【連載】橋本洋平の「GAZOO Racing 86/BRZ Race」奮闘記

第48回:2019年も元気に参戦します! ただいま車両ナラシ&パーツ組み付け中

2019年シーズンの「GAZOO Racing 86/BRZ Race」に参戦します

 今季で7シーズン目に突入するGAZOO Racing 86/BRZ Race。そのクラブマンシリーズに参戦することは、もはやライフワークといっていい僕は、2019年も変わらず出場するつもりで意気込んでいた。だからこそ2018年11月には新車をオーダー。痛んだクルマよりも新しい方がいいというまわりからの勧めもあったからこその判断だった。2年をともにした愛機をたまたま高価買い取りしていただくことができたことも理由だったのだが、いずれにせよもう一度仕切り直して少しでも上へいきたいという思いがそこにはあったのだ。けれども、そこまでしたにも関わらず、3月23日~24日に行なわれた開幕戦・鈴鹿に姿を見せることはできなかった。

 その理由の1つはレギュレーションが大幅に変更されてしまったからだ。今年は2ヒート制のレースが5大会も行なわれることになった。これはパートナーとなるタイヤ、ブリヂストン「POTENZA RE-12D」がロングディスタンスでタイムダウンが少ないタイヤだから、メリットはかなりありそうだ。

 けれども、そう単純にはいかない。それに加えてシングルのレースは3大会行なわれ、すなわちトータルすると8大会13レースになってしまうのだ。2018年は9大会10レースだったから、実質3レースも増えることになる。タイヤの本数は1大会あたり4本と定められているから、コスト的に増えるわけではないのだが、実は車両の負担が増えることもあって部品交換のサイクルが早まり、試算したところ本気でやるなら150万円くらいは覚悟したほうがいいという判断が下されたのだ。トランスミッションやLSDのオーバーホールがその主な出費の理由なのだが、それをどう捻出するかが問題というわけだ。新車にスイッチしたとはいえ、そのコストは変わらない。予算も2018年と変えるわけにはいかず、それならレースの数を減らすしかないという残念な判断が開幕戦欠場の1つの理由だったのだ。

 さらに、新車の到着が遅れたことも欠場に繋がった。納車は3月初旬と、オーダーからほぼ4か月を要したのだ。今年に入ってスバルの工場がサプライヤーの部品の一部に欠陥があり、一時ストップしたことも納期が遅れた原因だったようだ。

 そんなわけで、開幕戦欠場となったわけだが、それでもシリーズランキングを戦えるはずと高を括っていた。それは、シリーズランキングはポイント獲得の上位5戦分だけをカウントして争われる有効ポイント制があったからだ。2018年は車両トラブルやクラッシュなどでポイント獲得ならずの大会がいくつかあったが、それでもシリーズ4位を獲得できたのは、そんな制度があったからこそ。けれども、今季はその有効ポイント制が廃止となり、全戦の積算ポイントでシリーズが争われるというのだ。よって、開幕戦の鈴鹿欠場はかなり劣勢。けれども、お金が足らないのだから仕方なし。厳しいレースである……。

 しかし、嘆いていても始まらない。今は新車のナラシ運転に励んでいる。第2戦の富士大会(4月20日~21日)に向けて目標5000km。仕事の足として使ったり、それでも足らなければ淡々とひと晩300km走ったりといった具合だ。走れば走るほどエンジンは軽やかになり、各部のアタリがついていることを確認。実戦投入までに少しでもよくなるように努力を続けるまでだ。4月5日現在で走行距離は3000kmを突破。目標までもう少しだ。

第2戦の富士大会に向けてナラシ運転実施中

 そんな作業をしている合間にラッピング作業も完了した。今回も変わらず担当してくれたのは、アートファクトリーの澤田さん。スポンサーロゴがプリントされたシートをフルラッピングしていく作業は、毎度のことながら実に綺麗な仕上がりだ。ラッピングシートの材質にも進化があったらしく、貼りやすく剥がしやすい素材になったのだとか。スポンサーロゴの変更、そしてクラッシュ時などの修復などもしやすくなるのだろう。

 カラーリング自体に大きな変更はないが、真っ白だったクルマが一変すると、いよいよレースが始まるのだなと気合が入ってくる。今週からはいよいよレースパーツの取り付けを開始。レース仕様になった時、新車はどう変化しているのか? それが今は楽しみなところだ。

カラーリング前の新愛機
ラッピング作業は今回もアートファクトリーに依頼した
待ってろ富士大会! ということで富士山バックで優勝祈願(?)

橋本洋平

学生時代は機械工学を専攻する一方、サーキットにおいてフォーミュラカーでドライビングテクニックの修業に励む。その後は自動車雑誌の編集部に就職し、2003年にフリーランスとして独立。走りのクルマからエコカー、そしてチューニングカーやタイヤまでを幅広くインプレッションしている。レースは速さを争うものからエコラン大会まで好成績を収める。また、ドライビングレッスンのインストラクターなども行っている。現在の愛車はトヨタ86 RacingとNAロードスター、メルセデス・ベンツ Vクラス。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。