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写真で見る ホンダ「NSX」

 本田技研工業は8月25日、新型スーパースポーツ「NSX」を日本で発表、同日にオーダー受け付けを開始した。本稿では新型NSXの細部を紹介する。

 新型NSXは軽量なボディに新開発されたV型6気筒DOHC 3.5リッター直噴ツインターボエンジンをミッドシップに配置するとともに、高効率・高出力の3モーターハイブリッドシステム「SPORT HYBRID SH-AWD」を搭載。生産は米オハイオ州メアリズビルの4輪車工場に隣接して作られたパフォーマンス・マニファクチュアリング・センター(PMC)にて行なわれ、エンジンはホンダとして世界最大のエンジン工場であるオハイオ州アンナ工場の専用ステーションで組み立てられる。どちらの工場も勤務する技術者は選抜された精鋭メンバーとなる。

 日本での販売は全国のホンダカーズ店の中でも、スーパースポーツのメンテナンスに必要な専用設備を備え、ホンダが認定したサービスエンジニアである「NSXスペシャリスト」が在籍する「NSX PERFORMANCE DEALER」を新たに設定し、販売やメンテナンスを行なう。このNSX PERFORMANCE DEALER認定店は8月8日よりホンダの公式サイトで公開されている。

 新型NSXのラインアップは1グレードのみで、価格は2370万円。ボディカラーはバレンシアレッド・パール、ヌーベルブルー・パール、ノルドグレイ・メタリック、ソースシルバー・メタリック、カジノホワイト・パール、ベルリナブラック、130Rホワイト、クルバレッドの全8色。内装色はエボニー、オーキッド、レッド、サドルの4色。

 オプションパーツとしてはカーボンファイバーエクステリアスポーツパッケージ(108万円)、カーボンファイバーエンジンカバー(40万円)、カーボンファイバーリアデッキリッドスポイラー(36万円)、カーボンセラミックブレーキローター ブラックキャリパー(113万4000円)、カーボンセラミックブレーキローター シルバーキャリパー(120万円)、カーボンセラミックブレーキローター レッドキャリパー(120万円)があり、インターウーブンホイール切削とインターウーブンホイールポリッシュのオーダーは無料で受け付ける。

 また、インテリアオプションとしてはカーボンファイバーインテリアスポーツパッケージ(36万円)、電動4ウェイパワーシート セミアニリンレザー/アルカンターラ(32万4000円)、電動4ウェイパワーシート セミアニリンフルレザー(45万円)が設定されている。

新型NSXのボディカラーの名称は世界のサーキットにちなんだもの。写真は「130Rホワイト」と呼ばれ、鈴鹿サーキットの名物コーナーである130Rに由来する
写真のボディカラーは「バレンシアレッド・パール」。スペインのバレンシアのストリートコースで行なわれていた、かつてのF1ヨーロッパグランプリをイメージした名称。オプションのカーボンファイバーリアデッキリッドスポイラーが装着されている
前後のスタイリング。エクステリアデザインのデザイナーは鳥の羽をイメージしたという
フロントにツインモーターユニットを搭載し、センターには3つのモーターを最適に制御するパワードライブユニットと、シート後ろに高出力リチウムイオンバッテリーとDC/DCコンバーター、ECUを集約したインテリジェントパワーユニットを積む。そしてリアにはエンジンとダイレクトドライブモーターを搭載し、全身がパワーユニットで包まれる
フロントフード下に前輪を駆動するためのツインモーターユニットが収まる。このモーターは最高出力が37PS、最大トルクが7.4kgm。モーターの最大回転数は1万5000rpmまで高めてあり、200km/hまで駆動力をアシストすることが可能だ。またトルクベクタリングを実現していて、サーキットでの旋回時も左右モーターに等しく逆向きのトルクを与え、200km/h越えの速度域でも優れた操縦安定性を発揮する
リアのガラスハッチの奥にV型6気筒DOHC 3.5リッターツインターボエンジンを搭載。エンジンの最高出力は507PS、最大トルクは56.1kgm。V8やV10を採用しなかったのは新型NSXの開発コンセプトである人を中心にした「ヒューマン・オリエンテッド」に沿ったもの。高圧縮化、ドライサンプ潤滑などを採用し、ミドルクラスのエンジンでありながらハイパワーと高い運動性を実現する。また、リアには最高出力48PS、最大トルク15.1kgmのダイレクトドライブモーターを設置。このモーターはクランクシャフトに直結していて、トランスミッションがどのギヤにあってもターボラグを補うためのアシストを行なう。なお、ダイレクトドライブモーターはスターターとジェネレーターの機能を兼ねている
3つのモーターとパワーユニット、エンジンにDCTと発熱量が多いクルマでもあるので、冷却のためのインテークやアウトレットが多数用意される。フロント右のバンパーダクトはツインモーターユニットクーラー用。フロント左の奥に9速DCTギヤクーラーがある。ラジエターなどを冷やす前面からの走行風はフロントフードの左右にあるベントから抜ける
エクステリアのポイントにもなっているフローティングリアピラーの下にターボエンジン用のインタークーラーがある。V型ツインターボエンジンなのでインタークーラーも左右に振り分ける
ルーフはカーボン製。Aピラーは超高張力鋼菅ピラーを採用することで、ピラー自体の幅を細くしつつ高い剛性を確保。リアのエンジンフード先端(室内側)にはルーフから流れてくる風をエンジンに取り込む吸気口が空いている
オプション設定のカーボンファイバーリアデッキリッドスポイラー。3分割タイプで価格は36万円
ジュエルアイLEDヘッドライト。各ヘッドライトアッセンブリには6個の独立したLEDを搭載。ロービームのときは外側4個のLEDが、ハイビーム時は6個すべてが点灯する。ライトの下にスモールとウインカーがレイアウトされるデザイン
電動ドアミラーの薄型ブレードアームは風の外乱を抑える設計。また、局部的な風切り音を減らす効果と空気抵抗の軽減を行なう。アームが薄いので駐車時やコーナリング時の視界に優れる。ミラーにはLEDのウインカーも組み込まれている
フロントのジュエルアイLEDヘッドライトと同様の特長を持つLEDテールランプ。ポジション、ライト点灯時、ブレーキ作動時はランプの外枠とセンターガーニッシュが点灯。バックランプは両テール内側、ウインカーとハザードはテールのセンターが点灯する。バンパーに埋めてあるのはバックソナー用のセンサー
フロントサスペンションはオールアルミニウム・インホイール・ダブルウィッシュボーン。リアはオールアルミニウム・インホイール・マルチリンク。ダンパーは微細な金属粒子を含む特殊なオイルを採用した磁性流体式MRダンパーを採用。これは金属粒子を含むオイルの硬度を電磁コイルによって制御することで、瞬時に減衰力を変化させることが可能。この制御は4輪各輪に取り付けたストロークセンサーとボディの3カ所に付けた加速度センサーでボディの姿勢をセンシングし、ミリ秒単位でクルマのロールとピッチング方向の減衰力を制御する
オプション設定のカーボンセラミックマテリアル・ディスクブレーキ。ローターはドリルドタイプだ。フロントローターは15インチでキャリパーは6ピストン。リアローターは14.2インチでキャリパーは4ピストン。キャリパーはすべてアルミモノブロック製。ミッドシップ車はリアブレーキの冷却が難しいが、NSXは中空のリアサブフレーム内にダクトを設けることでリアブレーキの冷却性能を向上させている
ガソリンの給油口はキャップレスタイプを採用。燃料は無鉛プレミアム
荷物が搭載できるのはリアのトランクのみだが、深さもあるので2名分の短期の旅行用カバンは楽に入る
標準のインテリアは黒内装でシートも黒。シートスライドなどは手動だ。オプションで電動4ウェイパワーシート セミアニリンレザー/アルカンターラと、電動3ウェイパワーシートセミアニリンフルレザーが用意される。エクステリアデザイナーが鳥の羽をイメージしたので、インテリアデザイナーは羽の骨格をイメージしたという
シートとステアリング位置に特にこだわっていて、乗れば乗るほど双方の位置のよさが体感できるという。細いAピラーと低いメーター位置のおかげでスポーツカーながら視界はかなり広い。この特徴は先代NSXから引き継がれたもの
ドライバーごとに10時10分、9時15分など握るホームポジションが異なるが、パドルシフトを大きめにすることでどちらのポジションでも操作しやすいようにしている。また、ステアリング下部はペダル操作がしやすいようDシェイプデザインとした
ステアリングのスイッチ類。左は主にオーディオ系、右はメーター表示など機能面を操作するスイッチという配置
メーター表示パターン
スポーツカーらしいコンソールデザイン。コンソールのセンターのあるのはエレクトリックギヤセレクター。ドライブスイッチはすべて押す方式、リバーススイッチは引く方式にするなど、人間の感覚に合う作りになっているので手元を見ない操作もしやすい。撮影車はドリンクホルダーを装着していた
エレクトリックギヤセレクターのダイヤルで走行モードを切り替えできる。まずはバッテリーの充電状況に応じてアイドルストップとEV走行を優先する「QUIETモード」。9速DCTとの協調制御で常にエンジン回転を低く抑える。ツインモーターユニットも軽快性重視しながら安定性を両立。さらにステアリングやブレーキは扱いやすさを優先。アクティブダンパーもスムーズな乗り心地設定になる
「スポーツモード」はNSXの標準モードと言えるところ。市街地では高品位な走りを実現する一方、ペダル操作や車速変化などからドライバーがスポーティな走りを望んでいると判断するとアイドルストップとEV走行を禁止。9速DCTはシフトホールド制御に瞬時に切り替わり、不用意なシフトアップを抑えてエンジンはやや高回転よりを使用する。トルクベクタリングやステアリング、ダンパー制御はQUIETモードと同様に安定性と快適性を重視。ただ、スポーツモード時の始動はエンジンからで、スポーツカーらしい排気音が響く
「SPORT+モード」はワインディング走行に適したモード。スポーツモードより高回転を使用。トランスミッションの変速時間短縮やシフトダウン時のオートブリッピングも実施。ツインモーターユニットはより積極的にトルクベクタリングを行ない、アクティブダンパーは減衰力を増大して、姿勢変化への対応も早期化する。ステアリングも路面のフィードバックが掴みやすいようアシスト特性を変更する。さらにサーキット専用のモードとして「TRACKモード」がある。ピークパワーを使い切れるエンジン制御に切り替わり、コーナー進入から立ち上がりまでのシーンに適したバッテリー充電、モーターアシスト、トルクベクタリング、VSAのマネジメントを行なう。また、スタート時はローンチモードが選択可能になるのでロケットスタートが行なえる