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スバル、出力向上などを図った「BRZ」ビッグマイナーチェンジ説明会

ブレンボやザックスダンパーを採用した最上級グレード「GT」を今秋発売

2016年8月1日 発売

243万円~302万9400円

 スバル(富士重工業)は、「BRZ」のビッグマイナーチェンジを実施して8月1日に発売する。価格は243万円~302万9400円。また、ブレンボブレーキやZF製のSACHS(ザックス)ダンパーを装備した最上級グレード「GT」を今秋に発売する。さらに、「GT」をベースにした100台限定の特別仕様車「Yellow Edition」の先行予約を7月7日に開始する。

 この発売に先立ち、報道陣向けの試乗会が富士スピードウェイで開催された。その試乗会で富士重工業 スバル商品企画本部 プロジェクトゼネラルマネージャーの乾保氏から新型BRZについて説明会が行なわれたので、その模様をお伝えする。

 なお、グレード展開は従来どおりとなるが、今回のビッグマイナーチェンジで「R Customize Package」グレードの6速ATモデルが消滅している。

モデルエンジン変速機駆動方式価格
RA racing水平対向4気筒DOHC 2.0リッター6速MT2WD(FR)2,981,880円
R Customize Package6速MT2,430,000円
R6速MT2,678,400円
6速AT2,737,800円
S6速MT2,970,000円
6速AT3,029,400円

従来から7PS/7Nmのパワーアップ

 2012年の登場以来、初となる今回のビッグマイナーチェンジでは、パワーユニットからシャシーにいたるまで全性能を進化。エクステリアでは航空機のウィングチップ(翼端板)をモチーフにした新デザインのバンパー、17インチアルミホイール、フェンダーガーニッシュ、リアスポイラーを採用するとともに、すべての光源にLEDを使用したヘッドランプとリアコンビライトを装備し、全体の質感を向上。

 ボディカラーは従来どおりで、「クリスタルホワイト・パール」「アイスシルバー・メタリック」「ダークグレー・メタリック」「クリスタルブラック・シリカ」「ピュアレッド」「ラピスブルー・パール」「WRブルー・パール」の全7色を設定する。

ビッグマイナーチェンジした新型BRZ(Sグレード/6速MT)。価格は297万円
エクステリアでは新デザインのバンパー、17インチアルミホイール+ミシュラン「プライマシー HP」(タイヤサイズ:215/45 R17)などを装備するとともに、フロントとリアの光源すべてにLEDを採用

 インテリアではステアリングホイールのデザインを刷新するとともに小径化し、断面形状の最適化に加え高触感革を使うことで操作性とグリップ性を向上させた。また、R Customize Packageグレードをのぞく全車のヒーターコントロールパネルやドアスイッチパネルをカーボン調とすることで、スポーティかつ上質なインテリアを実現している。

 これに加え、Sグレードではインストルメントパネル、ニーパッド、メーターパネルバイザーにレザー調素材を新たに採用し、各所にレッドステッチをあしらった。さらにメーターパネルには4.2インチマルチインフォメーションディスプレイを新たに採用している。

インテリアではステアリングホイールのデザインを刷新したほか、Sグレードではインストルメントパネル、ニーパッド、メーターパネルバイザーにレザー調素材を新たに採用

 そしてパワーユニットでは吸排気系の効率を高めるとともに、シリンダーヘッドとブロック結合部の剛性を強化することで、MT車に限り従来から5kW(7PS)増の最高出力152kW(207PS)/7000rpm、7Nm(0.7kgm)増の最大トルク212Nm(21.6kgm)/6400-6800rpmへと進化。

 また、V型タワーバー取付け部の補剛、リアホイールハウス外側への補剛材追加などボディ全体の剛性を強化するとともに、足まわりではコイルスプリングのバネ定数変更、ダンパー内部構造と減衰力の変更、リアスタビライザー径の変更などを実施して操舵応答性と操縦安定性、乗り心地を向上させている。

MT車に搭載する水平対向4気筒DOHC 2.0リッターエンジンは、最高出力152kW(207PS)/7000rpm、最大トルク212Nm(21.6kgm)/6400-6800rpmを発生
こちらはブレンボブレーキやZF製のSACHS(ザックス)ダンパーを装備した最上級グレードの「GT」(プロトタイプ)

スポーツカーとしてのドライビングの楽しさをさらに飛躍

富士重工業株式会社 スバル商品企画本部 プロジェクトゼネラルマネージャーの乾保氏

 説明会には富士重工業 スバル商品企画本部 プロジェクトゼネラルマネージャーの乾保氏が出席し、今回の新型BRZについて説明。

 トヨタ自動車「86」と兄弟車になるBRZは、これまでグローバルの累計販売台数で約5万5000台(うち国内販売は約1万5000台)を記録。男性若年層を中心に幅広い層から支持を受け、ドライバーズミーティングへの参加者は年々増加するとともに、86/BRZのワンメイクレース「GAZOO Racing 86/BRZ Race」といったモータースポーツへのエントリカーとして浸透するなど、BRZが同社の顧客層を拡大してきたと評価。

 その一方で、BRZの実際の販売台数は2012年の発売以降、年々減少傾向にあるとし、「直近の2015年では、マツダ『ロードスター』が発売されてクーペ/スペシャリティ市場を引き上げたというのは紛れもない事実だと思っている。今回のビッグマイナーチェンジの内容をしっかりと市場にお伝えすることで、再度BRZでもクーペ/スペシャリティ市場の台数を押し上げたいと思っている」と意欲を見せる。

BRZ発売以降の振り返り
BRZの販売台数は2012年の発売以降、年々減少傾向にある
その販売減少に歯止めをかけるとともに、クーペ/スペシャリティ市場での存在感を高めるべく今回のビッグマイナーチェンジに至っている
主要な変更内容について

 その新型BRZでは、スポーツカーとしてのドライビングの楽しさをさらに飛躍させることを目的に、「より低くワイドに。際立たせたスポーツカーとしてのアピアランスを実現」「ドライバーの意のままに、思いのままにクルマが動いてくれる『リニアリティの追求』」「スポーツカーの中で上質で洗練されたポジションに向けインテリアを進化」という3点をポイントに開発が進められた。

 まずエクステリアでは「DYNAMIC×SOLIDデザイン」をキーワードに、ワイドかつ低重心というダイナミックなデザインに進化。前後ライトまわりではすべての光源にLEDを使用するとともに、ヘッドライトでは今まで以上にコの字を強調した、存在感のあるものとした。また、「R」「S」グレードに標準装備される17インチアルミホイールについては「スポーツカーとしてのシャープさを全面に感じていただけるデザインにした」という。また、インテリアでは質感向上を目指し、ステアリングを刷新するとともにシートバックには「BRZ」の刺繍を入れるといった変更が実施されている。

 そして注目のパワーユニットについては、「エンジン出力向上に成功するとともに、ファイナルギヤをローギヤ―ド化(4.1→4.3[MT車])して、さらに思いのままに吹け上がるエンジンにした。エンジンの改良点は主に吸気、排気だが、それ以外にもシリンダーブロック、ピストン、カムシャフトなど細部に改良を加え、全域でトルクアップを感じていただけるよう変更している」と紹介。細かくは吸気脈動効果の最大化のため、インテークマニホールドブランチ長の最適化とポート断面積の拡大(赤ちじみ塗装を追加)、インテークマニホールドの材質をアルミに変更、吸気ブーツの形状変更による吸気抵抗の低減、エアクリーナーケースの大型化とエアクリーナーエレメントの変更、吸気ダクトの形状変更、エンジンブロック・軸受部の剛性向上やピストン耐久向上のためショットピーニング処理を追加、トランスミッションの6速ギヤの耐久性強化などが実施されている。

 足まわりでは乗り心地と操縦安定性の向上を目的に、ダンパー&コイルスプリングのチューニング、リアスタビライザーの大径化、車体に補剛材や制振材の追加、EPS(電動パワーステアリング)ECUのアシストマップの変更などを実施。また、足まわりの進化に合わせてVDC(ビークルダイナミクスコントロール)の介入タイミングの最適化も行なわれており、VDC介入時のフィーリングも変更しているという。これに加え、今回新たにスポーツ走行をより楽しめるという“Track”モードの追加もポイントとして挙げられている。

エクステリアデザインの進化
インテリアについて
ドライバビリティの向上
乗り心地と操縦安定性の向上
GTグレードを今秋発売
新型BRZのグレード展開