オート上海2017

【オート上海2017】独フォルクスワーゲン、“完全自動モード”を持つEVクロスオーバー「I.D. CROZZ」世界初公開

最高速180km/hで航続距離は500km。150kWの直流電源で80%まで30分で充電可能

2017年4月19日(現地時間)発表

 独フォルクスワーゲンは4月19日(現地時間)、「The 17th Shanghai International Automobile Industry Exhibition」(オート上海2017。プレスデー:4月19日~20日、一般公開日:4月21日~28日)で完全自動の自動運転モードを備えるEV(電気自動車)のコンセプトカー「I.D. CROZZ(アイ・ディ・クロス)」を公開した。

「フォルクスワーゲンとして初めて電気で駆動するクロスオーバーユーティリティビークル(CUV)」とされるI.D. CROZZは、2016年9月のパリショーに出展された「I.D.」、2017年1月のデトロイトショーに出展された「I.D. BUZZ」に続く「I.D.シリーズ」の第3弾モデル。

 これまでのI.D.シリーズと同じく電動プラットフォームの「モジュラーエレクトリックドライブマトリクス(MEB)」を採用し、現在のフォルクスワーゲンにおける主力SUVである「ティグアン Allspace」と比較してボディサイズが少し小さく、ルーフラインも低めの設定となっているが、MEBによってコンパクトに設計された電動パワートレーンを用いることで同等のキャビンスペースを確保しているという。

 また、電動パワートレーンは225kWを発生して4輪を駆動し、CUVとして日常的な市街地走行から冒険心を満足させるオフロード走行まで印象的な走りを実現し、180km/hの最高速と最大500km(NEDC)の航続距離を両立。この走行性能を支える高性能バッテリーは150kWの直流充電装置で急速充電を行なった場合、30分で容量の80%まで充電可能という。

「フォルクスワーゲンとして初めて電気で駆動するクロスオーバーユーティリティビークル(CUV)」というI.D. CROZZ

 I.D. CROZZは「2025年の実現を目指す」とされるオンデマンド自動運転システムを搭載。また、自動運転システムの搭載は内外装の装備にも影響を与えている。C字形のLEDデイタイム ランニングライトと5つの細いLEDで構成される可変制御LEDヘッドライトは、完全な自動走行となる「I.D. Pilot」モードをドライバーが選択した場合、5本のLEDによる「インタラクティブスポットライト」の発光によって“電子の動く目”を演出。この“目”を使い、道路を走るほかのユーザーとI.D. CROZZがコミュニケーションを図るという。

 さらにインテリアでも、I.D. Pilotモードの選択時にはマルチファンクションステアリングホイールがダッシュボード内に格納され、デジタル表示を行なうインパネと完全に一体化して車内から姿を消す。また、車内にはI.D. Pilotモードとマニュアル運転モードのどちらでも各種情報を確認できる「ARヘッドアップディスプレイ」も採用している。

 このほかに車内の装備として、新開発となる「Clean Airシステム」を採用。アクティブフィルターシステムを備えるこの空調装置により、車内の乗員は車外の状況に関係なく常に清浄で心地よい空気を楽しめるという。

「モジュラーエレクトリックドライブマトリクス(MEB)」の採用で駆動系モジュールがコンパクト化されており、広々としたキャビンスペースを手に入れている
自動走行の「I.D. Pilot」モードを選択すると、ステアリングはダッシュボード内に格納される
個人プロファイルを確認できるスマートデバイスがキーの代わりになる「デジタルキー」を採用。デジタルキーを持つ人が近づくとドアのロックが解除され、空調などがその人に合わせた設定で動き始める
フロントシートはヘッドレスト一体型で、シートベルトも内蔵する

編集部:椿山和雄