【SUPER GT第7戦タイ】GT500は横浜ゴム装着の19号車 WedsSport ADVAN RC Fが、チーム、関口選手ともに初優勝

GT500クラスの優勝は19号車 WedsSport ADVAN RC F（関口雄飛/国本雄資組）。チーム、関口選手とも初優勝。横浜ゴムにシーズン2勝目をもたらした

「2016 AUTOBACS SUPER GT Round7 BURIRAM SUPER GT RACE」（以下、SUPER GT第7戦タイ）が10月8日～10月9日の2日間にわたって、タイ ブリーラム市内にあるチャン・インターナショナル・サーキットに置いて開催された。2日目となる10月9日の15時（日本時間17時）に決勝レースがスタートし、66周で争われた。

　GT500クラスは、ポールポジションからスタートした19号車 WedsSport ADVAN RC F（関口雄飛/国本雄資組、YH）で、レース中盤にタイヤがパンクするトラブルに見舞われながらも、それを克服してチームとして、そしてドライバーの関口雄飛選手はGT500初優勝を実現した。

　2位は予選2位からスタートした15号車 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT（武藤英紀/牧野任祐組、BS）、3位は6号車 WAKO’S 4CR RC F（大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ組、BS）。

　GT300もポールからスタートした25号車 VivaC 86 MC（土屋武士/松井孝允組、YH）が、タイヤ無交換作戦を見事決めて、最終ラップまで1秒差で追いかけてきた3号車 B-MAX NDDP GT-R（星野一樹/ヤン・マーデンボロー組、YH）を振り切って優勝。2位は3号車、3位は55号車 ARTA BMW M6 GT3（高木 真一/小林崇志組、BS）となった。

中盤のパンクを幸運で克服し、快速19号車がチームと関口選手にうれしいGT500初優勝をもたらす

　GT500のスタートは静かに始まった。順位どおりに1コーナーに入っていった。トップはポールポジションを獲得した19号車 WedsSport ADVAN RC F（関口雄飛/国本雄資組、YH）、2位は15号車 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT（武藤英紀/牧野任祐組、BS）、3位は12号車 カルソニック IMPUL GT-R（安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組、BS）で1周目は終了した。

　序盤のハイライトは、予選5位スタートから7位に下がった46号車 S Road CRAFTSPORTS GT-R（本山哲/千代勝正組、MI）が、8位の6号車 WAKO'S 4CR RC F（大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ組、BS）を抑え、徐々にトップ勢に引き離される展開になった（後、6号車は46号車をオーバーテイク）。

　上位には大きな動きはなかったが、8周目に3位だった12号車が、2位の15号車がラップダウンに引っかかったタイミングでオーバーテイク。2位に上がった。こうした中で、ポールからスタートした19号車 WedsSport ADVAN RC Fは、安定してトップを走行し、徐々に後続を引き離す展開。15周目の段階で、2位に約7秒の差をつけ、徐々に独走状態へ持ち込み始めた。

　2位からスタートした15号車は12号車に抜かれた後もタイムは上がらず、4位に上がってきた37号車 KeePer TOM'S RC F（ジェームス・ロシター/平川亮組、BS）に後ろから追い上げられる展開。コンマ数秒の間隔で追いかけられていた。しかし、その後24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R（佐々木大樹/柳田真孝組、YH）がピットインしたときに、周回遅れとして出てきた37号車と接触。そのアクシデントでペナルティを取られて、ピットスルーペナルティを科せられることになってしまい、大きく後退することになった。

　毎周他車に1秒以上の差をつけて走っていた19号車 WedsSport ADVAN RC Fだが、33周目コース後半で左リアタイヤがバースト。しかし、運よくパンクした場所がピットレーンの手前だったので、そのままピットインして4輪交換、給油、ドライバー交代を行ない、ほぼタイムをロスすることなくピットアウトすることができた。36周目には3位を走っていた15号車 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTがピットインし、武藤選手から牧野選手にドライバー交代。その後38周目に、12号車 カルソニック IMPUL GT-Rがピットインを終えて安田選手へとドライバー交代をすると、1位 19号車 WedsSport ADVAN RC F、2位 カルソニック IMPUL GT-R、3位 15号車 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTという順位に落ち着いた。

終盤、猛烈に追い上げた15号車 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT（武藤英紀/牧野任祐組）

　その後、47周目にタイヤ無交換で走っていた24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rの左リアタイヤがバーストし、緊急ピットイン。タイヤ無交換作戦が完全に裏目に出た。今回横浜ゴムは19号車に次いで2回目のパンクで、トップを行く19号車 WedsSport ADVAN RC Fのタイヤが最後まで持つのか、そこに多くの観客がはらはらするという展開になっていった。

　51周目、2位を走っていた12号車 カルソニック IMPUL GT-Rが、ピットイン時の給油中にほかの作業を行なったとしてピット作業規程違反に取られ、ピットスルーペナルティを課せられた。これで、12号車 カルソニック IMPUL GT-Rは6位でコースに復帰し、表彰台から脱落することになった。トップは19号車 WedsSport ADVAN RC F、2位は15号車 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT、3位には39号車 DENSO KOBELCO SARD RC F（ヘイキ・コバライネン/平手晃平組、BS）がオーバランする間に抜いてきた6号車 WAKO’S 4CR RC F（大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ組、BS）が浮上した。

　終盤の波乱は残り10周でランキング上位の2台に発生した。ランキングトップの1号車 MOTUL AUTECH GT-R（松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI）が、GT300の18号車と接触してスピン。それにより、車両の右側を大破し、ピットに戻ったもののリタイア。そのアクシデントにランキング2位の38号車 ZENT CERUMO RC F（立川祐路/石浦宏明組、BS）も巻き込まれて、こちらもリタイア。これによりランキングトップと2位がともにリタイアということになった。

　さらに残り5周の段階で4位を走っていた39号車 DENSO KOBELCO SARD RC Fが、64号車 Epson NSX CONCEPT-GT（中嶋大祐/ベルトラン・バゲット組、DL）と12号車 カルソニック IMPUL GT-Rに抜かれ、さらに12号車 カルソニック IMPUL GT-Rが、64号車 Epson NSX CONCEPT-GTを抜いて4位に浮上した。

　終盤、2位の牧野任祐選手がドライブする15号車 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTが、トップを走る19号車 WedsSport ADVAN RC Fとの差をみるみる詰めて、最終ラップには2.917秒差までに。しかし、そこでチェッカーフラッグ。19号車 WedsSport ADVAN RC Fが優勝した。チームにとっても、ドライバーの関口雄飛選手にとっても初優勝を実現した。19号車が装着する横浜ゴムにとっては第5戦スポーツランドSUGOのレースについでシーズン2勝目で、これでミシュラン2勝、ブリヂストン2勝、横浜ゴム2勝と3メーカーが2勝ずつ分け合う展開になっている。

GT500クラスの表彰台

GT300は、ポールからスタートした25号車 VivaC 86 MCがタイヤ無交換作戦で優勝

GT300クラスは、タイヤ無交換作戦の25号車 VivaC 86 MC（土屋武士/松井孝允組）

　GT300のスタートは、ポールからスタートした25号車 VivaC 86 MC（土屋武士/松井孝允組、YH）が1コーナーはトップで入ったものの、ファーストラップの途中で2位からスタートした3号車 B-MAX NDDP GT-R（星野一樹/ヤン・マーデンボロー組、YH）にオーバーテイクされ2位に後退。トップに立った3号車が2位以下を引き離していくのかと思われたが、引き離すことはできず、そのまま1位から15位ぐらいまでが12秒程度でつながるという形になった。

　ポールからスタートした25号車は、3位だった0号車 GAINER TANAX GT-R（アンドレ・クート/富田竜一郎組、DL）にも抜かれ、無理に抵抗しなかったところを見てもタイヤ無交換作戦のために、タイヤをセーブしているものだと考えられた。その後、0号車 GAINER TANAX GT-Rが3号車 B-MAX NDDP GT-Rに追いつき、2台のGT-Rによるレースが展開されることになった。

　24周目にトップを走っていた3号車 B-MAX NDDP GT-Rが通常のピットインを行ない、タイヤ交換と給油、ドライバー交換を行ないピットアウト。そのためトップに立った0号車 GAINER TANAX GT-Rだが、GT500車両にラップダウンにされる際、抜いていったGT500マシンが失速したときに前のクルマに追突し、フェンダーを壊してしまった。せっかくトップを走っていたのに、ハンデを背負うことになった。

3号車 B-MAX NDDP GT-R（星野一樹/ヤン・マーデンボロー組）は、24周目までトップ。最終的にはタイヤ無交換作戦に敗れ、2位となった

　30周目に、2位だった25号車 VivaC 86 MCが通常のピット作業に入り、レース前の予想どおりタイヤ無交換でピットアウトした。ピットインを終えると、その25号車に18号車 UPGARAGE BANDOH 86（中山友貴/山田真之亮組、YH）、3号車 B-MAX NDDP GT-Rが続く展開となった。

　全車がピットインを終えると、その3台が1-2-3となり、7秒以内でトップ３の3台が争う展開になった。なお、1位の25号車、2位の18号車の2台のマザーシャシー86はいずれもタイヤ無交換で、3位の3号車 B-MAX NDDP GT-Rだけがタイヤを交換しており、タイヤ無交換のヨコハマタイヤ勢 vs タイヤ交換のヨコハマタイヤ勢という展開になった。終盤の焦点はタイヤ無交換の上位2台のタイヤが持つかどうかに移っていった。

　39周目にはポイントリーダーの61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT（井口卓人/山内英輝組、DL）がクラッシュしてコース脇に止まったが、FROによる処理で終わりセーフティーカーの導入はなかった。ポイントリーダーだった61号車は1ポイントでも取りたかったところだが、今回のレースでは痛いノーポイントに終わることになった。

　その後は3号車 B-MAX NDDP GT-Rが前を走る18号車を追いかけるレースになった。ところが、その18号車 UPGARAGE BANDOH 86がGT500の1号車と接触してスピン。なんとかピットに戻ったものの、そのままリタイアになってしまった。これで3号車 B-MAX NDDP GT-Rが残り8周の段階で2位に上がり1位とは8秒差。1周につき2秒近いタイム差で差を縮め始めた。差はみるみると縮まっていき、残り4周で3秒まで縮まった。

　残り2周の段階で1.6秒、このまま行けば、最終ラップには、追いつきそうなペースでガンガン追い上げている。しかし、結局1.1秒差で25号車 VivaC 86 MCがそのまま逃げ切って優勝した。2位は3号車 B-MAX NDDP GT-R、3位は55号車 ARTA BMW M6 GT3（高木真一/小林崇志組、BS）となった。

GT300クラスの表彰台