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【短期連載】スバル 水平対向エンジン60周年に寄せて
Car Watch記者が水平対向エンジンの歴史を振り返る
- 提供:
- 株式会社SUBARU
2026年5月14日 11:00
60周年記念イベントを販売店で開催
スバルは、水平対向エンジンの誕生60周年を記念して、5月23日~24日、30日~31日に全国統一展示会「SUBARU BOXER 60th 記念祭」を各地の販売店で開催する。
展示会では、エンジンの歴史や開発思想、技術的特徴を紹介したヒストリーパネル展や、歴代エンジンサウンドの試聴、エンジン模型の展示など、さまざまなコンテンツが楽しめる。
また、店頭ではマイスバル会員向けに、歴代エンジンをモチーフにしたラバーキーホルダーを1つプレゼント。デザインは「EA52」「EJ20」「GE33」「EZ30」「FA20」「FB20」「CB18」の計7種類が用意されている。ファン垂涎のプレゼントに関して、詳しくは店舗スタッフに問い合わせいただきたい。
ほかにも、店頭での試乗でプレゼントがもらえるなど、お楽しみコンテンツが盛りだくさんの展示会となるので、詳しくはSUBARU BOXER 60th記念祭の特設サイトをチェックしてほしい
今回の短期連載では、スバルの水平対向エンジンが誕生60周年の節目を迎えるにあたり、各方面からのメッセージを3回にわけてお届けする。第1回はメディアの視点から、Car Watchの記者 谷川潔が取材の中で見てきたスバルの水平対向エンジンの思い出や印象を紹介する。
取材者から見た水平対向エンジンの進化
スバル 1000に搭載されたスバル独自の水平対向エンジン「EA型」が誕生してから2026年で60周年になるという。Car Watchでは創刊以来さまざまな形でスバルの水平対向エンジンを取り上げてきたが、取材をするたびに進化していく水平対向エンジンに対する読者の興味の強さは、こちらの予想を超えていることが多いものだった。世界でも希有な量産水平対向エンジンを搭載するクルマを作り続けるスバルへの期待値の高さがうかがえた。
記者は子供のころは東京都三鷹市在住で、春になると富士重工業とICU(国際基督教大学)は桜並木を一般公開しており、桜が咲き誇っていたのを覚えている。大人になってから三鷹工場でスバルの水平対向エンジンが作られていたのを知り、水平対向エンジンとの不思議な縁を何となく感じていた。
本誌は2008年9月の創刊となるため、2026年は18周年を迎える年になる。スバル水平対向エンジンの歴史と比べると3分の1以下だが、近年のスバルは「BRZ」といったスポーツカーの発売、環境や安全性の向上のためのSGPプラットフォームへの刷新、そして直近では大きく燃費を向上させた「S:HEV」ストロングハイブリッドの投入など、パワートレーンのラインアップを多様な形で広げている。
今でも名機として語られる「EJ型」の水平対向4気筒2.0リッターEJ20エンジンは、1989年の初代レガシィとともに登場。本誌で取材を行ない続けた2000年代はスバルのフルラインアップを支えたEJ20エンジンを、どのように刷新していくのかという時代であったように思える。
現在もスバルのラインアップを支える新世代水平対向エンジン「FB型」は、2010年9月29日に新宿にあった東京本社で説明会を開催。初めて見たときの激変ぶりに驚いた覚えがある。
このFB型では、それまでのスバルの水平対向エンジンの特徴であったショートストロークタイプ(ピストンのボア径よりも、ストローク長が短いこと)から、燃焼の効率向上を求めてロングストロークタイプへと変更された。具体的には、同じ2.0リッターエンジンでもEJ20の92×75mm(ボア×ストローク)から、FB20では84×90mmへとロングストローク化し、ストローク/ボア比(S/B比)をEJ20の0.82から1.07へと変更。圧縮比は10.2から10.4(発表時、現在は12.5のものも)へと引き上げられた。
スバルは、この高効率なFB型エンジン発表の翌月に現在も続くブランドステートメントである“Confidence in Motion”を発表。「安心と愉しさ」を実現するFB型エンジンと先進運転支援システムである「アイサイト」によって大きな成長を遂げた。
水平対向エンジンの高効率化の次にスバルが手を打ったのは、新時代の水平対向スポーツユニットを提供すること。それが「FA型」エンジンで、スバルとトヨタ自動車が共同開発したBRZ/86用のユニットとして2012年に登場した。
その特徴は、FB型よりも高回転志向とした86×86mmのボア×ストローク(ストローク/ボア比1.0)を採用していることにある。この86×86のスペックは「86スクエア」とも呼ばれ、2.0リッター4気筒のスポーツエンジンでの採用例が多い。そのスポーツスペックに、トヨタの直噴システムを組み合わせたのがBRZ/86用のユニットとしてデビューした自然吸気のFA20エンジンになる。FA20のエンジンカバーには「D-4S」の文字とトヨタとスバルのロゴが入っており、当時の開発担当者は「両者の協業の証」と話していた。
興味深いのはその数か月後には、FA20をターボ化したFA20 DITがレガシィ用のパワーユニットとしてデビューしたこと。よりパワフルになるとともに、こちらのFA20 DITでは直噴システムがスバル製となっていた。同じFA20でもターボのあるなしで直噴システムの使い分けがなされるなど、それぞれに技術的チャレンジが行なわれていたのが印象的だ。
スバルは同社独自の直噴システムを大きく発展させ、リーンバーンの領域にまで持ち込み、さらにエンジンそのものをコンパクトにした最新の水平対向エンジンを2020年に送り出す。それがCB型で、コンパクト化を図るためベースの排気量を1.8リッターとし、ボア×ストロークは80.6×88.0mm(ストローク/ボア比は約1.09)の圧縮比10.4を採用。
空燃費をストイキ燃焼(14.7:1)の2倍の領域まで持っていく(λ=2)ことにより、超希薄燃焼を行なうことで熱効率も向上。熱効率は現代の内燃機関としてトップクラスの40%と発表されており、この領域での燃焼のために直噴とターボが必須になっている。
2008年の本誌創刊以来、FB型、FA型、CB型といった新世代水平対向エンジンの新発表を取材してきたが、改めて振り返ると名機と呼ばれたEJ20では最大出力こそ今でも一流ではあるものの、出力特性や環境性能、燃費性能に難があり、それらを克服する戦いをスバルが行なってきたことが分かる。
出力性能だけでなく、環境性能や燃費性能の両立を図るには、1型式のエンジンではすべてをカバーできる時代ではなく、高効率なFB型、パワー特性に優れたFA型、最大の熱効率を狙ったCB型といったバリエーションでスバルのラインアップを構成している。
さらに現在では、進化したストロングハイブリッドであるS:HEVも登場し、低域の要求特性をある程度ハイブリッドトランスミッションに任せることで、水平対向エンジンをより積極的に味わえるようになっている。
時代は電動化へと向かっているものの、以前のようにバッテリEV一辺倒ではなく、地域や市場に合わせたさまざまな形のxEVが求められている。その中でSUBARU BOXERと呼ばれる水平対向エンジンを搭載したスバルのクルマは、シンメトリカルAWDと名付けられたバランスのよい搭載方法とともに、独自の存在感を発揮し続けるのは間違いないだろう。
最後にまったく個人的なことだが、FB型にしろCB型にしろ、今回記事を執筆するにあたってインターネットを検索してWikipediaなども参照させていただいた。Wikipediaであれば「なるほど!」と思ったことも、当然ながらアーティクルの末尾に掲載されている一次資料まで遡って確認を行なっているのだが、そこに出てくる一次資料がCar Watchの記事であることもしばしば。自分の記憶力のなさを感じると同時に、こうしてスバルの発表会を記録し続けたことが少しは世の中のお役に立っているのかなと感じた次第だ。これからもクルマの進化や発展を記録し、多くの人にお届けしていきたい。





















