レビュー

ワイド水流で洗車効率が大幅アップ! ケルヒャーの最新高圧洗浄機ノズル「エコ!ブースター120」を使ってみた

エコ!ブースター120の横に広がるワイドな水流は、面が広いクルマの洗車に向いている。また、水の跳ね返りがほぼないので自分が濡れずに済む

 高圧洗浄機を使った洗車は水量もあり水圧も高いので、ホースで水を掛けただけでは落とせなかった汚れも楽に落ちるので作業効率がいい。だけど使っていると気になる点もある、それはノズルから出る水形だ。

 一般的なノズルは水圧を可変できる機能は備わっているけれど、基本的には水をストレートに噴射するタイプ。これは言うなれば「点」というか「円」の状態で水を飛ばしている感じになるが、クルマのボディのような「広い面」を洗うには「点」や「円」では水が当たる部分が集中しすぎるため、せっかくの水量や水圧を活かしきれてない部分があるし、スポット的に洗うので、広い面を洗うにはノズルをこまめに動かす必要がある。高圧洗浄機を使う理由は洗車の作業効率を上げることなので、こうした部分はちょっと気になる……。

高圧洗浄機を使用する洗車は作業時間短縮が図れるだけでなく、ボディ表面の汚れを水圧で落とせるので擦り傷がつきにくいのもポイント

横にワイドな水形が出せる「eco! Booster 120」

 クルマの洗車で高圧洗浄機を使うメリットは大きいだけに、その効果をより発揮するために必要なのが“クルマの洗車に適したノズル”だが、まさに洗車にピッタリなアイテムを今回は紹介していこう。

 それが世界最大手の清掃機器メーカー「ケルヒャー」が販売する「eco! Booster 120(エコ! ブースター120)」という、ケルヒャーのK1、K2、K3といった高圧洗浄機シリーズに対応するオプションアクセサリーのノズルだ。

「ケルヒャー」が販売する「eco! Booster 120(エコ! ブースター120)というオプションアクセサリーのノズル。オンラインショップ販売税込価格は7150円

 製品の特徴はズバリ、横一線のワイドな水形が出せることだ。これによりストレートの水形のノズルを使ったときよりも「広い面」が効率よく洗える。

 また、このワイド水形は単に噴射口部分を横長にしただけでなく、噴射の際に空気の流れを利用できるような内部構造としたことで水流の勢いと広がりを作り出している。

 さらに、水量を抑えた状態でも高い水圧を発生できる構造もポイントで、使用する水量と高圧洗浄機を動かすための電力の両方の節約を実現している。それに水量が抑えられている分、噴射した際、ノズルを持つ手に感じる「反動」も小さくなっているので、ノズルの扱いやすさも向上しているのもメリットの1つだろう。

エコ!ブースター120本体。扇形の噴射口が特徴
噴射口のアップ。噴射口の幅はかなり狭く設定している
裏面には補強リブが入っている。内部は空気の流れを利用して、水流の勢いと広がりを発生させる構造を採用。また、水量を絞ることにより水の節約と作動音の低減も実現している

 エコ! ブースター120の全長は452mm。これは高圧洗浄機本体に付属するノズルと同サイズのもので、実際の使用時には「トリガーガン」と呼ぶ操作部と接続するが、その状態で長さは約850mmとなる。身長が170cmくらいの成人男性では袖丈(腕の長さ)の平均が約750mmとのことなので、それよりも約100mmほど長いものになるが、これぐらいのサイズであれば、脇を締めて身体に近づけるような持ちかたをすることで狭いスペースでも十分に取りまわしが可能だ。

エコ! ブースター120の全長は452mm
トリガーガンと接続すると約850mmとなった
K2サイレントの付属ノズルとの比較。ほぼ同サイズに設定されている
先端の比較。左から圧力調整が可能な広角ノズルのバリオスプレーランス、スポット的な水形のサイクロンジェットノズル、ワイドな水形のエコ! ブースター120

限られたスペースでも使いやすいサイズ感と水形

 今回は筆者の自宅駐車場でエコ! ブースター120を実際に使用してみたが、このサイズ感は確かに取りまわしが楽だった。駐車場にはN-VANを止めて運転席ドアを大きく開くように駐めると左側は建物ギリギリと幅の余裕はあまりない。それでもエコ! ブースター120をセットしたトリガーガンのサイズであれば、ボディの面に対して直角に立つことができるから便利なことこのうえない。

今回は高圧洗浄機「K2サイレント」と一緒に使ってみた

 ただ、その状態だとボディと体の間隔が近くなるので「水跳ねで自分が濡れるのではないか」と思っていたが、エコ! ブースター120からの水流は圧が高いわりに水の跳ね返りがほぼない。そのためほとんど体が濡れることがない。厳密に見れば霧状になった水がかかっているのだと思うが、直ぐに乾燥しているのか、着ていた服を手で触っても濡れた感触がなかった。

駐車場はあまり広くないのでN-VANでも駐めるとこんな感じ。洗車時はクルマを動かしてスペースを作る

 水の跳ね返りで濡れる心配がないとなると、ノズルをボディにグッと近づけることもできるので取りまわしにさらに余裕が出るし、洗いたいところをしっかり洗えるという手応えも得られた。この作業だけでエコ! ブースター120の使い勝手のよさは十二分に理解できた。

こちらは付属品のバリオスプレーランスを使った場合。跳ね返りは抑えられているようだけど、それでもやはり近づくと濡れてしまう
さらに水圧の高さを生かせるスポット的な水形にすると跳ね返りは明らかに増えた
エコ! ブースター120の水流は水圧がありながら跳ね返りがほとんどないので、作業中に体が濡れずに済む。また、跳ね返りを気にしなくていいので、ノズルを近づけるなどの距離的な水圧コントロールもしやすい
この幅で洗えるので効率がいい。それに洗っている場所が分かりやすいので、無駄な動きをしなくて済む。この辺は洗車作業の効率アップに大きく貢献している部分だろう
エンブレムやドアハンドルなど入り込んだ部分にもこの水形は使いやすい
斜めに当てると跳ね返った先に水が霧状に広がるが、水量が多くないためかそれほど広がることはなかった。周りに濡らしたくないものがある場合も使いやすそうだ
腕を上げて水を使う箇所はホースで洗ってるときは垂れてくる水で袖口がかなり濡れてしまっていたが、エコ! ブースター120はそういう場面でも濡れずに済んだ。寒い時期ならなおのこと濡れないことは重宝する

 洗っている場所の分かりやすさや、水の跳ね返りの少なさは洗車の作業スピードを確実に上げるものであったが、筆者の家の駐車環境において、エコ! ブースター120を使うともう1つ洗車効率を高める効果があった。それは、体が入れない隙間であってもノズルだけ隙間に差し込んでしまえば、それなりにしっかりと洗えてしまうこと。

 しかも、ノズル自体の重量は軽いし、水圧による反動も少ないことから片手で取りまわすことも全く問題ない。これができたことにより隙間を作るためのクルマ移動の手間も省けたし、作業時間を短縮できたのだ(拭き上げるときは移動が必要だけど……)。

ノズルを含めたガンの重さが軽いのと水圧による反動が少ないため、片手でも扱うことができる。こうした狭いところも腕を伸ばすと奥まで水圧をかけて洗えた
ホイールの隙間の汚れがたまりやすい場所もしっかりと洗える。ホイールのデザインによっては内側のリムに付いた汚れも落とせそうだ
下まわりの水洗いにも便利。タイヤハウスの隙間から洗浄するときなどはノズルを左右に振るスペースが取れない場合もあるが、そんなときでもワイドな水形であれば、限られた振り幅でも広範囲を洗える
地面の汚れも気になったので洗ってみた
ほうきでゆっくり掃くようにノズルを動かすと、簡単に汚れが落ちて楽しい!
それでもしつこい汚れは残っていた
水圧を高めて、地面とノズルを近づけたら、今度はきれいに落ちた
ベランダなど雨汚れがつきやすい場所の掃除にも役に立つ
水道が近くにない場合は別売りの「自吸用ホース」を用意することで、バケツなどに溜めた水で高圧洗浄機の使用ができる。ベランダだけでなく窓や壁など、いろいろなところで高圧洗浄機を活用できる

 エコ! ブースター120を使用して感じたのは、やはり洗車の時間が大幅に短縮できるところだ。また、ケルヒャーのK2サイレントのサイズもコンパクトだったため、足下があまり広くない中での作業でも、高圧洗浄機がわずらわしく感じることもなかった。

 ちなみにK2サイレントは空気の流れを工夫しつつ吸音材を使用するなど独自の防音対策を施しているので、従来のK2シリーズと比べて体感音を約半分としているとのこと。実際に使ってみた感覚でも洗浄機自体の音が大きいとは感じなかったので、一般的な住宅街で高圧洗浄機を使いたい場合は、近所への配慮ということでK2サイレントを選ぶのはあり。そしてエコ! ブースター120も噴射音低減の対策が施されているので、合わせて使うことで静かで効率のいい洗車ができるだろう。

 高圧洗浄機シリーズ「K4」「K5」のユーザーは、エコ! ブースター145が用意されている。

深田昌之