10万円、10年落ち、10万km超の軽バン買いました
第5回 酷暑のなか、避暑地(?)に行って軽バン車内で仕事のようなことをしてみた
2022年8月5日 00:00
わが軽バンである三菱自動車製の日産クリッパーバンに乗って夏になると実感するのは、エアコンコンプレッサーオン! で一気に走行性能が落ちること。特に上り坂の加速性能のなさは、高速道路などによくある上り坂合流で周囲の迷惑になりかねないほど。約1tのクルマをたった660ccのエンジンで動かそうということ自体がギリギリなのだから仕方がない。
そんな苦しい夏だが、今回はちょっと遠出して避暑地、それも加速性能が気にならないよう山坂道を使わないで行ける避暑地に行って、ワーケーション的なことをしてきた。
軽バンの走行性能は低い、走りを重視するターボ付きを検討すべき
軽バンや軽キャンが流行っていても、買うまでにあまり言われてないのはパワーの問題。「軽キャン手放した」のような動画ではパワーのなさを強調する人も多いが、これから買う人向けの情報ではあまり語られていない。
実際に軽のNAエンジンに軽バンの約1tという重い車体の組み合わせではパワー不足を感じることはよくあり、特に高速道路や上り坂はパワーのあるクルマからの乗り換えではその落差に驚くはず。この遅さをなんとかするならターボ付きを選ぶしかなく、かなり選択の余地が狭まる。
ターボ付きというと元気よくスポーツ走行をするため、と思いがちだが、軽バンをはじめ重量級の軽自動車に限っていえば、交通の流れにのりやすくするという実用面でもターボ付きを選ぶ意味がある。
軽バンや軽トラベースのキャンピングカーを検討している人は、装備を積み込んだ場合の加速、というものをよく想像した上で選んでほしい。高速道路や山道での走行をメインに考えている場合、相当なストレスになる。
また、軽バンに装備を造り付けたり、軽トラの荷台に「部屋」を載せるような場合は少しでも軽量化を意識したほうがいい。人を載せただけで走行性能が変わる軽自動車だけに、重量の問題は走行性能に直結するからだ。
山道ナシ、平地のままで行ける避暑地を考えた
7月から8月にかけて酷暑日が続いているため、避暑地に出かけることにした。といっても日帰りで行ける場所で、なおかつ加速のわるい軽バンでもストレスなく行けるよう山坂道を使わずに行けるところ、ということで標高の高い山ではなく、最近話題の千葉の外房を考えてみた。
海流の関係であまり気温が上がらず、真夏でも30度を超えにくいことで話題になったのは勝浦や鴨川となるが、実は銚子も同様に気温が上がりにくい。銚子ならば利根川沿いの道を走っていけば道は平坦そのもの。高速道路ではないが、信号も少なく走りやすいはずだ。
1人で行ったので道中の写真はないものの、常磐道、圏央道と走り、神崎(こうざき)ICを出てからはGoogle先生の言うとおり、利根川の北側に渡り、利根川と常陸利根川の囲まれたエリアなど、開けた景色のなかを一気に駆け抜け、最後は銚子大橋を渡って銚子市に入り、犬吠埼周辺まで渋滞なく到着した。
犬吠埼周辺は海に面した駐車場が多く、しかも遊泳禁止のため、海水浴客も少なく平日ならば混雑もない。車内から海を眺めるには最高の場所となる。
肝心の気温はというと、銚子に行った日に現地の気象台の記録した気温は最高32.6度。あまり涼しくないなと思うかもしれないが、関東近辺では37度以上を記録した場所が多数あった日でこの気温は別世界。
風もあり、涼しいとは感じないまでも軽バン車内で扇風機だけで過ごすことも可能なレベルで、15時を過ぎたあたりからは気温も下がってきて、より普通に過ごせる、という印象だ。
車内でのリラックスのお供は、犬吠埼近くにある銚子電鉄犬吠駅売店で買った「ぬれ煎餅」。いまや有名すぎて銚子以外でも手に入る銚子電鉄のぬれ煎餅だが、「無選別」バージョンを購入した。通常売られている5枚組と同じ値段で、割れや欠けなど選別せず入っているお買い得品。個包装でない分、複数人数では食べにくいもののひとり食べなら問題なし。
売店のある犬吠駅は駐車場がありクルマでの利用もしやすい。ぬれ煎餅のほか「まずい棒」など銚子電鉄謹製の菓子類が並び、リモートワークのお供にもお土産にも便利。銚子は漁港でもあり、今回は探さなかったが、海の幸を生かしたグルメをテイクアウトして車内で頂くのも面白い。
車内電源はサブバッテリを中心とした12V系統で揃えた
車内で過ごすことを考えた場合、必要になるのは電源。電源を使ってやりたいことと言えばノートPCと扇風機のほかは、欲を出せば電気ポットでお湯を沸かしてコーヒーと行きたいところだが、電気ポットは1500W近くの大電力を使うという特殊環境。これを実現するには大容量ポータブル電源を使うしかないが、10万円のクルマより高い大容量タイプのポータブル電源を買うのではなんだか面白くない。
そこで、逆に考えれば電気ポットをあきらめさえすれば、あとは小規模の12V電源があれば事足りる。ちなみに、シガーライターソケットで使う電気ポットもあるにはあるが、湯沸かし時間が長すぎるため、今回は却下だ。
扇風機も12VのACアダプターを使って電源供給する山善のデスクファン FUWARI YTD-C80を選び直接12Vで駆動。ノートPCもここ数年に一気に増えたUSB PD(Power Delivery)に対応した機種ならば、市販のシガーライターソケットに差し込める昇圧対応で電力大きめの電源アダプターを使えば必要な電源はすべて12Vで完結し、AC100Vを使う必要がなくなる。
自分の軽バンで実現した車内電源の概要としては、簡易的なキャンピングカーなどによくあるサブバッテリシステムと同等のものを自作した。クルマのバッテリとは別にバッテリを用意し、クルマの発電機からの充電に加え、車内に電源を引き込んだ場合はそちらからも充電する。ノートPCや扇風機を回すのはサブバッテリを使い、クルマのバッテリ上がりはない。
サブバッテリシステムを構成するための機器は、大橋産業(BAL)の「2705 アイソレーター」など市販品がいくつもある。値段の安い高いは充電用に昇圧の仕組みがあるかどうかなどで、機能は売価に概ね比例する。
バッテリの選別は、使い方に工夫が必要なもののクルマ用のバッテリを使うのが安価でいいが、問題は充電時に発生する水素と酸素で、車内空間に置いてしまうと危険。車内に置くなら鉛蓄電池でもシールドタイプを選ぶか、最近話題のリン酸鉄リチウムイオン電池を選ぶ方法もある。
三菱自動車製の日産クリッパーバンにおけるバッテリの置き場所だが、見回したところ、室内空間以外に置き場所は車体に大掛かりな改造をしないと無理なため、室内後席の下を置き場所とした。そこに入るサイズや予算の関係で今回は12V7.2Ahのシールドバッテリを2個並列で配置した。
バッテリ容量的には12×7.2×2の172.8Whで、モバイルバッテリなどのようなmAhに換算すると3.6V基準で172.8÷3.6の4万8000mAhのバッテリ容量となる。モバイルノートPCのバッテリ容量を50Whくらいとし、変換損失や出力電流による出力容量変化を無視する乱暴な計算をすれば、3回程度は充電できる計算になる。
回路は市販品を購入して組み合わせるのではお金がかかるのと面白さがないので、手持ちのパーツやキットを組み合わせたりした自作機器で構成した。アイソレーターに相当するものとして、エンジンがかかって発電しているときだけ、サブバッテリを充電する回路を作り、コンセントに接続した場合はそちらから充電する充電回路も併設した。さらに、出力としては過放電防止回路を付けたほか、12V安定出力が必要な機器のためにDC-DCコンバーターを付けた。
具体的な回路の中身としては、エンジンがかかっている状態はオルタネータ出力の電圧を測り、14V以上のときだけ充電を開始するようリセットIC(ルネサスM51957B)とリレーで構成、同様に充電池の出力電圧が下がった場合に過放電防止のため出力をカットする回路も同じリセットICで構成した。コンセントの電源からバッテリを充電する回路は秋月電子の鉛蓄電池の充電キットと余っていたノートPCのACアダプターを利用した。
ここまで何言っているか分からない人も多いと思うので、安全のためにもふつうは市販のアイソレーターなどで構成することをおすすめしたい。回路も手持ちパーツを活用するため結構適当に作ってしまったが、安定動作のために少しずつ改良しているので、もう少し動作実績を積んだあとに機会があれば詳細を紹介したい。
ちなみにかかった費用だが、バッテリが2個で3600円(購入時)、充電キットが1000円といったほかは、数十円~数百円レベルのパーツが並ぶ。手持ち部品の活用を主にしていたため、バッテリと充電キット以外に新たに購入した材料は2~3000円レベルに収まっている。
今回のプチトラブルは、ミラーを元に戻す
使い込まれた中古車によくあることは仕様違いのパーツが組み込まれていて、本来の性能を発揮しないことがある。うちのクリッパーバンでは、サイドミラーが当初と違うものが付いていたようで、中古部品業者からネットオークション経由で購入し、交換し、本来の仕様にした。
取扱説明書のサイドミラーの説明によれば、サイドアンダーミラーで助手席側の車両側面が確認できるとされている。タイプ別装備の印もないので全車標準装備と思われるが、付いてきたミラーはサイドアンダーミラーがないタイプだった。左側のミラーだけに接触で破損して交換した可能性があり、その際に違う年式や、軽バンのミラーは安いサードパーティ製も市販されているので、適当に交換された可能性もある。
サイドアンダーミラーはとても小さいので凝視しないと車両直下は見えないが、発進時など車両直下を確認できることは運転への安心感につながってくる。元に戻して本当によかったと実感している。