カーグッズ・ミニレビュー
手軽なGPSロガー HOLUX ワイヤレスGPSロガー「M-241」
旅の軌跡を記録して楽しもう
(2014/2/26 00:08)
GPS衛星からの電波を受信して位置情報を把握することは、とても身近になってきている。カーナビがその代表だが、携帯電話やスマートフォンにも標準的に搭載されるようになったので、多くの人がなんらかのGPS機器を日常的に活用していることになる。
GPSをドライブ中に利用するのは、カーナビで現在位置を把握するというのが一般的だろう。この走行軌跡を記録できると、後でどこに行ったかを正確に把握できるので楽しい。知らない場所をウロウロして店に入ったりすると、そこがどこなのか正確に覚えていないことも多い。これを後から把握することができるようになる。
しかし、一般的な車載向けカーナビでは、走行軌跡は表示されるが、それをデータとして取り出すことが難しい。またカーナビのみだとクルマから離れて散策するときにはデータが取れなくなる。こういった時に便利なのが、GPS衛星で得た軌跡のみを記録するGPSロガーという製品だ。
とはいっても、スマートフォンが普及してきた現在、スマートフォンに搭載されるGPSを活用しGPSロガーとして使うことが可能となっている。機能はアプリによるが、オンライン地図で現在地が把握できるうえにログデータのやりとりもやりやすい。とはいっても、スマートフォンはバッテリーの持ちがあまりよくない。電話着信やメール、音楽再生にも使うのでバッテリーをできる限り温存したいものだが、車内で電源ケーブルを繋ぐのはおっくうだったりもする。こういった点で使いにくさを感じたら、単体のGPSロガー導入を検討するといいだろう。まずはスマホのアプリで便利さを体感するのはアリだ。連載「入れちゃお!iPhone & Android クルマ・アプリ」でも紹介されているので参照してもらいたい。
●My Car Tracks - GPS Tracker(Android)
http://car.watch.impress.co.jp/docs/series/car_app/20110916_477762.html
●EveryTrail(iPhone)
http://car.watch.impress.co.jp/docs/series/car_app/20100622_375814.html
また最近ではデジタルカメラにもGPSが内蔵されるようになってきていて、撮影ポイントの位置を記録することもできるようになっているのだが、ログ記録に絞ればやはりバッテリー問題はつきまとう。なおGPSロガーは、デジカメの撮影時間とGPSログをPC上でつき合わせて、撮影した位置情報を写真に埋め込むことが可能だ。
そこで、とにかく長時間の軌跡ログのみが欲しいときには、単純に走行軌跡を記録するだけのシンプルなGPSロガーを用意したい。電源を入れログ記録スタートボタンを押すだけでよく、本体もコンパクトなので、車から離れる時はポケットにでも放り込んでおける。
今回この目的で選んだのは、HOLUX「M-241」というモデル。GPSロガーというジャンルでは実績のあるパイオニア的なシリーズとなる。
この本体色がイエローの「M-241」は、Bluetoothを使ってデジタル機器と無線接続できるモデルだが、Bluetoothの機能が不要であればグリーンの「M-241C」を選ぶとその分だけ安くすむ。「M-241」では、国内でBluetoothの技術基準適合証明を取得した製品を購入するように気をつけたい。ほかにも、アイ・オー・データ機器の「旅レコ」というモデルは「M-241C」と同等のものとなっている。用途や手に入りやすさで選べばよいだろう。
なお、車内でUSB給電で使う格安GPSロガーは、以前にも紹介している。こちらも併せて読んで欲しい。
●GPSユニット「GT-730F/L」
http://car.watch.impress.co.jp/docs/series/minigoods/20100219_348768.html
M-241は同時に32チャンネル受信できるGPSレシーバーを内蔵していて感度は十分。一見すると銀塩フィルムのパトローネのような形状をしていて、上部方向にGPSアンテナがあるが、それほどアンテナの向きを意識する必要はなく、ダッシュボード上に置いても(もちろん転がらないように固定する)ちゃんと電波をキャッチしてくれる。ポケットに入れて持ち歩いても問題ない。
バッテリーは単3型電池1本なので入手しやすい。ニッケル水素充電池も利用できないことはないが、誤動作の可能性があるとして、メーカーの推奨はアルカリ電池のみになっている。実際にエネループで使ってみたが、特に問題となるような誤動作はなかった。自己責任で選択してほしい。
アルカリ電池で約12時間の連続使用が可能。ほぼ1日行動してもバッテリー切れの心配をする必要はない。USB端子からの電源供給にも対応しているので、車内ではシガーソケットに装着するUSBアダプタや、スマートフォン用のモバイルバッテリーも活用可能だ。これらを併用すれば大幅にログ記録時間を伸ばすことができる。
操作は、小さなバックライト付き液晶ディスプレイと2つのスイッチで、設定や現在の状態を把握するというシンプルなもの。この液晶があるおかげで現在の緯度経度や移動速度、時刻などが分かりやすく、設定状況も把握しやすい。設定や表示言語は英語(ドイツ、フランス、中国語に切替可)で日本語表示はできない。
本体底面にあるスイッチを入れるとGPS衛星を探しはじめ、キャッチすると記録メモリー残数を表示する。この表示は「MODE」ボタンを押すことで、衛星補足状況やメモリー残数などのステータス表示(Track Log)>時計(Time)>緯度経度(Position)>移動速度と方角(Speed & Altilude)>距離(Measure Distance)>設定(Setting)と切り替わる。
余談だが、GPS衛星の時計は高精度で常に複数の衛星から電波を受信し補正しているので、衛星を補足している状態での時刻は正確。時計としても信頼できる。時計は時計表示モードに切り替え、「MENU」を押すことで時差を設定できるので「UTC+9」に設定しておこう。
デジカメ撮影時の位置情報として活用する場合には、まず衛星をキャッチさせてから、GPSロガーの時刻にデジカメの時刻を合わせてから撮影を開始する。こうすることで位置情報のずれが少なくなる。
上空がひらけた場所で、電源を入れてから衛星を補足するまでの時間は約30秒から1分程度。衛星補足ステータスと移動速度モードの時には「START」ボタンを押すことで、ログの記録を開始/停止ができる。設定の「Autolog」をオンにしておくと、電源オンでログ記録を開始させることもでき、電池を抜いた状態にしてUSB端子にシガーソケットからUSBアダプタを使って給電すると、給電された時からログを開始させることもできる。キーのACCに連動して記録してくれるのでドライブ時に便利な機能だ。
なお、距離計測モードに切り替えて「Enter」を押すとその場所からの距離計測がはじまり、再度押すと停止する。トリップメーターとして活用できる。緯度経度モードで「Enter」を押すとその場所をマーカーできる。
走行中のログを記録したら、PCと「M-241」を接続して記録されたログを読み出す。「M-241」ではBluetoothによる無線接続が可能だ。もちろんUSBケーブルで接続することもできるが、この場合には認識時にドライバのインストールが必要になる。Bluetooth接続は単に新たなデバイスとして検索し登録すればよい。登録時にはペアリングコード「0000」を指定する。接続したら利用するCOMポートを確認しておくようにする。この情報は、ツール側からの接続設定で必要になる。
接続したら「MiniGPS Lite for PC」というツールを起動して、利用COMポートを指定し「Open」をクリックしてみよう。インストールは不要で実行ファイルを起動するだけだ。GPSの受信状況ステータスが表示されるので接続確認になる。
記録したログを閲覧するには「ezTour for Logger」を使う。CDに入っていたのは旧バージョンだったので、最新版をネットからダウンロードした。旧バージョンではGoogle APIの仕様変更により地図が表示されないので、新しいバージョン2.01を利用するようにしよう。この「ezTour for Logger」のみ、利用時にレジストコードの入力が必要になる。CDに付属しているのでダウンロードした場合には、CDを捨てないように注意。
●「M-241」最新ファイルのダウンロード(英文)
http://www.holux.com/JCore/en/products/products_download.jsp?pno=341
●「ezTour for Logger」のダウンロード(英文)
http://market.holux.com/Software/SU/
「ezTour」もBluetoothで「M-241」に接続するにはCOMポートを指定する。ツールバーの「本体の設定」から「接続設定」にて使用しているCOMポートを指定して接続すると、本体メモリ容量などがステータス表示される。続けて「ログの読み込み」から本体内のログを読み込むことができる。この際には読み込みが競合するので「MiniGPS Lite for PC」との接続は切っておくのを忘れないように。
「ezTour」では、読み込んだログから位置情報を写真に埋め込むこともできる。ツールバーから写真もしくはフォルダ単位で読み込むだけだ。読み込んだ後に、「写真/メディア」メニューから「写真へGPSデータを書き込む」を選ぶと、写真のExifに緯度経度情報が追加される。この写真は、FlickerとFacebookに直接投稿することもできる。Flickerではアルバム内で地図情報も表示されるので、場所と写真を併せて公開したいときに便利だろう。
「ezTour」から軌跡をGoogle Earthに転送して表示させることもできる。残念ながらGoogle MapsへKMZファイルを出力しインポートすることはできなかったが、「Logger Utility」を使ってトラックファイルを直接読み出し、KMLファイルをインポートするとうまくいくようだ。Google Mapsへの軌跡表示は、「マイマップ」で新規に地図を作成し「インポート」を選択する。Google Mapsで作成した地図はネットに公開されるので注意しておこう。自分だけで走行軌跡を楽しみたいのなら、「ezTour」にとどめておいたほうがよい。
スマートフォンでもGPSログが記録できてしまうので、単体のGPSロガーを持つ気にはなかなかならないかもしれないが、バッテリーを気にせず手軽に位置情報を記録できるのは、実際に使ってみると手軽に持ち出せ便利なものだ。また、PCと接続してGPSレシーバーとして活用することもできる。旅の記録を残すことにハマったら、ぜひ使いこなしてみてほしい。