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日産と三菱自動車の資本業務提携、ゴーン氏「両社にとってウィンウィンの内容」

益子氏「信頼の回復、経営の安定を目指すうえで重要な道筋」

2016年5月12日 発表

日産自動車と三菱自動車工業が資本業務提携することで合意したと発表。左から日産の社長兼最高経営責任者(CEO)のカルロス・ゴーン氏、三菱自動車の取締役会長兼CEOの益子修氏

 日産自動車と三菱自動車工業は5月12日、両社による幅広い戦略的アライアンスに関する覚書を締結したと発表。同日、記者会見が開催され日産の社長兼最高経営責任者(CEO)のカルロス・ゴーン氏と三菱自動車の取締役会長兼CEOの益子修氏が会見した。

 今回の合意により、日産は三菱自動車の発行済み株式34%を2370億円で取得する予定。取引成立後、日産は三菱自動車の筆頭株主となる。また、両社のアライアンスは過去5年間にわたり協力を続けてきた現行のパートナーシップをさらに発展させるものとの位置づけで、購買、車両プラットフォームの共用、新技術の開発分担、生産拠点の共用、成長市場を含めた複数の面で協力することにも合意した。

 会見では、今回のアライアンスについて、ゴーン氏が「日産自動車と三菱自動車は、広範囲に及ぶ戦略的アライアンスを組むことに合意しました。この画期的な合意は両社にとってウィンウィンの内容で大きなシナジー効果と成長のチャンスを約束するもの」と語るとともに、「三菱自動車は私どもの全面的な支援により信頼を回復し、そして新たなビジネスのチャンスを掴むことができると信じています」と話した。

 ゴーン氏の発言に続けて、三菱自動車の益子氏がアライアンスの内容について説明した。

 益子氏は、冒頭に軽自動車の燃費不正問題についてお詫びの言葉を述べるとともに、「日産自動車様との資本業務提携は、私どもにとって信頼の回復、経営の安定を目指すうえで重要な道筋と考える。この資本業務提携は、ご心配いただいたお客様、取引先、株主、社員を含めた全てのステークホルダーの皆様に喜んでいただけるものと思っている」と話した。

 加えて「三菱自動車が今回の開発に関わる問題を乗り越えて、新しい一歩を踏み出すにあたり、過去5年間にわたりアライアンス関係を構築してきた日産自動車様との関係のさらなる進化は、競争力を磨くうえで非常に有効な武器となる。また軽自動車の開発や生産といった既存のビジネスについても現状を継続してまいります。日産自動車様から開発技術部門の人的、技術的支援により、開発部門の風土、意識改革の促進を図れることに期待している」との考えを示した。

 今後、協業していく内容について、益子氏は「本日の合意によりさらに領域も広がります。新型車の開発、次世代技術開発。我々2社が得意としてゴーンさんも力を入れている電気自動車や自動運転技術の分野でも提携を深めてまいります。共同購入プログラムによるコスト低減も検討の対象になります。日産自動車様にとっても三菱の得意分野であるSUV、ピックアップトラック、4WD技術、ASEAN市場での協業をつうじて多くのビジネスチャンスを作れると考えている」と話した。

 今回のアライアンスでは、三菱自動車のブランドと歴史を尊重する内容としているが、益子氏は「日産自動車様とルノー様は、お互いのブランドを尊重し独自のマーケティングを展開しております。またダイムラーやアフトワズといった新たなアライアンスパートナーを加えており、アライアンスを成功に導くノウハウを経験として持っているのは当社にとって心強い限りです」と語った。

 最後に、益子氏は「重ねて申し上げますが、私どもが信頼を取り戻すのは容易なことではありません。日産自動車様とのアライアンスをつうじてこの困難な目標に向かって歩きはじめます。よろしくご支援のほどお願いを申し上げます」とコメントした。

(編集部:椿山和雄)