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巨大テントの出現でさらに展示が充実した「トヨタ ガズー レーシング フェスティバル 2015」リポート

「会いに行ける自動車メーカー社長」は今年も健在、トミ・マキネン氏とともに4WDのハチロクでデモラン!

2015年11月22日開催

 11月22日、毎年恒例となった「トヨタ ガズー レーシング フェスティバル(TGRF)」が富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で開催された。曇り空の中ではあったが雨に祟られることもなく、4万2000人(主催者発表)の来場者は今シーズンを戦い抜いたさまざまなカテゴリーのモータースポーツマシンや歴史的名車、そしてAKB48 Team8らのパフォーマンスを楽しんだ。

ウェルカムセレモニー

TGRFに参加する全ドライバーがファンの前に集結したウェルカムセレモニー

 毎年恒例のウェルカムセレモニーでは、イベントに参加する全ドライバーが集結。富士スピードウェイの長いストレートにトヨタ自動車「86」のラリーカーで登場したのは、モリゾー選手ことトヨタ自動車 社長の豊田章男氏。そしてWRC(世界ラリー選手権)の名ドライバーにして、TOYOTA GAZOO Racingが世界に挑むためのラリードライバー育成プログラムも担うトミ・マキネン氏が、4WD化された86のラリーマシン「GR86X(クロス)」で登場。さまざまなカテゴリーから参加したドライバーに加え、2014年に引き続きAKB48 Team8も登場して華やかにセレモニーが行われた。

開会の挨拶をするモリゾー選手ことトヨタ自動車 豊田章男社長
GR86X(クロス)で派手に登場したのはトミ・マキネン氏
GAZOO Racingの育成プログラムを担うトミ・マキネン氏
イベントに参加する全ドライバーがファンの前に集結した
AKB48 Team8からも16人が参加
木下隆之選手はひたすら自撮り棒で撮影担当?

パドックに出現した巨大なテント「TOYOTA GAZOO Racingパビリオン」

「TOYOTA GAZOO Racingパビリオン」

 今年は富士スピードウェイの広いパドックに「TOYOTA GAZOO Racingパビリオン」が出現。例年同様に、ピット内で行われている新旧レーシングマシンの展示を大きく拡張してパビリオン内でも展示が行われた。

 展示は、グループB~グループA時代を戦ったTTE(Toyota Team Europe)のラリーマシンから、2017年に参戦を計画しているヤリス(日本名:ヴィッツ)のラリーマシンのテスト車両、ニュルブルクリンク24時間やル・マン24時間を戦った歴代のマシン、トヨタ2000GTのスピードトライアル車、トヨタ7など、トヨタのモータースポーツ活動の歴史を感じられる内容。

 また、2014年に日本での復活を果たしたランドクルーザー70や東京モーターショーで国内初披露された新型プリウス(4代目)なども展示され、充実した内容となっていた。なお、F1マシンはテント内ではなくピット内に1台のみの展示と、トヨタが世界の頂点を目指したマシンとしては少々寂しい展示であった。

WRCへの挑戦の歴史と2017年より再挑戦するヤリス(日本名:ヴィッツ)のテストカー
ル・マン24時間に挑戦したTS020(1999年)は片山右京/鈴木利男/土屋圭市の3号車
ニュルブルクリンク24時間への挑戦の歴史
トヨタ7(実車)やスピードトライアル車のため作られたトヨタ2000GT(レプリカ)
トヨタ7は実戦投入されなかった5.0リッターターボモデル
新型プリウス(4代目)も展示されていた
ニュルブルクリンク24時間参戦車両のLFA/LFA CodeX
F1マシンは他のカテゴリーのマシンとともにピットガレージで展示

レーシングコースでのパレードラン

ユーザー参加プログラム「パレードラン」

 ウェルカムセレモニーの前に、レーシングコースではさまざまなパレードランが行われた。ロールス・ロイスやベントレー、街でもなかなかお目にかかれないGRMN/G'sのマークXやiQなどが一堂に集結したパレードは圧巻だ。

 このイベントでは、おなじみのトヨタ2000GTやトヨタスポーツ800のパレードも健在で、中でもトヨタスポーツ800は50周年記念のパレードとなった。

トミ・マキネン、新井敏弘、モリゾー選手が豪快なドライビングを披露したラリーパーク

モリゾー選手によるGR86X(クロス)のデモンストレーションラン

 富士スピードウェイ内にグラベルの特設ラリーステージが設けられ、新人からベテランまで多くのラリードライバーがそのドライビングテクニックを披露したラリーパーク。

 ラリードライバーの助手席でコ・ドライバーを体験するプログラムや、今シーズンのTRDラリーチャレンジ年間表彰式などが行われたが、中でもラリースペシャルパフォーマンスでは2014年に登場して話題となった4WDのハチロク「GR86X(クロス)」が登場。モリゾー選手がダイナミックな走りを披露した。モリゾー選手が走り終えた後、同マシンはWRCで4度もの世界チャンピオンに輝いたトミ・マキネン氏に引き継がれ、こちらもダイナミックかつ華麗な走りで集まったファンを魅了。

 さらに今年トミ・マキネン氏の元でトレーニングを受けた勝田貴元選手、新井大輝選手の若手ドライバーも負けじと走行。全日本勢からは、かつて2度のPWRC世界チャンピオンに輝き今年の全日本チャンピオンも獲得した新井敏弘選手、全日本チャンピオンを何度も獲得して今シーズンにシリーズ2位を獲得した勝田範彦選手という、新人ラリードライバー2名の父親も圧巻の走りを披露し、ラリーパークは大いに盛り上がった。

トミ・マキネン氏によるデモンストレーションラン
今年トミ・マキネン氏の元でトレーニングを受けた勝田貴元選手のトヨタ 86
同じく今年トミ・マキネン氏の元でトレーニングを受けた新井大輝選手のヴィッツ GRMNターボ
圧巻の派手なパフォーマンスは今シーズンの全日本チャンピオン・新井敏弘選手
勝田範彦選手のスバル WRX

ドリフトパークは終日白煙まみれのパフォーマンス大会

今シーズンのD1GPシリーズチャンピオンを獲得した川畑真人のGT-R

 富士スピードウェイに常設されるドリフトコースでは、ドリフトパークとして終日ドリフトパフォーマンスや同乗体験走行が行われた。1000PSを誇る日産自動車 R35GT-Rで今シーズンのD1GPシリーズチャンピオンを獲得した川畑真人選手をはじめ、8人ものドリフトドライバーが見事なパフォーマンスを披露。D1GPのMCとしてもおなじみの“マナP”こと鈴木学氏の軽快なMCとともに集まったファンは終日楽しんだ。

 ちなみにトヨタのイベントながら、走行車両は新旧ハチロク(AE86トレノと現行トヨタ86)以外はGT-R、S14/15シルビア、180SX、フェアレディZとすべて日産車だった。

ドリフトパークでは単走、追走、同乗、その他さまざまなパフォーマンスでファンを魅了した

パレードやデモンストレーションとはひと味違う本気のワンメイクレース

本気のバトルが楽しめた「GR Netz Cup Vitz Race Grand Final」「GR 86/BRZ Race Round TGRF」

 パレードやデモンストレーションランが多いこのイベントで行われるレースが「GR Netz Cup Vitz Race Grand Final」と「GR 86/BRZ Race Round TGRF」だ。1年間の熾烈なシリーズ戦を戦ってきたヴィッツ、そして86/BRZのワンメイクレースだ。86/BRZはプロクラス、クラブマンクラスの混走かつローリングスタートとシリーズ戦と異なるスタイルのレースだったが、両レースともに繰り広げられた本気の戦いは、他のイベントとは少々趣の異なるレースの魅力に溢れていた。

Vitz乗り日本一を決める「GR Netz Cup Vitz Race Grand Final」
プロクラス、クラブマンクラス混走の特別戦「GR 86/BRZ Race Round TGRF」

 以上、紹介したプログラムはイベント全体のほんの一部に過ぎず、敷地内のイベント広場、ジムカーナーコース、ショートサーキットなど富士スピードウェイのいたるところで終日さまざまなプログラムが行われていた。モータースポーツ以外にも親子で楽しめるバイク教室や消防車などの働く自動車展示、レーシングドライバーによるトークショーやAKB48 Team8のスペシャルライブなど、そのすべてを1日で楽しむことは不可能なほどの充実ぶりには目を見張るものがあった。

 そして、その規模もさることながら世界や国内トップカテゴリーで戦い続けるレーサーなど、普段接する機会の少ないプロフェッショナルドライバーとの距離が近く、身近に感じられるのが何よりの特徴だ。展示された歴史的な名車の数々を堪能し、自動車会社の社長から往年の名ドライバー、そして現役ドライバーとのふれあいを楽しみ、さまざまな体験型プログラムを経験できる1日限りの“巨大モータースポーツ遊園地”のようなイベント、それが「トヨタ ガズー レーシング フェスティバル 2015」であった。

さまざまなカテゴリーのマシンが混走している中をバスから見学する恒例のサーキットサファリは大人気
今シーズンにチャンピオンに輝いた石浦宏明選手のほか、多数の選手が参加したスーパーフォーミュラの走行
SUPER GT
インタープロトシリーズを戦う純国産レーシングカー「Kuruma」
トークショーも行ったSTI(スバルテクニカインターナショナル)
ダカールラリー参戦車両の日野レンジャーも、終日同乗走行を行っていた
トヨタの挑戦の歴史が一望できるニュルブルクリンク エキビションレースにはモリゾー選手も参戦
歴史的の貴重なマシン、今年限りで見納めのマシン、未来のマシン、そのすべてを間近に感じることができた
すべてのプログラムが終了後、レーシングコースのホームストレートが解放され、フォーミュラ、GT、耐久、ラリー、ラリーレイド、ドリフトなどカテゴリーの垣根を超えたマシンとともにファン、ドライバーが集結。この身近さこそがTGRF最大の魅力であり、ファンはもちろんプロドライバーにとっても貴重な時間だったに違いない

(高橋 学)