ニュース

日産、“電気自動車のまったく新しいカタチ。”「ノート e-POWER」発表会

「ノート e-POWER NISMO」を今冬発売

2016年11月2日 開催

139万3200円~224万4240円

 日産自動車は11月2日、神奈川県横浜市の日産グローバル本社ギャラリーで新たに「ノート」に搭載されることになった新型電動パワートレーン「e-POWER」に関する記者発表会を開催した。

ノート e-POWER MEDALIST
ノート e-POWER X

 同日に行なわれたノートの一部改良では、内外装を刷新して装備を充実させたほか、日産のEV(電気自動車)「リーフ」にも搭載されているインバーターとモーターを流用し、自然給気仕様のHR12DEエンジンと組み合わせたe-POWERをラインアップに追加。ガソリンエンジンは完全に駆動輪と切り離され、外部からの給電を行なわずに自車で発電した電力のみを使ってモーターを動かして走行するというこれまでにないパワートレーンとなっており、日産ではこれを「電気自動車のまったく新しいカタチ。」と表現している。

 e-POWER搭載車のJC08モード燃費は34.0km/L~37.2km/Lで、価格はガソリンエンジン搭載車が139万3200円~198万5040円、e-POWER搭載車が171万1800円~224万4240円。このほかのノート一部改良の詳細については関連記事(日産、「ノート」一部改良で燃費37.2km/Lの「e-POWER」追加)を参照していただきたい。

ノート e-POWER X
既存のノートのエンジンルームに、エンジンと接続される発電機、走行と回生発電を行なう「EM57」モーター、出入りする電力を管理するインバーターなどをコンパクトに収めるe-POWERの一体型パワートレーン。駆動用の電力を貯める高電圧リチウムイオンバッテリーはフロントシート下に配置する

今冬発売予定の「ノート e-POWER NISMO」も車両展示

ノート e-POWER NISMO
発表会ではノート e-POWERのNISMO仕様車を今冬に発売することも明らかにされた

「このパワートレーンはもはや発明」と星野氏

日産自動車株式会社 代表取締役 共同最高経営責任者 副会長 西川廣人氏

 発表会では、11月1日から新たに日産自動車の代表取締役 共同最高経営責任者 副会長に就任した西川廣人氏が最初に登壇。

 西川氏は「本日は、我々“技術の日産”が自信を持ってみなさんにご提案する『ノート e-POWER』を発表させていただきます。“技術の日産”の今後のテーマは『インテリジェントモビリティ』です。具体的にはクルマの『電動化』と『知能化』を進めて、みなさんにさまざまな提案をしてまいります。『セレナ』の『プロパイロット』では、自動運転技術の導入をご提案しました。セレナは8月の発売以降、多くの受注をいただいておりますが、セレナを買われるお客さまの6割がプロパイロットの機能がついたモデルを選択されています。いかにみなさんが技術の進化、新技術といったものに期待しているかの現われで、この期待の大きさを改めて実感しております」。

「そして、今日はもう1つの柱である電動化において、ノートのe-POWERをお届けさせていただきます。これは従来のハイブリッドとはまったく異なる、日産がこれまで培ってきた電気自動車の技術を駆使した、日産ならではの新たな電動化の取り組みです。昨今はさまざまな技術革新があり、情報が流れていますが、我々『自動車屋』としては、量販車で採用して、本当に安いと言える価格でみなさんにご提供することが使命です。これなくしては、どんな新技術も絵に描いた餅です。これらの新技術を契機に、日本市場での日産の存在感を徐々に上げてまいります。上期は国内シェアを落としてご心配をおかけしましたが、下期の日産にぜひご期待ください」とコメント。「セレナ」で初採用した自動運転技術「プロパイロット」に続き、ノートのe-POWERでも存在感をアピールする狙いを語った。

日産が取り組んでいる「電動化技術」と「知能化技術」。新しいe-POWERは「リーフ」の開発で培ってきた技術を駆使する「日産ならではの新たな電動化」と西川氏から解説された
日産自動車株式会社 専務執行役員(日本事業担当)星野朝子氏

 西川氏に続き、日産自動車 専務執行役員(日本事業担当)の星野朝子氏が登壇。星野氏は「このまったく新しいパワートレーンの開発に、実は日産自動車は10年をかけて取り組んできました。開発に携わったメンバーは本当に身を粉にしてこの技術を世に出すことに心血を注ぎ込んできて、本日、満を持してみなさまにお披露目できるということを、彼らとともに私も大変嬉しく思っています」とコメント。

 また、「ノートはスタイリッシュなデザインに加えまして、取りまわしのよさや室内空間の広さ、荷室も広くて使いやすいといった魅力で多くの人に非常に高く評価されてきたクルマです。また、子供が生まれたり、子供が独立したりといったライフスタイルの変化にも対応して、長くつきあえるということでも評判のいいクルマです。そんな評判のいいノートに、ついにe-POWERを搭載することになりました。電気だけで走る、いわゆるモータードライブならではの気持ちのよい走り、それに『ワンペダル感覚』の新たな乗り心地、優れた実用燃費などがノートの魅力として加わることになります」。

「このノート e-POWERは電気だけで走るまったく新しい駆動方式を持ったクルマです。従いまして、我々はこのクルマを『電気自動車の新しいカタチ』とみなさんに受け止めてもらえればと考えております。車内に乗り込んでアクセルをひと踏みするだけで、お客さまはこのクルマのとりこになる。そう思っています。社内では『このパワートレーンはもはや発明だ』と言っており、業界でエポック的な存在になると思っております」と語り、これまでにない新しいパワートレーンに対する自信を見せた。

 さらに星野氏は「この新発明のe-POWERを搭載する最初のクルマにノートを選んだ理由は、少しでも多くのお客さまに、我々が造った最先端の技術を、見て、乗って、感じでいただきたいという思いからです。コンパクトカーの概念を、この新型パワートレーンが覆していくことを確信しております」。

「先に発売した新型セレナ、すでに1000台以上の受注をいただいております「GT-R」の2017年モデル、そして今回のノート e-POWERと、これら日産独自の技術を搭載した“技術の日産”の粋を集めたモデルを日本市場に投入することで、技術力をアピールしてきたのが2016年のこれまでになります。今後もこの勢いをさらに続けてまいりたいとおります」と、今後についての意気込みについても口にした。

「車内に乗り込んでアクセルをひと踏みするだけで、お客さまはこのクルマのとりこになる」と新しいパワートレーンに対する自信を見せる星野氏
日産自動車株式会社 マーケティング本部 日本商品企画部 リージョナルプロダクトマネージャー 谷内陽子氏

 具体的な商品解説は、日産自動車 マーケティング本部 日本商品企画部 リージョナルプロダクトマネージャーの谷内陽子氏が担当。谷内氏はノートが持つ4つのコアバリューのうち、定評のある居住性や積載性は維持しながら、e-POWERの追加によってスマートな走りを強化。さらに内外装の刷新でエネルギッシュなデザインをブラッシュアップし、安全性や視界のよさは先進安全装備の追加によって向上させていると紹介。とくにe-POWERの追加では、「自分の足で操っているかのような一体感」「会話が弾んで笑顔になる車」「運転が楽で楽しい」という3点の魅力も追加されているとしている。

e-POWER専用色として用意された新色「プレミアムコロナオレンジ」のノート e-POWERの前で車両解説を行なう谷内氏。「13色のカラフルな色を用意しました。幅広いお客さまに選んでいただけるように色幅を増やし、エネルギッシュで元気な、きれいな色をたくさん採用しています」と紹介している
ノートは2015年度に約9万5000台を販売し、コンパクト市場で15%のシェアを獲得。市場比率で今後もハイブリッド車が増えていくと予想している
居住性、積載性以外の3つのコアバリューを一部改良で向上させた
e-POWERの追加で、「モーターならではの力強く上質な走り」「2クラス上の高い静粛性」「新感覚の運転操作」という3つの魅力が増えている
e-POWERは大出力モーターを持ちつつ、充電不要という独自性の強いシステムとなっている
従来からノートに搭載してきたエンジン、同じくリーフに搭載してきたインバーターとモーターを採用することで、まったく新しいシステムながら信頼性の高いユニットで構成されている
大出力モーターで走る車だが、「燃費がいい」という点もe-POWERの特徴となる
力強い加速力に加え、1万分の1秒単位でのトルク制御でなめらかに加速することもアピールポイントとなっている
ボディ自体の静粛性を高めているほか、エンジン始動時間を短く抑えることでアッパークラスに匹敵する静粛性を実現
アクセルオフ時に強い回生発電を行なう「S」「ECO」モードの選択すると、通常のガソリン車のエンジンブレーキの約3倍の減速度が発生
燃費が良好な2200~2500rpmといった領域を中心にエンジンで発電。エンジンとタイヤが完全に切り離されているからこそ実現可能であると解説された
新しいノートのコンセプトスケッチ
クリーンでハイテク、そしてダイナミックなデザインを目指してフロントマスクなどが変更されている
ボディカラーは新色の5色を加えた全13種類
全車に下側をフラットにしたDシェイプのステアリングホイールを採用。e-POWER搭載車のメーターパネルは専用デザインとなっている
発表会後半のトークセッションにゲスト出演した俳優の柳沢慎吾さん(中央)

 発表会後半には、ゲストに俳優の柳沢慎吾さんを迎えたトークセッションも実施。発表会に先だって、自身でノート e-POWERを運転したという柳沢さんは「なんと言っても加速感! これは凄いですよ。アクセルをひと踏みした瞬間にはあんた『ブォーン!』って。この加速はなんともたまんないね。背中にシートがくっつくような感じよ。でも、全開じゃなくて、アクセルを半分踏んだだけ」とコメント。また、「加速もそうだけど、このクルマは足まわりもいいですよ。もっと柔らかいのかなぁと思ってたけど、意外に車線変更なんかのときも流れていかないって言うか、ロールしないでスッときれいに入っていく。これもたまらないですよね」と試乗した感想を語った。

これまでに13~14台のクルマに乗ってきたと語る柳沢さん。ノート e-POWERは運転中に車内が静かだったことも印象的だったと述べた
トークセッションで柳沢さん(左)にノートについて解説する日産自動車株式会社 マーケティング本部 チーフマーケティングマネージャー 南智佳雄氏(右)
柳沢さんは指でタコメーターが動くところを再現し、体感したノート e-POWERの加速力の凄さを表現。瞬発力があるので、女性でも安心して運転できそうなクルマだとも語った
トークショーの最後に柳沢さんは「このクルマを買って街を走って、いい夢見ろよ!」と締めくくった
ノート e-POWER MEDALISTのインパネ
Dシェイプステアリングは全車標準装備
中央にマルチインフォメーションディスプレイを備え、左側でモーターの作動状態を表示するe-POWER専用メーター
リーフと同デザインのシフトセレクター
ドライブモードのセレクトボタンをセンターコンソールに配置
MEDALISTにメーカーオプション設定する「プレミアムホワイトインテリア」
ノート e-POWER X助手席回転シート車
ノート e-POWERの解説ムービー(2分43秒)