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トヨタ、最大熱効率44%の新型2.8リッター直噴ターボディーゼルエンジン「1GD-FTV」

ランドクルーザープラドに搭載、2016年までに年間70万基規模で生産

2015年6月19日発表

 トヨタ自動車は6月19日、世界トップレベルの最大熱効率44%を達成する、2.8リッター直噴ターボディーゼルエンジン「1GD-FTV」を新開発したと発表。2016年末までに年間70万基規模で生産し、約90の国や地域に展開。現在の主力ディーゼルエンジンを刷新していくとしている。

1GD-FTV
主要諸元
1GD-FTV(国内仕様)2GD-FTV(タイ仕様)
総排気量(cc)2,7542,393
内径×行程(mm)92×103.692×90
圧縮比15.615.6
最高出力130kW(177PS)/3,400rpm110kW(150PS)/3,400rpm
最大トルク450Nm(45.9kgm)/1,600-2,400rpm400Nm(40.8kgm)/1,600-2,000rpm
参考低速トルク370Nm(37.7kgm)/1,200rpm330Nm(33.7kgm)/1,200rpm

 新開発の「1GD-FTV」では、世界初のTSWIN(Thermo Swing Wall Insulation Technology)を採用。断熱性や放熱性の高い(熱しやすく冷めやすい)シリカ強化多孔質陽極酸化膜(SiRPA)をピストン頂部にコーティングすることで、燃焼時の冷却損失を最大約30%低減させた。

 また、「空気の入りやすいポート形状」や、新開発の「ピストン燃焼室形状」、噴射圧をさらに高圧化・高制御化した「コモンレール式燃料噴射システム」の採用により、燃焼室内により効率的に燃料を噴射することで、空気の利用を最大化し、高熱効率と低エミッションを両立させた。

 燃料噴射に関しても、メイン噴射の前に外気の状態に合わせた精密なパイロット噴射により、着火遅れ時間を短縮することで、世界中の過酷な環境下でも安定した燃焼を実現し、高熱効率で高い静粛性を維持するとしている。

 さらに、タービン効率の向上を図る小型高効率可変ジオメトリーターボチャージャー(トヨタ内製)の採用などにより、従来型「KDエンジン」と比べ、燃費が最大で15%向上するとともに、ダウンサイズしながら最大トルクは25%、低速トルクは11%向上した。

 トヨタ独自開発のコンパクト高分散尿素システム(尿素SCRシステム)を採用し、NOx(窒素酸化物)を最大99%浄化、EURO6ならびに平成22年(ポスト新長期)排出ガス規制などに対応させている。

TSWIN
小型高効率可変ジオメトリーターボチャージャー
コモンレール
尿素SCRシステム

 今回発表した新開発エンジンは、気温-40度以下の極寒地域や海抜4500mを超える地域など世界中のあらゆる地域の環境に対応するとともに、排気レイアウトを18種類から3種類へ集約するなどグローバルな車両展開性を高めた。

 今後、グローバル展開している従来型の「KDエンジン」を、2016年までに年間70万基規模、約90の国や地域で、2.4リッター直噴ターボディーゼルエンジン「2GD-FTV」を含めた新開発エンジン群の「GDエンジン」に刷新し、さらに、2020年までに150以上の国や地域に展開することが可能になるとしている。

説明会資料

(編集部:椿山和雄)