10万円、10年落ち、10万km超の軽バン買いました
第7回 内装が質素な軽バンの冬はきつい
2023年1月6日 10:00
前回から少し間があいてしまったが、季節は秋を通り越して真冬になっている。新年あけましておめでとうございます。うちの軽バンである日産クリッパーバン(三菱自動車製)はだいたい元気。今の時期は明け方に氷点下になることもあって、朝の走り出しの寒さはかなり厳しい。しかも、熱量が少ない軽自動車。そして、鉄板むき出しのところが多い内装のおかげで決して暖房の暖まりはよくない。
よく言えば「頭寒足熱」の車内。軽バンは決して快適ではない
鉄板がむき出しの内装のおかげで、車内は普通のクルマに比べると寒い。過去、似たようなクルマとして軽トラックに乗っていたが、軽トラは室内空間が小さく、暖房も冷房も直接自分の体に届く感じがして、一度温まってしまえば寒いということはなかった。
ところが軽バンの車内は軽トラよりも容積ははるかに大きい。正確に計測したわけではないが、見た目の室内長として3倍ある感じがして、実際の容積はもっと多いかもしれない。そのため、前席の足下だけは直接温風が当たるのだが、後席にはいかず、また、前席でもドアやAピラー、Bピラーの鉄板が近くにあってひんやりしている。軽自動車という排気量の少ないエンジンのおかげで熱量も少なく、エンジンをかけてから温かい風が出てくるまでは少し時間がかかる。
過去に乗っていたスバル・サンバートラックと違い、クリッパーはペダルレイアウトの関係から運転席が左側にオフセットされていて自分の肩とドアまでに距離があるので多少はマシだが、それでも、ひんやりしている感じがする。運転する身としては肩や腕のあたりは自由度の高い服装をしておきたいところだが、運転に支障のない範囲で厚着をすることでなんとかなりそうだ。
それでも、現在のところマイナス2~3度くらいまでしか経験がない、もっと寒いところに行くようなら車内であっても防寒対策は必要と思っている。
シートはビニル地なので、最初に装備した蒸れないシートカバーを上に乗せているが、そのおかげで冬でもシートの冷たさは感じない。本来は夏用のシートカバーだが、筆者のところでは圧倒的に冬のほうが役立っている。さらに冬はシートヒーターカバーのようなものがあれば、もっと快適なのかもしれない。
宇都宮に遠征。車内仮眠もあり
クルマで行くような用事があれば積極的に軽バンを使っているが、クリッパーをこれまで乗ってきた感想として横風が強くなければあまり疲れずに走れる。その理由としてはステアリングの戻りの強さが自分の好みに合っており、コーナーのあとはステアリングを握る手を緩めるとだいたい直進に戻っていくセッティングなこと。
約1年乗った慣れももちろんあるが、手を添えている程度で大きな道路は道なりに走っていくので、2~3時間程度の走行ならばほとんど疲れない。
あちこち行くなかで、遠いところでは11月末に栃木県宇都宮に遠征した。夜遅くに走っていき、道の駅などで仮眠して早朝からの仕事に備えるということをやってみた。11月末でも宇都宮は東京都心部よりはずっと寒く、0度に迫る気温だったがエンジンオフで厚着と簡単な掛け物で仮眠することができた。
これが、夕方からエンジンを止めて朝まで過ごすとなれば、車内に熱を発する何かを検討したほうがいいだろう。換気には注意しなければならないが、車内でカセットコンロを使って調理することや、明かりにガソリンやガスのランタンを使えば少しは寒さをやわらげられるかもしれない。
また。コンセントが使えるような車中泊施設ならば、車内のコンセントを使って電気ヒーターを使ったり、場合によっては小型のこたつを車内に置いたりもできるが、安全には十分する必要がある。
そして、仮眠は夜間だけではない。あまり睡眠をとらずに取材仕事をし、その後にまた長距離を走るのは苦手なので、道の駅などで一度仮眠をしたくなる。同時に取材内容の整理やまとめも行ない、夜になって戻ってくれば渋滞にも巻き込まれる可能性も弱まる。どちらかというと、遮熱性能のある毛布などの掛け物をうまく活用することが便利だ。
ちなみに宇都宮には東京方面から向かう経路がいろいろあるが、筆者は好んで国道新4号を使っている。無料の高速道路と言う人もいるほどで、3車線区間が長く続き、時間帯に注意すれば流れもスムーズ。高速道路と違って多少の信号はあるが、普通の価格設定のガソリンスタンドが沿道にあり、コンビニエンスストア、そして道の駅もあって、休憩場所にも事欠かない。
新4号のせいか宇都宮市内はクルマの流れが非常に早いエリアだが、軽バンでもしっかりエンジンを回して加速していけば、流れに乗ることは難しくない。
山道も試してみたが、登りは明らかにパワー不足
660ccの軽自動車のエンジンで約1tという車体の軽バンだが、登坂性能がどれだけか試すためにも、山に登ってみた。
登ったのは茨城県の筑波山。地形的にはじわじわと頂上に向かうのではなく、平地からいきなり坂道になって登っていく。行ったのは山頂まででなく途中の駐車場までだが、やはり登りはきつかった。いつもの椅子やテーブルなど積んでいる程度だったが、登りにさしかかるとギヤを落とし、エンジンをぶん回してやっと登っていくような感じだった。
もし、キャンプ用品を満載したり、重い素材で内装を作っていたりした場合で、山道を連続して登っていくようならばターボ付きの軽バンを選んでほしい。また、山道を登っていく際、遅い軽バンがいたとしても、少し温かい目で見守ってほしい。
簡易ベッドを購入
さて、前回からしばらく積んでいた折りたたみ座椅子はスペースをとるのと重量があるので、仮眠用に簡易ベッドを購入した。ネット通販で2~3000円でよく売られているノーブランドのもので、丸めて収納し広げるとベッドのクッションの復元力で少し膨らみ、たたむときは力を入れて巻き込めば空気が抜けて体積が小さくなるタイプだ。
実際に使ってみたが床の冷たさや凸凹から身を守ることはできるので、防寒具をうまく組み合わせれば、冬でも十分使えるだろう。また、枕部分は空気を吹き込まないといけないので、タイヤ用の空気入れをつなぐアダプターのようなものを用意しておくとさらに便利。タイヤ用はパンク修理キット搭載車などに搭載される電動タイプをうまく活用するといいだろう。
簡易ベッドの収納に関してだが、ベッドは空気の抜き方次第で細く巻くことができるが、膨らむ力が弱まってしまうと困るので、巻き方は付属のスリーブケースに入る程度に緩くしている。クリッパーはリアシートの下に収納スペースがあるので、ここにもなんとか収納できる。
ちなみに、フロントシートのすぐ後ろの段差に乗り上げれば、2mを少し超える長さのものでも積み込むことができる。簡易ではない本物のベッドを購入したときもパーツがダンボールの梱包のまま積み込むことができた。
電気系統はいまだに検討&進化中
車内でPCを使ったりするための電源はサブバッテリシステムを構成しているが、電圧が低くなるとバッテリ保護のために電源を遮断する回路を自作して追加している。しかし、その回路自体の消費電流があるため、クルマに乗らないとサブバッテリの電圧降下がどんどん進んでしまうということが分かった。
これでは本末転倒なので、サブバッテリを使っていないときは物理的に切り離すスイッチを付けること検討している。当初考えていたスイッチなしの自動化はやはり難しかったようだ。
もう少し様子を見て、バッテリ管理が改善して操作方法も分かりやすくなったら、改めて回路などを公開したい。肝は充電回路で、通常、サブバッテリの充電はアイソレーターと呼ばれる装置を経由したり、ダイオードで充電の電流だけつながるようにしているが、当回路はオルタネーターの発電電圧を見ていて、発電電圧が一定数以上になった場合にリレーが閉じて充電できるようにしている。ダイオードでもよかったが、少しでも電圧降下を食い止めたかったからだ。
そのほかの電気系統では、PC作業用にスピーカーを増設した。100円ショップで売られているUSB電源の300円スピーカーを固定しただけだが、これにソニーのUSBマイク「ECM-PCV80U」を組み合わせた。マイクに付属するUSBオーディオアダプターは出力もあるため、ちょうど300円のスピーカーと組み合わせられる。
これだけでオンライン会議はかなり快適になった。ノートPCのスピーカーもわるくはないが、音声の明瞭度は、口径があって正面を向いて音を出しているスピーカーにはかなわない。また、外付けマイクの音質も通信相手に確認したら良好とのことだった。Bluetoothではなく有線接続になるが、外出先の車内でする作業だけにトラブルの少ない有線が安心だ。