10万円、10年落ち、10万km超の軽バン買いました
第3回:軽バンで移動オフィスのようなことはできるか?
2022年6月3日 00:00
何度でも言いたいのが、軽バンはやっぱり気楽で便利。大きな荷物も細長い荷物も運べ、広い空間は短距離なら人も快適に運べる。便利な空間を細かいことを考えずに使える。ただそれだけではく、わが軽バン、日産・クリッパーバンはMT車なので、エンジンをぶん回して走るという楽しみもあってとにかく便利だ。
日に日になじんでいく軽バン生活
便利系のクルマは、クルマは走行性能だと思っているカーマニアからすれば無縁の存在だと思われがちだが、MT車で高回転で走るという点だけとって見れば、ある意味楽しい走りとなりマニア的にもわるくない。
また、クルマやメカニズムが小さいだけに、自分でクルマの整備をするにしても、パーツが小さいことによる整備のやりやすさや、パーツ代が安価なことを考えると、クルマいじり好きという楽しみ方という点ではかなり楽しめるクルマとなる。
そこで、走りのためにはタコメーターが必要ということで、ネットで見つけたデジタルタイプのタコメーターを装備した。回転数が分かるようになって60km/h走行でも5速で3000rpmなどとハイギヤードな点はやはり軽の荷物車ということを実感する。
さらに、首都高を走るために不可欠となったETCを中古で購入し、電装屋さんでセットアップ。ETCは音声案内が優しい声で、アンテナのLED表示もまぶしくない緑色のデンソーを選んだ。もう1つの不可欠アイテムとなったドライブレコーダーは、以前使っていた数千円で購入した手持ちのものを装着した。
というわけで、不可欠な装備を追加し、普通に走れて楽しめるタイプのクルマに仕上がりつつある。
室内に机と椅子を持ち込んでみると、無理だった
さて、軽バンを買ったいくつかの目的の1つに、移動オフィスというものがある。オフィスというと大げさだが、せっかくの空間ができたので有効活用はしたい。椅子と机があり、ノートPCで作業ができるようにはしておきたい。
別空間があると便利なのは、昨今のオンラインミーティングなどで、家族から離れた場所でやりたい場合だ。部屋を締め切ってしまえばいいのだが、クルマならさらに離れることができる。事実、オンライン会議はクルマの中、という人は身近にもいて、配信は必ずクルマの中から、という人もいる。
ノートPCを使う場合、運転席に座ってノートPCを膝上にのせておいてもいいが、それでは資料を参照したり、飲み物を用意しておいたりする場合に不便。そこで、せっかくのスペースだけに机や椅子を持ち込んだらどうなるか試してみた。
家にあった折りたたみの椅子とテーブルを荷室に展開してみると……。クリッパーの昔のカタログでは荷室の床から天井までの高さが123cmとあるが、これでも高さが足りない。手持ちの椅子の高さは床面から46cm、さらにそこから天井までは中心部で75cmと、よほど座高が低い(つまり足の長い)人でないと無理。自分ならば首を折ったまま作業することになってしまう。
テーブルは自作、椅子は低いものを
そこで、自分のサイズと室内サイズを照らし合わせた結果、視界の確保もあって床から58cmを机の天面とし、椅子の座面までは38cm以下と判断した。椅子はよくあるアウトドアの椅子ならさらに座面が低くなるほか、室内の収納として使う収納ボックスも椅子がわりになるものを選んだ。
テーブルは壁に固定するタイプを考えるが、問題は固定方法。三菱自動車製のクリッパーは現在の軽バンのようにたくさんのユーティリティーナットはない。強いて言うなら後席のグリップがないのでその部分がナットになっているだけだ。
荷室部分には固定する仕組みはないので、ボディへの穴あけを考えた。ピラーに打ち込んでしまう方法もあるが、ほかの軽バンでユーティリティーナットがある窓の下側のところだけ穴をあけて板を固定し、二重にした上に折りたたみ式の机を固定することを考えた。
材料としては、ホームセンターによくある1×4材の6F(1.82m)のものが3本と、12mm厚の構造用合板が70cm×45cm。そして、蝶番が4つ、必要に応じた木ビスなどだ。手持ちのものを活用する方向で作ったため、設計図もなく適当に現物合わせ。実際に買ったのは1×4材を1本と木ビス、蝶番くらいだ。
作り方は、最後部側面の窓下のフレームに板をビス止めし、二重にした上にさらに横に板を重ね、そこに板と合板で作った天面を蝶番で固定、さらに天面から蝶番で足を付けた。足と天面を折りたためば壁に収まる構造だ。
ちなみに昨今の木材不足もあって1×4材も値上がり、6Fで今や税込400円台。構想を練ってホームセンターめぐりをしているうちに値段が上がっている状況で、気軽に木工DIYもやりにくくなっている。最初から詳細な設計をしてしまうより、ホームセンターで売っている特価の端材などを確認した上で、材料を決めれば余り材料も少なく費用も抑えられそうだ。
プライバシー空間のため、フィルム貼りと目隠しを装備
説明が前後してしまうが、机や椅子の前に窓に目隠しは必要だ。リラックスするためにはもちろんのこと、仕事情報を扱うのなら、外からはのぞけないようにしておきたい。
まず、最初にやっておいたのはガラスのフィルム貼り。普通のセダンだと後席には貼りにくいが、軽バンはスクエアな形状で、内装材もなく貼りやすい。フィルムは水を使って貼り伸ばしていくが、軽バンなら室内を多少水浸しにしても問題なく、躊躇なく霧吹きで濡らすことができる。
ただし、初めてやった作業のため、多少の破れと、スライドする後席の片方のガラスは開けるとはがれてくるようになってしまった。現在は窓を開けないことで対応しているが早く貼り直したい。それ以外は初めての作業にしては上出来だと思っている。
貼ったフィルムは透過率15%というものだが、純正の濃色ガラスよりも少し濃い程度で運転に必要な左後方の安全確認にも支障なし。夜間も都市部の道路ではほとんど見えにくくなっていない。
それでも、自ら発光するPCの画面は外から見える恐れもあり目隠しを考えた。最初に考えたのは養生用プラダンを窓にはめる方法。クリッパーの場合、窓ガラスの下とボディの間に隙間があり、ここに下側を引っ掛けて上部はマグネットで固定する方法を考えた。マグネットで固定できるのも、内装が金属丸出しの軽バンならではである。
後面のガラスはブラダンを2分割とし、2枚の途中はマグネットテープで留めることにした。マグネットはいずれも100均で購入のものだ。
運転席との間の目隠しは悩んだ末、100均で売っている突っ張り棒とそれ用のカーテン固定リング、そしてカーテンまですべてそろえた。買ったのはダイソーだが、ダイソーでもカーテン関係の扱いのある店は多くなく、大きめの店を探して調達した。100均ではあるが、カーテンは330円、長くて太いタイプの突っ張り棒は165円だったため、カーテン2枚とカーテンの金具なども入れて合計1155円。取り付けには工具も不要で運転席との仕切りが完成した。
クリッパーの場合、ちょうど突っ張り棒がハマる場所があっため、これだけでも外れないように固定が可能だったが、後で外れないように天井抑えのフレームに結線バンドで固定しておいた。ただし残念な点もある。1枚330円のカーテンは遮光性も遮像性もいまひとつ。車中泊など、高度にプライバシーが要求される場合にはカーテンの遮光性、遮像性も注意した上で選んでほしい。
荷室はジャストサイズ感たっぷりのリラックス空間へ
目隠しと椅子、机の完成で移動オフィスらしくなった。当初は床を板でかさ上げしてフラットにすることも検討したが、椅子と机を持ち込んで上下スペースがギリギリであることからも却下。また、後部座席がすぐに使えないのは不便。今回の椅子と机は後席をたたまずに利用が可能なので、後部の机と椅子で作業しながら、後席でも何かができるということになる。
そして、後部空間での作業だが、狭いながらもジャストサイズ感があって意外に居心地がよい。反対側の壁を使えばよりかかることも可能で、リラックス度も高い。
使っていくうちに分かったことだが、後部に入った場合、後席をたたんでいないと外に出ることができない。クリッパーの場合、後部扉内側にドアノブもロックもないからだ。軽バンを改造している人のなかには室内側にドアを開くレバーやロックを作っている人もいるので、自分も検討してみたい。
また、最近はノートPCの稼働時間も長くなったので追加電源は不要と思いたいが、オンライン会議をすると一気に電池が減る。エンジンを止めても使える車載電源の確保や、今後、夏に向けて換気なども考えてみたい。
電源についてはなかなか難しいことがあり、検討した事柄だけで半日くらい語れそうだが、結局のところ1500W出力のあるポータブルバッテリの上級機種に勝るものはないということになる。
例えば湯沸かしできる電気ポットを使うなら1500Wの出力は必要なので数万円クラスのポータブルバッテリでは対応できない。エンジンをかけてDC-ACインバータを使うにしても100A以上は必要なため、軽自動車に標準搭載のオルタネータでは難しく、結局は一度ためて大出力を出せるポータブルバッテリの上級機種が必要になってくるからだ。しかし、10万円の軽バンに電源で15万円も出すわけにはいかないので、今後の検討課題だ。
今回のプチトラブルはペダルストッパー
最後にトラブルの紹介。基本的には快調だが、ごく小さいトラブルもある。今回は走行中、突然、クラッチを踏むとカン! カン!と金属音が鳴るトラブルが発生した。
よく見ると、クラッチペダルを踏み抜くとボディに当たる構造で、通常ならそこに「ペダルストッパー」というゴム状のものが挟まり、金属音を出さない仕組みになっている。そこが切れてしまい音が出ていたのだ。
そこで、結線バンドでペダルストッパーの切れた部分を覆うようにしてやるとカンカン音はトントンくらいまで静かになった。これで修理は完了と思ったが、結線バンドの位置や縛り方を工夫しないと位置がずれて音が鳴ることもあった。
そこで、交換しようとパーツを調べたところ400円程度のものと分かった。パーツ番号はMR289922(三菱自動車)、46512-6A0A0(日産)でどちらでも好きなほうから部品が取れるのがOEM車のいいところ。そこで、純正パーツ注文が便利な通販サイト「モノタロウ」から三菱自動車のものをオーダーして入手。交換することで元よりも静かなポンポンという音になり、修理完了となった。
さて、オフィスにもなったクリッパー。次回も何をどうしたらより便利な軽バンになるか考えてみたい。