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最新のカロッツェリア「楽ナビ 2023年モデル」登場! オンライン機能搭載やフローティングモデル登場などその進化に迫る

最新の楽ナビ 2023年モデルの魅力や進化点について聞いた

「楽ナビ」の新商品となる2023年モデルが3月に発売された。楽ナビはパイオニア(カロッツェリア)のカーナビでは1998年から続いているブランドで、現在においても非常に人気のあるブランドとして確立している。

 楽ナビ 2023年モデルでは15機種を用意し、さまざまなオンライン機能を搭載するとともに、カロッツェリア初のフローティング構造を採用するなど大幅な進化を果たした。ネットワークスティック同梱モデルを5機種、スタンダードモデル(ネットワークスティック別売)を10機種ラインアップする。

 そんな楽ナビ 2023年モデルについて、関係者にお話を聞きながらたくさんある改良点、進化点に追った。

楽ナビ 2023年モデル(AVIC-RQ920-DC)

 楽ナビは初代モデルから時代に合わせて使いやすさも変化させてきた。当初の音声認識機能からはじまり、2001年の「Doリモコン」ではお出かけのやりたいことが完結。さらに2012年には手をかざすだけで操作ができるようになり、2014年には手元で操作できるスマートコマンダーなど、使いやすさも時代やトレンドに合わせて進化してきた。

 一方で楽しさも進化している。2003年にはリアモニターセットを登場させ、2005年にはCDを取り込めるミュージックサーバーを採用。2014年にはいち早くHDMI端子を搭載し、2019年にはより楽しんでもらえるよう全モデルHD対応も実現した。

 そして、「Doリモコン」は大幅な進化を遂げて「Doメニュー」として楽ナビ 2023年モデルのインターフェースの中心となっている。進化するところは進化し、よいところは残すというのが今の楽ナビの考え方だ。

2023年モデルは大幅な進化を遂げて「Doメニュー」としてメインメニューになっている
「Doメニュー」からすぐにコンビニエンスストアが検索できる
駐車場もすぐに出てくる

ユーザーの声やユーザーの求めるものを反映した楽ナビづくり

パイオニア販売株式会社 マーケティング部 戦略企画課 佐藤祐樹氏

 進化の裏には徹底した調査も欠かせない。パイオニア販売 マーケティング部 戦略企画課 佐藤祐樹氏によれば、楽ナビに限らずカーナビ全般にわたって不満な点などを調査し、一般的には地図データや使いやすさという点に不満を抱いていることが分かった。しかし、楽ナビの購入者アンケートでは購入の決め手として1位が「分かりやすい地図表示」、2位が「高画質」、3位が「操作性」と、一般的に不満を抱くところが楽ナビでは評価されるようになっている。

 ところが、スマートフォンの普及でスマートフォンの操作は誰でも使い慣れるようになる中で、クルマに特化して進化してきたカーナビは、ある意味ガラパゴス化した使いやすさになっているのでは、と感じたこともあるという。

 そこで、フリック入力などスマートフォンの操作性を取り入れるとともに、今回はインターネット経由で情報を取り入れるオンライン機能を充実させた。ネットワークスティックと呼ばれる通信端末を楽ナビと接続するだけで、簡単に楽ナビをオンライン状態とすることができる。それにより、オンライン検索や地図の自動バージョンアップ、独自の渋滞情報取得などもできるようにした。

文字の入力にはフリック入力も可能になっている

 もちろん、カーナビの分かりやすい地図表示もおそろかになっていない。高精細なHDディスプレイで見やすい地図としている。

全機種高精細液晶を搭載、くっきりときれいな地図表示
夜間モードもある

 そして、カーナビの基本である交差点を曲がる指示も、信号の数や交差点手前のどこくらいの位置にいるかなど、重要なものを分かりやすく表示させることも特に注意して仕上げたところだという。

曲がるところが近づくと、曲がる交差点までの距離と②と表示。これは2つ目の信号を曲がるという意味になる
クルマが進むにつれ、距離の数字が少なくなっていく
次の信号まで進んだら「次」という表示になる
交差点まで来たら「この信号」と曲がるところを明確に示し、行き過ぎの可能性を減らしてくれる

オンラインを活かした使いやすさ、地図更新もタッチ1つで

パイオニア株式会社 モビリティコンシューマーカンパニー 市販事業統括グループ 商品企画部 企画1課 山内博史氏

 地図データのインターネットを通じた無料バージョンアップはこれまでも対応してきたが、実際にバージョンアップをするためには別のPCなどでSDカードにダウンロード、それをカーナビに読み込ませるなどの作業があり、積極的にバージョンアップをしようという気持ちがなければやりにくいものとなっていた。

 パイオニア モビリティコンシューマーカンパニー 市販事業統括グループ 商品企画部 企画1課 山内博史氏も「冒頭のアンケートでもありましたが、やはり1番不満に思っている部分が地図や検索などの情報の古さの部分になります。その反面楽ナビはバージョンアップが無償でついているにも関わらず、使用率が非常に低いことも課題でした」と語るとともに、「買うときは無償更新の安心感も購入理由のひとつなのですが、人というのは不思議なもので、いつでも更新ができると思うとすぐにはやらない。加えてバージョンアップが分かりにくいとか面倒だということを理由に、無償期間を終了する人が多く発生していました。一方で、サイバーナビで地図の自動更新機能を設けたところ、ほぼ全てのユーザーが地図更新していることも分かっていました」。

 そこで今回は、カーナビそのものがオンライン機能を持ったため、バージョンアップを促す表示を画面に出し、「はい」を押すだけでバージョンアップへと進めるように変更したという。

 しかも、バックグラウンドで更新した地図データがダウンロードされ、バージョンアップのための機能停止は最小限に抑えられる。結果的に、画面指示の操作だけでバージョンアップでき、手間も大幅に削減された。サイバーナビで実施率が急上昇した実績があるため、楽ナビでも期待できるという。

 そして目的地検索もオンライン化した。オンラインでない場合は地図データ内の検索に限られていたが、オンラインではカロッツェリアのサーバーと通信。常に最新のデータの中から検索し、最新スポットなども見つけることができる。オンラインならば検索方法を考えずに検索ボックスに直接入力して検索するという、いつものスマホ検索のような感覚で検索できる。

検索窓から数文字入れれば候補が出てくる。これはオンライン検索
羽田空港は俗称であるが、羽田と入れれば東京国際空港という正式名にたどりつくのも、カロッツェリアの検索サーバーが検索しやすいデータにしているためだ
これも正式名称と俗称に差がある施設。「神宮 絵画館」で希望の目的地が表示され、選ぶことができた
正式名称の「聖徳記念絵画館」までのルートを設定できた

 なお、オンラインを活かした機能はほかにもある。例えばガソリンスタンドの検索で、オンラインであればガソリン価格情報まで表示される。特に遠方までドライブした場合、ガソリンスタンドを選ぶときに価格が分からないと不安になるものだが、カーナビに価格情報が表示されれば選ぶときの目安になる。そして、駐車場の満空情報もリアルタイムで表示できる。

 オンライン機能は2023年発売の楽ナビ全機種に対応。通信回線として専用通信モジュールであるネットワークスティックが使えるほか、車内に持ち込んだスマートフォンのテザリングやモバイルルータなどと接続しても使える。

ガソリンスタンドのところにガソリン価格も表示。安心してガソリンスタンドを選ぶことができる
駐車場も満空情報がリアルタイムで出てくる。駐車場まで行ったら満車だった、ということにならなそうだ

内部を一新して動作がスムーズになるようチューニング

 今回、動作速度が大幅に向上している。その点を山内氏は「中のハードウェアやSoC(システムオンチップ=CPUを含めた処理回路をまとめた半導体)を含めて一新しました。まず、最新のSoCを採用したことで、今までよりもパフォーマンスが高まりました」と語る。

 ただし、処理速度を上げただけでは操作性はよくならない。「単純に早くしようと頑張ったのですが、やればやるほど“これでは使えない”ということになりました。例えば、ちょっと触っただけで地図がスクロールしすぎてしまうこともあったのです。つまり早過ぎても操作性が上がるわけではないのです。それを(ドライバーが)左手でも使えるよう、利用シーンに応じて最適かつ滑らかに動くよう何か月もチューニングに費やしました」とし、完成した楽ナビ 2023年モデルではスムーズさと操作した際の使いやすさがしっかり伝わるインターフェースになっているとのことだ。

動作を早くすることはできても、使いやすさも向上させるためには細かなチューニングが必要。今回も処理速度アップでチューニングをやり直したという
「羽田空港」で出た候補から選び、目的地を設定する
ルート探索速度は体感できるほど早くなった
6ルート探索にも対応。すぐに候補を出してくれる

 また、処理性能アップはルート探索の高速化も実現した。東京から札幌といった長距離かつ複雑になりがちなルートも、一瞬でルートを計算する。

 同時に複数のルートを提案する「6ルート探索」になると、その分の時間がかかってしまうが、これもスムーズに利用できるような工夫がされている。最初に1つのルートが表示され、その後、残り5ルートの計算をすぐに終わらせその情報が追加されていく。ユーザーは6ルートをすぐに比べられ、その裏で計算を継続し、ユーザーが詳細なルートを確認しようとすると情報がすべて揃っているというチューニングがなされているのだ。

 なお、山内氏によればカロッツェリアのカーナビの歴史の中で、ルート探索は初代HDDサイバーナビで早さを極めたあと、ルートの質を求めて渋滞データまでも考慮して探索するようになった結果、探索時間が多少長くなってしまったモデルもあったという。今回、内部の処理能力の高速化を実現したことで、質を保ったままルート探索の高速化を実現できているとのことだ。

検索画面をシンプルにしないと、どこから検索すべきが分からなくなる

パイオニア株式会社 モビリティコンシューマーカンパニー 市販事業統括グループ 商品企画部 企画1課 小田昌樹氏

 また、検索画面についても名称検索や住所検索など、検索方法の入り口が多いほうが検索しやすい一面もあるが、自分の検索しやすい方法をどこから選んだからよいか分からなくなるときがある。

 これについて、パイオニア モビリティコンシューマーカンパニー 市販事業統括グループ 商品企画部 企画1課 小田昌樹氏は「ここは極力シンプルにしたかった」と語る。理想は検索窓が1個あればそれで完結することだといい、楽ナビ 2023年モデルでは検索方法の表示を絞り込んでいる。

 これは佐藤氏の奥さまから、「住所検索をしたいのにどこにあるか分かりにくい」との指摘を受けたことに気付きがあった。カーナビを作る立場からすれば選択肢を多く用意した方がよいと思うだろうが、シンプルに検索できるならばそれに越したことはない、というわけだ。

 今回、オンライン検索を採用することで、相当な部分がオンラインでカバーできるようになった。であれば、検索方法を集約して、入り口をまとめてしまおうと考えたのが山内氏だ。

大きく6項目まで絞った検索画面

 それでも過去のモデルを使うユーザーの不便をなくすため、入り口は少ないが、1つ入ったあとに選択できる部分を残している。シンプルにも詳細にも検索できる。両方のインターフェースを残しているのが今回の楽ナビなのだ。

フラット画面にドットを表現、操作性を向上

 シンプルな使いやすさを実現している楽ナビだが、外見もモデルチェンジを経るごとにシンプルさを追求しており、最新モデルはブラックでフルフラットな画面を実現。フラットな画面で静電容量となることで、使っていないときもすっきりとしているが、課題は操作性だ。

 物理ボタンの場合、どこを押すか分かりやすく、ボタンの境界性もはっきりしている。しかし、フルフラットになると境目が分かりにくいことから使いづらさにつながってしまう場合がある。フローティングタイプだけなら上面やサイドに物理ボタンを配置する例もあるが、カロッツェリアの場合はさまざまなタイプがあり、どのタイプでも使いやすさを実現しなければならない。

微妙な凸をフラットな画面に付けて、タッチでボタンを押しやすくした

 佐藤氏は「まずは本体にシルバーのラインが入ってるのですが、なぜここにラインが入っているかというと、Doメニューのメニューボタン、ナビボタン、オーディオボタンの3つがよく使うキーになるので、パッと見たときによく使うキーが判断できるようにしています。そしてドット、つまり凸になっています。普通のフラットパネルは凹凸がないのですが、凸加工をすることで静電パネルでありながら、どこに何があるのというのが触感で分かるようにしています」と語る。

 小田氏もフラットになったことについて、「サイバーナビのフラットボタンでも、触れると音が鳴って耳でも分かり、触れた場所の周囲の映像が押されたよう変化して視覚的にも分かるようにしておりましたが、今回の楽ナビではこれらに加え、触感でも分かるようにしました。静電パネルでは触れた瞬間に次の動作に進むため、効果について意見が分かれることもありましたが、ボタンを押した時のその“押した感”にこだわりました」と語る。

 また、凸加工のドットについても「コストもあり、きれいに凸を作ることは大変で、機能性とデザイン性の兼ね合いもあり、社内で何度も議論を重ねてこの形になりました」と実現に苦労もあったそうだ。

 完成した2023年モデルの楽ナビは、そのシンプルな外見からファミリーカーだけでなく精悍なSUVまで、さまざまなクルマにマッチする。画面サイズも専用取付キットでぴったり収まる9型や8型のほか、汎用の2DINに収まる7型、7型ワイドの用意もある。

楽ナビは精悍な本格派SUVにも違和感なく収まる。写真はスズキ「ジムニーシエラ」の現行型で、9インチ用の車種専用取付キットを使い、まるで純正のように収まっている

 そして、新たに2DIN車でも大画面の装着が可能になるのが、次に紹介するフローティングモデルだ。

フローティング構造のモデルも新たに追加。対応車種は業界最多(2022年12月現在)を実現

 楽ナビ 2023年モデルのトピックとしては、ラインアップにフローティング構造のモデルが投入されたことも挙げられる。カロッツェリアのカーナビにおいてフローティング構造は今回の楽ナビが初だ。

フローティングタイプ(AVIC-RF920-DC)を用意した

 フローティング構造は正面から見れば大画面が使えるなどメリットが大きいが、機種によっては横から見るとごちゃごちゃとした機構部分が丸見えのモデルもある。

 そこで新型楽ナビのフローティングモデルでは、画面の縁取りは異なる色の塗装で薄く見える効果を演出するとともに、形状もすっきりとしたものに仕上げた。背面にボタンなどを配置していないため、横から見たときの凹凸などもない。

背面にはなにもなく、すっきりとしたデザイン
クルマにフローティングタイプの画面を取り付けると、意外に横からのスタイルが気になってしまうが、楽ナビはボタンなどのないシンプルな外見に仕上げた

 常に振動が発生する車内に設置され、指で押される環境にあるフローティングタイプだが、しっかりと固定されるようヒンジの硬さなどもチューニングしている。

 フローティングモデルは対応車種が幅広いことも特徴。対応車種は業界最多の548車種(2022年12月現在)に上る。この多数の車種は、これまで蓄積された詳細なデータに基づくもの。単に装着の可否だけでなく、シフトレバーやコラムにあるレバー類との干渉の状況など、車種ごとに異なる情報まで網羅している。

 その点も小田氏は「実は干渉などの測り方も難しいのです。まずは実車での測り方をどうするのか、ルール作りから行ないました。最初にルールをしっかり決めたおかげで、その後の調査では既存のデータも活用しながら進めていき、多く車種で対応を確認できました」と語っている。まさに、カーナビやカーオーディオを長年手掛けているパイオニアの強みだ。

 なお、今回フローティングの画面は9型となっているが、さらに大型化した場合、周囲のレバーとの干渉が発生し、助手席エアバックの展開にも影響する可能性があるので安全面で大きな支障が出かねない。取付時に画面を上下左右へシフトする方法もあるが、それも別の干渉といった問題が出る可能性があるとのことで、現在の最良バランスが9型になるとのことだ。

バックカメラは水平画角180度のHD対応、2カメラの専用ドラレコ連動も

楽ナビ 2023年モデル専用のバックカメラ「ND-BC300」。HD解像度でワイドのため、後退時の安心感は大きい

 操作性などを楽にしたほか、バックカメラによる安全確認も楽にした今回の新型楽ナビ。今回から解像度の高い専用HDカメラ「ND-BC300」を用意し、高い解像度で表示ができるようになった。特に楽ナビの高精細表示と組み合わせることを前提に、カメラの視野角を水平方向180度にアップ。より確認しやすくした。そのため、条件のわるいときでも急な歩行者の飛び出しなども認識しやすくなっているという。

 専用カメラでは解像度が上がっただけではない。佐藤氏は「新たに発売するHDバックカメラでは、ドライブレコーダーで採用の多いカメラにSTARVIS技術を搭載したソニー製のCMOSセンサーを搭載しておりまして、夜でもはっきりと後方映像を確認することも可能となっています」と説明する。

専用のドライブレコーダー「VREC-DS810DC」も用意。楽ナビの高精細画面でいつでも録画内容を確認できる

 また、バックカメラに続いて楽ナビ 2023年モデル専用のドライブレコーダー「VREC-DS810DC」を用意。佐藤氏は「今までも連動ドライブレコーダーがあり、録画した映像を確認したいときは、ナビ画面上でファイルを選んで再生ができました。ただし、完全な連動というほどではなかった。今回は、録画した映像はサムネイルをダイレクトにタッチにすることができるなど、完全に連動したと言えます」とし、簡単にドライブレコーダー映像を振り返りができるようにブラッシュアップされている。

 さらに、通信の入り口となるネットワークスティックは、2023年の楽ナビ全モデルに対応し、末尾に「DC」が付くモデルには同梱となる。さらに「docomo in Car Connect」に対応し、通常のモバイルサービスよりも格安で車内が使い放題のWi-Fiスポットとなる。「docomo in Car Connect」への申し込みはWeb上で簡単に行なうことができ、ドコモユーザー以外もOKだ。料金プランとしては「1日プラン」(550円)、「30日プラン」(1650円)、「365日プラン」(1万3200円)から選択が可能になっている。

 なお、「docomo in Car Connect」は車載用の商品のため、通信可能な状況がハードウェア的に制限されるが、「エンジン始動後走行前30分」「走行中」「走行後アイドリング停車中60分」は通信することが可能なので、通常の移動シーンであれば快適にインターネットを楽しめると言っていいだろう。

「docomo in Car Connect」の利用条件について

専用機だから、乗ったら“すぐ”使えることを極める

 今はカーナビを使わなくても、スマートフォンを接続したディスプレイオーディオもあれば、スマートフォンをそのまま使っても道案内は可能。では、専用のカーナビを使ったほうがいいところとはどのようなところだろうか。

 山内氏は、「専用のカーナビは乗ってすぐ使える、誰でも使えるということで支持されていると思います。国内では2000年以降FIXタイプのカーナビが主流で、どんなクルマに乗ってもカーナビが装着されているという状況だと思います。近年ではディスプレイオーディオもありますが、スマートフォンを接続する手間があります。そういった手間なしで全部1つで済んでしまうのが専用機の最大の強みです」と述べる。

 また、楽ナビでは「乗ってすぐ使える」を実現するため処理能力のアップによる高速化のほか、例えばカーナビでは起動時にロゴが出たあとルート探索や交通案内のディスクレームが表示されるが、楽ナビではロゴの下にルート探索のディスクレームを同時表示させることで、実際にナビが使用できるまでの時間を短縮している。

 一方、専用機のメリットはGPSだけでなくジャイロや車速信号による正確な自車位置の維持がある。佐藤氏は「立体交差や高架では、どうしてもスマートフォンでは位置把握が苦手になってしまうので、それで専用機を選ぶという話も聞きます」と語る。

 楽ナビでは長年にわたって培った感度補正テクノロジーを備え、大型ショッピングモールの立体駐車場に対応。道路に出たときでも、高い精度で道路をトレースするため、初めて訪れたショッピングモールでありがちな、駐車場から出た瞬間に場所や方向が分からなくなることが少ないという。

楽ナビでは「必要な機能が進化」、サイバーナビとの違いは?

 今回、楽ナビにWi-Fiが搭載され、サイバーナビと楽ナビの距離感が近づいてきたように思う。サイバーナビとの違いはどこにあるのだろうか。

 山内氏は両者が近づいているように見える点を「もともとサイバーナビの企画担当でもあったので、サイバーナビで評判がよかった機能を使わない手はない、と取り入れました」と語る。

「ただ、サイバーナビが優れた部分、クルマの中で高音質やエンタメといった、サイバーナビでしかできない機能がいくつもあり、それらで差別化をしています。一方で楽ナビは、ナビに対しての使いやすさが求められる部分に特化して進化させています。やっぱりカーナビを買う人は、ナビ機能が欲しくて買ってるので、それに応えることが重要だと考えました」と説明する。

 また、佐藤氏は「あくまでもカロッツェリア カーナビのフラッグシップモデルはサイバーナビになります。楽ナビはその時代に合わせた使いやすさに加え、カーナビの基本性能として進化が必要な部分はサイバーナビで培ってきた技術を取り入れています。より高度なカーナビやエンタテインメント機能を求める方にはサイバーナビをおすすめいたします」ということだ。

 今回のオンライン化や処理速度のアップは、必要なところはしっかり進化させる、つまりブレずに初代から続いてきた楽ナビのコンセプトそのものなのだ。

このほかにも多数の機能が用意される楽ナビに注目

 今回楽ナビ 2023年モデルの関係者に話を聞きながらその進化を確認したが、最新の楽ナビは長年積み重ねたノウハウを生かしたものになっていることが分かった。そしてこのほかにも細かいところでたくさんの変更点や進化があることも理解できた。紹介しただけでも十分だが、実際に最新の楽ナビに触れてみれば、さらなる進化点に気づくことは間違いないだろう。

 楽ナビは使いやすくシンプルな操作性を実現しているが、そのために快適な動作速度や高度な検索機能など、内部は決してシンプルなものではなく、高度な技術の結晶だ。ぜひ新しくなった楽ナビを確認してみてほしい。

Photo:高橋 学