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写真で見る 日産「セレナ」(2016年フルモデルチェンジ)

 日産自動車は8月24日、フルモデルチェンジした新型「セレナ」を全国のディーラーで販売開始した。エンジンはMR20DDと、S-HYBRIDのMR20DD-SM24で排気量は2.0リッター。トランスミッションはエクストロニックCVTのみを設定。JC08モード燃費に関しては、最も数値のよいグレードでクラスNo.1となる17.2km/Lとなっている。乗車定員は1列目に2名、2列目に3名、3列目に3名の計8名。

 ボディサイズは標準仕様の2WD車で4690×1695×1860mm(全長×全幅×全高)。ハイウェイスターの2WD車で4770×1740×1865mm(全長×全幅×全高)で、それぞれ4WD車は車高が10mm高くなる。

 グレードは2WDで6種類。4WDで4種類の計10種類あり、価格は231万6600円~313万5240円となっている。これに加えて2017年3月末までの期間限定で、ハイウェイスターをベースに自動運転技術の「プロパイロット」や「ハンズフリーオートスライドドア」、16インチアルミホイール(2WD車)などを装備した「プロパイロットエディション」も含まれる。プロパイロットエディションの価格は2WDで291万6000円~318万7080円。4WDで317万6280円となっている。

セレナ ハイウェイスターG。ボディカラーは特別塗装色のマルーンレッド/ダイヤモンドブラック2トーン。ボディカラーは2トーンを合わせて13バリエーション
セレナ G。ボディカラーはアズライトブルー

 セレナは1991年に初代モデルがデビューして以来、日産車のラインアップにおいてファミリー層に支持されてきた重要なクルマだ。日産の説明によると、セレナは初代のころから「BIG」「EASY」「FUN」をコンセプトに、室内の広さ、使い勝手のよさ、快適性など、運転席に座る人はもちろん、3列目に乗る人までが楽しく快適に移動できることを意識して来たクルマだという。

 さて新型セレナだが、注目するポイントは大きく分けて3つある。1つめは室内空間について。先代モデルより室内長を180mm伸ばした3240mmとしている。これによって1列目から3列目までのシートの足下スペースが広くなり、2列目、3列目も大人が足を組んで座っても窮屈にならないという。室内幅も1545mmまで拡大されているので、室内長、室内幅合わせてクラストップのスペースになっている(同サイズの他社ミニバンあり)。また、1列目、2列目のヘッドレストを穴あきタイプにすることで、2列目、3列目の前方視界を向上させて開放感を作りだす。さらにルーフトリムも張り出しのないなだらかなカーブにすることで、ここでも広さを演出している。

 さらに特筆すべきは前席の視界の広さで、視界のよさを生み出すため前席のアイポイントを同クラスでは高めとなる地上高1410mmに設定して、前も横も見下ろす感覚がアップ。フロントはガラスエリアを広く取るだけでなく、メータークラスターの盛り上がりを低く抑えることで前方の視界を広くしている。サイドのウィンドウも前側を低くして視界を広げるデザインになっているので、左右下側の視界も良好だ。さらにAピラーも強度を落とさず細くしているので、Aピラーで隠れてしまう斜め前方の死角が減っている。それに加えて三角窓を形成するリア側のピラー(A’ピラーと呼ぶ)を黒くして、感覚的な広さも作りだしているので前席からの見晴らしはかなり広く感じる。

世界初の「ハンズフリーオートスライドドア」や「デュアルバックドア」で使い勝手を追求

 次のポイントはミニバンにとって重要な要素であるユーティリティの充実についてだが、ここにはドアに触れることなく自動開閉できる世界初の装備「ハンズフリーオートスライドドア」がある。インテリジェントキーをカバンやポケットに入れたまま、スライドドアの下に足先を入れてから引き抜くと、その一連の動作に反応してスライドドアが自動でオープン、またはクローズする仕組みだ。このとき、ドアロックが掛かっていてもロックが解除されてスライドドアがオープンする。

 バックドアにも特徴がある。新型セレナのバックドアは「デュアルバックドア」という名前が与えられていて、通常の開き方に加えて、ガラスエリアを含むドアの上半分のみが開く「ハーフバックドアオープン」という形態がある。ハーフバックドアオープン時は開閉に必要なスペースがフルオープン時の約半分(480mm~510mm)になるので、ショッピングモールなどの駐車場で壁側をバックに止めているときでもバックドアから荷物を出し入れしやすいという便利な装備。ちなみにバックドアの上半分は樹脂製となっているので、ハーフ、フルともに軽い操作で開け閉めできるのもポイントだ。

 シートアレンジについても特徴がある。2列目シートは2段階のスライド量を持ち、通常は570mmとなっているが、3列目を使用しない場合は690mmまでスライドする超ロングスライドが可能。また、2列目シートの中央には全席中央まで前後スライドする「スマートマルチセンターシート」を採用。3人掛けのベンチシート状態に加え、スマートマルチセンターシートを前に出すと左右がセパレートするキャプテンシート状態になり、さらに2列目シートは横にもスライドする機構があるので、2列目にチャイルドシートを1つセットして母親が横に座り、左右のシートを密着させて子供の近くに座ることも可能。3列目シートの人が乗り降りするときも2列目中央のスペースをウォークスルーすることもできる。

 そして3つめの特徴は、ミニバンクラスで世界初となる同一車線自動運転技術の「プロパイロット」を搭載しているところ。この技術に関しては7月17日に紹介した先行試乗会のインプレッション記事を参照していただきたい。

Vモーショングリルと呼ばれるセレナの顔。ハイウェイスターと標準車ではグリル形状が異なる
ヘッドライトの点灯パターン。写真のオートレベライザー付きLEDヘッドライト&LEDシグネチャーポジションランプ仕様のほかに、ハロゲンヘッドライト(ハイウェイスター専用インナーパネル付き)、ハロゲンヘッドライトの3種類がある
2トーン車の場合、ミラーはルーフと同色(この場合はブラック)になる。ミラー下側にアラウンドビュー用のカメラを内蔵
サイドはフローティングルーフ+シュプールラインという造形。撮影車のホイールはハイウェイスターGに標準装備の16インチアルミホイール
マルーンレッド(左)の車両はハイウェイスターGで、ホイールは標準装備の16インチアルミホイール。アズライトブルー(右)の車両はセレナ Gとハイウェイスターに標準装備する15インチアルミホイールを装着している
バックドアは上半分が樹脂製で、リアスポイラーもバックドアと一体成型の樹脂となる
LEDリアコンビネーションランプの点灯パターン。リアのランプ内に次世代の日産デザインの象徴になるブーメランランプシグネチャーを採用
「デュアルバックドア」を採用。上半分はハッチ自体が樹脂製なので操作が非常に軽く、開閉に必要なスペースがフルオープン時の約2分の1で済む。また、小物の出し入れするときに上だけを開ければ、積んでいる荷物が転がり落ちるのも防げる
エンジンはMR20DDとMR20DD-SM24で排気量は2.0リッター。トランスミッションはエクストロニックCVT
ハイウェイスターGのインテリア。内装色はブラック。インパネは左右への広がりを表現した“ライディングウイング”と呼ばれるデザイン
セレナ G、ハイウェイスター、ハイウェイスターGのインパネには、ステッチを施した合成皮革を手巻きにして高級感を演出。メータークラスターは盛り上がりを抑え、運転席からの視界を広くしている
ステアリングスポークに設定されたスイッチ類。右手側に青いプロパイロットのスイッチを用意する
メーターパネル左側(車両中央側)の表示パターン
撮影車両はディーラーオプションの9インチツインモニタースペシャルパックを装備。後席モニターは11インチとなる
シフトまわりとインパネスイッチ類
収納スペースも大きく、使いやすい位置にある
「スマート・ルームミラー」はメーカーオプション。従来型の30fpsから60fpsに進化して画像の動きを滑らかにしたほか、HDR機能によって明るいところはもちろん、暗い場所でも視認性が高い。バイザーは下部がメッシュになっているので、下ろした状態での前方視界を確保している
「スマートマルチセンターシート」は前後にスライドするので、フロントシート間をウォークスルーとして2列目のセンターに置くことも可能。2列目にセットした場合はアームレストを起こして座席にもなる
2列目シートのアレンジパターン。スマートマルチセンターシートが1列目と2列目のあいだをロングスライドする。2列目は横方向にもスライド
フロントシート背面にあるトレー。カップホルダーも用意されている
フロントシート背面には2列目用のUSB給電端子も組み込まれており、最大6個まで装着可能。3列目シートの側面にはスライドドアの開閉スイッチもあり、3列目から降りるときに便利
3列目シートも緊急用ではなく、座り心地がよく窮屈ではない作り。シートアレンジは左右独立での格納や前後スライド(グレード別装備)ができる
Bグレード、Sグレード以外でオプション選択できるプレミアムインテリア仕様。クルマ用のファブリックとしては世界初になるグラデーション表皮を採用している
セレナ ライダー オーテック30周年記念特別仕様車のプロパイロットエディション(2WD車)。価格は361万6920円で、2017年3月末までの期間限定販売となる。ボディカラーはダイヤモンドブラック/ブリリアントシルバー2トーン
ライダー オーテックの専用フロントバンパー。グリルもメタル調フィニッシュの専用品となり、フォグランプはレンズの効果で奥行きを演出する専用ブルーホールLEDを採用
サイドシルプロテクターと専用バンパーの下部を塗り分ける2トーン仕様
ルーフもAピラー途中から2トーンになっている。この位置での塗り分けは、斜め後方から見たときにルーフラインがきれいに見えることを狙った演出。リアスポイラーは標準モデル同様にリアハッチ一体式
16インチの光輝アルミロードホイールに195/60 R16タイヤを装着。4WD車は専用15インチアルミロードホイールに195/65 R15タイヤの組み合わせとなる。バックドアに専用エンブレムを装備
セレナ ライダー オーテック30周年記念特別仕様車の専用インテリア。クリスタルスエード(ブルーステッチ)とスエード調トリム、スエード調インストパネル、専用本革巻きステアリング(ブルーステッチ)などで30周年の特別感を表現
オーテック ライフケアビークルシリーズのセカンドスライドアップシート仕様車。シートの動作はシート本体のスイッチのほかにリモコンでも操作できる。セカンドスライドアップシートを備えず、スライドドアを開けるとステップのみが出てくるステップタイプ ハイウェイスターもある。すべてオーテックジャパンで架装する
セレナ セカンドスライドアップシート仕様車のシート展開デモ(49秒)