ニュース
フィアット、ブランド初のスモールSUV新型「500X」発表会
「500Xの細部への心配り、素材のクオリティ、自然な運転感覚に驚くのではないか」とデザイン部門を率いるロベルト・ジョリート氏
(2015/9/30 01:14)
- 2015年9月29日開催
FCAジャパンは9月29日、同日発表を行ったブランド初のスモールSUVである新型「500(チンクエチェント)X」の発表会を、都内で開催した。発表会では、FCAジャパン 代表取締役社長兼CEOのポンタス・ヘグストロム氏とともに、本国でデザイン部門を率いるロベルト・ジョリート氏が登壇し、500Xの魅力について語った。
なお発表会の後に行われた質疑応答で、フォルクスワーゲンが北米で販売するディーゼルエンジン車のエンジン制御プログラムの不正に端を発する今回のディーゼルエンジン騒動について、どのような影響があるか聞かれたヘグストロム氏は、「たしかにフォルクスワーゲンで起こってしまったことが世界に波及していることは大変残念なこと、不幸なことだが、私の方からはっきり申し上げたいのは、我々はディーゼルエンジンを輸入していない少数の輸入業者であること。だから何か特定の問題が起きるとは私たちは見ていない。我々として問題ないと見ている」と、FCAジャパンとしての見解を述べている。
「ジープ・レネゲード」と共通のプラットフォーム
10月24日に発売される500Xは、1957年に誕生した先代「500」の内外装デザインのエッセンスを取り入れつつ、ブランドとして初めて4WDおよび9速ATを採用したスモールSUV。スモールとしつつ、ボディーサイズは4250×1795×1610mm(全長×全幅×全高。4WDは全長4270mm、全高1625mm)、ホイールベース2570mmで、「500 POP」よりも705mm長く、170mm広く、95mm高いサイズになる。
9月5日にジープブランドから登場したSUV「ジープ・レネゲード」とプラットフォームをともにしており、500Xでは「ポップスター」「ポップスタープラス」「クロスプラス」の全グレードに直列4気筒1.4リッターマルチエアターボエンジンを搭載する。
エンジンは共通だが、2WD(FF)/6速乾式デュアルクラッチの「ポップスター」「ポップスタープラス」と、4WD/9速ATの「クロスプラス」で出力が異なり、前者は最高出力103kW(140PS)/5000rpm、最大トルク230Nm(23.5kgm)/1750rpmを、後者は125kW(170PS)/5500rpm、250Nm(25.5kgm)/2500rpmを発生する。
4WDシステムに関しては、フィアットブランドとして初めてトルクオンデマンド方式を採用し、慣性走行時など通常時には前輪駆動で走行し、必要に応じて後輪に駆動力を分配することで燃費向上を図るリアアクスル分離機能を備えていることが特徴となっている。
そのほか、エンジンをよりエコ仕様に設定してパワーステアリングのアシスト量を増加させ、CO2排出量低減のためのギアシフトポイントの最適化を図る「オートモード」、エンジンとESCシステム、ステアリング設定を変更し、よりダイレクトでスポーティなドライビングレスポンスを実現する「スポーツモード」、悪路走破性を高めたい場合などに使用する「トラクションモード」という3つの走行モードを選択できる「ドライブムードセレクター」を全車に標準装備している。
細部への心配り、素材のクオリティ、自然な運転感覚に驚くのではないか
はじめに登壇したFCAジャパン 代表取締役社長兼CEOのポンタス・ヘグストロム氏は、FCAジャパンとしての現状を振り返った。同社は現在、「アルファ ロメオ」「クライスラー」「フィアット」「ジープ」「アバルト」の5ブランドを持ち、いずれも「すべてを、心揺さぶるクルマのために。」というビジョンのもと、「日本の自動車文化がより豊かになることを目指し、イタリアとアメリカの個性を両輪に、独創的なカーライフの感動をお届けします。その活動を通じて、お客様と共に新しい歴史を創造します」というミッションの実現に向け活動を行っていることを報告。
今年は1月に投入されたアルファ ロメオ「4C」「ジュリエッタ クアドリフォリオ ヴェルデ」を皮切りに、アバルト「695 ビポスト」、ジープ「レネゲード」、さらに10月にクライスラー「300」の改良版を発売するなど、日本市場でも続々と新車が投入される。そのことから、2015年度は同社にとって過去最高の販売台数を記録することが目標に掲げられていることを報告。
そして500Xについて、設計も生産もすべてイタリアで行われることや、パワートレーンなどについて説明するとともに、前面衝突警報(クラッシュミティゲーション付)、レーンデパーチャーウォーニング(車線逸脱警報)、ブラインドスポットモニターといった最新の安全装備を装着していることなどを紹介した。
また、本国でデザイン部門を率いるロベルト・ジョリート氏はフィアットの歴史を振り返るとともに、500Xのデザインについて紹介。500Xもまた、丸みを帯びたヘッドライト、台形に飛び出たフロントノーズ、グリル部のブランドロゴ左右に備わるクロームの加飾、スマイルフェイスを想起させるバンパー開口部、500らしいリズムを表現するアウタードアハンドル、クロームで囲まれたテールランプ、普遍的なデザインのテールゲート部のウインドー形状など、500シリーズ共通のデザインを採用しつつ、「2ドアモデルに比べフロントビューではより躍動感とボリュームを、リアビューではより強いダイナミズムを与えた」とエクステリアデザインについて紹介。
一方インテリアでは「ダッシュボードに3次元性を与えた。いつものやや丸みを帯びたものから、3Dへと進化し、見た目から触感まで高い価値を感じさせてくれる」と、ダッシュボードのデザインを見どころの1つに挙げるとともに、ドアパネルとインナードアハンドルをいちからデザインし直した結果、スピーカー位置を上げることで音質が向上、さらに“ペリカンのくちばし”と呼ばれるポケットの容量が上がったことなどを紹介。これらを踏まえ、「500Xはまったく新しいクルマだが、500の特長すべてを見出すことができる。このクルマの細部への心配り、素材のクオリティ、自然な運転感覚に皆さん驚かれるのではないか」とし、プレゼンテーションを終えている。