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BMW、歴代最高レベルの実用性と乗り心地を誇る新型「MINI クラブマン」発表会

ファミリー向けの「1台目」を意識し、スモールから脱却したプレミアム・コンパクト

新しい「MINI クラブマン」を発表

 ビー・エム・ダブリューは9月25日、コンセプトを一新したコンパクトモデル「MINI クーパー クラブマン」および「MINI クーパー S クラブマン」の2モデルを発表。同日から受注を開始し、11月7日に発売する。価格は「MINI クーパー クラブマン」が344万円、「MINI クーパー S クラブマン」が384万円。従来の「プレミアム・スモール・コンパクト」から「プレミアム・コンパクト」に移行し、MINIらしい外観は受け継ぎながらボディーサイズを拡大。ファミリー向けの「1台目」需要を狙う。

 本稿では同日に行われた発表会の内容を中心にお届けする。車両スペックなどの詳細は関連記事(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20150925_722579.html)を参照していただきたい。

歴代の中でも最高レベルの実用性

ビー・エム・ダブリュー 代表取締役社長 ペーター・クロンシュナーブル氏
MINIの販売実績は2014年比で30%増

 発表会では、ビー・エム・ダブリュー 代表取締役社長のペーター・クロンシュナーブル氏が挨拶に立ち、「今日はMINIが大きな変化を遂げる歴史的な日である」と切り出した。日本市場での成功は「従来のMINIがメインとなるプレミアム・スモール・コンパクトの成功に負うところが大きい」として、MINIの1~8月における売上が昨年同期比約30%増と順調であることを示したが、新しいMINIはボディーサイズや室内空間を拡大し、スモールではない「プレミアム・コンパクト」セグメントへと脱皮を図る。

 このプレミアム・コンパクトセグメントは、「将来最も成長が約束されている市場」であるとクロンシュナーブル氏は語る。調査によれば年4%の成長率が予測されているとのことで、2020年までに世界のプレミアム乗用車市場の27%をプレミアム・コンパクトが占めると見込まれていることもあり、スモールからの脱却を図るのが最善の選択と考えたようだ。

新型「MINI クラブマン」のアンベールが行われた

 プレミアム・コンパクトに変化することに伴い、ターゲット層も変える。「MINIは『2台目のクルマ』と捉えている人も多いが、新しいMINIはそうではない」とクロンシュナーブル氏は断言。「家庭で使うファーストカーとして必要なサイズと仕様を備えている」ことから、ファミリーカーとしての利用も提案していく。また、ビー・エム・ダブリューブランドとの共通コンポーネントを用い、プレミアムにふさわしい品質と安全性も確保するとした。

 さらにクロンシュナーブル氏は、新型MINI クラブマンが「歴代モデルの中でも最高レベルの実用性、長距離運転適合性、乗り心地のよさを誇る」と強調するとともに、「プレミアム・コンパクトに求められるものを全て提供し、ドライビングにこだわる人にもベストマッチのクルマであると約束する」と言い切った。

MINI クラブマンおなじみのスプリット・ドア。リアバンパーの下に足をかざすことで自動オープンする機構も備え、利便性を向上させている

エアロダイナミクスの工夫にも注目

ビー・エム・ダブリュー MINIディビジョン プロダクト・マネジメント・マネジャー 岡田信之氏

 次に、ビー・エム・ダブリュー MINIディビジョン プロダクト・マネジメント・マネジャーの岡田信之氏が、新型MINI クラブマンの詳しい装備内容、ファミリーユーザーを取り込む狙いなどについて説明した。

 同社の調査によると、既存のMINIユーザーの9割近くが子供のいない人であったとし、世帯ごとの保有台数を見ても、MINIがファーストカーとなっているのは4割弱と少なかったこと、ほかのスモール・コンパクトセグメントの車種からMINIに乗り替えた人は、全体の5割に迫る規模だったことを明かした。

MINIをファーストカーとして使っているのはユーザーの4割程度
ユーザー全体の5割近くが、スモール・コンパクトからの乗り換え
サイズは従来モデルからひとまわり大きくなる

 こうした現状を踏まえつつ、プレミアム・コンパクトへと移行することによってファミリー世帯の1台目のクルマとして関心を持ってくれる人が増えるのではないかと岡田氏は語る。さらに、プレミアム・コンパクトやミドル、アッパーミドルといったセグメントからの潜在顧客の掘り起こしも期待していると述べた。

 新しいMINIは、上位モデルのMINI クーパー S クラブマンが、192PS/280Nmを発生する2.0リッター直列4気筒 MINIツインパワー・ターボエンジンを搭載し、MINI初の8速オートマチックトランスミッションと組み合わせるといったパワートレーンの進化もあるが、岡田氏はエアロダイナミクスの工夫について取り上げた。

MINI クーパー S クラブマンのエンジンルーム
排気量が1.5リッターと2.0リッターという、いわゆるダウンサイジングターボエンジンを採用
ハイパフォーマンスと低燃費を両立した

 新しいMINI クーパー クラブマンでは、フロントバンパーに埋め込まれたフォグライトの両脇から空気を取り込み、ホイールハウス前端からカーテン状に空気を流すことで、回転するホイールによる空気の乱れを抑制するという「エア・カーテン」、そしてフロントホイールアーチ後部から空気を積極的に排出することで、滞留したり、入り込んでくる空気を抑制する「エア・ブリーザー」という2つの新しい技術が用いられている。これによってエアロダイナミクスの最適化を図り、エンジンの進化などとも合わせ、MINI クーパー クラブマンで17.1km/L、MINI クーパー S クラブマンで16.6km/L以上の低燃費を実現したと話す。

 岡田氏は「これまで関心を持っていなかった人にも積極的におすすめできる、非常に魅力的なプレミアム・コンパクトセグメントのクルマに仕上がった」と力強く語った。

2つの新しい技術でエアロダイナミクスが進化
MINIらしい丸形ヘッドライトと六角形のフロントグリル
テールランプは横長形状になった
なだらかなボディーの曲線も魅力の1つ
360Lの容量を誇る広いラゲッジルームを備える
自動的に車間距離を保つ「ドライビング・アシスト」を実現するためのフロントカメラなどをオプション装着
ステップ部分に車名ロゴを設定
新型MINI クラブマンのインパネ
運転席とその周辺。インテリアデザインには楕円のモチーフも新たに取り入れているという
マニュアルモードを備えるシフトセレクター。パーキングブレーキは電動式となる
センターコンソールにビルトインされた8.8インチディスプレイ。カーナビや車内エンタテイメント、スマホ連携、SNSなどの機能を利用できる
シートバックリクライニングやシート位置、座面高などをボタン操作で調整できる電動フロントシート
リアシート側から見た室内空間
発表会で紹介されたインテリアや装備についてのスライド資料
車両価格はMINI クーパー クラブマンが344万円、MINI クーパー S クラブマンが384万円。いずれもカーナビ、レザーステアリングなどを含む価格となる

(日沼諭史)