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トヨタ車体、ランドクルーザーでダカールラリー2015に参戦

バイオディーゼル燃料で走る2台のランドクルーザーで連覇を目指す

2014年12月18日開催

 トヨタ車体のラリーチーム「Team Land Cruiser TOYOTA AUTO BODY」(以下 TCL)は12月18日、東京 お台場のメガウェブにてダカールラリー2015市販車部門への参戦を発表した。2014年同様バイオディーゼル燃料で走る2台のランドクルーザーでの参戦で、3年ぶりに王座を奪還した今年に引き続き連覇を目指す。

 発表会冒頭、岩瀬隆宏トヨタ車体取締役社長は3つの参戦意義を発表した。1つは「世界一過酷と言われる難コースを走破する事でランドクルーザーの圧倒的な信頼性を世界の客に示すこと」。それゆえ1994年の初参戦から市販車部門にこだわり続けているとのことだ。2つめは「厳しい自然が作り出す道なき道から得られるデータを市販車の開発にフィードバックし、さらに素晴らしいランドクルーザーの開発につなげること」。そして3つめは「チームの監督やナビゲーター、運営スタッフに社員を起用し世界の大舞台への挑戦を通じ人を鍛えること」。

 半数以上のエントラントがゴールにたどり着くことさえできない過酷な戦いでは一瞬の気のゆるみ、判断ミスが勝敗を大きく左右する。ここで得られる経験、挫折、喜びはラリーカーに乗る選手だけではなく監督、メカニック、運営スタッフ、すべての人を大きく成長させ、会社生活や人生においても何者にも代え難い大きな財産になると確信していると語った。またラリー参戦はチームメンバーだけではなく、会社全体にとてもよい効果をもたらしているとも加えた。

 なお、トヨタ車体は現在も今回参戦する200系のランドクルーザーはもちろん、今年日本に再び登場したランドクルーザー70の生産を受け持っている。

「市販車部門連覇を達成してトヨタ車体70周年最初の明るいニュースをみなさまへ届けたいと思っています」と語った岩瀬隆宏社長
チーム代表の林正敏氏は「チームの和をモットーにメンバーの能力を最大限に引き出したい」と語った
チーム監督の角谷裕司氏は元ハンドボール全日本代表選手。ラリー未経験ながら世界の舞台で戦って来た実績もあり勝つ事の難しさを知っている監督だ

参戦体制(敬略称)

チーム代表 林正敏(トヨタ車体 執行委員)
チーム監督 角谷裕司(トヨタ車体 広報室)
1号車ドライバー 三橋淳(TCL契約選手)
1号車ナビゲーター ゲネック・アラン(TCL契約選手)
2号車ドライバー ジボン・ニコラ(TCL契約選手)
2号車ナビゲーター 三浦昂(トヨタ車体)
メカニック 内裕二(トヨタ自動車)
メカニック 冨田貴夫(福岡トヨタ自動車)
メカニック 前田勝哉(福岡トヨタ自動車)

 このほかフランス人スタッフを加え総勢17名のチームで連覇を狙う。

2014年に活躍した人に贈る東京運動記者クラブの特別賞を受賞した1号車ドライバーの三橋淳選手には発表会中に花束が贈られた
2号車ナビゲーター三浦昂選手は「今年は1号車にも負けないぞ!という気持ちで走ります」と抱負を語った
2度目の参戦となる冨田貴夫メカニック

2015年大会参戦車両

 2015年は2014年同様、トヨタ車体で生産されるランドクルーザー(車両形式 VDJ200)で参戦する。ベース車両は欧州向けの左ハンドル車でトランスミッションは5速MT。燃料は植物性油を原料に作られた軽油の代替燃料であるバイオディーゼル燃料(BDF)を使用する。なおBDFは廃食油を精製したものを使用しており、廃食油はトヨタ車体の地元刈谷市の中学校などTCLのラリー活動に賛同した様々なところから提供を受けている。

 トヨタ車体で生産された車両は、フランスにてラリー車として改造を施されアフリカ モロッコでのプライベートテストやモロッコラリー2014参戦による実践テストで鍛え上げた後、11月中旬に船積みされた。12月末には会場となるアルゼンチンの首都ブエノスアイレスに到着予定だ。

 発表会に展示された2台の車両は参戦車両と同様のカラーリングが施され、ゼッケンもすでに2015年に使用されるNo.343(1号車)、No.345(2号車)となっていた。

2015年参戦車両と同じカラーリングが施されたランドクルーザー(車両形式 VDJ200)
今年よりリアウインドーの場所にSUPER GTにおけるLEXUS Racing同様の”Racing”の文字が加えられ、シュノーケルに描かれたGR GAZOO Racingのロゴとともに、トヨタモータースポーツ活動のイメージ統一感が増したようだ
1号車(三橋淳/ゲネック・アラン組)はゼッケン343
2号車(ジボン・ニコラ/三浦昂組)はゼッケン345

 2015年1月3日にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスでスタートセレモニーを行い、翌日1月4日にスタートするダカールラリー2015。南米の3カ国(アルゼンチン、ボリビア、チリ)を舞台に14日間で総走行距離9111kmを走破し1月17日にゴールする。

写真は2014年大会 トヨタ車体提供)

 世界に誇る日本のランドクルーザーが南米大陸で繰り広げられる世界一過酷と言われるクロスカントリーラリーへの挑戦することは、今後のランドクルーザーの進化においても非常に意義深い。

(高橋 学)