2013フランクフルトショー

ポルシェ、PHVのスーパースポーツ「918スパイダー」をワールドプレミア

最高出力887PSを発生し、燃費は3L/100km。ニュルのタイムは6分57秒

「918スパイダー」などを公開したポルシェブース
2013年9月12日~22日(現地時間)

独フランクフルト Messe Frankfurt

 ポルシェ「911」の発売開始から50年という記念の年を迎えるポルシェがフランクフルトショーに向けて用意したワールドプレミアモデルは、プラグインハイブリッド(PHV)をシステムに組み込んだ「918スパイダー」。ポルシェの伝統的なDNAを引き継ぎながらも、新たなる扉を開く革新的なスポーツモデルになる。

 ポルシェは、来年度からル・マン24時間をはじめとするWEC(世界耐久選手権)シリーズに参戦することをすでに発表しているが、レースカーのマシン開発から多くの技術をフィードバックさせたのがこの918スパイダーという。

 パワートレーンはV型8気筒4.6リッターエンジンで最高出力は608PS。ル・マンLMP2クラスに参戦しているRSスパイダーのレースモデルをベースとしており、最高回転数は9150rpm。1リッター当たり約132PSを発生するハイパワーエンジンだ。これに電気モーターをフロント、リアそれぞれに搭載し、システム全体で887PSを発生する。モーターの出力はフロントが130PS、リアが156PSとなっている。

 モーターのみ、エンジンのみでの走行が可能なほか、モーターとエンジン双方から駆動力を得ることも可能。フロントのモーター、リアのエンジンとモーターにより4輪を駆動させ、7速PDK(ポルシェ・ドッペルクップルング)でギアをセレクトする。

ワールドプレミアされた「918スパイダー」。230V電源なら4時間で満充電にすることが可能で、オプションのポルシェ・スピード充電ステーションを使用すれば約25分でフル充電が行える

 これだけのパワーを誇りつつ、3L/100kmという圧倒的な燃費性能を誇るのも918スパイダーの特徴。EV走行時のモードを「eパワー」と呼び、バッテリーが満充電の場合はこのモードが選択される。eパワー時の航続可能距離は16~32kmで、0-100km/h加速は7秒、最高速は150km/hまで出すことができる。モーターに電力を供給するのは水冷式のリチウムイオン電池で、容量は約7kWh。充電時間を短縮するためにプラグイン充電インターフェイスを備えた、新しいシステムを導入する。230Vの電源ならば4時間で満充電にすることが可能で、オプションのポルシェ・スピード充電ステーションを使用すれば約25分でフルに充電することができる。

 918スパイダーのワールドプレミアに併せて発表されたリリースによると、発売前にニュルブルクリンク北コース(ノルドシュライフェ)でタイムアタックを行い、ラップタイムは6分57秒と、これまでの記録を14秒も更新するレコードタイムをマークしたと言い、名実ともに最速かつ環境性能にも優れたスーパースポーツモデルということになる。

 ポルシェ918スパイダーは、ネーミングのとおり918台限定で生産する予定となっているが、すでにすべての車両のオーナーが決まっているそうだ。

V型8気筒4.6リッターエンジンとフロントとリアそれぞれにモーターをセットし、システム全体で887PSを発生。その一方で3L/100kmという圧倒的な燃費性能を誇る
918スパイダーのインテリア。リアに搭載するエンジン単体の最高出力は608PS

 918スパイダーとともに初公開されたのは、911の50周年アニバーサリーモデル「911カレラS 50thアニバーサリーエディション」。

 このアニバーサリーモデルは、メッキのモールやエンジンカバー、フックスホイールを彷彿とさせるデザインなど、外観、内装ともに初代911をオマージュした仕上がりとなる。専用のスポーツエキゾーストシステムやリアトレッドのワイド化、それに合わせたPASM(ポルシェサスペンション・マネージメントシステム)の専用セッティングなどパフォーマンス面もベースとなるカレラSから引き上げられている。

 初代911が1963年に発売されたことから、1963台の限定となっている。

911発売の50周年を記念したアニバーサリーモデル「911カレラS 50thアニバーサリーエディション」
911ターボとターボSも初公開されたモデル。3.8リッターターボエンジンの最高出力は、911ターボで520PS、ターボSで560PSと歴代最高。先代に対して30PSアップさせている。しかしながら燃費性能は先代に対して16%向上させ、9.7L/100kmをマークする
ブースにはポルシェのレースカーも展示。今年のル・マン24時間レースでクラス優勝した911RSR(写真上段)と1971年の917-5.0(写真下段)がその2台になる

真鍋裕行

1980年生まれ。大学在学中から自動車雑誌の編集に携わり、その後チューニングやカスタマイズ誌の編集者になる。2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立。現在は、編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで、幅広くリポートしている。また、雑誌、Webサイトのプロデュースにも力を入れていて、誌面を通してクルマの「走る」「触れる」「イジる」楽しさをユーザーの側面から分かりやすく提供中。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。