については、税として優遇してほしいわけではなく、自動車ユーザーだけ税負担が厳しいというこの現状の改善であると語る。
「日本のユーザーは、アメリカの50倍、イギリスの3.6倍の(自動車関連)税負担をしている。180万円の車を買うと、10年でほぼ同額の税負担となる」と数字を示し、この改善がないと企業の経営者として「(日本の)需要が落ち込んだ場合、どこまで日本のもの作りを支えられるか」との懸念を示した。
また、先日三菱自動車工業がリコールにおいて国土交通省から指導を受けた点に関しては「現段階において、自工会として詳細は把握していない」ため、自工会会長としての返答は行わなかった。しかしながら、私自身、トヨタ自動車のトップとして米国での品質問題に直面した。そのときにお客さま第一、品質第一の重要性を改めて痛感した。技術的に安全であるということはもちろん、お客さまが安心して車を使えるということの重要性を学んだ。自動車各社とも“いいクルマ”をお客さまに届けたいという気持ちで精一杯取り組んでいると思う。万が一欠陥を出してしまったり、失敗してしまったりしたときには、直ちに立ち止まって徹底的に真因を追求し、これを修正し、さらに改善を進めていく。それが自動車メーカーの責務である」と、リコールに対する考え方を述べた。
豊田会長が繰り返し述べていたのが、日本は資源国ではなく、外から輸入したものを加工し製造していく国であること。そのためにも「努力した人が報われる社会」であることが大切であるとした。