トピック
ホンダアクセス、タイ・バンコクで土屋圭市氏らと一緒にサーキット走行するユーザーイベント開催
ドラゴ・モデューロ・ホンダ レーシングの道上龍監督と武藤英紀選手も参加
2016年11月8日 00:00
- 2016年10月10日(現地時間) 開催
ホンダ車向けの純正アクセサリーを開発、販売するホンダアクセスは、タイ王国の首都バンコクの郊外にあるパトゥンタニースピードウェイにおいて、三栄書房の雑誌「Option」誌のタイ版「Option Thailand」と共同でユーザーイベントを開催した。
タイの自動車販売で日系メーカーの占める割合は2013年の時点で88%(経済産業省発表の白書発表値)と圧倒的に日系メーカーが強い市場となっており、日本のメーカーがタイに進出して生産したクルマをタイ国内で販売したり、ASEAN(東南アジア諸国連合)加盟国に輸出する形でビジネスを行なっている。このため、タイの道路を見れば多数の日系メーカーのクルマが走っており、それに合わせて日本のチューニング車文化も輸出される形になっていることから、日本のチューニングカー向け雑誌であるOption誌も現地雑誌として出版されている。
今回のイベントは、そうしたOption誌とホンダアクセスが、タイのホンダ車ユーザー向けに行なったユーザー参加イベントとなる。
イベントには、ホンダアクセスの開発アドバイザーである土屋圭市氏、SUPER GT GT500に参戦しているドラゴ・モデューロ・ホンダ レーシングの道上龍監督と武藤英紀選手の3人が登場。ユーザーとの質疑応答、体験走行やドリフト走行のデモ、走行会などを行なった。
今回のイベントが行なわれたパトゥンタニースピードウェイは、SUPER GTが行なわれたブリーラムにあるチャン・インターナショナル・サーキットのような国際レースが行なわれる本格的なコースではなく、ちょっとしたスポーツ走行程度に耐えうるようなミニサーキットになる。ドリフト走行やスラローム走行を行なう広場とコースの2つが用意されており、これを利用してドリフト走行や走行会が行なわれた。
サーキット内のブリーフィングルームで行なわれた開幕イベントでは、この日のゲストとなる3人に加えてドラゴ・モデューロ・ホンダ・レーシングのレースクィーン"Modulo スマイル"を務める水村リアさん、Option Thailandの編集長などが登場してイベントを進行した。
Option Thailandの編集長は「今日はわざわざお休みを取って(筆者注:イベントは10月10日、月曜日に行なわれた、もちろんタイでは平日)来ていただきありがとうございます。日本のOption誌、そしたホンダアクセスさんの後援でこうしたイベントができて嬉しい。今回はモータースポーツ好きな人がいらっしゃっていると思うが、日本のドリフトキングや世界的なレーサー、さらには日本からレースクィーンまでが来てくれている。ぜひ楽しんでいってほしい」と挨拶し、その後、土屋氏、道上監督、武藤選手、水村リアさんの4人が、それぞれ紹介された。
土屋氏は「今日は皆さんに来ていただいて嬉しい。半日と短い時間だが楽しんでいってほしい。レースがなくて暇している日はドリフトしています」と自己紹介すると、詰めかけた来場者から大きな拍手を受けていた。
道上監督は「昨日はブリーラムサーキットで、チーム初表彰台となる2位を獲得できた。今日は半日ですが、一緒に楽しみたい」と、さらに武藤選手は「昨日ホンダアクセスさんのスポンサードを受けているNSXで2位になれた。昨年のタイのレースでも表彰台に乗っており、タイはとても大好きだ」とそれぞれ述べると、ドラゴ モデューロチームの2位表彰台獲得を祝って拍手が起こった。
Modulo スマイルの水村リアさんは「普段はModulo(モデューロ)製品のアピールやレースでチームに帯同している。タイはこれで3回目で、タイでクルマ好きの可愛い女の子もいるイベントに参加できて嬉しい」と挨拶した。
GT500とGT300の違いはマシンの価格の“桁”だと土屋氏
その後、会場からの質疑応答が行なわれたので、以下でその模様をお伝えする。
──土屋氏におうかがいしたいが、なぜドリフトが好きなのか?
土屋氏:レースに勝つためにドリフトを練習していたら、こうなっていた。みなさん私のことをレーシングドライバーというよりも、ワイルドスピード3でドリフトしている土屋ぐらいにしか思っていないのではないでしょうか(笑)。後はイニシャルD。皆さん、私は本当はレーシングドライバーだ(笑)
──どのようにしてModuloの開発アドバイザーになったのか?
土屋氏:本来はホンダの技術研究所で開発をしていて、Moduloのサスも開発してほしいとお願いされて、Moduloの開発を担当することになった。
──道上監督にうかがいたいが、どうしてドラゴ モデューロチームの監督になられたのか?
道上監督:3年前までは自分自身もドライバーとしてSUPER GTを戦っていた。昨年から監督を務めさせていただくことになった。
──タイのサーキットと日本のサーキットの違いは?
道上監督:自分はタイのサーキットは走ったことはないのだが、ブリーラムのサーキットはスタンドから一望でき、見晴らしもよい。日本にはないタイプの素晴らしいサーキットだ。
──武藤選手はホンダのドライバーとして、インディカーシリーズをはじめとして世界で戦ってきたが、どうしてドラゴの一員になったのか?
武藤選手:難しい質問ですね、去年は別のチーム(17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GT)で走っていたのだが、昨年の年末に監督から直接連絡をもらって移籍することになった。去年は17号車でタイで表彰台に乗れて、今年は僕がドラゴに移籍したら2位表彰台を獲得することができた。やっぱり僕でしょと(笑)
──GT500とGT300の最大の違いは何か?
土屋氏:これは道上監督には答えにくい質問なので私が答える(笑)。かけてるお金が1桁違う。FIA GT3の車両は6000万円で買えるが、GT500はトヨタだろうが、ホンダだろうが、ニッサンだろうが1億5000万円だ、だいたいだが(笑)
──人生で最高のクルマはなんですか?
土屋氏:ホンダのイベントなのでNSX(笑)
道上監督:NSX
武藤選手:ホンダのイベントなのでメルセデス・ベンツ(笑)
土屋氏:来年、武藤選手は呼ばれてないな(笑)
──新しいFC型のシビック タイプRをホンダは開発するのか?
道上監督:ホンダはWTCCというカテゴリーに参戦しているが、2018年にはそのクルマで参戦するという話を聞いている。
──ドリフトができるクルマはどれぐらい馬力があればいいか?
土屋氏:ドリフトは150馬力ぐらいあれば普通にできる。今日ドライブしたS2000も200馬力だけどなんの問題もない。
──土屋氏の筑波のベストタイムを教えてほしい。
土屋氏:ARTA NSXでタイムアタックした時のタイムが58.1秒。ちなみに自分のAE86でアタックしたときは1分00秒(会場からおおーとの声:もちろんタイ語で)
──クルマ好きの夢はプロのレーサーになることだが、どうやったらなれるのか?
武藤選手:一番は監督に気に入ってもらうことだ(笑)。真面目に答えると、いつでも誰よりも速く走ること、それにつきる。
──リアさんにお聞きするが、レーサーに言い寄られたことはあるか?
水村さん:ホンダのイベントなので、ないと言っておきます(笑)。(ドライバーから、じゃあ、そうじゃなければあるのかよと突っ込まれて)一切ない、そんなホンダドライバーはいない(笑)。
──タイ人の恋人はどうか?
水村さん:ウェルカム(笑)
土屋氏がユーザーのクルマに乗ってドリフトする夢の体験同乗
イベントでは、ホンダがタイで販売している「Jazz(日本ではフィット)」「HR-V(日本ではヴェゼル)」「シビック(FC型、4ドアセダン)」にホンダアクセスのカスタマイズパーツを装着した車両が用意され、土屋氏、道上監督、武藤選手がそれぞれ乗り込んで、ユーザーのクルマを先導する形で走行会が行なわれた。また、土屋氏がユーザーのクルマを運転するドリフト体験走行なども行われた。
それに先だって、筆者も武藤選手がドライブするJazzに同乗させてもらい、サーキット走行を体験させていただいた。レーシングドライバーの横に座って本当にビックリしたのは、どんな速度であってもきっちりクルマをコントロールする正確さだ。
乗り込んだ当初、ちょっと緊張気味にびびっていた筆者を面白がったのか、武藤選手は2つめのコーナーで「おっととっと」と言いながら、コーナーのアウトサイド、ギリギリまでマシンを持っていきつつ綺麗に曲がっていった。その「おっととっと」が冗談なのか本気なのか分からない筆者は本気で引きつった訳だが、もちろんギリギリをきっちり曲がっていく武藤選手のドライビングには見事としか言いようがなかった。
その後は外から見ていたが、コースに立てられたパイロンをギリギリで回っていく姿には、要するに運転がうまい人というのはどんな速度域であろうがマージンをもって運転ができる人なのだとよく分かった。
また、土屋氏はユーザーが持ちこんだS2000の数台を運転し、ドリフト走行のデモを行なった。コースに設置されたパイロンギリギリにドリフトしながら抜けていったり、撮影しているカメラマンの近くでドリフトしながら回る土屋氏はまさに"ドリキン"と呼ばれた姿そのもので、詰めかけたホンダユーザー達もやんやの歓声を送っていた。
なお、イベント終了後には、土屋氏、道上監督、武藤選手のサイン会が行なわれ、熱心なファンは、土屋氏にイニシャルDのモデルカーを差し出してサインしてもらうなど大盛況だった。
ボディはシビックだが顔はCR-Zなどのユニークなチューニングカーも
今回参加した参加者は、いずれもOption Thailandの読者で、ホンダユーザー。参加しているクルマも多種多様で、「S2000」「シビック タイプR」「インテグラ タイプR」といったホンダを代表するスポーツカーの他、「Jazz(日本ではフィット)」「シビック」「アコード」などもあり、かつOption誌の読者らしくチューニングしてあったり、エアロパーツでドレスアップしてあったりと多種多様だった。
例えばシビックを改造した車両では、ベースはシビックなのだがバンパーやヘッドライトの部分はCR-Zっぽくなっている、往年の「シルエイティ(前の部分はシルビアだけど、180SXの車体という改造車)」ばりの"CRビック"とでも呼んだ方がいいような"ニコイチ"なクルマもあるなど実に多彩だった。
いずれのオーナーも、ホンダ車が好きなのだなぁと感じさせる、熱意を持って改造している車両が多く、中には日本の車庫証明のシールや車検ステッカーなどが貼ったままの車両なども混じっており、日本から中古車として輸出されたことが分かるクルマもあった。
なお、タイでは海外で生産された車両のタイへの持ち込みは高い関税がかかることになっており、日本の中古車を輸入するとその車体価格と同じぐらいの税金がかかることになるので、価格は倍になる(だから日系メーカーはタイに工場を作って現地生産している)。それでも、日本で売ってる仕様の車両を購入したいというニーズがあるようで、実際に日本から輸入する熱心なホンダファンも少なくないということだった。
協力:株式会社ホンダアクセス