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SUPER GT 第4戦SUGO、6号車 WAKO’S 4CR RC Fがポール獲得
今年も魔物が牙をむいた?ランキング上位が下位に沈む。GT300はマザーシャシーのVivaC 86 MC
2016年7月23日 17:53
- 2016年7月23日~24日 開催
SUPER GT 第4戦 SUGO GT300kmレースが7月23日~24日の2日間に渡り、宮城県柴田郡村田町のスポーツランドSUGOで開催されている。初日となる7月23日には公式練習と予選が行なわれた。
例年非常に暑くなることで知られているスポーツランドSUGOのレースだが、天気は雨こそ降っていないものの曇り、気温は20度前後、路面温度も公式テストが行なわれた時に比べて20度近く低いという例年にはない気候で行なわれた。多くのタイヤメーカーが予想してきた路面温度のレンジとは異なる中での予選となり、各車ともに明日の決勝での路面温度がどうなるのかを予想しながら難しいタイヤ選択を強いられる中での予選となった。
そうした中でポールポジションを獲得したのは、GT500が6号車 WAKO’S 4CR RC F(大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ組、BS)、GT300が25号車 VivaC 86 MC(土屋 武士/松井 孝允組、YH)。明日の決勝レースは14時から行なわれる予定になっており、異例の涼しさの中での異例のレースが展開されることになる。
GT500のポールは6号車 WAKO’S 4CR RC F。2連勝でランキングトップの1号車がQ1でクラッシュの大波乱
GT500のQ1では、15分のうち前半は全車がピットで待機という静かなスタートになった。Q1が残り8分になった頃に、全車が続々とコースイン。ただし、全車タイヤを温めるのに苦労しており、徐々にタイヤを温める展開に。
その後徐々にタイムが上がっていき、全車が1分11秒台に突入。いよいよタイムアタックかと思われ時、SPコーナーで、これまで2戦2勝という結果を残している1号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)がタイヤバリアにクラッシュ。それにより57秒を残して赤旗中断。セッションはそのまま終了という事態になった。
これにより、GT-R勢は全車9位以下ということで、久々にQ2にGT-Rが一台もいないということになった。また、練習走行で好調だった横浜ゴム勢は、24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(佐々木大樹/柳田真孝組、YH)、19号車 WedsSport ADVAN RC F(関口雄飛/国本雄資組、YH)共にQ1で落ちるという波乱が起きた。このQ1の結果により、ホンダ NSX CONCEPT-GT勢が3台、レクサス RC F勢が5台がそれぞれ予選Q2に進む展開となった。
Q2では、大嶋和也選手が操る6号車 WAKO'S 4CR RC F(大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ組、BS)が、1分10秒516という2位に約コンマ2秒の差をつける驚異的なラップタイムを刻み、見事にポールポジションを獲得した。
2位を獲得したのは、17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/小暮卓史組、BS)で、ホンダ NSX CONCEPT-GT勢がフロントローを獲得したのは今シーズン初めて。3位は38号車 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/石浦宏明組、BS)が獲得した。
・SUPER GT 第4戦 SUGO GT300kmレース/GT500予選結果(表は暫定のもの)
カーナンバー | カーナンバー | マシン | ドライバー | タイヤ | ウェイトハンデ | Q1 | Q2 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 6 | WAKO’S 4CR RC F | 大嶋 和也/アンドレア・カルダレッリ | BS | 28 | 1'11.129 | 1'10.516 |
2 | 17 | KEIHIN NSX CONCEPT-GT | 塚越 広大/小暮 卓史 | BS | 0 | 1'11.273 | 1'10.705 |
3 | 38 | ZENT CERUMO RC F | 立川 祐路/石浦 宏明 | BS | 10 | 1'11.000 | 1'10.936 |
4 | 36 | au TOM'S RC F | 伊藤 大輔/ニック・キャシディ | BS | 22 | 1'11.465 | 1'11.017 |
5 | 15 | ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT | 武藤 英紀/オリバー・ターベイ | BS | 0 | 1'11.334 | 1'11.349 |
6 | 37 | KeePer TOM'S RC F | ジェームス・ロシター/平川 亮 | BS | 54 | 1'11.652 | 1'11.504 |
7 | 100 | RAYBRIG NSX CONCEPT-GT | 山本 尚貴/伊沢 拓也 | BS | 2 | 1'11.024 | 1'11.571 |
8 | 39 | DENSO KOBELCO SARD RC F | ヘイキ・コバライネン/平手 晃平 | BS | 38 | 1'11.618 | 1'11.623 |
9 | 24 | フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R | 佐々木 大樹/柳田 真孝 | YH | 4 | 1'11.702 | - |
10 | 64 | Epson NSX CONCEPT-GT | 中嶋 大祐/ベルトラン・バゲット | DL | 2 | 1'11.782 | - |
11 | 8 | ARTA NSX CONCEPT-GT | 松浦 孝亮/野尻 智紀 | BS | 10 | 1'13.357 | - |
12 | 46 | S Road CRAFTSPORTS GT-R | 本山 哲/千代 勝正 | MI | 30 | 1'14.171 | - |
13 | 12 | カルソニック IMPUL GT-R | 安田 裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ | BS | 14 | 1'14.617 | - |
14 | 19 | WedsSport ADVAN RC F | 関口 雄飛/国本 雄資 | YH | 10 | 1'16.449 | - |
15 | 1 | MOTUL AUTECH GT-R | 松田 次生/ロニー・クインタレッリ | MI | 80 | 1'18.515 | - |
GT300、ポールは25号車 VivaC 86 MC。JAF-GT勢トップ3独占
GT300は、朝の練習走行から大波乱が発生した。朝の練習走行が最後の10分間の占有走行にまもなく移るというタイミングで61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組、DL)がSPアウトコーナーでスピンし、イン側の縁石でジャンプして減速しないままバリアに突っ込むという大クラッシュに。ただし、車はセーフティーカーに牽引されてピットに戻ることができ、インターバルの間に修復してQ1(予選一回目)に進むことができた。
その61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTはQ1を3位で通過し、無事Q2へと進むことができた。しかし、Q1では有力チームのいくつかがQ2へ進むことができなかった。昨年のチャンピオン車両 0号車 GAINER TANAX GT-R(アンドレ・クート/富田 竜一郎組、DL)、前戦優勝車3号車 B-MAX NDDP GT-R(星野 一樹/ヤン・マーデンボロー組、YH)、開幕戦優勝の65号車 LEON CVSTOS AMG-GT(黒澤 治樹/蒲生 尚弥組、YH)、7号車 Studie BMW M6(ヨルグ・ミューラー/荒 聖治組、YH)などがQ1落ちとなった。
Q2が始まると、最終コーナーあたりで雨がぽつぽつと落ちてくるという情報も。しかし、路面を濡らすほどではなく、路面温度が下がっていく方向の中で、タイヤをどのように温めてタイムを出すのかということが問われる予選になった。その中でポールポジションを獲ったのは、25号車 VivaC 86 MC(土屋 武士/松井孝允組、YH)がポール・ポジションを獲得した。
2位は31号車 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀/中山雄一組、BS)が入り、3位には61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組、DL)となった。特に61号車は、タイムを縮めつつあった最終ラップに前走車にひっかかるという不運もあり、タイムアップすることができなかったが、それがなければさらにタイムが縮められそうで、高い戦闘力を持っていそうなことを見せつけた。その意味で、明日のレースは上位の車両がレベルの高い戦いが期待できそうだ。
・SUPER GT 第4戦 SUGO GT300kmレース/GT300予選結果(表は暫定のもの)
順位 | カーナンバー | マシン | ドライバー | タイヤ | ウェイトハンデ | Q1 | Q2 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 25 | VivaC 86 MC | 土屋 武士/松井 孝允 | YH | 34 | 1'18.638 | 1'17.493 |
2 | 31 | TOYOTA PRIUS apr GT | 嵯峨 宏紀/中山 雄一 | BS | 0 | 1'18.170 | 1'17.995 |
3 | 61 | SUBARU BRZ R&D SPORT | 井口 卓人/山内 英輝 | DL | 0 | 1'18.610 | 1'18.109 |
4 | 18 | UPGARAGE BANDOH 86 | 中山 友貴/山田 真之亮 | YH | 16 | 1'18.998 | 1'18.289 |
5 | 11 | GAINER TANAX AMG GT3 | 平中 克幸/ビヨン・ビルドハイム | DL | 16 | 1'19.015 | 1'18.527 |
6 | 55 | ARTA BMW M6 GT3 | 高木 真一/小林 崇志 | BS | 32 | 1'18.822 | 1'18.695 |
7 | 21 | Hitotsuyama Audi R8 LMS | リチャード・ライアン/藤井 誠暢 | DL | 16 | 1'18.899 | 1'18.701 |
8 | 4 | グッドスマイル 初音ミク AMG | 谷口 信輝/片岡 龍也 | YH | 30 | 1'19.011 | 1'19.005 |
9 | 88 | マネパ ランボルギーニ GT3 | 織戸 学/平峰 一貴 | YH | 4 | 1'18.736 | 1'19.127 |
10 | 51 | JMS LMcorsa 488 GT3 | 都筑 晶裕/新田 守男 | YH | 22 | 1'18.903 | 1'19.434 |
11 | 2 | シンティアム・アップル・ロータス | 高橋 一穂/加藤 寛規 | YH | 0 | 1'18.496 | 1'19.899 |
12 | 360 | RUNUP Group&DOES GT-R | 柴田 優作/清原 章太 | YH | 0 | 1'19.051 | 1'19.927 |
13 | 48 | DIJON Racing GT-R | 高森 博士/青木 孝行 | YH | 2 | 1'19.280 | 1'20.039 |
14 | 5 | マッハ車検 MC86 | 山下 潤一郎/影山 正美 | YH | 0 | 1'19.242 | 1'25.751 |
15 | 0 | GAINER TANAX GT-R | アンドレ・クート/富田 竜一郎 | DL | 18 | 1'19.302 | ー |
16 | 26 | TAISAN SARD FJ AUDI R8 | 密山 祥吾/元嶋 佑弥 | YH | 0 | 1'19.320 | ー |
17 | 7 | Studie BMW M6 | ヨルグ・ミューラー/荒 聖治 | YH | 22 | 1'19.331 | ー |
18 | 30 | TOYOTA PRIUS apr GT | 永井 宏明/佐々木 孝太 | YH | 4 | 1'19.337 | ー |
19 | 33 | Excellence Porsche | 山野 直也/ティム・ベルグマイスター | YH | 0 | 1'19.390 | ー |
20 | 65 | LEON CVSTOS AMG-GT | 黒澤 治樹/蒲生 尚弥 | YH | 40 | 1'19.443 | ー |
21 | 3 | B-MAX NDDP GT-R | 星野 一樹/ヤン・マーデンボロー | YH | 42 | 1'19.451 | ー |
22 | 63 | DIRECTION 108 HURACAN | エイドリアン・ザウグ/横溝 直輝 | YH | 0 | 1'19.720 | ー |
23 | 87 | triple a ランボルギーニ GT3 | 細川 慎弥/佐藤 公哉 | YH | 6 | 1'19.772 | ー |
24 | 9 | GULF NAC PORSCHE 911 | 阪口 良平/吉田 広樹 | YH | 0 | 1'19.922 | ー |
25 | 60 | SYNTIUM LMcorsa RC F GT3 | 飯田 章/吉本 大樹 | YH | 0 | 1'20.649 | ー |
26 | 111 | エヴァRT初号機 Rn-s AMG GT | 植田 正幸/鶴田 和弥 | YH | 0 | 1'20.750 | ー |
27 | 22 | アールキューズ SLS AMG GT3 | 和田 久/城内 政樹 | YH | 0 | 1'21.050 | ー |
28 | 50 | ODYSSEY SLS | 安岡 秀徒/久保 凜太郎 | YH | 0 | 1'21.448 | ー |
予選終了後記者会見
予選後の記者会見に、各クラスのポール・ポジションを獲得したクルー、GT500クラスの大嶋和也選手、アンドレア・カルダレッリ選手、GT300クラスの土屋武士選手、松井孝允選手が参加した。以下その模様。
Q:今日のポール・ポジションを獲るまでを振り返って欲しい。
カルダレッリ選手:再びポール・ポジションが取れて最高の気分。チームは非常にいい仕事をして練習走行からいいクルマに仕上がっていたが、インターバルの間にさらにいいクルマになった。先々月のテストからチームの雰囲気も前向きになってきて、今日は和也が非常にいい仕事をしてくれた。
大嶋選手:ポール獲るのは4年ぶり。チーム・ルマンはレースで結果を出せないことが続いていたので、嬉しい。まだポールを獲っただけなので明日のレースをしっかり頑張りたい。
土屋選手:このうえなく理想的な展開。ただ、温度が事前の予想よりも下がって、僕たちのタイヤはとてつもなく堅かった。このため、予選に利用したタイヤは、事前にスクラブしておいた。しかし、ただハードだというだけでなく、グリップもあるタイヤだった。そして今日は孝允のポール・ポジション。冗談でとれなかったら罰金100万円か坊主かと追い込んだのが効いたのかもしれない(笑)。ただ、今年は0を1にしたいと思っていて、そのプレッシャーに打ち勝って彼が自分のポテンシャルを発揮できるかが大事だと思っていた。タイムを見ると、僕も叶わないと思えるタイムだった。
松井選手:(100万円か坊主どっちにするつもりだったかと聞かれて)坊主ですね(笑)。ポールをとれて嬉しい。岡山では自分が担当したQ1があまり早くなくて、Q2で土屋さんがポールを速いタイムで獲ったので悔しかった。レースが一番大事なので、プラン通りにやればレースに勝てると思う。
Q:温度が事前よりも下がったことで、タイヤメーカーによってはレンジに合ってないのではないかという声があるが?
カルダレッリ選手:テストに比べると、確かにこんなに低い温度は予想していなかった。しかし、そういうことも有るであろうと、幅の広いレンジのタイヤを選択したので、練習走行のロングランでも大きな問題はなかった。明日のレースでも今日使ったタイヤで問題なく走れると思っている。
大嶋選手:思ってたよりは寒かったのは事実だが、合同テストでも温度が下がったときでも問題なかったので、明日に向けては不安はないと考えている。
Q:大嶋選手に、チーム・ルマンの何が変わったのか?
大嶋選手:チーム体制が大きく代わり、監督にも脇坂監督が就任した。それにより明るい雰囲気で来ることができている。前回の菅生テストぐらいから、突然今まで問題に感じてた部分が急によくなった。
Q:両チームに明日の展望をお聞きしたい
カルダレッリ選手:予選でニスモチームのクラッシュなどもあって、トップ8から日産勢はいなくなったが、通常は日産勢も2台はQ2に進むけど、SUPER GTではこういうこともある。明日は300kmのレースだし、特にここ菅生では何が起こるアわからない。チャンスは誰にでもあるけど、僕たちもしっかりレースをして明日は勝つことを目標に頑張りたい。
大嶋選手:日産勢は(ウェイトが)重いけど、朝見ているとロングランのタイムが速くて、明日のレースで来る可能性があると考えている。自分たちはポールなので、明日のレースをしっかり走って優勝したい。
土屋選手:決勝は運。ここまでは順調すぎるぐらいだけど、それでも勝てないこともある。実は2011年3月11の大震災後、3月19日にここのコースを最初に走ったのは僕。その後、ここに来るといいことがある。明日も運が味方してくれるのではないかと思っている。
松井選手:明日は明日の風が吹く。決勝ではイレギュラーが起きてもいいように、土屋さんとチームがプランを立ててくれているので、明日は勝てるように頑張りたい。