【第26回】大洗の冬の旬!あんこうのどぶ汁鍋に初挑戦、の巻


あんこうって美肌効果あり?! 今回は女子も必見!

 11月も半ばを過ぎて、本格的な冬もいよいよ目前ですわね。前回、笠間を後にしたゆきぴゅーとエイミーは、一路太平洋を目指してカングービボップを走らせました。めざすは大洗町。大洗の冬の味覚といえば……そう! あんこう鍋ですの。

「ワーイ、海、海! 大洗って初めて来ますわ」
「実は私もなんです。高速からのアクセスも便利だし、これなら首都圏から気軽に来れますね」

 今回のお店は、いわし料理・地魚料理の専門店「味処・大森」さん。“夏の岩ガキから冬のあんこうまで”と謳う、地元でも評判の海鮮料理のお店だそうです。

波がよく交通の便もいい大洗は、東京や埼玉などからのサーファーに人気“夏の岩ガキから冬のあんこうまで”の「味処・大森」あんこうの共酢(ともず)1人前1200円。“七つ道具”をあん肝と酢味噌をまぜたタレにつけて頂きます

 案内された個室で待っていると、今月74歳になるという大女将が顔を出してくださいました。

「これから頂くあんこうのどぶ汁鍋って、普通のあんこう鍋とどう違うんですか?」
「どぶ汁鍋は、最初に土鍋であんこうの肝を乾煎りしてから作るので、通常のあんこう鍋より濃厚でコクがあるんです。最初にどぶ汁鍋食べちゃったら、もう普通のあんこう鍋には戻れなくなっちゃいますよ」
「うわ~、楽しみです♪」

「鍋を待っている間に“あんこうの共酢(ともず)”を食べてみたらいかが? この辺りの郷土料理で、茹でたあんこうを酢味噌につけて食べるんですよ」

 といって出てきたのは見慣れない形の部位いろいろ。

「これらが俗に“あんこうの7つ道具”と言われるもので、白身、黒皮、胃、卵巣、エラ、ヒレ、そして肝ね」
「ど、どんな味ですの???」
「味もなにもないのよ。例えばこのエラ、軟骨でできていて、私は大好物なの。逆に、身なんてあえて食べようとは思わないわね」
「えっ~?そうなんですか?!」
「あんこうはね、食感を味わう魚なんですよ」

 なるほど、口に入れてみると皮のヌルヌル感や肝のこってり感など、それぞれの食感がまったく違いますの。なによりこの酢味噌がおいしいと思ったら、なんとあん肝をすりこんであるんだとか。あん肝をあん肝で食べるなんて、なんという贅沢なんですの!

「私が子供の頃はね、この辺の家々の玄関先ではあんこうの吊るし切りがよく見られたものです。あんこうは大きな口で餌を丸のみしちゃう魚なので、胃袋の中からはアジとかイワシとかイカとかいろんなものが出てくるの。だから学校から帰って遊びに行く前に必ず“今日は胃袋から何が出てくるかな?”って見るのが楽しみだったものですよ」

 そんな大女将の昔話を聞いている間に、どぶ汁鍋ができ上がりました。

どぶ汁鍋の食材。あんこうは顔や歯以外は捨てるところがない魚(※写真は2.5人前くらいあります)どぶ汁鍋の作り方。まずは熱した土鍋に生のあん肝を入れますそれを木べらで素早く乾煎りして、ペースト状にします
次にだし汁を加えます。野菜や身からも水分が出るので加減しながらそこに特製味噌を足します。このお味噌がお店によって違うためそれぞれ特徴ある味が出るんだとか大根や人参、白菜などのブツ切り野菜を入れます
野菜が煮えてきたらいよいよ主役のあんこうを投入。海苔みたいに見えるのは黒皮「“海のフォアグラ”あん肝をこんなに食べるのは生まれて初めてですわ~」味噌仕立てのスープは見るからに濃厚。まずは煮えてぎゅっと縮んだ白身から

「骨だと思ってもほとんどが軟骨だから、よ~く噛めば食べられますからね」

 と食べ方をしっかり伝授してもらってさっそく一口。

「うわっ、見た目同様に濃厚ですわ~!」
「あんこうの旨みがすべて濃縮されてるって感じですね」
「よく、皮と骨が多くて身が少ないわって言う方がいらっしゃるけど、本来あんこう鍋のメインは身じゃないんですよ」
「プルプルやコリコリやもちもちを楽しむ、ってことですのね」
「その通り。それこそがあんこう鍋の醍醐味ね」

 皮や軟骨を次から次へと夢中で食べ続けるグルメ隊。

「わたくし、あんこうっていう魚の素晴らしさが分かってきた気がしますわ!」
「あら、この突起の付け根の皮の部分おいしい!」

 すると大女将が満足そうに一言。

「ふふふ。それが分かればお2人とも立派なあんこう通ね」

 そうそう、この日ゼラチン質に富んだあんこうのコラーゲンをたっぷり摂ったおかげで、ゆきぴゅーの翌日のお肌はビックリするくらいプルップルになったんですの。高級化粧品に勝るとも劣らないあんこうどぶ汁鍋、女子にも強くオススメするですわ。

「お店の方がいろいろ説明しながら作ってくださるのがありがたいですよね」これ何だかわかりますか?実はあんこうの頭にあるアンテナのような突起なんですのゼラチン質を多く含む皮はコラーゲンたっぷりの美肌効果アリ。ぜひとも女子を連れて行くべし!
締めは大女将が「これを食べないで帰っちゃダメよ」という雑炊うまみがギュッと出尽くした濃厚スープにご飯と溶き卵を入れて待つこと数分文句なしの絶品! あぁ思い出すだけでもヨダレが……

 

味処 大森http://www7.ocn.ne.jp/~agoomori/
茨城県東茨城郡大洗町磯浜町3152-1
TEL:029-267-4060
営業時間:11時30分~14時30分(L.O) / 17時~20時30分(L.O)
定休日:月曜日(祝日の場合は営業)
駐車場:あり

※「どぶ汁鍋」は1人3500円で要予約です(通年3月くらいまで)

 


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このクルマでドライブしました!

ルノー カングービボップ

背が高くてゆとりの室内のビボップ。でも安定性は抜群。フランス車らしい乗り心地の足まわりに、やはりフランス車らしく柔らかくて気持ちいいシートのおかげで、渋滞も快適に過ごせました。

プロフィール

ゆきぴゅーゆきぴゅーおふぃしゃるほーむぺえじ
イラストレーターとライターを足して2で割った“イラストライター”。長野でフツーのOLをしていたが何の因果か鬼畜デジカメライターの弟子(奴隷)となり2000年に上京。日々の過酷でセクハラな毎日を絵日記で綴っているうちに絵の道に目覚め、ついに2005年独立。以降あちこちでタダでごはんを食べながらポンチ絵画家としてのお気楽な人生を歩んでいる。


エイミー
女性カメラマン。カメラマンとして名を馳せるべくボスニアに戦場カメラマンとして渡るも、行った早々流れ弾に当たってしまいあえなく帰国。車にまったく興味がないゆきぴゅーとは正反対に機械モノが大好き。食べるのも大好き。封印したはずの赤いバンダナは、ネット上で復活希望の声があるとかないとか(でももうしません!)



2010年 11月 17日