【インプレッション・リポート】
クライスラー「ジープ・コンパス」

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 「ユニクロ」の姉妹ブランド「g.u.(ジーユー)」が3月下旬から展開を始めていて、先ごろ銀座にもオープンした。ユニクロと言えばグッド・プライス&グッド・クオリティ、そしてデザインセンスも申し分なく、クローゼットの中に何かしらユニクロ製品をお持ちの方が多いのではないかと思う。そのユニクロよりもさらに低価格な商品を展開するというのが「g.u.」なのだとか。実際の製品を手に取ってみたことはまだないが、「ファッションをもっと自由に。」というブランドメッセージがとても印象に残り、今回の主役「ジープ・コンパス」と重なるモノを感じたのだ。

2WDモデルのみ1グレード展開
 北米ではすでに発売されていたモデルがビッグチェンジを行ったタイミングで、日本にも導入されたジープ・コンパス。このモデルは、これまでジープ・ファミリーの中でシティ派を一手に引き受けていた「グランド・チェロキー」の弟分に当たる。ちなみにコンパスのボディーサイズ4460×1810×1665mm(全長×全幅×全高)は、トヨタ「RAV4」やホンダ「CR-V」のカテゴリーに属する。

 ジープ・ファミリーの中には最もオフロードが似合う「ラングラー」、シティ派とオフロード派の中間に位置する「チェロキー」とその弟分の「パトリオット」がある。

グランド・チェロキーパトリオットコンパス

 コンパスはパトリオットとプラットフォームやエンジン、トランスミッションを共用しており兄弟関係にあると言ってもいい。しかしコンパスはそのデザインを見ても、グランド・チェロキー譲りのクールなマスクを持つ都会派。上級グレードに用いるパーツやレーザーシートの標準化、ラグジュアリーモデルであるクライスラー「300C」のフォグランプなどを採用し、立ち位置としては上級志向をも満足させるべくクルマづくりが行われたという。

 グレード展開は、なんと1グレードのみ。直列4気筒2リッターエンジン(パトリオットにもラインナップあり)に新世代のCVTを組み合わせ、駆動方式は2WD(FF)のみ。ジープと言えば4WDかと思いきや、アメリカ本国ではSUVユーザー全体の7割が2WDを選んでいるのだとか。さらに日本でもユーザー調査を行ったところ、「2WDで十分」という声が多かったのだそうだ。今やクロカン4WDと呼ばれたモデルもSUV。アスファルトの上でファッション性と日常の実用性を重視して選ばれるSUVとしての、リアルな選択と言える。

アメリカンSUVらしい乗り味
 パトリオットのドライビングポジションは、一般的なコンパクトカーやセダンと同じ姿勢がとれる。ただし着座位置の高さから得られる視界のよさは、やはりSUVの大きな魅力だ。

 さらにアメリカンSUVらしいと言えるのが乗り味。欧州車系のカッチリとしたタイプとは異なるものの、決してユルいとかラフなわけではなく、モノコックボディを採用する現代のアメリカンSUVらしい乗り心地のよさが、ドライビングタイムをリラックス方向に導いてくれるから不思議だ。「欧州SUVもいいけど、何かコレはコレでいいんだよね~」と呟いてしまうほどだ。

 

 2リッターエンジンは街中から高速まで過不足のないトルクを発揮してくれる。エンジンにそこそこ大きなトルクを期待して乗ると、登坂路で再加速するような場面で物足りなさを感じることもあるかもしれないが、私は十分だと思う。

 本国でもビッグチェンジを行ったタイミングで採用された、第2世代のCVTはスムーズさが向上。ただし、アクセルを強く踏み込んで加速したいような場面では、エンジン音と加速感とのズレが若干だがあることは否めなかった。

 が、参考までに穏やかに加速させるつもりでアクセル操作を行えば、トルクも十分なままスムーズな加速が行える。加えて、発進時や渋滞中に少しだけ前に進みたい、というような場面でアクセルを踏み込んだ際の、出足が思いのほかよすぎてしまうと感じることがあるかもしれない。一般走行中のスムーズさは間違いないのだが、発進には最初のうちは少しだけ気をつかうかもしれない。

 これらは重箱の隅をつつくような話であり、運転操作は人により異なるもの。よりエコドライブを心がけるつもりで行えば、いつでもどこでもコンパスのドライブをスムーズに楽しめるだろう。

 実用面では、後席のスペースやラゲッジのサイズなども申し分ない。ボディーサイズも含め、日常の街中からアウトレットショッピングなどまで、コンパスはシティ派のジープらしい存在感を頼もしく楽しめるのではないか。

 そんなわけで、冒頭で紹介したg.u.と重なるものを感じたというお話。コンパスの車両価格は298万円と300万円を切る。実際のところパトリオットにはさらに約40万円ほど安いモデルもあるのだが、コンパスが装備面でお買い得感を出しているのは間違いない。

 今や基準は違っても、誰もがグッド・プライス&グッド・クオリティに価値を感じているはず。コンパスにもそれらが感じられると思うのだ。g.u.の「ファッションをもっと自由に。」に共感しつつ、コンパスに乗って「アメリカンSUVをもっと自由に。」というメッセージが聞こえてくるようだった。

ヘッドランプの中に隠れたジープのフロントマスク、リヤゲートにビルトインされたスピーカーなど、パトリオット同様の遊び心も

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2012年 6月 18日