【連載】橋本洋平の「GAZOO Racing 86/BRZ Race」奮闘記

第38回:台風の影響で鈴鹿決勝は中止。クラブマンシリーズは神谷裕幸選手がチャンピオンに

【連載】橋本洋平の「GAZOO Racing 86/BRZ Race」奮闘記 台風21号の影響を受けた第9戦・鈴鹿大会
台風21号の影響を受けた第9戦・鈴鹿大会

台風の影響で鈴鹿大会の決勝レースは中止

 台風21号の影響により、GAZOO Racing 86/BRZ Race 第9戦・鈴鹿大会は決勝レースが中止となった。このレースの代替えが行なわれないことが決まり、それによってクラブマンシリーズのチャンピオン争いは終了。今季3勝を飾った神谷裕幸選手がチャンピオンを獲得した。神谷選手、おめでとうございました!

 残りのレースをすべて優勝すればチャンピオンの可能性もあるにはあったワタクシとしては、中止になったことはとっても残念だったわけだが、ハッキリ言ってチャンピオンなど夢のまた夢であったことを実は痛感していた。それは雨の中で行なわれた予選で、かなり順位が沈んでいたからだ。

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 台風の接近によって雨足が強まっていた予選では、できるだけ多くの周回をしなければ勝負にならないことは理解していた。目的はタイヤをできるだけ発熱させて、最後の最後で最速ラップを刻むこと。だから、できるだけ早めにクルマをコースインさせようと、待機場所からコースインゲートまで向かわせた。だが、ライバルだって当然同じ考えであり、ピットレーンに並んだ時には中団くらいの位置だった。おかげでコースインしてからは混乱するばかり。目の前でスピンする車両がいたり、クラッシュしてしまった車両も……。1周する間に6台もの車両がコース脇にいたことを確認するほどだったのだ。おかげでイエローフラッグが出ており、前走車を抜くこともできず、アタック中にいらぬところでブレーキングする必要があったりと、満足にアタックすることができずにいた。

 そんな中でもガンガン走って温まってきたブリヂストン「POTENZA RE-71R」はみごとにグリップを始めていた。「これならイケる!」と思ったが、時間的に最後のアタックとなるラップでも、スプーンコーナーの進入で前走車につき合わされてTHE END。予選は1組目の12番手。総合23番手の決勝グリッドが決定するほどの失敗だったのだ。

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 鈴鹿も全力で行こうと、レース1週間前にテストを行ない、さらにはレースウイークも木曜日から入るほどの気合の入れようだったにも関わらず、こんな結果になってしまいかなり落胆していた。積載車を徹夜で運転して鈴鹿を2往復し、かなりのお金をつぎ込んだのにここまで予選が沈むとは。鈴鹿では十数台のクラッシュ車両を見てきたから、無傷で終われたことをまずは喜ばねばならないが、それにしてもあんまりである。決勝レースが中止になってしまったことは、ある意味ラッキーだったのかもしれない。中団グループで土砂降りのなかレースをしていたら、無事に帰ってくることさえ難しかっただろうし……。

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 朗報はもう1つあった。それは主催者のT.R.A.(トヨタカーズ・レース・アソシエーション)からエントリーフィーの返金の知らせがあったのだ(レース保険については予選を走ったので返金ナシ)。予選下位で決勝Bレースに出場したドライバーは、土曜日の予選後に決勝が行なわれたために返金されないと記されていた。もしももっと下位に沈んでいたら、その返金すら受け取れなかったということになる。だから個人的には不幸中の幸いだったというべきか。

 というわけで、シリーズ後半まで色々あった86レースも残り1戦。12月の富士では何事もなく気持ちよくレースを終えられることを祈っている。

【連載】橋本洋平の「GAZOO Racing 86/BRZ Race」奮闘記 最終戦となる第10戦は12月9日~10日に富士スピードウェイで開催される
最終戦となる第10戦は12月9日~10日に富士スピードウェイで開催される

橋本洋平

学生時代は機械工学を専攻する一方、サーキットにおいてフォーミュラカーでドライビングテクニックの修業に励む。その後は自動車雑誌の編集部に就職し、2003年にフリーランスとして独立。走りのクルマからエコカー、そしてチューニングカーやタイヤまでを幅広くインプレッションしている。レースは速さを争うものからエコラン大会まで好成績を収める。また、ドライビングレッスンのインストラクターなども行っている。現在の愛車は日産エルグランドとトヨタ86 Racing。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

Photo:高橋 学