NAOさんのDIYでクルマいじり
【第7回】なにごともバランスが重要ですね

 

素晴らしい楽器もバランスよくチューニングしなければ、素晴らしい音楽を奏でられないのと同様、クルマいじりもバランスが重要と実感。その理由とは!?

静音化と音質向上は明らかに実感!が、しかし
 前回ご紹介した「お手軽デッドニング」、皆さんトライして頂けただろうか。近所を走行してみると、音質向上はもちろんだが、フロントドアからの騒音が少なくなっていることが明らかに分かる。

 これは前回文末に筆者が書いたコメントなのだが、「フロントドアからの騒音が少なくなっていることが明らかに分かる」と言うことは、裏を返せば「ほかの部分の騒音が気になる」ということでもある。何事もバランスが重要というのは万物に当てはまると思うのだが、今回もまたバランスの重要さを思い知らされた。

 フロントドアにお手軽デッドニング施工をしたことによる静音化はもちろん体感できるし感動的なのだが、その感動に浸っていられるのはせいぜい数日から数週間程度。人によっては施工直後からリアドアやリアハッチ、床や天井やエンジンルームなどの騒音が猛烈に気になってしまうのだ。もちろん個人差はあるだろうし全く気にならずフロントドアだけで大満足という方はそれでよいのだが、こう見えて神経質な筆者としてはどーにもこーにも気になって仕方がない。今までは昔のコンパクトカーだし、こんなものだろうと思って普通に乗っていたデュエットなのに、ある一部分だけを改良したことでバランスが崩れてしまったのだ。カレーに隠し味のチョコレートを入れすぎてチョコ味のカレーになってしまったようなこの事態、はてさて、どう解決していくか。

 今回はエーモン工業の音楽計画、【2440】低音しっかりキット、【2441】ボーカルはっきりキットと、【2398】ナチュラルサウンドキットを使用し、その解決に挑戦してみた。

ロックピンを引き抜き、ドアハンドル部のネジを外し、フロントドアとほぼ同様の手順で、リアドアの内装を分解する
フロントドアより一回り小さいためか、取り外しはフロントよりもやりやすい。例によって、爪やクリップを壊さないように要注意
今回は防水ビニールシートを剥がして、しっかり施工する。お手軽施工で効果を体感できるのだから、その効果たるや……楽しみ楽しみ!今回はエーモン工業の音楽計画 No.2398 「ナチュラルサウンドキット」も追加で使用する。ドア2枚施工に必要な材料が全て揃っていてラクチンなのだ

 ドアの内張を取り外すと見える防水ビニールシートは、「ブチルゴム」という素材を使った防水気密粘着テープで固定されている場合が多い。温度、湿度、振動と過酷な3拍子が揃ったクルマで5年も10年もしっかり密着し続ける気合いの入った粘着材なのだ。

 手袋をしていると手袋がくっついて作業できなくなるため筆者はどうしても素手で作業してしまうのだが、作業中うっかり手や服に付けてしまうと実に始末がわるい。手に着いた黒くべと~っとした粘着材は普通の石けんで洗っても、お風呂に入っても、3~4日はこびりつき、服に至っては一度汚したら恐らく元に戻すのは不可能なのではないだろうか。

 ドアに残った粘着材はヘラでグリグリ削ぎ取りつつアルコールやシンナーなどの脱脂溶剤でちびちび綺麗にしていくのだが、手や服にこんな薬剤を使ったら副作用がまた大変なことになるため作業の際はくれぐれも慎重に行ってほしい。

 このデュエットはカーナビとフロントスピーカーのみ社外品に交換しているが、ほかはド・ノーマル状態なので先ずはこのシートを貼っただけでの効果を確認しよう。せっかく分解したのだから一気に作業を進めたい気持ちはもちろんあるが、効果を確かめながらちょっとずつ進めた方がより楽しめるぞ。

 左右ドア内側に「低音しっかりキット」を取り付けたら、内張を一度元に戻して音楽を聴いてみる。停車状態では「ちょっと中低音がハッキリしたかな」程度の印象だったが、近所を一回り走ってみると確かに以前よりも低域が聞こえてくるのが分かる。ちょっと作業しただけで体感できるこの効果、これがデッドニングの面白いところだ。

剥がしたビニールシートには、10年経過しているとはとても思えないほど強烈なネバネバブチルゴムがベトベトと。手、服はもちろん、クルマの内装にも付着させないよう気をつけたい一通り剥がし終わった様子。できれば脱脂剤などで残ったブチルゴムを綺麗に拭き取りたいドア内部には側面衝突対策のインパクトビームがしっかりと。だが、防振防音対策のシートはどこにも見当たらない
純正装着スピーカーの軽さと薄さはいつもどおりだが、スピーカー背面部分にすら防振防音対策がされていないことにビックリキットに同梱されている制震材。ケガをしないように角丸処理されたアルミ+ブチルゴムのシートが適度な大きさにカットされているので使いやすい大きなシートを自分でカットするのとは違い、1つ1つに剥離紙がしっかり付いているのも便利。やってみれば解るが、ブチル制震シートをハサミでカットするのは重労働なのだ

「ボーカルはっきりキット」と 「ナチュラルサウンドキット」をダブル施工
 クルマの開発は軽量化との戦いと言っても過言ではないだろう。自動車メーカー、関連メーカーの技術者たちは寸暇を惜しんで技術開発に励み、より軽く、より性能のよい部品を作り出しているお陰で現在の快適なクルマがあることは言う間でもない。

 防音材、制振材、吸音材もまた然りで、どれだけ軽く、どれだけ少ない面積への施工で的確な効果が得られるかが重要となる。例えば今回使った2つのキット両方に同梱されているアルミシートの裏側にブチルゴム接着面がある制振材の場合は、総面積の30%程度に施工すれば満足な制振効果が得られるそうだ。この制振材だけでも各キットに10枚同梱されているので、ドア1枚あたり5個所のポイントを押さえて快適スピーカーボックスに変身させる訳だ。

 総面積の30%に施工するだけで十分な性能、ということは、例えば総面積に50%に施工したらどうなるのだろうか? 筆者は以前に乗っていたミニバンでこの疑問を力技実地テストしたことがあるのだが、確かにもの凄く静かなミニバンに仕上げることができた。できたのだが、クルマ全体にべた~っ!と制振材をこれでもかというほど貼り付けたため、数百キロ単位の重量増になってしまったのだ。

 燃費の悪化、密閉しすぎてドア開閉がしづらい、暑い日には何となく車内がブチルゴム臭いなどの副作用が発生し、極めつけは同型車が普通に駐車できている機械式駐車場で「重量オーバー」となり駐車を断られたこともあった。これは極端すぎる例だが、30%施工のところにを35%や40%などちょっと多めに施工しておけば、多少貼り付けポイントが理想位置からずれていたとしても効果が得られやすいだろうし安心できる。と、言うわけで、後部ドアにはキット2つ分の部材を惜しげもなく投入することに決定。もともと防音施工がないに等しいデュエットだけに、これは効果が期待できるだろう。

こんな感じで、位置決めしたらヘラやローラーでしっかりと貼り付けていく。ブチルゴムが潰れて多少はみ出すぐらいに圧着するのがコツ力を入れて貼り付けるのだが、力みすぎると開口部に手をガンッ!とぶつけてケガをするので要注意。防水シートの剥がし跡がキタナイのはご愛敬アルミ制振材の貼り付けが終わったら、アウターパネル用制振・吸音材も貼り付けていく。7cm角にカットされているので、これもまた施工がやりやすい
スピーカー背面は、特に押さえておきたいポイントだ。ここに施工しただけでも、「音が前に出る」感覚を味わえると思うインナーパネル用吸音材を適当な大きさに切って開口部をふさいでいく。ドアハンドルなど可動部に影響が出ないように気をつけよう
スピーカー周辺も、念入りに制振加工する。後日スピーカー交換するにしても、先ずは純正スピーカー+デッドニング施工で音の変化を確認しておきたいドア内装の裏側も全く制振・防音対策がされていない状態だったので、若干数の制振防音材を施工した

 今回は防水ビニールシートの取り外しなどブチルゴム様と対決する場面が多少あったので、試運転する前にまずは手指を綺麗に洗いたい。すぐ試運転したい気持ちはもちろんなのだが、クルマの内装に黒い指紋をベタベタ付けたくなければ手洗い等の励行を強くお勧めする。

 さて、ドアをコンコン叩いただけでも施工の効果は感じられるが実際に乗ってみないことには真実は分からない。いつものようにご近所ぐるっと一回りツアーに出発!

 素晴らしい……素晴らしすぎる! フロントドアよりも多くの制振防音材を念入りに施工したリアドアは、これまでとは別物のように優雅な後席を実現してくれている。前回テスト時はオーディオがどうのこうの以前の問題としてリアドアからのノイズが気になって仕方がなかったので、これはバッチリ解決されたと言える。

 が、しかし、さらに後ろから聞こえてくるこれは一体……(以下、続く)

※クルマいじりは自己責任で。無理な改造は事故や故障、怪我の原因となる場合があります。もちろん、違法改造はやめましょう。

元通り内装を組み付けるのだが、内装固定用のクリップを取り付けるためにエイッ!バンッ!と叩き込んだだけでもドアのビビリ音が少なくなっていることが分かるデッドニング施工したら、まずは鉄板部分をノックしてみよう。「ゴォンゴォン」「ボワンボワン」という音だったのが「コン コン」あるいは「コツ コツ」に変わっていれば大成功!



2012年 4月 4日