2015デトロイトショー

プレスカンファレンスで世界初公開された新型「NSX」

3モーターハイブリッドのパワートレインは550HP以上

会期:2015年1月12日~25日(現地時間)

新型「NSX」とともにフォトセッションを行なった開発責任者のテッド・クラウス氏(左)とアキュラブランドのマイク・アカビティ副社長

 1月12日、ホンダの米国法人であるアメリカン・ホンダモーターは、北米国際自動車ショー(デトロイトモーターショー)において、アキュラブランドから新型「NSX」のワールドプレミアを行なった。

 今回のデトロイトモーターショーでももっとも注目を集めるワールドプレミアということアキュラブースには、プレスカンファレンスの開始時刻前から多くの報道陣が集まった。

 新型NSXが開発されていることは以前より話題になっていが、コンセプトカーという形でお披露目されたのは、2013年のデトロイトモーターショーになる。同年の東京モーターショーでは国内にも公開。2013年の夏にはオハイオ州で開催されたインディカーシリーズにおいてデモンストレーションランも実施されている。

 今回発表された新型NSXは、これまでのコンセプトモデルとはボディーサイズ、デザインともに異なる。量産モデルではないがデザインなどは、ほぼこの状態でリリースされるという。

プレスカンファレンスで初披露された新型NSX
プレスカンファレンスで新型NSXを解説する開発主査のテッド・クラウス氏。アメリカが主導で開発やデザインを行なってきたNSXについて、完成度やパフォーマンスなどに絶対的な自信を覗かせていた

 パワートレーンは、「SPORT HYBRID SH-AWD」。低重心化のためにドライサンプ潤滑方式を採用したV型6気筒直噴ツインターボエンジンを搭載している。そのエンジンに高効率モーターを内蔵した9速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)が組み合わせられ、前輪には左右で独立したモーターを2つセットする「TMU(ツインモーターユニット)」が装備される。TMUは、駆動力だけではなく減速力も自在に制御する高度なトルクベクタリング機構をあわせ持つ。ドライバーは、どの速度域でも確実なライントレースを実現できるという。

 V型6気筒エンジンと3つのモーターの総合的なシステム出力は550HP以上ということだが、これからの煮詰めなどによってさらなる上積みがあるのだろう。

 550HP以上のパワーユニットには「Integrated Dynamics System」と呼ばれるドライバーが選択する制御システムがセットされる。選択できるモードは「Quiet」「Sport」「Sport+」「Track」の4タイプ。ダイヤル操作のみで
好みのモードを選べる。Trackモードは、NSXの極限の運動性能を発揮することができる最強のモードになる。発進時には、エンジンと3つのモーターの出力をすべて使い切るローンチモードも装備。一方でQuiteモードでは、3つのモーターのみの電動走行も可能となる。

 シャシーは、カーボンとアルミニウム、超高強度鋼板を組み合わせた複合素材ボディを採用する。それぞれの素材は革新的な結合技術によりユニット化され、ねじれや曲げ剛性を大幅に高めたスペースフレームを作り上げた。ボディパネルやフロアにはカーボンが採用されていて、軽量化に貢献している

 新型NSXの価格は15万ドル以上で、販売は北米からスタートする。今年の夏には受注が始まり生産は秋から行なう予定となっている。まだ、発売までの時間が多少あるが、数値的な性能やデザインなどは、今回公開されたモデルで決定している。発売までの間に、パワーユニットなどの制御の煮詰めを行ない、さらなる完成度の向上を行なっていくとのことだった。

新型「NSX」
リアミッドには、V型6気筒エンジンと9速DCTとモーターが搭載されている
ホイールは前後異径となる。サイズはフロントが19インチ、リアが20インチ。ブレーキは、カーボンセラミックスディスクを採用していて、キャリパーはフロントが6ピストン、リアが4ピストンになる
ヘッドライトは6灯のLEDで構成されている。内側の2灯がハイビームとなる
LEDバーを使った左右のテールランプ。ブレーキを踏むとセンターとハイマウントのストップランプが点灯する
インテリア

真鍋裕行

1980年生まれ。大学在学中から自動車雑誌の編集に携わり、その後チューニングやカスタマイズ誌の編集者になる。2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立。現在は、編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで、幅広くリポートしている。また、雑誌、Webサイトのプロデュースにも力を入れていて、誌面を通してクルマの「走る」「触れる」「イジる」楽しさをユーザーの側面から分かりやすく提供中。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。