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巨大テントの出現でさらに展示が充実した「トヨタ ガズー レーシング フェスティバル 2015」リポート
「会いに行ける自動車メーカー社長」は今年も健在、トミ・マキネン氏とともに4WDのハチロクでデモラン!
(2015/11/26 17:58)
- 2015年11月22日開催
11月22日、毎年恒例となった「トヨタ ガズー レーシング フェスティバル(TGRF)」が富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で開催された。曇り空の中ではあったが雨に祟られることもなく、4万2000人(主催者発表)の来場者は今シーズンを戦い抜いたさまざまなカテゴリーのモータースポーツマシンや歴史的名車、そしてAKB48 Team8らのパフォーマンスを楽しんだ。
ウェルカムセレモニー
毎年恒例のウェルカムセレモニーでは、イベントに参加する全ドライバーが集結。富士スピードウェイの長いストレートにトヨタ自動車「86」のラリーカーで登場したのは、モリゾー選手ことトヨタ自動車 社長の豊田章男氏。そしてWRC(世界ラリー選手権)の名ドライバーにして、TOYOTA GAZOO Racingが世界に挑むためのラリードライバー育成プログラムも担うトミ・マキネン氏が、4WD化された86のラリーマシン「GR86X(クロス)」で登場。さまざまなカテゴリーから参加したドライバーに加え、2014年に引き続きAKB48 Team8も登場して華やかにセレモニーが行われた。
パドックに出現した巨大なテント「TOYOTA GAZOO Racingパビリオン」
今年は富士スピードウェイの広いパドックに「TOYOTA GAZOO Racingパビリオン」が出現。例年同様に、ピット内で行われている新旧レーシングマシンの展示を大きく拡張してパビリオン内でも展示が行われた。
展示は、グループB~グループA時代を戦ったTTE(Toyota Team Europe)のラリーマシンから、2017年に参戦を計画しているヤリス(日本名:ヴィッツ)のラリーマシンのテスト車両、ニュルブルクリンク24時間やル・マン24時間を戦った歴代のマシン、トヨタ2000GTのスピードトライアル車、トヨタ7など、トヨタのモータースポーツ活動の歴史を感じられる内容。
また、2014年に日本での復活を果たしたランドクルーザー70や東京モーターショーで国内初披露された新型プリウス(4代目)なども展示され、充実した内容となっていた。なお、F1マシンはテント内ではなくピット内に1台のみの展示と、トヨタが世界の頂点を目指したマシンとしては少々寂しい展示であった。
レーシングコースでのパレードラン
ウェルカムセレモニーの前に、レーシングコースではさまざまなパレードランが行われた。ロールス・ロイスやベントレー、街でもなかなかお目にかかれないGRMN/G'sのマークXやiQなどが一堂に集結したパレードは圧巻だ。
このイベントでは、おなじみのトヨタ2000GTやトヨタスポーツ800のパレードも健在で、中でもトヨタスポーツ800は50周年記念のパレードとなった。
トミ・マキネン、新井敏弘、モリゾー選手が豪快なドライビングを披露したラリーパーク
富士スピードウェイ内にグラベルの特設ラリーステージが設けられ、新人からベテランまで多くのラリードライバーがそのドライビングテクニックを披露したラリーパーク。
ラリードライバーの助手席でコ・ドライバーを体験するプログラムや、今シーズンのTRDラリーチャレンジ年間表彰式などが行われたが、中でもラリースペシャルパフォーマンスでは2014年に登場して話題となった4WDのハチロク「GR86X(クロス)」が登場。モリゾー選手がダイナミックな走りを披露した。モリゾー選手が走り終えた後、同マシンはWRCで4度もの世界チャンピオンに輝いたトミ・マキネン氏に引き継がれ、こちらもダイナミックかつ華麗な走りで集まったファンを魅了。
さらに今年トミ・マキネン氏の元でトレーニングを受けた勝田貴元選手、新井大輝選手の若手ドライバーも負けじと走行。全日本勢からは、かつて2度のPWRC世界チャンピオンに輝き今年の全日本チャンピオンも獲得した新井敏弘選手、全日本チャンピオンを何度も獲得して今シーズンにシリーズ2位を獲得した勝田範彦選手という、新人ラリードライバー2名の父親も圧巻の走りを披露し、ラリーパークは大いに盛り上がった。
ドリフトパークは終日白煙まみれのパフォーマンス大会
富士スピードウェイに常設されるドリフトコースでは、ドリフトパークとして終日ドリフトパフォーマンスや同乗体験走行が行われた。1000PSを誇る日産自動車 R35GT-Rで今シーズンのD1GPシリーズチャンピオンを獲得した川畑真人選手をはじめ、8人ものドリフトドライバーが見事なパフォーマンスを披露。D1GPのMCとしてもおなじみの“マナP”こと鈴木学氏の軽快なMCとともに集まったファンは終日楽しんだ。
ちなみにトヨタのイベントながら、走行車両は新旧ハチロク(AE86トレノと現行トヨタ86)以外はGT-R、S14/15シルビア、180SX、フェアレディZとすべて日産車だった。
パレードやデモンストレーションとはひと味違う本気のワンメイクレース
パレードやデモンストレーションランが多いこのイベントで行われるレースが「GR Netz Cup Vitz Race Grand Final」と「GR 86/BRZ Race Round TGRF」だ。1年間の熾烈なシリーズ戦を戦ってきたヴィッツ、そして86/BRZのワンメイクレースだ。86/BRZはプロクラス、クラブマンクラスの混走かつローリングスタートとシリーズ戦と異なるスタイルのレースだったが、両レースともに繰り広げられた本気の戦いは、他のイベントとは少々趣の異なるレースの魅力に溢れていた。
以上、紹介したプログラムはイベント全体のほんの一部に過ぎず、敷地内のイベント広場、ジムカーナーコース、ショートサーキットなど富士スピードウェイのいたるところで終日さまざまなプログラムが行われていた。モータースポーツ以外にも親子で楽しめるバイク教室や消防車などの働く自動車展示、レーシングドライバーによるトークショーやAKB48 Team8のスペシャルライブなど、そのすべてを1日で楽しむことは不可能なほどの充実ぶりには目を見張るものがあった。
そして、その規模もさることながら世界や国内トップカテゴリーで戦い続けるレーサーなど、普段接する機会の少ないプロフェッショナルドライバーとの距離が近く、身近に感じられるのが何よりの特徴だ。展示された歴史的な名車の数々を堪能し、自動車会社の社長から往年の名ドライバー、そして現役ドライバーとのふれあいを楽しみ、さまざまな体験型プログラムを経験できる1日限りの“巨大モータースポーツ遊園地”のようなイベント、それが「トヨタ ガズー レーシング フェスティバル 2015」であった。