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【オートモビル カウンシル】快適性を重視した“旅するスーパーカー”「マクラーレン 570GT」日本初公開

価格は2752万7000円。ブース内に「マクラーレン F1」と並べて展示

2016年8月5日 発表

2752万7000円

初公開した「570GT」と並んでフォトセッションに臨む名取雅裕オペレーションズ・マネージャー(右)、ジョージ・ビッグス氏(中央)、マーク・ロバーツ氏(左)

 マクラーレン・オートモーティブ・アジア 日本支社は、8月5日~7日に幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催されている「オートモビル カウンシル2016」の会場で、スポーツシリーズの第3弾となる「570GT」を日本初公開した。この570GTは3月に開催された「第86回ジュネーブモーターショー2016」でワールドプレミアされ、日本での発表が心待ちにされていたクルマだ。日本での価格は2752万7000円で、デリバリー開始は2016年後半からとなっている。

 初公開となったイベント開催初日は、マクラーレンブースに多くの報道陣が集まり570GTのアンベールを待ち構えた。そしてプレスカンファレンスの開始時間になると、女性スタッフによって570GTに掛けられた白いカバーが取り外され、その姿を現わした。

日本初公開となった570GT
オートモービル カウンシル 2016のマクラーレンブース。手前にあるベールで隠されているのが570GT。奥側に展示されているのは「マクラーレン F1」
女性スタッフによってアンベールされた570GT

 この演出に続いて登場したのは、マクラーレン・オートモーティブ・アジアパシフィックのマネージング・ディレクターであるジョージ・ビッグス氏。ビッグス氏いわく、日本はマクラーレン・オートモーティブにとって大事なマーケットであるため、今回の発表はマクラーレン・オートモーティブにとっても重要なものであるとのこと。

マクラーレン・オートモーティブ・アジアパシフィック マネージング・ディレクター ジョージ・ビッグス氏

 570GTは、マクラーレンのスポーツシリーズで3台目となるモデルで、「570S」「540C クーペ」とともにラインアップされるクルマとなる。シリーズ中における570GTの位置づけについては「このクルマは旅をするために作られた」と表現されるほどで、このクラスのクルマでは快適性を重視しているのが特徴。ただし、そんなソフトな面を持ちながらも、マクラーレンのDNAも持っているという仕上げということだ。このような導入に至る話をビッグス氏がしたあと、マクラーレンのテクノロジーセンターに所属するデザイン・オペレーションズ・マネージャーのマーク・ロバーツ氏が登場した。

 ロバーツ氏からはまず、マクラーレンの歴史が語られた。発祥は1963年で、ブルース・マクラーレン氏によってはじまったもの。その後にF1、インディ、Can-Am(カンナム)、そしてル・マンとさまざまなレースで成功を収め、その都度最先端のテクノロジーを提示してきた企業であると紹介。そんなマクラーレンからスピンオフして誕生したのがマクラーレン・オートモーティブだが、現在は独自の株主を持ち、マネージメントも独自に行なう独立した企業になっているとのことだ。

続いてはマクラーレンのテクノロジーセンターに所属するデザイン・オペレーションズ・マネージャーのマーク・ロバーツ氏が登場し、デザインなどについて語った

 さて、570GTだが、このクルマは旅に出る、イコール長く運転することを意識してデザインされており、快適性を持ちながらドライブの楽しみも持っているのが特徴。そのためにキーとなる6つの要素が以下のものだ。まず最初は車体のデザインについて。ここで570GTのコンセプトスケッチが公開されたが、一般的にデザイン画はあくまでデザイン画であり、実車になるとその姿はかなり変わるものだが、570GTはデザイン画と市販モデルでほとんど変わらないのが興味深いところ。これについてロバーツ氏から「デザインのキーとなるエアロダイナミクスのルールを理解して行なった結果でもある」と説明された。

 そしてそのデザインを再現するために、ボディ各所に使われているのがアルミパネルで、これはデザイン面だけでなく大幅な軽量化が図れることも利点。軽さについても「速さと経済性は、軽量化を行なえば手に入る」と語られた。

デザインスケッチと完成車のスタイルがほぼ一致。これはエアロダイナミクスのルールを理解してデザインしているからだと解説された

 次は使いやすさについて。570GTで重要視したのが乗降性で、サイドシルを下げ、ドアの開閉についても改良を重ねているので、スタイリングのわりにはとても乗り降りしやすいクルマになっている。そして乗り込んだあとも、そこにはさらに特徴がある。570GTの操作系はすべてドライバーの周りに配置され、操作がしやすくなっているという。また、このスタイリッシュなデザインながら、ドライバーの視界は非常に良好だ。さらにロバーツ氏が「一番好きな部分」として挙げるのが、ルーフをガラスで構成しているパノラミックルーフ。昼間は開放感が味わえ、夜になれば星空を楽しめるという作りになっている。

ボディ各部にはアルミが使われる。これは軽量化だけでなく、デザインを再現するためにも役立つという
乗り降りのしやすさも考慮されている
操作系はすべてドライバーが扱いやすいように配置。リアにはラゲッジスペースも用意されている。ガラスハッチは横開きなので、荷物の出し入れも容易
マーク氏も気に入っているというパノラミックルーフ
通常の乗用車は1台作るのにおよそ15時間くらいだが、570GTは手作りなので11日間掛かるという

 そして最後はドライブのパフォーマンスについて。これはマクラーレンのモデルでは保証されるものだが、570GTは高いパフォーマンスだけでなく、落ち着いたドライブも得意とする機能を持たせてあった。その機能を挙げていくと、ステアリングがクイックになりすぎないようにギヤレシオを2%マイナスに設定。そしてサスペンションに関してもフロントで15%マイナス、リアは10%マイナスとなっている。さらにタイヤ自体も静音化が施された専用のピレリ製タイヤを装着している。

ステアリングのレシオ、サスペンションのセットアップなどをマイルドな方向に振っていて、長距離走行時でも疲れにくい仕上げになっている
マクラーレン・オートモーティブは毎年新型車を出すことを約束しており、それは現在まで守られてきた
マクラーレンの創業者であるブルース・マクラーレン氏が、3台しか作らなかったGTカー「M6GT」で記念撮影を行なった場所で、娘のアマンダ・マクラーレンさんが570GTと一緒に撮ったという2枚の写真を紹介
570GTの細部
操作しやすいインパネデザイン。また、センターコンソールも大型化されドリンクホルダーもついた
ステアリングとセンターコンソールのスイッチ類。エンジンスターターはセンターコンソールにレイアウト
フロントにも深さのあるラゲッジスペースがあり、リアにもラゲッジを新設。旅行もできる“旅するスーパーカー”だ

 570GTのスペックは、エンジンが3.8リッターのV型8気筒ツインターボで最高出力が570PS/7500rpm、最大トルクが600Nm/5000-6000rpm。トランスミッションは7速デュアルクラッチ式シームレス・シフトギヤボックス。ボディサイズは4530×2095×1201mm(全長×全幅×全高)で、ホイールベースが2670mm、車重は1350kgとなっている。0-100km/h加速は3.4秒、最高速は328km/h。

マクラーレンブースにはマクラーレン F1も展示されていた。これはユーザーから借りてきた車両とのこと
特徴的なセンターレイアウトのドライバーズシートを採用している