試乗記
MAZDA SPIRIT RACINGが手がけた2.0リッターエンジン搭載ロードスター初乗り! 究極の1台「12R」の乗り味とは?
2026年3月17日 08:27
MAZDA SPIRIT RACINGが手がけた限定市販ロードスター
当初の開発責任者氏の強いこだわりで、ND型ロードスターのソフトトップの国内向けは1.5リッターエンジンのみの設定となっていた。「軽量なボディでエンジンの性能を使いきって楽しんでもらえるようあえてそうした」という旨を話されていた記憶がある。
とはいえ、ソフトトップのロードスターにも2.0リッターエンジンを積んだバージョンがあったら(一部海外仕様には設定あり)、それはそれで楽しいだろうなという思いも一方にはずっとあった。それがついにこういう形で実現するはこびとなった。
マツダのモータースポーツ活動におけるサブブランドである「MAZDA SPIRIT RACING」初の市販車として送り出された2台は、いずれも限定車で、取材時点(3月14日)において、限定2200台の「MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER(以下、MSR)」は、まだ購入可能で価格は526万5700円だ。
一方、車両価格が710万500円で限定200台の「MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER 12R(以下、12R)」はすでに完売となっているが、どんなクルマなのか気になっている読者は大勢いることだろう。今回はそんな2台を乗り比べる機会に恵まれた。
両車はスーパー耐久シリーズ(以下、S耐)に関わったエンジニアが開発を担当し、培った技術を惜しみなく投入したものだ。パワートレーンや車体の進化を反映し、「速さ」だけでなく「質感」にもこだわったモデルで、街中でもサーキットでのスポーツ走行でも楽しく走れることを目指して開発されている。
ワインディングなら12RよりMSRが楽しいかも
S耐参戦で得た知見と技術から、より力強い走りを実現すべく、「SKYACITV-G 2.0」は、MSRではスペックは不変だが手が加えられていて、レブリミット回転直前まで出力を絞らずに走行できるように制御を変更しているほか、エンジン応答性と質感を高い次元でバランスしたスロットル制御を採用していたり、ヒール&トゥ操作時の回転上昇をアシストする制御を新たに採用している。
ドライブすると全体的に活き活きとした印象になっていて、ワインディングをより楽しく走れて、意のままに操れる感覚が高まっている。それ以前にワンディングに向かう高速道路で、1.5リッターエンジンではどうにも泣きどころだった力不足を感じずにすむのもありがたかった。
ビルシュタインを装着した足まわりは、コーナリングでのロールもよく抑えられていて、より高速コーナーを楽しめる味付け。持ち前の人馬一体の感覚は損なわれていない。エアロパーツが効いてか、車速を高めたときに路面に押しつけられる感覚も増している。それでいてロードスターらしい軽快感は損なわれておらず、より正確にイメージしたラインをトレースしていける。ワインディングなら12RよりもMSRのほうが楽しめるかもしれない。
減速時もブレーキングに集中できるようにブレーキ、アクセル、クラッチの各センサーを用い、ブレーキの踏力やアクセル操作量、エンジン回転数に応じてアシスト量を適切にコントロールするなんていうことまでやっているそうだ。
黒を基調に赤のアクセントを随所に配したコクピットは、赤いシートベルトやパイピングの与えられたセミバケットシートの適度なホールド感も心地よく、目と手が触れる多くの部分にふんだんにアルカンターラが配されているのもうれしい。
12Rはエンジン、足まわり、乗り味まで別次元
一方「12R」は、サーキット走行を存分に楽しむための技術や装備を搭載したメーカーコンプリートモデルとなるが、まずエンジンが別物だ。高回転域での伸びやかな加速にフォーカスしたというSKTACTIV- G 2.0は、最高出力が16PSアップとなる200PSまで引き上げられている。自然吸気エンジンの16PSアップというのはけっして小さくない上がり幅だ。
内容としては、吸気ポート形状の変更と、匠エンジニアが手作業で吸気ポート内側を研磨し空気抵抗吸入空気量を増加させ、出力とレスポンスの向上を図ったほか、フレッシュエアダクトの大型化やカム形状の変更、フジツボとの共同開発による4-2-1から4-1排気化したというエキゾーストマニホールドを採用している。
さらに、ダイレクトなトルク伝達と高負荷使用での耐久性を重視し、デュアルマスからシングルマスフライホイールに変更したほか、S耐参戦マシンと同じ低抵抗のピストンとピストンリングを採用するなどしている。
そのエンジンフィールは、まさにどこから踏んでもついてくる感じで、いかにも抵抗がなく、よく回る感覚があり、それが7500rpmまでつづく。トップエンドにかけての回り方の勢いもぜんぜん違う。非常に気持ちいいエンジンだ。体感的には16PSよりももっと大きな差を感じる。装着されていたフジツボ製の排気系パーツも効いて、いい音を聴かせてくれるのもうれしい。
足まわりは「12R」もビルシュタイン製を装着するほか、熟練工による高精度なサスペンションアームの締め付けとホイールアライメント調整を実施している。試乗車は特別付属品の「12R KIT」と専用アクセサリーや、横浜ゴムのスポーツタイヤ「アドバン・ネオバAD09」を装着していたこともあって、グリップ感が段違い。かなりコーナリング限界が高い印象を受けた。S耐のレーシングカーも、おそらくこんな感じの乗り味なのだろう。
ブレーキも試乗車の12Rは専用アクセサリーの「ブレーキセット(スリットロータ&スポーツパッド)」を装着していることにより、MSRよりもキャパシティが高く、踏力で減速度をコントロールしやすかった。コクピットには、フルバケットシートが装着されるのがMSRとの大きな違い。かなり高いGがかかってもしっかり身体を支えてくる。
12Rはワインディングよりもサーキットのほうが似合いそうだ。かといって一般道を走っても乗り心地がそれほど損なわれておらず、専用アライメントによるワンダリングも気にならず、ちょっとスパルタンなぐらいで、ごく普通に乗れて不快さはない。
MAZDA SPIRIT RACINGがS耐で鍛えた技術を活かして送り出した2台のスペシャルモデルは、どちらも素晴らしい仕上がりで走りを存分に楽しませてくれた。12Rはすでに完売しているが、2026年3月時点でMSRもほぼ完売とのことだ。





































