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ホンダアクセス、同社カスタムの「ステップワゴン」「S660」を題材にトークショー開催
開発アドバイザーの土屋圭市氏、開発担当者が熱く語る
(2016/2/10 12:07)
- 2016年1月15日~17日開催
純正カスタマイズブランド「Modulo(モデューロ)」を展開するホンダアクセスは、幕張メッセで開催された「東京オートサロン2016」に、カスタマイズコンセプトモデル「STEP WGN Modulo Concept(ステップワゴン モデューロ コンセプト)」、参考出展車の「Modulo S660 Study Model(モデューロ S660 スタディモデル)」、純正アクセサリーを装着した「N-WGN Daily Luxe Collection(N-WGN デイリーリュクスコレクション)」などを出展した。
同会場では、連日さまざまなテーマでトークイベントが開催され、1月16日と17日にはモデューロ開発アドバイザーを務める土屋圭市氏が登場して、「ステップワゴン モデューロ コンセプト」「モデューロ S660 スタディモデル」の開発者とともに同ブランドの魅力や開発にかける思いを来場者に熱く語った。
STEP WGN Modulo Concept(ステップワゴン モデューロ コンセプト)
会場に出展された「ステップワゴン モデューロ コンセプト」は、スポーティなスタイリングのステップワゴンをエアロパーツにより先鋭化。存在感や迫力といったルックス面だけにとどまらず、空力性能を追求することで走りの面にもプラスアルファをもたらしている。サスペンションは車高を15mmダウンし、高い直進安定性と応答性のよいハンドリングを実現すると同時に、しなやかで上質な乗り心地を目指した足まわりを採用。インテリアもシート表皮やステアリング、シフトノブなどを上質感のあるマテリアルに変更することで、運転する楽しさだけでなく所有する喜びも与えてくれる。
1月17日のトークショーには、土屋圭市氏に加え、ホンダアクセスからはモデューロの走行機能パーツの開発を担当する福田正剛氏、ステップワゴン純正アクセサリー開発責任者の小椋栄治氏が登壇した。
トークショーの冒頭、福田氏はモデューロの歴史について語り、25年前に「NSX」の開発をニュルブルクリンクで行なっていたことを紹介。「人から、クルマから、道から教えてもらったことを吸収」「素晴らしいベース車をさらによくする」ことがモデューロのコンセプトであり、我々の仕事であると説明した。
土屋氏は「クルマ好きじゃないと“ここまでできない”というテストをちゃんとやる」と話し、彼らが会社員としての仕事を終えた後に「個人的にちょっとクルマに乗らない?」と、さらに200kmぐらい走ったりすることもあったと明かされた。
今回出展されたモデューロ S660 スタディモデルに装着されているアクティブスポイラーも、そうやって走り込みつつ「1mm上げるとか下げるとかやっている(土屋氏)」と開発時の裏話を披露した。
そんなコダワリのもとに開発中なのがステップワゴン モデューロ コンセプトだ。小椋氏はベースのステップワゴンを「1.5リッターターボ、わくわくゲートなど完成度が高く走りもよいクルマ」と紹介しつつ、さらにホンダアクセスならではのコダワリとして「どーんと目立って上質な走りを目指した」と語る。エクステリアは「戦国時代の鎧兜みたいなウイング」に、「アクセスらしいビームライトや、メッキグリル」などにより存在感を増しつつ、エンジン下のカバーやリアのディフューザーなどによりエアロダイナミクスもキチンと考慮されているという。
土屋氏は「ミニバンなんだから格好よければよいじゃない」というものの、開発陣が目指すのは「ミニバンの中でも一番の走り」。その成果は福田氏が「“風の通り道”を軸にサスを動かすことにトライ。凄く高い車速でも安定するのと矢のようにまっすぐ走るようになった」と言えば、小椋氏も「スムーズで路面のギャップをいなすような走り」ができ「完璧です」と胸を張る。
ただ、土屋氏はまだテストすることが出来ていないらしく「このメンバーは、“ミニバンなんだけどスポーツセダンのような性能”を出すまで絶対乗せてくれない」と残念がると、福田氏は「中途半端に出来たところで乗ってもらうのではなく、“師匠”なのでちゃんとしたものに乗って評価してもらいたい」と、その理由を説明した。
コンセプトモデルのため市販化は現状未定だが、開発陣の言葉の端々からは仕上がりのよさがうかがえる。
Modulo S660 Study Model(モデューロ S660 スタディモデル)
コンパクトなボディならではの走りが持ち味となる「S660」。その半面、荷物を積むスペースが少なくロングツーリングで不便。そんなS660ユーザーの声に応えるために開発された専用のルーフキャリアで、1泊2日程度の旅行を可能にしている。また、オープン時にも気持ちよく音楽を聞いてもらうためシート後方の耳もとに取付るスピーカーも提案された。
16日のテーマは「モデューロ S660 スタディモデル」。この日は土屋圭市氏に加え、ホンダアクセスからはモデューロの走行機能パーツの開発を担当する福田正剛氏、純正アクセサリーおよびモデューロX(N-BOX、N-ONE)の純正アクセサリー開発責任者の松岡靖和氏が登壇した。
トークショーの冒頭、司会者からのモデューロとは? の問いに「意のままにコントロールする楽しみ」がベースとなるコンセプトだと松岡氏。「誰が乗っても分かる」「NSXでも軽自動車でも分かる」「雪道や山道でも乗って分かる走りの愉しみがある」と具体的に説明した。
S660の純正アクセサリー開発に当たっては「各領域から集まったプロジェクトメンバーはオープンのスポーツカーに乗っている人ばかりが集まった(松岡氏)」という。生み出されたアイテムはこれまでの“モデューロの走り”をベースに、さらに深化させるべく新しい技術が投入されている。その代表例となるのが軽自動車初の後付けアクティブスポイラー、それに最適剛性を考えたアルミホイールだ。
スポイラーを含むエアロパーツの開発に当たって、松岡氏は「空力だけを追求するのではなくお客様の心に響くデザイン、とにかく恰好いいもの」と話すとともに「性能をちゃんとバランスさせる」ことを重視したという。そんな松岡氏に対して土屋氏は「エアロを作るのに段ボールから始める人達だから」と裏話を披露。「段ボールってすごく有効なんですよ、5mmぐらいの幅でしょ。ちょうどいいんです(福田氏)」と、クレイモデルを作るように段ボールをガムテで貼り、フロントルーバーの角度などを決めていくそうだ。
一方のアルミホイールは最適な走りを実現するために「フロント、リアなど(剛性を変えて)5種類ぐらい作った」そうだ。土屋氏は「そんなことするのはレーシングカーぐらい、軽でやってどうするの?」と言いつつも、鷹栖のコースを走り終えるとフィーリングの違いを実感。「もう1セットやろうか」と乗り気になったという。
こういったアイテムを装着したクルマは北海道鷹栖にあるテストコースでも鍛えられる。開発アドバイザーの土屋圭市氏はもちろん、デザイナーや役員まで同行してハンドルを握る。それは「乗れば乗るほどいいものができる」「一緒に走ることで価値を伝えていきたい」から。電動アクティブスポイラーやホイールなど、新しい試みは難しい面もあるが「チャレンジしたい気持ちがホンダの根底にはある」「苦労はあったが楽しく最後まで開発できた」と松岡氏。
最後に今後の展開について触れ「久しぶりに出たホンダのスポーツカー。皆さんに長く愛してほしい。次の進化を毎年やっていきたい。モデューロでしかできない革新的なアイテムを提案したり、皆さんのニーズを聞いて開発していきたい」と締めくくった。
土屋圭市氏「ノーマルでは満足しない人達を納得させるのがモデューロの役目」
モデューロ開発アドバイザーとしてトークショーに出演した土屋圭市氏は、トークイベント後にCar Watchのインタビューに応えた。
モデューロブランドについて土屋氏は「見た目だけでなく性能値も重要なポイント」であるとし、特に走りの面では「シッカリ感とシットリとした乗り味、真逆のことを両立させるという難しいことをやっている」とコメント。BMWの「M」、メルセデスの「AMG」、トヨタの「TRD」のような存在を目指していってほしいと述べた。
N-WGN Daily Luxe Collection(N-WGN デイリーリュクスコレクション)
会場には走りを強調する提案のほかにも、ライフスタイルを彩る提案として1月29日より発売された「N-WGN デイリーリュクスコレクション」が展示された。N-WGNをベースに女性向け車内空間コーディネートアイテムを装着したモデルで、デニム調とタンカラーのレザー調表皮を組み合わせたコンビネーションシートカバーをはじめ、同じくタンカラーのステアリングカバー、デニム風パネルを使ったバックミラーカバーなど、女性ならではのコダワリを感じさせるアイテムで室内を華やかに仕上げている。
15日のトークショーには、モデルでありデザイナーの有村実樹氏のほか、ホンダアクセスからは開発担当の橋冨加奈氏、商品企画担当の田島由美子氏、広報販促担当の藤野紫氏が登壇した。有村氏はホンダアクセスが発行する女性向けクルマ情報誌「and Q.」のモデルも務めている。
同社の女子会はスタッフが自発的に集まり3年ほど前にスタート。販売店からの「女性向け品目の展示方法」といった質問に対応することから始まったという。その後、オリジナル商品の開発にも着手し、これまでに「マカロンカラー」「バービー」と2つのコレクションを発表。今回、オートサロンの会場で3つ目となる「デイリーリュクス」のお披露目となった。
デイリーリュクスのコンセプトは「リッチカジュアル」。実車を見た有村氏は「デニムでカジュアルダウンしつつレザーのバッグでカッチリ。それで大人っぽさとかオシャレ感を出すのが流行っているのでまさにという感じ」と評価。
2月に発行される「and Q Vol.5」では、デイリーリュクスコレクションの世界観を余すことなく表現。ぜひ、ディーラーに足を運んで手に入れて欲しいとアピールした。
協力:株式会社ホンダアクセス