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「神保町フリーミーティング #12」レポート。祝! 橋本洋平選手「86/BRZ Race」クラブマンエキスパートクラス総合優勝!! 勝つためのマシンとタイヤ、そしてメンタルとは

2019年12月5日 開催

橋本洋平氏や佐々木雅弘選手などが登場した「神保町フリーミーティング #12」

 Car Watchの人気連載記事である「橋本洋平の『GAZOO Racing 86/BRZ Race』奮闘記」を読んでいる方ならご存じのとおり、2019年の同レースのクラブマンシリーズ エキスパートクラスにおいて、橋本洋平氏は見事シリーズチャンピオンを獲得! その模様は第56回:橋本洋平の「GAZOO Racing 86/BRZ Race」奮闘記で紹介している。喜びがしっかり伝わる文章に、橋本氏のレースを撮影し続けてきた高橋学カメラマンだから撮れる印象的なカットで構成する記事になっているので、こちらもぜひ見ていただきたい。

 さて、それでは今回の神保町フリーミーティングだが、これはもう橋本氏のシリーズチャンピオン獲得を読者の方々やチーム関係者と一緒に祝いつつ、マシンやタイヤ、そしてドライビングについて語っていただくという内容である。

 ゲストは、主役の橋本氏、そして橋本氏が師匠と呼ぶレーシングドライバーの佐々木雅弘選手、橋本氏の「86」をメンテナンスしている「レボリューション」代表の青木隆氏。さらに橋本氏のレース活動をサポートしてきたブリヂストンから「POTENZA RE-12D」および「POTENZA RE-07D」の開発担当の本田真悟氏。なお、モデレーターはカーライフジャーナリストのまるも亜希子氏が務めることになった。

本日の主役であるモータージャーナリストの橋本洋平氏。2019年「GAZOO Racing 86/BRZ Race」クラブマンシリーズ エキスパートクラスのシリーズチャンピオン
レーシングドライバーの佐々木雅弘選手
マシンメンテナンスを担当した有限会社レボリューション 代表 青木隆氏
「GAZOO Racing 86/BRZ Race」におけるPOTENZAの成績報告とトークに参加していただいたブリヂストンの本田真悟氏
モデレーターはカーライフジャーナリストのまるも亜希子氏。橋本氏の奥さまでもある
仕事が終わってから立ち寄れるイベントが神保町フリーミーティング。19時になると受付には参加者が集まり始める
定刻に開始。大きな拍手に迎えられて橋本氏とゲストが入場

 開始時刻が近付くと参加者が続々と集まってくる。そして定刻になって橋本氏をはじめとしたゲストが入室。

 最初にあいさつを行なったのはブリヂストンの本田氏。本田氏からは今シーズンの「GAZOO Racing 86/BRZ Race」における、ブリヂストンユーザーの結果報告が語られた。

 まずはプロフェッショナルシリーズからだが、本田氏は「今年は3戦目以降すべてのレースの表彰台をブリヂストンユーザーが独占できました。晴れでも雨でも関係なく6連勝です。2016年にも6勝していますが、6戦連続の表彰台は初めてとなります。今年のプロクラスはブリヂストンにとって大変いいシーズンとなりました」と紹介した。

 続けて橋本氏の参加したクラブマンシリーズ エキスパートクラスについての結果報告が行なわれた。本田氏は「こちらのクラスでも全8戦中、橋本さんの3勝を含めて5勝しています。2016年以来のとてもいい成績になりました。とくに橋本さんには3勝もしていただき、われわれの成果に大きく貢献していただきました」と橋本氏を見ながら笑顔で語った。

POTENZA RE-07Dを使うプロクラスでは、参戦以来初めての6戦連続表彰台という好成績。POTENZA RE-12Dを使うクラブマンエキスパートクラスでは、橋本氏の3勝を含めて5勝したことが報告された

 本田氏の話にあるように、今年はブリヂストンのタイヤが強かったシーズンでもある。そこでまるも氏は、長年ブリヂストンタイヤで戦ってきた橋本氏に対し、「今年のブリヂストンタイヤにどのような印象を持っていたか?」という質問を投げかけた。それを受けた橋本氏は「ここには皆さんがいるというのにボクでいいの?」とちょっとビックリしつつ「クラブマンクラスで使われているRE-12Dは2018年に登場したタイヤなので、もう2年ほどモデルチェンジしていません。それでもトップを取れているというところがまずすごいですよね」と答えた。そして続けて「一方、プロクラスで使うRE-07Dは2019年に進化していますが、ここは本田さんに聞いてみたいです。どのへんが変わったんですか?」と本田氏へ話題を振る。

 再びマイクを持った本田氏は「今年のレースのレギュレーションは1レースで2ヒート走らなければいけないものになっています。つまり走行距離は倍になるわけですが、それでもプロクラスの走りに応える十分なグリップをキープしつつ、2ヒートを走りきれることが求められます。今年の改良はそこを狙ったものでした」と答えた。

 それを聞いた橋本氏は「耐久性を上げることをしてきたということですけど、アチコチのコースで去年よりタイムが出てますよね」と返すと、「コースレコード更新もありましたし、タイムは伸びました」と本田氏が述べた。

 ここで2人の視線がRE-07Dの開発ドライバーを務めた佐々木選手へ向くと、佐々木選手は「このレースではタイヤの太さにも決まりがあるのですが、RE-07Dは規定いっぱいの太さになっています。あとはトレッド面のパターンです。ここはパッと見たくらいでは従来品と同じように思えるでしょうが、実は違うのです」と語ってくれた。

 佐々木選手はさらに続けて「プロクラスの予選は1周で決めなければならないんですよ。現代の高性能タイヤはすべてこの傾向になっていて、ボクらが乗るとすべて1周勝負で、2周目には必ずタイムが落ちます。その分、最初のラップは速く走れるようになっていて、今年のRE-07Dはその傾向をより突き詰めた特性になっています。プロクラスの予選で言えば1周目と2周目のタイム差は1秒近くになりますし、エキスパートクラスのRE-12Dでも0.5秒くらいの差は出ますね。ではどうしてそうなるのかと言いますと、トレッド面のゴムは路面にある細かい凹凸に食い込むことでグリップ力を上げているのですが、このときに接地するトレッド表面がきれいな状態であればアスファルトに食い込んでいきやすく、トレッド表面が荒れてくると路面との形状が合わない部分が出てくるため、食い込みの度合いが低下。それによりグリップ力がダウンするのです」と詳しく解説してくれたので、会場はその話に聞き入っていた。

開発ドライバーの佐々木選手は改良のポイントについて「タイヤが太くなれば速く走れるイメージもあるでしょうが、ただ太くしただけだと路面と触れる面にかかる“面圧”が下がってしまいます。そこでその低下が起きないようにしていくのです」と語った

 会場の参加者と同じく話に聞き入っていた橋本氏も「去年は2周目でもタイムが出ると思っていましたけど、今年になってからは1周目が大事ということを肌で感じました。だけど、分かるまでにボクは7年かかったわけです」とちょっと苦笑いしつつ、佐々木選手の発言に付け足した。

 すると佐々木選手は大笑いしながら「そういえば以前、RE-12Dの新品タイヤで走行する機会がありまして、あ、このタイヤもボクが開発しています。で、走るとやはり1周目でタイムが出るんですよ。だけどハッシー(橋本氏の愛称)は2ラップ目や3ラップ目のほうがタイムが上がるので“おかしいなぁ”と思っていたんですよ」とちょっとイジワルっぽく橋本氏を見る。

 そして橋本氏は「え~っとですね、それはボクの体のピークが来るのがそのへんなんですよ(笑)。でも、ようやくタイヤのピークを使うということが分かってきました。だけどこれはとても難しいことなんですよね」と返答すると、本田氏から「今年の橋本さんの予選を振り返ると、最初は数ラップしてからベストタイムが出ていましたが、後半戦になってくると一発でタイムを出すようになってきましたよね。今年は予選でのピークの使い方と、最初にお話しした2ヒートを持たせるタイヤマネージメントの仕方など、タイヤに関わるトピックが多いシーズンでしたね」と劣勢(?)だった橋本氏にフォローが入った。

佐々木選手と橋本氏によるタイヤの使い方トーク。参加者の方々は興味津々で聞き入っていた

タイヤローテーションのポイント

 タイヤに関する話はまだ続く。GAZOO Racing 86/BRZ Raceでは、タイヤを長持ちさせるためにタイヤローテーションを日常的に行なっているという。ここでマイクを取ったのは、橋本氏のクルマをメンテナンスしているレボリューションの青木氏だ。ドライバーのトークを聞ける機会は多いと思うが、エンジニアの話を聞ける機会は滅多にないので青木氏の話は楽しみである。

 さて、その青木氏の話はというと「1ヒート走ったタイヤはそれぞれの装着位置で減り方が違っています。それを移動させるわけですから、履き始めは接地面がキチンと路面に当たってくれません。まあ、これは数周走れば解決することですが、橋本さんはスタートダッシュを得意とするタイプなので、走り始めからタイヤの接地面はちゃんと出しておくべきなんです。だからローテーションする際も車体に対してタイヤの付いていた位置をクロスさせる方法ではなく、左右の入れ換えを行なっていました」という内容。サーキット走行をしている人には有益な情報だろう。

 これに対して橋本氏からは「会場にもご自身でサーキット走行をする方はいらっしゃるのではないかと思いますが、スポーツ走行でタイヤをキレイに使っていくのは難しいですよね。そのためにもタイヤローテーションが有効なのですが、ボクは左右の入れ替えが好みで、前後で入れ換えるとどうにも乗れなくなります。それくらい違いがあるので試せるときに試してみて下さい。ところで佐々木選手はどうです?」と話を振る。

 すると「その点はあまり気にしてない。まあ、これはタイヤによるところもあるんですよ。ボクらが使っているRE-07Dはゴムが柔らかいので、履き始めの減り具合に違いがあっても、コースイン後のラップやフォーメーションラップの間に、ウェービングなどでトレッド面を作ってしまうことができるんです。でも、RE-12Dも同じような特性があるので……ハッシーは摩耗状態を気にしすぎなのかもしれないね」と弟子の心に刺さる(?)返しがきた。そしてそれを受けた橋本氏はマイクを握ってしばし固まる。

 ここで佐々木選手はさらに「ハッシーは思い込みが激しいところがあるんですよね。だから青木社長にもハッシーにはクルマのすべてを教えないでくれとお願いしているんです。これはどういうことかと言いますと、例えばタイヤを組み替えた際に“少しオーバーステアになるかもね”と言ってしまうと、ハッシーはそれをすごく気にしてしまう傾向があるんです。するとドライビングを抑えちゃうことがあるんですよ」と続けた。

 佐々木選手の話を頷きながら聞いていた橋本氏からは「ボクのまわりには経験豊富な人たちがたくさんいてくれるので、ほんとに助けてもらいました。でも、佐々木選手の言うとおり、気にし過ぎている面はありますね」と反省を交えながらのコメントが出た。

タイヤローテーションのついても話が聞けた。サーキット走行をしている人にはとくに参考になりそうだ

レースに勝つメンタル

 ここで話題が橋本氏のレース時におけるメンタルに関することになったところで、司会のまるも氏は本田氏に「今シーズンの橋本のレースに対して本当はこうしたほうがよかったと思うことはありますか?」と聞いた。

 本田氏は「その点については今年の結果が証明しているのではないでしょうか。タイヤのマネージメントができていなければ、強豪が多いクラスで年間3勝もすることはできないので、落ち着いてレースをしているように見えました」と返答。するとすぐ橋本氏が「ありがとうございます。いいコメントでした」と笑いながら返し、「今年のレースに雨が多かったという点でもRE-12Dには助けてもらいました。このタイヤはドライとウェットでの性能のバランスがとてもいいのです」と付け加えた。そしてさらに橋本氏はRE-12Dのヒミツも語った。

 この日の本番前、参加者はインプレスの会議室でミーティングを開いたのだが、その時に橋本氏は本田氏にRE-12Dについてある質問をしていた。それがウェットに強くドライでも速くするために設けた「3D-M字サイプ」という技術のことだ。この3D-M字サイプとはブロックの断面途中に3DのM字の切り込みを入れているもので、荷重が乗った際に起こるブロックの倒れ込みを抑制する効果がある。

 橋本氏は会場に展示していたRE-12Dを示しながら「溝の部分が倒れ込まないこの技術は、なんとブリヂストンのスタッドレスタイヤから流用した技術ということです。これはRE-05のときから使用しているとのこと。ひと言で言うと、ブロックの動きを調整するためのものとのことです」と参加者に解説した。

 本田氏からは「スリックタイヤに近い方が剛性が強くていいと思う方もいますが、パターン剛性が強すぎると逆に滑ってしまうのです。パターンが強ければゴムで調整しますし、パターンが弱いときは強いゴムを使うなど、つまるところパターン剛性とゴムの特性のバランスを取ることが大事なのです」と説明があった。

RE-12Dのヒミツを説明する橋本氏。スタッドレスタイヤの技術を取り入れているという
ドライもウェットも強かったRE-12Dのトレッド面
RE-07DやRE-12Dの開発現場でもステアリングを握る佐々木選手。開発時には1日で800kmくらい走ったこともあるという
ある日、橋本氏がレボリューションへ行くと、佐々木選手のクルマからシートが外され、ジャブジャブ水洗いされているところを見て驚いたと発言。すると佐々木選手は「一昨年まで鈴鹿1000kmというレースがあったけれど、あれに匹敵する距離を1人で走るんだから、洗うほど汗だくにもなるよ」とコメント
開発現場には青木氏も同行。過酷なテストでクルマへの負担も大きいため、事前整備はもちろん、インターバル時には油脂類の交換やブレーキパーツ交換などの整備を行なうという

 その後は、最終戦 岡山国際サーキットでのインカー映像を見ながらレースの内容を橋本氏が解説した。最後までシリーズチャンピオンを競い合っていた水野選手とのポイント差はわずかで、このレースで前にいる方がシリーズチャンピオンとなる。それだけに予選はとても大事だったのだが、ここで橋本陣営は「勝つレースというより負けないレースをしよう」という目標を立てた。

 その一環が、予選で水野選手と同時にスタートすること。この日は天候が不安定だったので、アタックのタイミングによっては路面コンディションが大きく変わることもあるため、タイミングを間違えると水野選手と大きな差がつくことも考えられる。ならば一緒のタイミングでコースインしようというものだ。

 その読みはよかったのだが、2人がアタックした時は雨が強くなってしまい、両者ともタイムは伸びず。しかも橋本氏は予選の終了時間を勘違い(クルマの時計が狂っていた?)したことで水野選手より4つ後ろの21位というポジションになってしまった。

 このあたりの心境は連載ページで細かく触れてあるのでここでは割愛するが、レースの時は気持ちを切り替えて、前の水野選手を抜くことだけに集中してスタートを切った。が、なんと結末はあっけなかった。スタートラップの混戦をクリアしていく橋本氏の目に見えたのは、ハザードランプを点けながらスロー走行する水野選手のクルマだった。なんとミッショントラブルでリタイアとなったのだ。

 86/BRZ Raceではクルマ全体を酷使するので、トランスミッションも何戦かごとにオーバーホールか交換をするものになっている。水野選手もその点には気を遣っていたのだろうが、橋本氏のクルマを担当するレボリューションは預かるクルマの状態をとてもシビアな目で管理しているので、この気遣いの差が最終戦の明暗を分けただけでなく「トラブルによるリタイアや不完全燃焼のレースがなかった今シーズンの成績すべてに効いていた」と橋本氏は言う。

青木氏によるトランスミッションの整備ポイント解説。レースという過酷な条件では4速ギヤが壊れるケースが多いが、その原因になる部分についても実物で解説してくれた
レボリューションはECUの分野にも長けているので、FA20エンジン用ECUを解析している(書き換えなどはしていない)。そして制御の中で行なわれているエンジンのパフォーマンスに関わる重要な点に気がついた。その結果、レギュレーションには違反せず(グレーゾーンでもない)パフォーマンスを正常に発揮させるクルマの扱い方を発見。橋本氏も佐々木選手もそれを行なっていた

 こうして見事シリーズチャンピオンを手にした橋本氏だが、その走りをいつも見ていたまるも氏から「最近スタートがうまくなったようですが、秘訣は何なのでしょう?」という質問が出た。すると橋本氏は「スタート練習ってあまりできないのだけど、何年もやってきているので慣れてきたのと、ボクの横にはスタートが上手い人(佐々木選手)がいるので教わることもできます。そんなことから失敗せずにスタートできるようになってきたんでしょうね。それにあとはタイヤです。RE-12Dは縦のグリップも強いので、まわりのグリッドに同じタイヤを履いたクルマがいなければ『あ、大丈夫』と安心できるから、その余裕もミスを起こさないための大切な要因だったと思います」と語った。

 続いてまるも氏は佐々木選手に「佐々木さんが感じた橋本の進化は何かありますか?」という質問をしたところ「運転のスキルはかなりあるドライバーなんですけど、メンタルの部分に弱点があったんです。気持ちが弱いというのではなくて、短気な部分ですね。だから、今シーズンが始まる前は“怒らないでいこう”をテーマとしてました。ここは特に口をすっぱくして言い続けていたのですが、すると成績も上がってきたんです。もともと速いドライバーなので、レース中に落ち着いていられるようになると、それが“誰が来ても勝てるぞ”という余裕につながってきたんだと思います。だから、一番進化したのはハートかなと思いますよ」と答えた。

橋本氏の進化を感じるか? という質問は青木氏にも振られたが、青木氏は予選のタイムを1周目に出せるようになったことを挙げた。また、スタートをしっかり決めて、最初のラップで必ず順位を上げて戻ってくるところにもスキルとメンタルが強くなったことを感じたという
ブリヂストンの本田氏からは「タイムの出し方も一発で決めてくるようになったし、レース全般においてタイヤのマネージメントがすごくよかったという印象です。苦しい展開になっても後ろをしっかり抑えられていた面も強さを感じました」と語った

グランツーリスモSPORTで師弟対決!?

 予定がある佐々木選手はここで退席することになったが、その前にPlayStation4用ソフト「グランツーリスモSPORT」を使っての師弟対決が行なわれた。会場に2台のPlayStation4とモニター、ステアリングコントローラーにはスラストマスターの「T-GT」を用意。勝負するマシンはもちろん86だが、カラーリングはなんと橋本氏のマシンのカラーリングに。実はコレ、どこかのファンが作ってアップロードしてくれたデカール(リバリー)を張ったもの。そして対決の舞台は富士スピードウェイだ。

 神保町のオフィスで両雄の熱いバトルが見られるか!? と思われたのだが、いざ走り始めてみるとなぜか橋本氏のマシンが速すぎる状態に(後で調べたところ原因は運営側の設定ミスで、マシンの性能に差が出てしまっていたとのこと)。そのため師弟バトルはお預けとなってしまったが、マシンの速さに余裕のある橋本氏が佐々木選手のマシンを後追いをして、そのライン取りや走らせ方の特徴を解説。橋本氏によれば、ゲームの中でも佐々木選手の走らせ方の特徴がよく出ているとのことで、レースの模様をモニターで見ている参加者には楽しめるものになっていた。

 また、自宅でもグランツーリスモSPORTをやっている橋本氏だが、ステアリングコントローラーのT-GTのよさにも言及。T-GTはグランツーリスモSPORT用に作られたハイエンドモデルなのだが、タイヤの滑り出す直前のインフォメーションなどがしっかりと伝わって来てより実車に近い操作ができるとのこと。

 あいにくこの日は時間の都合で、設定を直しての再トライとはならなかったが、また機会があれば、ぜひ実車に近いステアリングコントローラーとグランツーリスモSPORTで競う師弟対決を見てみたいものだ。

会場にプレイシートやスラストマスターのステアリングコントローラー「T-GT」を用意し、グランツーリスモSPORT対決の予定だったが、運営側の設定ミスで勝負はお預け。それでもゲームの中でも走りのテクニックを見せられるのはさすが

参加者との質疑応答。それぞれの“勝負飯”は?

 佐々木選手が退席した後は、参加者からの質問に登壇者が答える時間となったので、ここからはその内容をいくつか紹介していこう。

 まずは「勝負飯ってありますか?」という質問に対して橋本氏は「肉」と答えた。レース期間中は必ず食べに行くという。そして本田氏は「勝負飯というか決めていることはあります。朝はツナパンを買うとか、コーヒーを買うとかですね。昼や夜については決めていることはないんですが、朝はそんな感じです」と答えたところ、橋本氏は「あ、ボクもそんなのあった。レースのときの朝はスパゲッティを食べてました」と発言。まるも氏からは「なにそれ」と突っ込まれると「食べてすぐにエネルギーに変わると聞いたからですよ。でも、まあ、今はただ“好きだから”と言うことですけどね」と返していた。

 次に紹介するのは「GAZOO Racing 86/BRZ Raceに1戦だけスポット参戦するとしたらどこがいいですか? クラスはクラブマンオープンで、車両はレンタルを想定しています」というもの。これには「自宅から近いところがオススメですと言いたい面もありますが、もてぎや富士スピードウェイ、それに鈴鹿などはエントリー台数がすごく多いんです。だから十勝やオートポリスなど、台数が少ないレースを狙うのもいいと思います。台数の多いサーキットよりはるかに落ち着いてレースができるのではないでしょうか。十勝は家族旅行とワンセットで行くのもいいですね」と橋本氏が答えた。

 このように、お祝いを兼ねたトークショーらしく最後まで楽しく盛り上がっていたが、会場の使用時間いっぱいとなったところでお開きになった。橋本氏の来年の予定についてはまだ未定とのことだが、いつも参戦記を読んでくれているCar Watch読者の方、そしてCar Watch自体も橋本氏の2連覇を見てみたいと思うので、橋本氏からの発表がある日を楽しみに待ちたい。