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マクラーレン、“ロングテール”の精神を受け継ぐ世界限定500台の「675LT」日本初公開

価格は4353万4000円。675PS/700Nmを発生する3.8リッターV8ツインターボエンジン搭載

2015年5月22日発表

4353万4000円

 マクラーレン・オートモーティブ・アジアは5月22日、全世界で500台を限定生産する「マクラーレン 675LT(シックスセブンティファイブ エルティ)」を日本初公開した。日本市場への導入台数は「500台のうち8%前後」とされており、価格は4353万4000円。

マクラーレン 675LT。ボディーカラーは「シケイン」と呼ばれる専用色
ボディーサイズは4546×2095×1188mm(全長×全幅×全高)、車両重量は1230kg。前後重量配分は42.5:57.5
特徴的なフロントマスクとヘッドライト形状のデザインは650Sから踏襲
車両前方に収納スペースを設定
バンパー両サイドの開口部分にオイルクーラーをレイアウト
フロントタイヤは235/35 ZR19 91Y、リアタイヤは305/30 ZR20 99Yのピレリ P-ZERO TROFEO Rタイヤを装着
前後にカーボンファイバー製ブレーキディスクを採用し、フロントに6ピストン、リアに4ピストンキャリパーを組み合わせる
カーボン製のリアバンパーはディフューザー一体型
リアの灯火類にLEDを採用
新開発の軽量チタン製エキゾーストシステム。V8エンジンの右バンクの排気が左側から、左バンクの排気が右から出る「クロスオーバーシステム」となっている
ミッドマウントするエンジンの上に、モータースポーツ仕様のポリカーボネートカバーを設置
軽量化を追究するため、ポリカーボネートカバーはカーボン製の棒を差し込んで支えるスタイル
V型8気筒 3.8リッターツインターボエンジンは最高出力496kW(675PS)/7100rpm、最大トルク700Nm/5500-6500rpmを発生

675LTは『マクラーレン F1 GTR ロングテール』が持っていた“風潮”を受け継ぐモデル

マクラーレン オートモーティブ アジア リージョナル ディレクター デイビッド・マッキンタイヤ氏

 東京都港区の六本木ヒルズで開催された675LTの日本初公開となるプレスカンファレンスでは、冒頭で車両のアンベールを実施したほか、マクラーレン オートモーティブ アジア リージョナル ディレクターのデイビッド・マッキンタイヤ氏が主催者を代表して挨拶を実施。

 マッキンタイヤ氏は「みなさんもご存じのように、われわれマクラーレンは60年以上に渡ってモータースポーツの世界で成功を収めてきた企業です。そしてわれわれは必ず、モータースポーツのテクノロジーを公道にも展開するようにしています。その完璧な例となるのが、ここに紹介する“675LT”になるのです。本日は、このモデルの日本における価格を発表できることを嬉しく思います。価格は4353万4000円となります」と語り、日本市場での販売価格を発表したほか、限定モデルとなる675LTもモータースポーツで培われたテクノロジーを受け継いだ車両となっていることを紹介した。

マクラーレン オートモーティブ 675LT プロジェクト・マネージャー マーク・ゲイトン氏

 続いて車両解説を、675LTのプロジェクト・マネージャーを担当した英マクラーレン オートモーティブのマーク・ゲイトン氏が担当。2013年末からプロジェクトの指揮を執るようになったゲイトン氏は、この675LTに与えられたポジションの定義についてのほか、変更すべきと考えたポイント、具体的な変更内容などを紹介。

 ゲイトン氏は「重要なポイントは車名の『LT』についてです。このLTは『ロングテール』の略で、私どもが1996年から1997年にかけて製造していたマクラーレン F1 GTRに、ル・マンに出場した『ロングテール』と呼ばれるモデルがありました。私どもはこのF1 GTR『ロングテール』が持っていた“風潮”を新しいロードカーでも実現したいと考え、それをやり抜きました。675LTは純粋なドライバーズカーに仕上げられています」と語り、675LTに与えられた基本コンセプトについて紹介。また、改良を行った点について「重要な属性として変更を行ったのは、パフォーマンス、エアロダイナミクス、そしてドライバーズエンゲージメントは私どもにとってとくに重要なポイントです。さらにパワーアップを図り、重量も下げたいと考えました」と解説した。

 このほかにゲイトン氏は、675LTが同社が「スーパーシリーズ」と位置づけるスポーツモデル「650S」シリーズのバリエーションの1台であることを明かし、パワートレーンではコンポーネントの50%、車両全体で見ても33%を変更していることも紹介している。

675LT プロジェクト・マネージャーのゲイトン氏は、展示された車両やスライドを使って675LTについて解説
50%を刷新したという「M838TL」エンジンは、その気になれば2500rpmから大きなトルクを発生させ、3500rpmで700Nmの最大トルクに達することが可能だが、これを敢えて下げ、最高出力の発生とリンクさせた特性を採用。上昇トルク曲線を得ることで“常に加速している”という感覚が得られ、ドライバーズエンゲージメントが高められると語る
650Sからの変更点
675LTの開発テーマ。オレンジで書かれた部分がとくに重要な項目であるとのこと
ゲイトン氏が「最も重要であり、かつ最も大変である」と語る軽量化では、ウインドーガラス類の薄板化、歴代マクラーレンモデルで最軽量というホイールの採用、ボディーパネルにおけるカーボン化の追究などにより、650Sから100kg軽くなった1230kgを達成
エンジンではターボチャージャーの流量率向上、改良型のカムシャフトの採用、回転慣性の低減などを実施し、最高出力を675PSに高めた。この数字は車名でもアピールされている。また、ゲイトン氏は「パワーだけでなく応答性の向上も重要な部分。ローテーションイナーシャの低減により、自由にスピンアップとスピンダウンができるのです」と語る
マクラーレン オートモーティブ アジア リージョナル オペレーション マネージャー ジャパン 名取雅裕氏

 このほか、閉会前の挨拶として登壇したマクラーレン オートモーティブ アジア リージョナル オペレーション マネージャー ジャパンの名取雅裕氏は「この675LTは今年3月のジュネーブモーターショーでワールドプレミアされ、それ以来、日本のマーケットでも予約注文などの受注活動を行ってきました。おかげさまで受注は順調に推移しておりまして、この商品の評価の高さ、そしてマクラーレンというブランドも導入から3年近くが経って、認知度が少しずつ高くなっている実感する結果となっております」と評価。

 また、「正規ディーラーの販売ネットワークも順調に準備を進めており、5月1日からは九州の福岡で、テンポラリーなものですが『マクラーレン福岡』をオープンさせることができました。このあとの4店舗目、5店舗目の準備も進んでおり、近い将来に4店舗目以降のご案内ができると確信しております」とコメント。日本市場での展開が順調であることをアピールした。

 このほかに名取氏は、プレスカンファレンス後のインタビューで、事前に進めてきた受注活動によって日本市場に対する割り当て数の9割ほどはすでに購入者が決まっていることも明かしている。

100kgの軽量化を実現するため、フロントウインドーなどのガラス類を薄板化し、前後バンパーやフェンダーパネルなどにカーボン素材を多用
カーボン製のサイドシルは立体的な形状によって車両後方に流れる空気を整流。前方側に車名ロゴを装着する
給油口は車両左側のリアフェンダー上部に設定
車両側面のウインドーに設定されている開口部分が車両後方に搭載するエンジンに続く吸気口
ドアパネル後方に大きく開く開口部はラジエターの冷却を担当。サイドシルにある開口部もラジエターの冷却に利用されており、ラジエターが上下に大きく設定されていることを物語る
650Sにも装着されているアクティブリアウイングを活用する「エアブレーキ」もサイズアップ。横幅が車両のほぼ側面まで続くようになり、前後長も増えたことで面積は50%アップとのこと。さらなるダウンフォースと制動効果が期待できる
675LTのインテリア
カーボン素材を多用するステアリングは滑りにくいようバックスキン素材を表皮に使っている
大型のパドルシフトを装備
大型のアナログスピードメーターにデジタル表示のスピードメーターを組み合わせるスタイル
アクセルペダルはオルガン式。650Sと同じ7速デュアルクラッチトランスミッションの「SSG」を採用し、2ペダルとなっている
軽量化を追究するため、エアコンはレス仕様が標準となるが、オーナーが希望すれば無償で追加装着可能とのこと
センターコンソールのモード選択スイッチ
ギヤの選択にもスイッチを利用する
マクラーレン P1と同じ仕様となる超軽量カーボンバケットシートを採用
チタニウム製のロールフープはオプション設定
カーボン・ファイバー・モノセル・シャシーは650Sと共通
左右のドアはAピラーの付け根から斜め上方に跳ね上げられるスタイル。ドアの側面に車両前方に設定された収納スペースをオープンさせるスイッチなどを設定
ダンパーを使ってドアを保持。幅広のドアシル前方に「675LT」のプレートを設置する

(編集部:佐久間 秀)