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秋晴れの中開催された「トヨタ ガズーレーシング フェスティバル 2014」

今年も大活躍「会いに行ける自動車メーカー社長」

2014年11月23日開催

 11月23日、毎年恒例となった「トヨタ ガズーレーシング フェスティバル」(以下、TGRF)が晴天に恵まれた富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で開催された。2013年の開催を超える3万8000人(主催者発表)のファンがさまざまなジャンルのモータースポーツやAKB48 Team8のステージ等多彩なイベントを楽しんだ。

ウエルカムセレモニー

 イベントに参加する全ドライバーが集結しAKB48 Team8が華を添えたウエルカムセレモニーでは、トヨタ自動車 豊田章男社長による「Start Your Engines!」のコールともにピットロードに並べられたレーシングカーのエンジンに火が入りイベントは開幕した。

豊田社長の「Start Your Engines!」のコールとともにTGRF開幕
今年もさまざまなカテゴリーのドライバーが集結した
往年の名選手や世界チャンピオンからこれから世界に挑戦する若手までが一堂に集結
メンバー1人1人が豊田社長とハイタッチで入場してきたAKB48 Team8も元気なパフォーマンスを披露した

今年も大活躍「会いに行ける自動車メーカー社長」モリゾウ選手

 世界有数の自動車メーカー社長でありながら、自らステアリングを握り様々なモータースポーツにチャレンジするモリゾウ選手こと豊田章男社長。富士スピードウェイのホームストレートで86のラリーマシンのドーナツターンを決めた恒例のウエルカムセレモニーのほか、さまざまな場所でこのイベントを楽しみ、そして多くのファンと交流していたようだ。

 ドリフトパークでは、2013年D1チャンピオンの川畑真人選手が駆る1000PSの日産GT-Rに同乗し、ラリーパークでは元WRCチャンピオン トミ・マキネン氏と共同製作した4WDのハチロク「GR86X(クロス)」を自らドライブし、ファンを楽しませた。さまざまなカテゴリーのモータースポーツに触れ、自動車ファンの集まる場所へ自ら足を運ぶ姿勢は、これからのトヨタ車に何らかの形で必ず反映されるであろう。

「GR86X(クロス)」で激走するモリゾウ選手こと豊田社長
川畑選手の助手席でD1トップドライバーのテクニックを堪能する豊田社長

充実した体験型プログラム

 レーシングコース、ラリーパーク、ドリフトパークほか、多くの会場でのプログラムが「同乗体験」であることがこのイベントの大きな特徴だ。

ラリーパークで行われたのは単なる同乗ではなく「コ・ドライバー体験」だ
ドリフト走行も同乗可能で、なかでもツインドリフトの同乗走行は貴重な体験だろう
ニュルブルクリンク24Hレース出場車の走行もダカールラリー出場車の大ジャンプもすべて同乗体験ができた
富士スピードウェイの敷地内を周遊するDMCデロリアンやレクサスLFA、ディノ246GTなど貴重なスーパーカーの同乗体験は6~18歳までの若者限定プログラムだった

 そのほかショートサーキットにてトヨタ86やダイハツコペンのタイヤ乗り較べ体験、子供達が参加できる「キッズ“記者”体験」や「キッズ”アナウンサー”体験」、親子で参加するバイク教室など多くの参加型プログラムが用意されていた。

魅せる走りも充実のレーシングコース

 SUPER GTやスーパーフォーミュラー、インタープロトシリーズ、ニュルブルクリンク24H出場車などのデモンストレーションランも充実。シーズン中には決して見る事の出来ないクラスを超えた混走など見どころ十分だ。

2014年に参戦した次世代スポーツカー技術の研究用車両LFA Cord Xから懐かしいアルテッツァまでが揃ったニュルブルクリンク24H出場車の走行
国内最高峰のフォーミュラレース、スーパーフォーミュラ2014年参戦マシン
国内最大の観客動員数を誇る人気のSUPER GT 2014年GT500クラス参戦マシンレクサスRC F
GT300クラスからはトヨタプリウスとスバルBRZが走行
インタープロトシリーズに参戦するMade in Japanの純レーシングカー「Kuruma」
スーパー耐久シリーズ2014年参戦マシン
2014年全日本ラリー選手権参戦マシン(後ろはTRDラリーチャレンジ参戦マシン)
来年の発売に向け着々と開発を進めている86ラリーコンセプトも姿をあらわした
平手晃平選手がドライブしたトヨタ7は1969年に日本CAN-AMで優勝した5リッターNAモデルだ

コース上で楽しむ迫力のサーキットサファリ

 普段は観客席から楽しむレーシングマシンの走りをコース上を走る観光バスから楽しむのがサーキットサファリだ。SUPER GTでも毎レース行われている人気プログラムだが、TGRFではGTマシンだけではなくさまざまなレーシングマシンの走行が楽しめるのだ。

バスに合わせて並走してくれるマシンを眺めたり、猛烈な勢いでバスを抜き去るマシンのど迫力に驚いたり、レーシングドライバーのガイドを楽しんだりと、なかなか魅力的なプログラムだ

 なおサーキットサファリの一部はヨコハマタイヤのサポートにより運行されており、その他のイベントもショートコースでの体験走行はブリヂストン、ラリーパークはダンロップ、ドリフトパークはトーヨータイヤなど、TGRFはトヨタはもちろんのことクルマを愛する多くのメーカーの協力により成り立っているのだ。

GAZOO 86/BRZ ドリームレース

 年間10戦のシリーズ戦として行われたGAZOO 86/BRZワンメイクレースのスペシャルイベントとして、シリーズ参戦選手とプロフェッショナルドライバーがタッグを組んで争うドリームレースが行われた。なお我がCar Watchより参戦している橋本洋平選手はTOYOTA TEAM TOM’Sの舘信秀代表とタッグを組んだ。結果はともかく今年最後のレースを大いに楽しんだようだ。

2013年は木下隆之選手と組んだ橋本洋平選手だが、今年のパートナーはTOYOTA TEAM TOM’Sの舘信秀代表だ
60号車 服部尚貴/脇坂寿一組、892号車 佐々木孝太/佐々木秀六の親子ペアなど興味深いペアも多数
優勝は谷口信輝/片岡達也組というあまりに大人げない今年のGT300チャンピオンペア

そのほかのマシンなど

 そのほか会場内では走行イベントや展示に多数の車両が参加した。すべてを見るのは時間的に難しい大イベントだが、会場内で気になったクルマをざっと紹介しよう。

トヨタ技術会の新顔TES-CROSS(テスクロ)はスポーツカー級のハンドリングを持つクロスオーバーSUV。車重わずか992kgのボディを1リッターガソリンエンジン+スーパーチャージャーで駆動する4座オープンという魅力的な車だ
歴代のトヨタ技術会製作マシンが揃っていた
40系ランドクルーザーのピックアップトラックの後にはMR2(AW11)が続く
もはや説明不要のトヨタ2000GTは18台参加
それほど古くはないがどこか懐かしい上野高広選手のD1GPマシン
「GR86X」と「FCV」改め「MIRAI」のラリーカー
懐かしのレガシィB4 GT300(Show Car)と最新のBRZ GT300(2014年参戦マシン)
NASCAR仕様のカムリ(Show Car)と2012年に3度の優勝を飾ったTS030ハイブリッド
開発中のレクサスRC FのGT3マシン「RC F GT3コンセプト」
こちらはRC F CCS-Rコンセプト
まだFT86と呼ばれていた2011年のマシン

 2013年を超える3万8000人(主催者発表)ものファンが集まり楽しんだTGRF。その盛況ぶりはしばし「自動車離れ」などという言葉を忘れる程の熱気に満ちていた。

 自分の愛車を持ち込みパレードに参加する人、最新マシンや往年のマシンの走行にに釘付けになる人、各種同乗走行で非日常の体験をする人、お気に入りのレーシングドライバーと一緒に記念写真を撮る人、そのどれもが比較的気楽に達成できる貴重な場が富士スピードウェイにはあった。ここ数年ヒストリック系の車両は展示、走行ともに少なくなっているような気もするが、体験型イベントの充実ぶりはそれを補って余あるものであり、それがこのTGRF最大の持ち味のようにも思える。クルマ好きの人はジャンルを問わず一度足を運んでみて欲しいイベントだ。

イベント最後にコースを開放して行われたグリッドウォーク

(高橋 学)